仮面ライダーファイズ IN スーパー戦隊シリーズ 作:しろとら
プロローグ 謎の光
夢の中。
一人の青年が白い空間を一人歩いていた。
青年の名前は───乾 巧。かつて、地球をオルフェノクから救った仮面ライダーの一人。仮面ライダーファイズだ。
巧はオルフェノクたちとの闘いのさなか自分がオルフェノクだと気づき絶望し、自暴自棄になってしまった。しかし、かつての仲間たちのお陰で巧はオルフェノクながらも人間として生きて行く道を選び、仮面ライダーファイズとして人間を守ることを決意した。
無事オルフェノクの王を戦友だった木場と共に破り、今まで夢というものを持っていなかったが、ついに「世界中の洗濯物が真っ白になるみたいにみんなが幸せになりますように」という夢を見つけたのだった。
『た……けて……お願い……』
「なんだ? それに、何処なんだここは?」
謎の白い空間にいる巧の頭の中に、聞いたことも無い女性の声が聞こえてきた。巧はこの声に気が付きながらも今いる現状を把握するためにもう一度歩き出した。
『お願い!! 助けて!!』
巧が歩き出すと同時に、その声はハッキリと聞こえた。そしてその瞬間、歩き出した巧の目の前に謎の光が現れた。
「っ!!」
突如現れた謎の光は、生き物のように動き出し巧の元に迫った。巧は迫ってくる謎の光に驚き、咄嗟に身を守るような仕草をした。謎の光はそのまま巧を飲み込んでいった。
「た……くん……!! たっ……くん!! たっくん!!」
小さな子どものように自分のことを呼ぶ啓太郎の声で巧は目を覚ました。ゆっくりと枕から頭を上げむくりと身体を起こした。
どうやら巧は、三十分間の仮眠のためにベットの上で横になり一時間以上寝てしまってらしい。
自分を起こしに来た啓太郎に視線を移すと、啓太郎は大量の服がパンパンに詰められた籠を抱えていた。
「啓太郎?」
「もう、仮眠は三十分ってあれほど言ったのに、もう一時間以上経ってるよ!! 早く起きて仕事手伝ってよ、たくさん仕事が溜まってるんだから!!」
「…………悪い」
ぶつくさと啓太郎は巧に対して文句を言いながら、バンダナを頭に巻きアイロン台へと歩いて行った。まだ少し気だるさは残っているもの巧は立ち上がり啓太郎の後を追うようにアイロン台へと歩いて行った。
「なあ啓太郎。真理はどうしたんだ?」
啓太郎と同じように頭に白いバンダナを巻き啓太郎の横に立った巧は姿も見えない真理のことを尋ねた。
「どうしたんだって……。真理ちゃんは二時間前に専門学校に行ったじゃない。いきなりどうしたのたっくん? まだ、寝ぼけてるの?」
「あ……いや、悪い。少し寝ぼけてた」
啓太郎が言うには、真理は巧が仮眠をとる二時間前に美容師の専門学校に行ったらしい。だが巧には真理が専門学校に行った記憶は一切無かった。
真理のことを聞いた巧はそれからは一切啓太郎に話しかけず、一人黙々と洗濯物にアイロンをかけていった。
「ただいま〜!!」
夕日も沈み、月が姿を現した頃、真理が疲労が若干見える様子で帰ってきた。
畳んでいた洗濯物をテーブルの上に乗せた啓太郎とソファでテレビを観ていた巧が出迎えた。
「お帰り真理ちゃん」
「おう、お帰り」
真理は玄関からしっかりと靴を脱ぎ、鞄を巧が座っていたソファとは別のソファの上に置いた。
「啓太郎〜、今日の夕食なに?」
「今日は真理ちゃんの大好物のカレーライスだよ」
「ホント!! やったー!!」
「おい、啓太郎」
「あっ、心配しないでたっくん。たっくんのは事前に作って冷ましておいたカレーライスを用意するから」
「ああ」
真理はソファに寝っ転がり、啓太郎に今日の夕食はなにかと聞いた。啓太郎は洗濯物の畳みながらカレーライスと答えた。大好物のカレーライスと聞いた真理はソファから立ち上がり大喜びした。それに対して、巧は中々熱い料理が出ることに少し不満を抱いた。
「巧起きなさい!!」
「たっくん、起きて!!」
早朝。まだ学生などが登校していない時間に巧は啓太郎と真理の二人に叩き起された。早朝に叩き起された巧はぶつくさと文句を言いながら、二人の後を追い店先に出た。
店先にあったのは、かつてファイズのサポートマシンとしてスマートブレインが開発したバイク。SB-555 V オートバジンだった。
だが、ここにオートバジンがあるのはおかしい。何故なら、オートバジンは二年前のオルフェノクの王との戦いで破壊されてしまったのだから。そしてあの戦いの後、スマートブレインの社長を始めとする幹部たちの死亡により経営が困難になり、遂に倒産してしまった。その為、オートバジンはもう二度と新しく製造することができないはずだ。
巧はこれが本当にオートバジンかどうか確かめる為に、タンクにあるファイズの顔をしたマークのスイッチを押した。すると、バイクは人型に変型した。どうやら、このオートバジンは市販物ではなく正真正銘スマートブレインが開発したものだった。
「一体、何処の誰が持ってきたんだろう?」
「それが、分からないんだよね。店のシャッターを開けようと外に出たらこれが置かれてて……。まさか、スマートブレイン社が復活したとか!?」
「それは、無いだろう。もし、スマートブレイン社が活動し始めたら三原が何か言ってくるだろう」
真理と啓太郎が不安そうに言うと、巧はスマートブレイン社が活動し始めたという啓太郎の説を否定しながら、オートバジンは取り敢えずこのまま置いとくようにと言った。二人は困惑しながらも巧の言う通りに従い真理は専門学校に啓太郎はクリーニングの仕事とそれぞれ活動を始めた。
そして、巧はクリーニングの仕事を手伝っているうちに考えをまとめ、真理や啓太郎にバレない時間帯深夜に行動を起こした。真理と啓太郎が寝ていることを確認した巧は、急いで着替えとファイズギアをバックに詰め込み、バイクに跨った。
「悪いな……真理、啓太郎」
巧は一度店の方を振り返り、小さくまだ寝ている真理と啓太郎に謝り、エンジンを吹かし、オートバジンを街灯が小さく照らす夜道に走らせた。
『た……す……けて!!』
「この声は、昨日夢で聞こえてきた声?」
暗い夜道をオートバジンで走っている巧の頭に昨日巧の夢の中で聞こえてきた声と同じ声が夢と同じように巧の頭に聞こえてきた。
『お願い、乾巧!! 助けて!!』
「一体、なんなんだこの声は?」
困惑しながらもオートバジンで走り続けている巧の頭の中にハッキリと女性の声が響いた。
ハッキリと女性の声が聞こえてきた瞬間、巧の目の前に夢と同じ謎の光が現れた。
「あの光は……」
巧はあの謎の光に何か危機感を覚えたのか、すぐ様オートバジンを回転させ逆走しようとした。
「なっ!!」
しかし、巧の行動を予め予測していたのか謎の光は唐突にスピードを上げ、あっという間に巧を飲み込んでしまった。
そして、謎の光が消えた場所には巧だけでは無くオートバジンすらも消えていた。