《AURCS ONLINE》 −OVERLAPPING WORLD LINES- 作:或売奴千刺
あとで治します
チュートリアル/ プロローグ
――《AURCS ONLINE》(=オルクスオンライン)は今から80年前、20XX年にサービスを終了したゲームだ。
通称、"オルクス"とよばれ親しまれてはいたが同開発元のアソビモ株式会社が提供するゲームでは《トーラムオンライン》の方が有名であり同時に人気でもあった。
何故トーラムオンライン、通称 トーラムの方が人気であったかといえば、普通の RPGゲームにありがちな古参と新参の間に存在する超えられない壁がなかったから。職業システムがなく自由にスキルを取れたから。自作の武器を作ったりペットを育てたり強くなる以外の目的があったから。ストーリーがわかりやすくオートターゲットで初心者にもやりやすかったから……などが挙げられるだろう。
それに比べて"オルクス"はガチガチの王道システムを採用しておりステータスは自動振り分けであったが職業システム、スキル振り、激しいアクションなど今もあるような王道ファンタジー系ゲームに通づるものがある。
酷く暗い絶望的な展開のストーリー、正義も絆も未来も信じられないダークファンタジーな展開や謎が謎を呼び過ぎるわかりづらいストーリー。専門用語が飛び交い多種多様な装備を必要とするなどのソロ向きではないバトルシステムや、格ゲーを想い浮かばせるようなコンボシステム。初見殺しやただめちゃくちゃに難解なギミックなど素人向けではない複雑さがユーザーが増えない原因だったのかもしれない。
201X年代当時、国産ゲームといえば置き型ゲーム機(ハード)が主流でありそれに合わせてディスクやソフトのゲームばかりであったが為に日本企業はスマートフォンのゲームという新形態に乗り遅れていた。
その中でアソビモはガラパゴス携帯電話(スマートフォンの一つ前の端末である)時代のゲーム開発技術を生かしスマホゲーム業界に参入、次々と革新的で独創的なゲームを生み出していったのである。
今までRPGに定番であった職業システムを撤廃したことにより古参と新参に壁を無くした《トーラムオンライン》。
ストーリーを廃しただひたすらに塔を攻略することを目標にした《アヴァベルオンライン-絆の塔-》。
スマホ最高峰の10兆通りの着せ替えを売りにした《RPGセレスアルカオンライン》。
建物の屋根を飛び移り壁を走ることが出来たハイブラフィックスハイクオリティなアクションゲーム、《イザナギオンライン-samurai ninjya-》。
古き良き初期のRPGを3D世界に落とし込んだ《アルケミアストーリー MMO RPG》。
そしてオルクスオンラインのその後の世界を描いた《エリシアオンライン》。
など多くの作品をこの世に送り出し国産ゲーム業界を震撼させた。
それらはまだ電話やチャット、カレンダーやゲーム機それからパーソナルコンピューター(通称 パソコン)が一体化したスマートフォン(通称スマホ)と呼ばれる形態の端末が世に出始めた頃、初期段階からサービスを提供していたMMORPGであった。
"オルクス"はサービス終了後、開発元のアソビモ㍿から売却されその後、長らくリニューアルされることもなく人々の記憶から消えていった。
しかし当時、(オルクスオンライン》のプレイヤーであった織部(おりべ) 誠(まこと)氏はもう一度やりたいと思い、今度はスマホゲームではなくVRゲームとしてリリースしたいと考え権利を購入し開発を進めていた。
しかしVRブームの収束に伴い開発資金の調達が難しくなったことや、首都直下地震による損害により多大な影響をうけた彼は開発を断念、5年後、無念のまま死去した。
その後、開発はアッシャーエンターテイメント社のCEOであった織部氏の孫の土岐(とき)海斗(かいと)氏に受け継がれた。
VRMMOの変革期となった2098年、没入型フルダイブ技術の提供を受けた土岐氏は《オルクスオンラインのリニューアル》に着手する。
先先代が購入した権利とVRMMO用に作られていた資料や原作の設定、シナリオを元にフルダイブVRMMOに削ぐうようにシナリオやシステム、グラフィックなどを調整したリニューアルし、そして80年の時を経ては2104年、《AURCS ONLINE》−OVERLAPPING WORLD LINES-として蘇ったのだ。
とりあえず、ゲーム特集記事に書くように調べて書いた文章を読み返してみたが中々いいのではないだろうか。
俺はゲームをするにあたり事前にこのゲームがどのようなものだったのかを調べていた。
さすがに80年あまりも前になるとアーカイブを探してもページは残っていても内容は表示されなかったり断片的な資料がチラホラと見えるくらいだった。
しかし分からなければ聞けばいいという精神で開発元に問い合わせてみたところ返信があったのだ。ラッキーなことに締め切りも定員も埋まっていたクローズベータテストにも参加する権利も得られテストが終了すれば記事にした内容を公開する権利も得ることができた。
残念ながらアルファテスト(=αT)に参加することはできなかったが今回一緒にクローズベータテスト(=cβT)に参加してくれる友人がα版の内容を教えてくれていた。
まず最初に行われたαTであるが参加人数は50人程度でチュートリアル空間でスキルアシストの確認を行ったようだ。
チュートリアル空間は直接メインストリーに関係あるマップではなく、正式リリース後に開催する予定のイベントマップで動作確認を行ったようだ。
一週間行われたテストでは半数がなんとかスキルアシストと通常戦闘の動作を使い分けることに成功したそうだが、回避のスキルアシストにより酔ってしまうプレイヤーもいたようだ。
2回目に行われたαTではチュートリアルクエストのバグ探しと難易度調整の確認が行われたそうだ。
とりあえず階段にモンスターが挟まることや影が荒ぶるバグ以外に目立ったバグはなかったらしいが、難易度は驚くほど高かったらしい。
オルクスオンラインでは敵の攻撃に合わせてタイミングよく回避ボタンを押すことで反撃スキル、要はカウンターで大ダメージを狙えたようだ。それがVRMMOとなりスキルがボタンを押せば良いのではなくなった為、タイミングよく反応出来るプレイヤーが現れず、初日は全プレイヤーがチュートリアルのシステム説明と操作確認で足踏みをしたようだ。
オルクスオンラインのチュートリアルは主人公がヒロイン?と共に戦闘システムの確認を行い、モンスターを倒して船にのり、船に乗っている途中でドラゴンに襲撃され追い払うも難破し別大陸に流れ着く……までであるが、最近のVRMMOに合わせてモンスターに高品質で学習力の高いAIを積んだ影響で難易度が跳ね上がりαT中にチュートリアルをクリアすることは叶わなかったようだ。
チュートリアルで死にまくり何回も繰り返すという馬鹿馬鹿しい展開はα版の反省点として修正されているらしいので、本編をcβtで漸く拝めるのではないかと期待している。
ソロは無理。そう聞いていた俺はα版にテスターとして参加してた友人の峰屋 晴人(みねや はると)と共に《AURCS ONLINE》の世界に足を踏み入れたのであった。
視界が暗転したと感じるとともに目に刺すような光が広がり、意識が夢から目覚めたばかりのようにぼんやりとする中、
目の前には表情もなく目に光も無い死体か人間の剥製のようなそんな雰囲気を感じさせる体があった。
直立不動をする体の横には【性別】【職業】【容姿】と表記されたUIが出ていることからこれがゲーム開始直後から死後硬直した死体を見せられるという悪趣味な演出ではなくアバター制作を行う場所なのだとわかる。
今のゲームだと女、男、どっちも、どちらでも無いというような選択肢が表記されるが、再現した80年前の作品だけあって選択肢が女と男しかない。
実にシンプルだ。
しかし驚いたのは、性別的にも精神的にも男である俺が女のアバターを選択できることである。
フルダイブ技術を採用したゲームによるアバターと精神の変化についてまとめた論文によれば、たとえアバターであろうとも男性が女性のアバターを使用していると現実の体を見ていても精神も女性よりになる可能性があるという内容であった。安全上から18歳未満はそういう現実的な体格から離れたアバターは利用できないはずであったが……ああ、そういえばエロチズム的要素がないのにR18と書かれていたのはそういうことだったのだろうか。
昔よくあったネカマ(ネット世界のオカマ=女性のふりした男)プレイヤーを再現の為に両性選べるシステムにしたのだろうか。
正式リリースでもないし、折角なので女性を選択してみることにした。
いやしかし元から選択表示されていたのは女性だったのは原作の再現部分なのだろう。
80年前のあたりは丁度女性の地位向上の為の活動が多かったと聞くから、男女の並びではなく上に女が来るような選択表示にしたのだろう。おそらく。
上から順に並べて見れば【性別】【職業】【容姿】なので次は職業だろうが先に容姿の方を決めて仕舞おう。
ふむふむ、ヘアーが9種類と顔が32種類しかないが……ああ、これも原作再現ポイントなのか。ちょっと少ないな。
と思ったら右上に詳細選択機能とやらがあった。なるほど、これで目の色や輪郭などを決めていくようだ。
身長も変えられるみたいだな。
これはクローズベータの間だけというわけであるし友達との時間も差し迫っているわけで思い切りよく決めてしまおう。
ショートヘアに色が抜けたような白い髪と血の通っていないような青白い肌膚に目の下には黒い隈、眼は色素が薄く顔立ちはスッキリとしていた。
短い間ながら趣味全開で作られたアバターを見てまだまだやりたい点が出たが待たせるわけにはいかないのでこのアバターで妥当した。
そして最後はお待ちかねの職業選択である。事前に調べたところによると、このチュートリアルで選べるのは基礎職4種で、この4つの中から選んだ職業を元にいろんな系統の職業に転職して行くらしい。そして基礎職を選択しクエストをクリアすることで二種類の上位職への分岐とそれぞれ一種類の最上位職への転職が可能らしい。もちろんこの情報は原作のシステムであり、このリニューアル版でどうなるかは不明だが原作再現にこだわっているこの運営ならば同じようなシステムになる可能性は高い。
【ソードマン】
ソードマンは名前を見て読む通りソード(剣)マン(人)で剣士をさす。
オルクスでは長剣:ソードと両手斧:アックスを利用出来る。長剣か斧かの違いは上位職に転職する際、上位職がどちらの武器を使うかで決まる。
オルクスではサブ武器というシステムが存在するがよくありがちな剣二刀流や盾ではなくソードマンの場合は籠手のようだ。
【スカウト】
スカウトとは勧誘のことではなく斥候のことをさす。オルクスでの場合は弓を使う職業だ。
メイン武器は短弓:ショートボウと長弓:ロングボウであり長距離から敵を射抜く職業であるが原作では遠距離職なのに防御が高く近接攻撃も出来るとか強すぎると批判的な反応もあったがそこはどうなっているのだろうか。
サブ武器は矢筒である。
【クレリック】
クレリックはタンクやヒーラーに分岐する基礎職である。
戦棍:メイスと槌:ハンマーがメイン武器でありサブは盾であるがほかのサブ武器と同じく盾の効果は攻撃力の上昇であり防御力は一切上がらない。
盾なのに防御0という謎仕様が浮く注がれているのかは気になるところである。
【マジシャン】
マジシャンというが奇術師のことではない。むしろスカウトの上位職にはトリックスターという奇術師に近い職が存在する。マジシャンは魔法使いのことであり癖が強い操作が多いオルクスオンラインの中でも一番わかりやすい職だ。
回避方法だけは独特で離れた場所にテレポートというものだが他の職と違い魔法攻撃による激しいエフェクトは舞えど激しいアクションを必要としないため初心者向けではないかと考えた。
マジシャンとソードマンで悩んだが一番王道なソードマンを選択してみることにした。性別と容姿を決めて職業も選択してさあ名前を入力するぞと思いきや視界は再び暗転し《AURCS ONLINE》のストーリーがナレーションとして流れ始めた。
『この人物に関する文献は極めて少ない。
出自も、生い立ちも不明。
ただ一説によれば、若年期の頃
当時セタ=グリア島と呼ばれていた地に
居住していたはずなのだという。
現在ではどこにあったのかも不明だが
この島には貿易の中継点として
様々な人々が住み着く都市があったそうだーー
長いのでシーン切り替えで切ってます。
次に続きます。
パソコンをわざわざパーソナルコンピュータと書いたりスマホについて説明しているのは主人公が今から80年後の人間だからです。たぶんスマホとかパソコンとかないだろうなと思って書いてます。ゲームがあったりオルクスオンラインを復活させようとしている人がいるなどという現象はご都合主義で。
クローズβ編が終わったらオープンβ編に入りますがどの職業を選択してほしいですか?
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ソードマン 物理近接脳筋
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スカウト 遠距離系万能職
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クレリック 火力皆無支援職
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マジシャン 逃げ足最速魔法職