茜は孤独を感じていた。昔からずっと。
茜は7歳の頃事故で両親を亡くした。加害者のドライバーも事故の衝撃で死んでいた。茜は親戚の家で暮らすことになった。あまり暮らしやすい環境ではなかった。
高校生になった茜はアニメにハマっていた。心の拠り所だった。でもそのアニメはマイナーで趣味の合う友達はいなかった。本当はそのアニメの話をしたい、でもできない。
茜は寂しかった。
ある日、茜は帰り道にそのアニメのキャラクターのキーホルダーをつけた男子を見つけた。
「あっ」その男子がキーホルダーを落とした。茜はすぐに駆け寄った。
「これ落としてるよ」少し息を切らしながら茜は言う。「ありがとう」無愛想な男子だった。よく見ると同じクラスの人だと気づいた。
茜は話してみたくなった。誰ともできなかった自分の趣味の話を。
「どういたしまして。君もこのドナえもん好きなの?」
「うん。小学校の頃から好きでさ。」
茜は初めて自分と趣味の合う人と出会った。とても嬉しかった。
「君名前なんていうの?」「直人」
「私は茜。よろしくね」
それから茜と直人はよく話すようになった。大体最初に話しかけるのは茜だった。たまには向こうから声かけてほしいな、と思っていた。茜は直人と一緒にいると落ち着いた。もっと一緒に居たいと思っていた。そんなある日、明日にドナえもんの映画があることを思い出した。直人を誘おう!と茜は考えた。でも茜は男子を遊びに誘うなんて初めてだった。照れくさい気持ちを振り払い勇気を出して言った。
「そういえば明日ドナえもんの映画だよ!」「そうだね」
「一緒に行かない?」
「もしかして俺以外に行く人いないの?」茜は煽られた。
「そういう直人は一緒に行く人いるのかしら?」
「うっ…それは…」「ドナえもん知ってるの直人しかいないの!行こうよ!」「そうだな。行こうか。」
茜は喜んだ。こんなに喜んだのは初めてかもしれない。
そして当日―――
茜は遅刻した。10分ほど。
「遅いぞ茜」「ごめんなさい信号が全部赤だったんです」
どんな言い訳だよと茜は自分にツッコミをいれた。
でも直人は笑ってくれた。少し気が楽になる。
映画を見終わった。やはりドナえもんは面白い、もっといろんな人に知ってほしい、と思った。でも今のままでもいいかも知れないとも思った。二人でまた見れるなら、二人でまた遊べるなら、二人でまた会えるなら。
茜は恋していた。冗談を笑ってくれる、同じ趣味の話ができる、落ち着く、あの人に。
二人にとってこれは運命の出会いだった。
二度目の初投稿でした