ありふれない怪物は、やがて英雄へ   作:シロマダラ

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書くより考える方が楽しかった、詠唱パートです。

真面目な戦闘は迷宮ボスで書くので、サソリモドキ君はあっさり攻略です。
区切りがいいので短いのは許してください...

では、どうぞ。


第十一話 星辰光

「創生せよ、天に描いた星辰を──我らは煌めく流れ星」

 

 紡がれる詠唱(ランゲージ)

 星辰体感応奏者(エスペラント)でありながら星辰体感応奏者(エスペラント)をはるかに凌駕する星が現れる。

 

大神(たいしん)が振るう勝利の光。それは巨神から簒奪せし覇者の王冠。

 雷は天地に轟き、人々はその背に新世界の影を見た。

 それは、古き神々を廃する叛逆の世界」

 

 怪物が台風の名を冠することを証明するかの如く、そこに暴風が、台風が作られる。

 大気が荒れる、空間が軋む。吹き荒れる旋風は、あらゆるものを削り取る。

 

「故に、母なる大地は怪物を産み落とす。

 宇宙(そら)を飲み込む終末の天災、怨嗟の咆哮。此処に試練は訪れた」

 

「我は山を穿ち、海を裂き、天を喰らう。遂に神々は逃げおおせ、残るは大神(たいしん)一人のみ。

 轟く雷霆、金剛の大鎌、いずれの武具を用いても我を討つには程遠い」

 

「それでも潰えぬその闘志、なんと雄雄しいことだろう。

 ならばその光輝で怪物(ヤミ)を断ち、輝く未来(あす)へ進むがいい」

 

 古き神話において、天頂神と戦った怪物は無常の果実を口にしたことで敗北したとされる。

 それはつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということに他ならない。

 

「聖戦は此処に在り。さあ神々よ、我が骸を越えるのだ。

 約束された繁栄を、光の下で齎そう」

 

 天頂神すらも地に堕とし闇に封じる、最強の怪物。

 その名は――

 

「〝超新星(Metalnova)〟――〝殲嵐の齎す終焉に、光は無く(A p o c a l y p s e T y p h o e u s)〟」

 

 ――怪物(テュポエウス)。ユキ・ロスリックの星辰光(アステリズム)が、世界の終焉を呼ぶ怪物が、トータスに顕現した。

 

 

 

 

 

 ――消えた

 

 ユキを見ていた者はそう感じただろう。

 実際、ハジメとユエはそう感じていた。

 サソリモドキも標的を見失ったようで、顔を上下左右に振ってユキの姿を探している。

 

 瞬間、サソリモドキの背に衝撃が走り地面に叩きつけられる。

 

「キシャァァァァア!!!」

「チッ、硬いな」

 

 背に立っていたユキを振り払うように身をよじる。

 ユキはサソリモドキの背から飛び退き、ハジメたちの前に降り立つ。

 

 そこには、ベヒモス戦の時のように風を纏ったユキの姿があった。風、というより暴風ではあったが、感じる威圧は桁外れに膨れ上がっていた。雷も発生しているらしく、バチッと雷も纏っている。

 ハジメたちがユキを見失った理由は単純だ。発動値(ドライブ)への跳ね上がりが大きく、眼で追えなかっただけである。

 

「キィィィィィイイ!!」

 

 サソリモドキが絶叫を上げる。ユキはその場を飛び退くと、周囲の地面が波打ち、轟音を響かせながら円錐状の刺が無数に突き出してきた。

 完全にユキ一人しか認識していないようで、円錐の杭はユキを追い続ける。

 

 避けまわりながらユキは、先ほど攻撃した箇所に視線を向ける。そこには不自然な傷を負ったサソリモドキの外殻がある。

 

(単純に斬り付けただけなんだがな...)

 

 斬られた、というより抉られたという傷を見て、発動体(アダマンタイト)に風を纏わせる。

 

「―――ふッ!」

 

 再び死角を狙いつつ回避から攻撃へ移る。一撃、三撃、六撃斬り付けた結果、ユキの星辰光(アステリズム)に対する防御力を備えていないということが分かった。つまり、

 

「グゥギィヤァァァアアア!?」

 

 単純に雷を叩きつけるで決着する。サソリモドキが絶叫を上げる。サソリモドキの外殻が融解し、雷が体内にまで貫通したのか地に沈んでいる。

 かすかに息が残っているサソリモドキに発動体(アダマンタイト)を突き刺し、再び雷を流し込む。サソリモドキは断末魔を上げる暇すらないまま絶命した。

 

 

 

 

 

 サソリモドキが絶命したことを確認すると、ユキはハジメたちのもとへ戻り星辰光(アステリズム)を解除した。

 瞬間、

 

「ッ! げほっ、ごほっ――かはっ」

 

 ユキは口から大量の血を吐き出した。

 

「ッ! おい、大丈夫か!」

 

 ハジメたちが急いで駆け寄るがユキは制止する。

 

「い、いや。大丈夫だ、こういう能力だからな」

 

 これは、星辰光(アステリズム)の発動に付き纏う星辰奏者(エスペラント)の基本仕様だ。

 

 平均値(アベレージ)から発動値(ドライブ)への移行に従って出力が急上昇するものの、その上がり幅が大きければ大きいほどにその反動は大きくなる。

 

 ユキの星辰光(アステリズム)はその上がり幅が非常に大きく、同じ上がり幅を持つ星辰奏者(エスペラント)は数えるほどしかいないほどには稀少だ。 

 

「いや、だが...」

「あとで説明するさ。

 とりあえず、此処を離れよう。ユエだってここには居たくないだろう」

 

 そうして、三人はサソリモドキと、いつの間にか彫刻から魔物に戻っていた一つ目巨人の素材や肉を持って、拠点に戻っていった。

 




殲嵐の齎す終焉に、光は無く(A p o c a l y p s e T y p h o e u s)

基準値:C
発動値:AA

集束性:C
操縦性:B
維持性:D
拡散性:C
付属性:B
干渉性:AAA


 竜巻の創造、気圧の変動、積乱雲の形成など、裁剣女神(アストレア)にも似た星光を操る。

 しかし、水流を操作していたり、爆発現象を引き起こす様子も見られたこともあり、本来の能力偽装しているのではと言われているが、真相を知る者が極一部となっている。

 全体的に平均的の能力値を保っており、ユキ自身の技量や経験が組み合わさることにより、最上位の星辰奏者(エスペラント)と言える。


上に残った人たちの幕間を挟んで迷宮ボス戦です。
能力詳細はその時に...
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