ありふれない怪物は、やがて英雄へ   作:シロマダラ

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リメイク版プロローグです。


プロローグ
プロローグ


 少年(ぼく)は生きていた。

 時には盗んで、時には体を売って、時には死んで…

 

 それでも、少年(ぼく)は必死に生きていたんだ。

 全ては、元の世界に帰るために……

 

 

 

 少年(おれ)は生き続けた。

 時には友を作り、時には戦い、時には死に…

 

 それでも、少年(おれ)は必死に生き続けた。

 全ては、憧れた背中を追うために……

 

 


 

 

 軍事帝国アドラー政府中央棟(セントラル)の地下で、二人の男が向かい合っていた。

 第37代総統クリストファー・ヴァルゼライド。

 帝国軍第一近衛部隊隊長ユキ・ロスリック。

 スラムの頃からの親友である二人は、ここで決着をつけようとしていた。

 

「本当に俺と戦うつもりか、ユキ」

「そうだ。歪みを正し、この世界をあるべき形に戻して見せる。そのために」

 

 ユキはそう言いながら自分の武器である太刀を抜き、それに反応してヴァルゼライドも自分の太刀を抜く。

 

「そうか、ならば是非もない。来るべき聖戦のため、俺はここで死ぬわけにはいかんのだ」

「それはこちらも同じだ。人造惑星(カグツチ等)と雌雄を決する戦いがクリスの聖戦ならば、この星辰戦争(ギガントマキア)こそが、俺の聖戦。故に、求めしものはただ一つ――」

 

「「”勝つ”のは、俺だ!!」」

 

 そして、二人はぶつかり合う。互いの譲れぬ信念のために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『”勝つ”のは、俺だ!!』』

 

 

 二人の男性が戦い始める光景を、私は何度目見てきたことだろう。

 

 何年も前から、度々私は同じ夢を見る。正確に言えば、毎回少し違う似たような夢を見ている。でも結果はいつも同じだった。それは、一人の男性、ユキ・ロスリックさんの所謂一生と言われるもの。

 

 俗に貧民窟(スラム)と言われている場所で生活しているところから夢が始まって、ヴァルゼライドさんやロデオンさんとロスリックさんは出会い、帝国軍に入隊して、最後はヴァルゼライドさんとロスリックさんが戦う。お互いにボロボロになりながらも何度でも立ち上がり続けて、最後は必ずロスリックさんが勝っていた。

 

 そんな夢を何回も見てきたけど、今回だけは違った。

 

 ヴァルゼライドさんが勝ち、ロスリックさんが敗北した。

 

 何年も変わらなかった結果にも驚いたけど、一番驚いたのは、敗北したはずのロスリックさんが嬉しそうに笑っていることだった。

 

『――――――。―――――――――――――』

『―――――。―――――――――――――――――――』

『―――。―――――――』

 

 二人がどんな会話をしているのかまでは聞こえないけれど、初めて見る安心しきった顔をして、

 

『あり、がとう、クリス。お前、たちに、会えて、本当に、よかった』

 

 そうして、ロスリックさんは息を引き取った。

 

 私はその光景が、不謹慎だけど少しだけうれしかった。

 

 いつも戦いの後、ロスリックさんは涙を流して悲しそうな表情をする。だから、安心した表情をしているのがうれしかった。

 

 すると、私の視界が光に包まれていった。いつもの、目が覚める証拠だ。

 

 いつもと違うことがあったから、今日は少し違うお話が雫ちゃんとできるかな。

 

 

 

 

 

 目を開けると、見えてくるのは白い天井。私の部屋の天井だ。

 

「いつもと違う夢だったな」

 

 夢で見たことを思い出す。あのユキさんは幸せになったのかな。

 

「香織~、朝ご飯よ~」

「あ、は~い」

 

 お母さんに呼ばれて朝ご飯を食べるために部屋を出る。

 

 なにか、今日はいつもと違うことが起きる気がする。私、白崎香織はそう思った。

 

 

 

「おはよう、雫ちゃん!」

 

 朝、通学路を歩いている雫ちゃんを見かけて、挨拶をする。

 

「香織、おはよう」

「ねぇ、雫ちゃん。あの夢のことなんだけど」

「ええ、これまでとは違う終わり方だったけど...」

 

 この女の子は私の幼馴染の一人の八重樫雫ちゃん。私があの夢を見るときにはいつも同じ夢を見ているらしい。それに雫ちゃんはロスリックさんの――

 

「おはよう、香織、雫」

「よ、香織、雫」

 

「おはよう、光輝君、龍太郎君」

「おはよう、光輝、龍太郎」

 

 声の聞こえた方を向くと、二人の男の子が立っていた。二人は私の幼馴染の天之川光輝くんと坂上龍太郎くん。光輝くんは正義感が強いけど、時々強すぎて融通が利かないことがあって困ってる。

 

「なんの話をしてたんだ?」

 

 光輝君が聞いてくるけど、夢のことは一部の人にしか話してない。疲れてるとか言ってまともに聞いてくれないと思うから光輝くんと龍太郎くんには話してない。

 

「女同士の会話にあまり入ってくるものじゃないわよ」

 

 そういう話をしながら学校に行くと、教室の前で男の子が立っているのが見えた。

 

「おはよう、ハジメくん!」

「おはよう、南雲君。毎日大変ね」

「お、おはよう、白崎さん」

 

 この男の子は南雲ハジメくん。ライトノベルを読もうと思ったときに本屋にいるところを話しかけて知り合って、それからよく話しかけるようになった。夢を見ていることを知っている一人で、よく相談に乗ってもらってる。

 

「今日も眠そうだね」

「うん、ゲームしてたら遅くなっちゃって」

 

 そんな話をしてるとチャイムが鳴ったから自分の席に着く。昼休みに今日見た夢について相談しようかな。

 

 

 

 昼休み、ハジメくんに相談しようと思って、ハジメくんに話しかける。

 

「ねえ、ハジメくん。あのことで相談があるんだけどいいかな」

「あ、うん。いいけど、お弁当は食べないの?」

「食べながら相談しようと思ってたんだけど、ハジメ君は?」

「僕はもう終わったから大丈夫だよ」

 

 そう言いながら空になったゼリー飲料をヒラヒラさせながら見せてくる。

 

「もしかして、それだけなの? 駄目だよ、ちゃんと食べないと。ほら、私のお弁当分けてあげるから」

 

 そうして私のお弁当を分けてあげようとすると、光輝君達が近づいてきて、

 

「香織、こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ眠いらしいからさ。せっかくの香織のおいしいお弁当を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

 光輝君がよくわからないことを言っているけど、

 

「え? なんで光輝君の許しがいるの?」

 

 そう聞き返すと、雫ちゃんが「ブフッ」と吹き出してた。それよりも光輝君達のことを止めてほしい。

 

 結局光輝君達も一緒の机で食べることになった。ただハジメくんに相談したかっただけなのに、なんでこうなっちゃったんだろう。

 

 そう思ってると、急に足元に輝く幾何学模様が現れた。まるで魔法陣のようで、金縛りにあったみたいに体が動かない。

 

「皆! 教室から出て!」

 

 教室にいた畑山愛子先生が叫ぶのと同時に、魔法陣の光が強くなって私たちを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 星辰戦争(ギガントマキア)は終わりを告げた。

 でも、彼の戦いはまだ終わらない。

 雷霆に敗れた怪物は新たな世界で目を覚ます。

 過去(きのう)を、現在(いま)を、未来(あした)を歩む怪物よ。

 人々の未来を切り拓くため。

 人々を神の支配から救うため。

 かつての夢を再び目指すため。

 

 敗北(しょうり)の越えたその先で、本当の勝利を掴む為――

 

 さぁ、絶滅闘争(ティタノマキア)を始めましょう。

 

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