戦闘とかできるわけないだろうが!!   作:もずくぅ

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 イアソン様しゅきぃ……イアソン様主人公の小説書きたいぃ……でも私型月書けるほど世界観とか雰囲気上手く出せないぃ……ならもうイアソン様っぽい何かでいいや……ぽいだけで私は愛せる……そうだ、IS書こう。クソみたいな動機だなお前。


#1 俺のことはケツァールかなんかだと思ってください!

 女子が圧倒的多数をしめるある高校の教室の中、男子はたった二人。

 片や周囲の女子からの視線に縮こまり、片や注目を浴びながらも飄々とした態度で窓の外を眺めていた。

 

 二人には二つの共通点があった。

 一つはその顔面偏差値。少しばかり幼さの残る可愛い系の顔と、大人びた雰囲気の美しい顔という違いはあるが、そのどちらも異性を惹きつけて余りあるものだ。

 

 二つ目は"世界でたった二人しか存在しない男性IS操縦者“であることだ。

 ISとは即ち宇宙への翼であり、同時に現行最強の兵器(・・)でもあり、そして女性にしか動かせないと言う致命的な欠陥を抱えていた。

 この二人は言うなれば、男性達にとっては希望であり、女性達にとっても興味を向けざるを得ない相手であった。それはもう、山田麻耶と名乗る副担任がやってきてLHR(ロングホームルーム)を始めても誰一人反応しない程度には。

 

 童顔の副担任以外の声が発せられたのは、自己紹介が始まってからであった。

 先に順番がやってきたのは縮こまっている可愛らしい顔の方の男子であった。その彼も、副担任の麻耶から何度か名前を呼ばれてようやく反応し、立ち上がった。

 

「えっと……織斑一夏です……」

 

 名前だけを告げてから幾分かの静寂があり、誰もが二の句を待っていた。

 

「……以上です!」

 

 期待を大きく外れて締めくくった一夏にズッコケる女子達と、どこからともなく現れて彼の頭をシバく女性教師。女子達の視線は今度は彼女へ注がれた。

 それもそのはず、一夏の姉でもある彼女、織斑千冬は世界で最も優れたIS操縦者を決めるモンド・グロッソという大会にて二連覇を果たし、ブリュンヒルデとの異名を持つ世界一クラスの有名人なのだ。

 スターに浴びせられる黄色い歓声を手で制した彼女は、姦しい生徒達に眉間を寄せながらため息をつく。

 

「ハァ……もう時間もない。自己紹介は個々で済ませておけ……ああ、お前だけは今しろ、美舟」

「……はい」

 

 今度は落ち着いた方に視線が注がれた。詩井と呼ばれた彼は気怠げに立ち上がり、口を開いた。

 

美舟 詩(みふね うた)だ。ここに来たからにはISで戦ったりとかあるんだろうが、私はマジで弱いから期待しないでくれ。ハイテンションの小型犬に負けたことがある。なんならハムスターにも負ける自信がある。IS着ても人間とかまず無理、ギリギリでインコくらいならいける気がする。よろしく」

 

 最初から最後まで生真面目な顔で言い切り、サムズアップをして座った彼に、生徒達は今度は呆けた表情をした。

 今のはジョークの類なのか、あるいは凄まじい謙遜なのか、判断に迷っているうちに千冬が冷めた目で彼を見やる。

 

「お前はなんでそうなんだ……」

「期待が重いんですよ! 二人目ってだけであんな目で見られて! こちとら数ヶ月前までただの中3ですよ!? クソガキですよ!? 確かに呆れ返るほどに顔面もいいしスタイルも抜群ですが! 戦えるような人間じゃないんですよ! 私のことはケツァールかなんかだと思ってください! 見た目だけを楽しんでください!」

「世界一美しい鳥を名乗るなどおこがましいわ! 鶏で十分だ鶏で! 臆病なところと生き意地汚いところがそっくりだ!」

「生き意地汚いってそれ首跳ねられてからでしょう!? 私は首持ってかれたら死ぬくらいの潔さはあります! 痛いの嫌なんですぐ死にます!」

「尚悪いわ!」

 

 20代女性と高一男子の言い争いの最中にチャイムが鳴り、我に帰った千冬が咳払いの後に次の授業を告げてLHRはお開きとなった。

 未だ困惑の表情の女子達を見ることもなく座り込んだ詩へ、一夏が近づいていく。

 

「えーと、美舟。二人だけの男子なんだ、これからよろしくな!」

「詩で構わないぞ、織斑」

「なら俺も一夏でいい。……まさかあの千冬姉ぇとコントができる人間がいるなんて思ってなかったぞ」

「お前にはアレがコントに見えたのか? 私はあの人と話すときは常に命がけだぞ……いつ殺されるのかわかったもんじゃない……ああ、その件でお前に言っておかなきゃいけないことがあったんだ……」

「なんだ?」

 

 耳を貸す一夏の胸ぐらを掴み、さらに引き寄せる詩。

 散々弱いだのと自分を罵ってきた彼の予想外の行動に、クラスの女子や別クラスから様子を見にきていたギャラリー達が騒めく。

 そのまま彼は、ドスを聞かせた低く小さい声で耳元でささやき始める。

 

 

「お前がISを動かしたせいで私はこの始末だ……怖い先生にいびられて、浴びたくもない期待を浴びて、ISの戦闘訓練までやらなくちゃならない……一生恨むぞ? いいか、私の恨み方は超陰湿だぞ。手始めにお前の制服の袖と裾を夜な夜な少しずつ短くしていってやる。それもワンパク小学生スタイル通り越してオフショルダーとブーメランパンツみたいになるまでだ……」

「お、おう……それは流石に恥ずかしいからやめてくれ……」

 

 ともすれば唇が触れ合うような圧倒的至近距離と、窓際の席で女子達へ背を向けていたこと、そして一夏の『恥ずかしい』という声だけがなんとか聞こえるボリュームであったために、一部の女子達が湧き立った。

 やれ詩左固定だの、誘い受けだの、ヘタレ責め一夏だのと即座に議論が交わされ始めるが、二人にそんなことを気にしている余裕はない。

 

「恥ずかしい、恥ずかしいだと? 決めた、お前の椅子の足を少しずつ擦り減らしてやる! 最後の方は座椅子みたいにしてやる!」

「なんで嫌がらせがそんな地味で軽いんだ!? もっと他にあるだろ!」

「馬鹿かお前は! 暴力とか教科書捨てたりとかビビリの私にできるわけないだろう! 最大限勇気を振り絞った嫌がらせがこれなんだよ!」

 

 心底この男の性根に呆れ果てた一夏であったが、それとは別として悪い奴ではないと感じた。

 

「ちょ、ちょっといいか!?」

 

 側から見れば仲良さげな二人へ声をかけたのは、長い黒髪をリボンで束ねた凛とした少女だ。

 

「おう、どうした?」

「一夏を借りたいのだが構わないか?」

「貸すじゃなくて上げるわこんな奴。一生幸せにしてもらえ」

「おまっ! 詩ッ!?」

「冗談だよ冗談。ほれ、入学初日の逢瀬を楽しんでこい」

「言い方ァ! こいつはただの幼なじみだ! ほら、行くぞ箒!」

「いっしょう……しあわ……ハッ! そ、そうだな! 行こうか一夏!」

 

 仲の良いカップルだ……と独りごちて、彼はつまらなそうな顔で参考書をめくり始めた。




 海を征く船→海船→美舟。
 アルゴナウタイ→ウタ→詩
 
 的な?名前にイアソンとかジェイソンとか入れたかったけど、露骨すぎるからやめました。
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