神さまばっかの世紀末な世界に、俺が望むこと   作:赤サク冷奴

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100tハンマーシステムを作った北条先生に敬礼っ……!


ソーマの必殺技に、何をどうやっても勝てる気がしない

 

 翌日。

 

 高校から続けている早起きの影響か、短針はキッチリと五時を指し示している。

 

 ……暇だし、軽く散歩するかな。

 

 アリサがくれた、ピンクでもふもふした可愛らしい寝間着を脱ぎ、クレイドルの隊服を着ると部屋を出て、エレベーターで一階のエントランスフロアのボタンを押す。

 

 サカキ博士からは「まだゴッドイーターになった訳じゃないから、あんまりぶらつかないようにね?」と言われたが、GEファンたるもの聖地巡礼は当たり前。

 

 ……まあ、単に待ちきれなかっただけなのだが。

 

 し、仕方ないよね。俺は今、修学旅行とかで新しい場所に寝泊まりしに来て、朝起きたら思わずウズウズしちゃう小学生とか中学生の気分なんだよ。分かる?

 

 チーンといういつもの音と共に、一世代くらい前そうな格子の扉が開く。

 

「おお……! アナグラだ!」

 

 人が誰もいないので、好き放題探索出来る。

 

「電光掲示板は……動いてない。というか暗いなぁ」

 

 省エネ設定になっているのか、最低限の電気しか点いていない。

 

 下の階に降りると、いつもはヒバリちゃんがいるはずのカウンターはガラ空きで、よろず屋のおっちゃんも居ない。

 

 もう一度上に上がると、今度はラウンジを訪ねる。

 ラウンジにも誰も居ない。朝日に照らされるが、静か過ぎて、どことなく寂しい気持ちになる。

 

「……戻るか」

 

 やはり、人がいないことには楽しめない。

 

 俺は、そのうちすぐ来るであろう楽しい日々を夢想しながら、自室へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 暇だったので二度寝していると、独特の偏食場が近寄ってきて、ノックの音が聞こえたのでベッドから飛び上がった。

 

 俺の耳は正しかったらしい。扉が開くと、朝食を乗せたお盆を持ったソーマがいた。

 

「……起きてるな」

「……おはよう」

「おはようさん。朝食を持ってきてやったが、食いたいなら食え」

「……貰いますとも」

 

 よし。キッチリと口調を戻せた。

 今日も張り切って、シアンはクールになるぜ。

 

 ソーマからお盆を受け取り、テーブルに置いてから頂き……

 

「……何これ」

「あぁ? 確かグボロの尾ヒレとか、ヴァジュラのマントとか言ってたな。サカキのおっさんが、ヒト型アラガミの好みを選んでチョイスしてきたらしい」

「……ヒトの食うご飯を食べたい。というかそもそも、私はコア以外食べない。……食べろっていうなら、食うけど」

 

 そう言うと、ソーマが困ったように眉を寄せた。

 

「アラガミの舌には合うか分からんぞ」

「……出来るなら和食を所望する。ここの専属料理人、ムツミちゃんとやらから貰ってきてくれたら、なお良し」

「フッ、随分と我が儘なお嬢さんだ。仕方ない、持ってきてやろう」

「……これは返す」

 

 お盆を叩きつけると、苦笑しながら部屋を出て行った。

 

 ……まさか、アラガミ素材を出されるとは思わなかった。

 俺としては、日本食が恋しいので、米と味噌汁が出てきたらありがたい。

 

 少し経つと、再度お盆を持ってソーマがやって来た。

 

「ちょうど配給が米とかだったから、ご要望通り、和食を持って来てやった。ったく、俺は滅多にラウンジに足を向けないから、やたらと不思議な目で見られたぞ」

「……テンクス」

「なぜ英語なんだ……」

 

 目の前に、ご飯と味噌汁、漬物が並んでいる。

 

「……久々の和食!」

「久々? お前、前にどっかで食ったのか?」

 

 おっと失言。まあそれっぽい事を言っておこう。

 

「……前に、優しい人がいた。その時お米と味噌汁を貰ったから」

「ほぉ、こんなご時世に、高級な米と味噌を分けて貰えるとはな。昔はサテライトにでも住んでいたのか?」

「……多分?」

「分からねえのかよ……」

 

 そりゃそうだ。前世の記憶なんだし。

 

「いただきます」

 

 合掌すると、久しく使っていない箸を手に取り、ご飯を摘んで一口。

 

「〜〜っ!」

 

 現代日本の米に比べたら味は落ちるが、それでもこの世界に来てそれなりの月日が経ち、まともにコア以外の食事をしなかったからこそ、余計美味しく感じるこの甘みと食感。

 

 これぞ日本のソウルフード……炊いただけの白米!

 ……涙が出そう。

 

「美味いか?」

「うんっ……うんっ!」

 

 この味噌汁の味も懐かしい……あぁ、この目が覚めるような塩味よ。

 ……あ、やべっ、泣けてきたわ。

 

「な、泣くほどか……」

 

 この漬物は浅漬けか。絶妙な酸味が効いていて……これは泣いた。

 

 結局、食事中はずっと嗚咽が混じりながらだった。

 

「……ごちそうさまでした。そう、ムツミちゃんに、よろしく」

「ああ。後で伝えておこう」

 

 ソーマに食器を片してもらった後、早速サカキ博士からのお呼ばれが掛かった。

 一緒にラボラトリの研究室に入ると、そこにはアリサと欠伸をして眠たげなコウタが揃っていた。

 

「やあ、おはようシアン君」

「ん……おはよう博士」

「シアンちゃん、おはようございます」

「あ、おはようシアン……こんな時間によく眠そうじゃないなぁ。ふわぁぁ……」

「コウタ、お前は単に早起きしないだけだろう……」

「6時とか普通起きる時間じゃないって……」

「部隊長なんですから、流石にその時間に起きて下さいよ」

「無理だぁ……」

「うむ、皆揃ったね」

 

 サカキ博士が全員を一瞥すると、キーボードを打つ手を止めた。

 

「じゃあ、これから四人に、シアン君の神機の作製の為の素材回収を行ってもらうよ。専用の任務を発行しておいたから、準備が出来次第向かってくれ。」

「「「了解」」」

「ん。了解」

 

 三人はエントランスの出口から。俺は極東の人達にバレないよう別の所から出て、任務へと向かった。

 

 

 ◯ ✖️ △ ◆

 

 

 人生初めてのミッションは、愚者の空母でボルグ・カムランと、過熱性ボルグ・カムラン堕天と荷電性ボルグ・カムラン堕天、スサノオの四体の討伐。

 

 何故こんなにもサソリサソリしているのだろう……

 

 因みに作戦名は、グレイト・スコーピオンズというらしい。

 安直すぎやせんかね……

 

「……まあ、楽勝だろうな」

「えー、俺はスサノオ以外硬いので嫌いですねー」

「そうですか? 尾を切り裂いてれば勝手に死んでますよ」

 

 現在、ヘリに乗って移動中である。

 

 その時の会話なのだが、ソーマとアリサはともかく、コウタですらスサノオ楽勝とか言っている始末だ。

 

 いや、うん……俺もその域まで行きそうで怖いっちゃ怖いんだけどね。

 

「……時間だ。行くぞ」

「「了解!」」

「……ん」

 

 ソーマの合図で、ヘリから降下していく。

 地面に着地すると、目の前には通常種のボルグ・カムランが呑気に捕食をしている。

 

『作戦が開始されました。過熱性ボルグ・カムラン堕天が、2分ほどで作戦エリアに侵入します。ポイント情報を送ります、どうぞ』

「……ん。よろしく、ヒバリ」

『はい。シアンさんのご活躍に、期待していますね』

 

 ヒバリさんを呼び捨てにするだなんて、なんて罪深き男なのか俺は……っ! タツミに頰引っ叩かれるぞ!

 

 キャラを作っている為に仕方の無い事ではあるが、さん付けしないだなんて何と畏れ多いことか……本当にすみません。

 

 ヒバリさんへ心の中で謝罪をしつつ、両手で神機を作り出す。

 

 この神機はオラクル細胞から出来てはいるものの簡単に生成できるので、基本的スペックが低く神機使いの神機に能力がそう及ばないのが特徴だ。

 バースト時の能力補正も自身にしか適用されないしと悪い事づくめなので、神機作製のお願いは現在最もプライオリティが高い。

 

「背後から近づいて捕食するぞ」

「了解」

「ん……」

 

 カムランを囲い込むように三人が背後に立つと、捕食形態に変形させ……同時に喰らいつく。

 

「キシャアァァァ!!」

 

 こちらの存在を視認したカムランが雄叫びを上げる。

 

「……あげる」

「どうも!」

「任せておけ!」

「おっ、ありがとな!」

 

 二つの神機で喰らいついた俺は、体内でアラガミバレットを六つ生成したので、それぞれの神機を銃形態にし、リンクバースト弾を三人に渡す。

 

「ふっ!」

「はぁっ!」

 

 ソーマがカムランの前脚をバスターで薙ぎ払い、コウタから連射されるバレットがもう片方の前脚を攻撃し、転倒。

 

 その隙を狙って、俺とアリサが同時に動き出す。

 

「「せいっ、はっ!!」」

 

 カムランの背後で跳躍し、斬撃が有効な尾っぽの部分を幾度も斬りつけていく。

 

 だが、尾の剣先が揺らいだ。

 ……間違いない、攻撃が来る。

 

「キシィィィアアア!!」

「っと、危ない」

「その程度ですか?」

 

 俺は片方の神機でガードしてからもう片方で更に尾を斬りつけて、アリサがアサルトに変形させて本体を攻撃。

 

 そこへソーマもやって来て、空中に飛び上がってから放たれたチャージクラッシュが、尾の剣の部分から丸ごと押し潰す。

 

「シャアアアアア!!」

 

 痛みによる咆哮が響くと、通信が入る。

 

『アラガミ、活性化します!』

 

 カムランがやたらめったらに剣を地面に突き刺し、俺たちを近づかせないように牽制している。

 だが、それは無意味に等しい。

 

「よし、集中砲火だ!」

 

 俺の神機からは爆発する弾丸が放たれ、アリサとコウタが属性の連射弾で盾を攻撃する。そうすれば……

 

『アラガミ、結合崩壊です!』

「これで俺の攻撃が通るな」

 

 結合崩壊により攻撃の動きを止めたカムランの盾部分をソーマが捕食し、バーストが継続して強化されたままのバスターソードが容赦無く振り下ろされいく。

 

 アリサは尾っぽを斬るのが好きなのか、即座に飛び上がって同じく捕食すると、滞空してひたすらに斬りつけていく。

 

『アラガミ、また結合崩壊しました!』

「……これで終わりにする」

 

 そして、俺はぺたりと倒れこんだカムランの前方に行くと、ポカリと開いたその口に向かって、二本の神機を突き立てた。

 

「キシャアァァァ……」

『……アラガミ、沈黙しました』

 

 何というか……この四人だと、恐らく過剰戦力な気がする。

 もはや、アラガミに対してイジメをしているのと同然だ。

 

「これを後三セットか……飽きるな」

「ですね。最近まともに死の恐怖を感じたのは、感応種くらいですし」

「なんというか、やっぱこれ過剰戦力だよな? シアンちゃんの戦闘力、普通に俺達レベルだし」

 

 コウタの言う通り、これは過剰戦力過ぎるよ。本当に。

 

 ソーマがカムランのコアを回収すると、俺に驚いたような目を向けてきた。

 ……なんだ?

 

「……シアン、気になったんだが、お前どこでリンクバースト弾のやり方を習った」

「……基本はシオの記憶から。攻撃パターンを合わせるのも、余裕」

「凄いですね……私と息ピッタリでしたし、複数人でやるのなんか初めてな筈なのに」

「咄嗟の判断で形態変化を使いこなしてたし、ウチのエミールとエリナじゃあ及ばないくらいの戦闘技術じゃ……」

「ヒト型アラガミの学習能力は人間の上を行く。それくらい余裕だったんだろう」

 

 いやぁ、それほどでも〜。……と言ってもシオの記憶からだと、ちょいと稚拙というか、感覚的というかなので戦闘技術は訓練の賜物だが、シオの記憶から全員の行動を予測してみてどうにか食らいついたから連携が出来た。

 シオの記憶があれば、少なくとも第一部隊となら共闘可能なのである。

 

 と、その時、ピッと通信機から音が鳴った。

 

『偵察班より入電、ボルグ・カムラン堕天二体とスサノオが、1分後、ほぼ同時に作戦区域に侵入すると思われます。ポイント情報を送ります』

 

 うへぇ、マジか。

 

 これがゲームだったら結構面倒だが、他の三人はと言うと……

 

「じゃ、俺が簡単なスサノオやりますねー」

「はぁ? スサノオは私にやらせて下さい」

「どっちでも良いから早く決めろ」

 

 と、コウタとアリサが、カムラン硬くて嫌だからとスサノオの取り合いをしていた。

 

 普通逆じゃね? とも思わなくもないが、確かにゲームだとスサノオの方が弱かったイメージあるな……

 でも、一度ボッコボコにやられてるから、この世界ではちょっと苦手意識が……うう。

 

 ……仕方ない。

 

「……じゃあ間を取って私がスサノオ」

「……それじゃあ仕方ないですね。ですよね、コウタさん?」

「お、おう……」

 

 一件落着である。でも、勝てるかなぁ……

 

『アラガミ、作戦区域に侵入しました!』

「いくぞ、お前ら」

「「はい!」」

「ん……」

 

 全員がそれぞれのアラガミの元へ散開し、対峙し始める。

 

 そして、俺の目の前には紫色のサソリくん……接触禁忌種で、ブラストの銃身ではよくお世話になったスサノオが雄叫びを上げた。

 

「キシャアッ!!」

「……その攻撃、まともに当たったことない」

 

 早速、両腕の神機の部位でパクパクと攻撃をしてくるが、移動速度も遅いので直ぐに盾でジャストガードすると、その神機の部位を空中で舞いながら滅多斬りにする。

 

「むっ……」

 

 すると、スサノオが驚くべき行動に出た。

 

 なんと、一回転しながら剣を下に振り回すのではなく、ただ剣を下に下げ、上空の俺を斜め下から斬りつけるように体を回し高速で攻撃してきたのだ。

 

 その速度は速く、思わず盾を展開出来ずに両手の刀身のインパルスエッジで後退を図った。

 

 そして空中で無防備になった俺に、スサノオが前宙しながらその巨大な剣を叩きつけた。

 

「あぐっ!?」

 

 両手の神機をクロスさせてブロックするが、瞬間的な攻撃力が凄まじかった。

 地面に叩きつけられて軽くクレーターが出来、俺の神機が結合崩壊のようなものを起こしており、ヒビ割れている部分も多数。ついでに俺の腕の骨がポッキリと骨折し、曲がっている。

 

「やば……回復しないと……」

 

 それにしても、このスサノオは恐ろしい。ゲームのパターンにない攻撃をしてくる。

 幸い、モ◯ハンを嗜んでいた俺は、尻尾が剣になってる竜の攻撃を思い出して咄嗟の判断が出来たものの、これは厄介だ。

 

 直ぐに骨折を治し、咄嗟に作れる銃身が無い状態の新しい神機を、一つ(・・)だけ手に持つと、二刀流でない、ロングブレードの基本の持ち方をしてスサノオを見据える。

 

「堅実な戦い方で……そもそも、長い間使っていた訳じゃないし、扱いづらいのも当然……」

 

 二刀流の方が攻撃性能は高いが、その分防御性能を限りなく落としている。

 その点、唯の一刀流……普通の持ち方ならば、ゲームの様な戦い方が出来る訳だ。特に、自身の動きも想定しやすく、臨機応変に対応が可能になるという面でとても優秀だ。

 

「……ま、実戦だとあんまし使ってないけど」

 

 スサノオにステップで飛び込むと、下段からの振り回し攻撃が俺を襲う。

 それくらい跳躍してやると、さっきので味を占めたかスサノオが、斜め下から斬る攻撃を準備し始めた。

 

「だが残念、そこに私はいない」

 

 スサノオの攻撃が空を切った。

 

 何故なら、俺はスサノオの後ろ上空に回っていたからである。

 

 ゴッドイーターで言う、空中△攻撃。それが、スサノオの前にいない理由なのだ。この攻撃は、前方へ一回転しながら進み、斬撃を当てるというもの。これを利用した俺は無防備なスサノオの尾っぽを、上段から振り下ろして斬り裂いた。

 

「キシィィヤァァァァ!!」

 

 流石にバーストもしていないので、あまり大打撃にはならなかったがダメージが入る。

 

 そして、怯んだ隙を突いて、捕食する。

 

 身体中に力の充溢を感じると、そのまま尾を二度斬る。

 

 だがスサノオがこちらを振り向いてしまい、攻撃が空振ると、神機パクパク攻撃の構えを取って来た。

 

 ……よし、これなら躱せる!

 

 すぐさま横にステップしてスサノオの背後にまた回り込んだ俺は……

 

 

 

 

「カ────ハッ!?」

 

 ──何故か剣の地面刺し攻撃を食らって吹っ飛んでいた。

 

(……はぁ!? いやおいおいおい。神機パクパクしてる最中に剣で攻撃してくるとかアリかよ!?)

 

 やはりこのスサノオ、ゲームにない攻撃ばかりしてくる。

 

 これまでのアラガミはゲームに則した行動をしてくるので良かったが、こうも知りえないものだと隙を突かれるな……

 

 思い切り吐血したので腹を見てみると、それはもうビックリするくらいの風穴が空いていた。

 

 うぐぅ……風がしみるぅ……!

 

『シアンさん!? バイタルが危険な状態です! 直ぐに回復を!』

「大丈夫、回復ならしている」

 

 ショッキングな光景だが、先ずは目の前の対象を討つ為に、任務前に貰った回復錠改を飲んで、ハンニバルのコア再生能力を傷に全力で行使しながら足に力を入れる。

 

「……散れッ!!」

 

 圧倒的な膂力でスサノオに肉薄すると、ロングブレードをスサノオの神機に突き刺した。

 

「シャアァァァァ!?」

 

 痛かったのか、スサノオが雄叫びを上げ、俺を振り落とす為に暴れ出す。尾の剣を俺に突き刺そうとしてきたので、俺は神機を手放すと、新しく神機を作り出して更にスサノオの神機に傷を付けていく。

 

「……はぁ、オラクル残量がまた少なくなった」

 

 神機作成には馬鹿にならないオラクルが必要となる。オラクルリソースが、なんとリザーブされたオラクルポイントが、感覚的に言って50つは必要なのだから。

 

 そしてスサノオに目を向けると、スサノオの左の神機が致命的に抉られて壊れていた。

 

『荷電性ボルグ・カムラン堕天の討伐を確認! スサノオ、結合崩壊! 活性化します!』

 

 通信から、ソーマの対応しているボルグ・カムランが終わったとの報告が。

 

『おっ、シアンちゃん頑張ってるねー!』

『目標を討伐した。今からシアンの方へ向かう』

 

 ソーマが来てくれれば、後は楽に終わるだろう。

 

 だが、こうやっている間にもスサノオの攻撃は止まらない。

 

「キシャアォォオン!!」

 

 スサノオがジャンプしながら尻尾を回転させて振り抜いてくるので、それを盾でガードする。

 

「ぐぅぅ……はぁっ!」

 

 そして、それを足の力だけで踏ん張り、押し返して転倒させた。

 

『アラガミ、転倒!』

 

 好機なので、捕食。そして両腕に力を入れて全力で神機部分を斬りつけていく。

 

「ゼロスタンスッ……!」

 

 コンボを繋げ、ザシュッと連撃を見舞ってやっていると、白い影がスサノオの上空を駆ける。

 

「セヤァッ!!」

 

 そこから地面のスサノオの頭に振り下ろされたのは、白い神機。

 

 ……ソーマだった。

 

『ボルグ・カムラン堕天及びスサノオ……沈黙しました』

『あ、そちらも終わったんですね』

 

 どうやら、アリサ達も同時に討伐し終えたらしい。

 

 記念すべき初スサノオのコアを神機で捕食してから手の上に吐き出させる。

 大きさは大体ハンドボール程だろうか。それを齧っていただきます。

 

 ……あれ、コアを食べているはずなのに、食感がプリップリしたエビ……いや、そもそこれエビの味だわ! でも美味しいな、おい!

 

 おかしい……絶対間違ってる。スサノオがエビとか、俺の感覚は一体どうなってるんだ。

 主に味覚と嗅覚……!!

 

 多分百面相しているだろう俺を、ソーマが半目で見てきた。

 いやだって、聞いてくれよ……と思ったところで、視線が微妙にズレている事に気づいた。

 

 ……これは、俺の腹を見ているのか?

 

「……隊服を早々に駄目にしたな」

「……あ」

 

 言われてみて、今初めて気が付いた。

 

 腹の傷はすっかり治しているが、クレイドルの隊服には大きく穴が開いている。

 

 ……わぁ、どーしよこれ。

 

「……オラクル細胞で直せないかな」

 

 そう思って、クレイドルの隊服のデザインを思い出しながらオラクルリソースを使用する。すると……

 

「……お前のオラクル細胞は何でもありだな」

 

 普通に直ってしまった。再生した部分の質感、材質ともに異常が無い。

 

 まあ、俺がかつて捕食した物の中には繊維系もあったし、腕のやつも作れるなら真似できてもおかしくは無かった、という事らしい。

 

「……文明の勝利」

「何ふざけたこと言ってんだ、バカ」

「いたっ!?」

 

 なんか殴られた。直したのに何故だ……と首を傾げてみれば、ソーマから溜息を吐かれた。

 

「物は大事にした方が身の為だ。さもないとお前を蚕みたいにして飼うからな」

 

 正論です……! でも、その後に言った言葉が酷くないか。

 確か、蚕は生糸を取るために、繭ごと茹でられて殺されると聞いたことがある。

 

 ……まさか、俺を飼い殺すとでも?

 

「……くっ、なんて非人道的な。これだから科学者は……いぎっ!?」

「次そのおかしな口を開けたら、コアをもぎ取ってやるからな」

「事実上の死刑宣告、ヒドい。体を好きにされて、心まで好きにされるなんてゴメン……あいだだだだごめんなさい許して下さいっ、私はお兄様の敬虔なる(しもべ)でいいですからぁ!」

「こいつ懲りてねぇな……」

 

 すみません、すみませんこの褐色ツンデレさんめっ──いでででででっ!?

 

 あっ、脳がっ、脳が割れるっ、アっ、ア──────ッ!!

 

 た、助けっ────…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに先程の醜態は、通信を通じてアリサやヒバリちゃんら全員に聞かれていた。

 

 うう、痛いし死にたい……

 

 


おまけ

 

 

『今日は、君の身体に偏食因子を投与してみようと考えているんだ』

「……なぜ? 私はアラガミ。そもそもの身体がアラガミ細胞で出来ている」

『だからこそさ。これまでアラガミに人工で作り出した偏食因子を投与してみたが、人体用に調整されているからか、これといった現象は見られなくてね』

「……具体的に、何を?」

『P53と、P66と、P73偏食因子さ。つまり、人体に使われた例のある主な偏食因子。それらを段階的に投与してその恩恵にあずかれるかどうか。協力してくれるかい?』

「……P66……血の力、目覚める?」

『私の仮説が正しれば……おっと、時間だ。じゃあ始めるよ』

 

 

 

 

シアンちゃんのお婿さん決め

  • 神威ヒロ(なお公式嫁との戦いが待つ)
  • ジュリウス(ラケルとのガチバトル)
  • ソーマ(月の人の口がへの字になる)
  • ロミオ(リヴィとの冷戦)
  • その他(ハルさんとか、ギル?)
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