フロムの新作、ELDEN RINGが発売されました。
プレイしているので、次話も遅くなるかもしれないです。
ハジメ達から離れ二人だけの戦争を始めた両者は、己の獲物を構えたまま向かい合っていた。
「ッ、強い」
ユキと対峙するシスティはそう呟いた。
ハジメ達を
ユキの無限に等しい経験と鍛え上げられた技量が、数の優劣を跳ね返していた。
しかしよく考えれば当然なのかとも思う。オルクス大迷宮を攻略したということは、自分も倒せなかったあの
(これが光狂い…)
これが光を仰いだ化物の一人。
だがそうでなければ、神に剣は届かない。このトータスの未来を覆すことはできない。
素の実力は理解できた。ならば
(強い…)
相対するユキもまた、システィを強者と認めていた。
開戦直後に頬に一筋の傷は貰ったが、それ以降は掠り傷一つ負っていない。そのことから分かる通り、練度も経験もユキが圧倒的に上。それなのにユキの太刀はシスティを切り裂くことができていない。
しかし、それも当然だと理解していた。
「さすがに卑怯じゃないかその
「それでは素直に負けを認めますか?」
「まさか」
速く、強く、頑丈なだけなら獣と変わらない、ならば斬るなど容易いこと――
――というのはアドラーの
しかし打つ手なしかといえばそういうわけでもない。何も攻撃手段は斬ることだけではないのだから。斬れないならば穿つ、穿てないなら叩き壊す、などなどと。
「…見下すような言い方になりますが、お見事と言いましょう。この大迷宮でこれほど苦戦するとは思いませんでした」
「お褒めに預かり恐悦至極、とでも言おうか。まあ不利だからあっさり負けました、なんてあまりにも情けないだろ」
互いに軽口を叩きながらも、警戒は一切緩めていない。数ブロック離れた先ではハジメ達が戦っている。
質で勝るユキと数で勝るシスティの戦力差はほぼ同列。だが時間を掛ければユキはその経験で戦力差を埋められる。
「…ならば」
切札を使うほかないと、システィは判断した。元々そのつもりでシスティはユキと対峙している。
話に聴いていた怪物の力を、今ここで知るために。
準備は整った。さあ、
「一切手は抜きません。――かかってこい、光狂い。貴方がガイアに選ばれた怪物ならば、その力を見せてみろ!」
そう叫ぶと、システィは手に持つ双槍を構え――
「天■せよ、■が守■星───鋼の■■に■■を■せ」
――
「我らは邪神の支配に抗いし解放者。
「神ならば命を弄ぶことが許されるのか、認められるのか」
「否。決して許されていいことじゃない、認めていいことじゃない」
込められた思いは神への怒りと未来への希望。
かつて解放者と呼ばれた彼女たちは、現在では反逆者という名で歴史に刻まれている。世界を滅ぼそうとした邪悪な眷属として。それはあながち間違いではない。
トータスを支配する
「私たちは生きる権利がある。生きる自由がある」
「手を取り合い、情を交わし、笑い合おう」
「それらは決して罪ではない。私たちは
それでも、これからも
その先の未来で、国も種族も関係ない。皆が笑える世界になると信じて。
「されど私たちは敗北者、英雄に
しかし、その目論見は瓦解する。それもエヒトによって扇動された人々によって。守るべき人々に力を振るうことができない解放者たちは討たれていき、残ったメンバーは大陸の果てで迷宮を創り潜伏した。
いつの日か、自分たちの力を受け継ぐ者が、そして
「願わくば――人が自由な意思の元に、生きられる世界になりますように」
これがトータスで最初の
怪物を試すべく、怪物を
「〝
基準値から発動値への変化に伴い双槍の振るわれる速度も上昇し、ユキもまた
ユキにとってシスティが
一見するだけでは判断ができない。炎が噴き出るわけでもなければ、光が溢れるわけでもない。ならば自己強化という線もあるが、当たれば決着する系統の能力である可能性も捨てきれない以上、むやみに防御をするわけにもいかない。故に回避に重点を置くのだが、それはそれで容易ではない。
重力魔法によって飛来する浮遊ブロックに加え、速度の上がったシスティの槍撃。ただでさえギリギリの戦いをしていたのだから、天秤はシスティに傾き始める。無論ユキも防戦一方のままでいるはずもないが、ユキの動きが徐々に
それが顕著に出たのはシスティの攻撃を回避しきれずに防御した時だった。槍を受け流すために接触した瞬間、
出力の減少かとも思ったが、ユキの
「――ッ!
「ここまで
――
しかし、だからと言って諦めるという選択はユキに無い。
魔力分解作用と維持性によって、ユキの
迫りくる処刑槍、浮遊ブロック。弱体化するユキと強化されるシスティ。もはや覆しようのない絶望的状況。故に、
「まだだッ!!」
また一つ、限界という壁を粉砕する。すでにレベルという制限の枠組みを超えているユキは
常識を無視した覚醒はユキの骨身を軋ませユキを敗北へと誘う。しかし、それすらも次の覚醒の起爆剤へと変化させる。まだだ、まだだ、まだだ、と。ユキをさらに怪物へと変貌させていく。
「ええそうです! まだでしょう!
「ォォォオオオッ!!」
連続して強化されていく出力ほか
そう、そのような
「――――ッ」
そもそも、ユキ・ロスリックは生身だ。システィ達のようにゴーレムであったり、骨格がアダマンタイトや
「――――ッ、――」
右腕がはじけ飛び、発動体が離れてしまったため
ブロックの上に仰向けに倒れるユキの姿は、常人なら目を背けてしまうであろう悲惨な姿だった。右腕左足を失い、ブロックに叩きつけられた衝撃で残った身体もボロボロになった。まだ息があるのはまさしく奇跡だろう。
なぜ
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ユキ・ロスリック ??歳 男 レベル:???
天職:神子
筋力:1
体力:1
耐性:1
敏捷:1
魔力:1
魔耐:1
技能:星辰光・■■■■・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・魔力変換[+身体強化][+部分強化][+治癒力変換][+衝撃変換]・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・生成魔法・言語理解
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トータスにおける
システィの
同時にユキの
トータスにおける一般人のレベル1の平均ステータスは10だと言われている。つまり、ユキは正真正銘トータス最強の人間から最弱の存在へと転落していた。
「……なにか言い残すことはありますか?」
システィがユキに向けて最期も言葉を掛ける。そこに憐れみなどの感情はない。
聞いていた通りの、いやそれ以上の強さだった。ライセン大峡谷という環境、単純な能力の相性という、経験だけでは覆せないはずの隔絶した状況下でここまで戦ったのだ。まさしく怪物の異名にふさわしいだろう。
「……システィ・ライセン…君は、君達は、英雄か?」
告げられたのは、英雄かどうかという質問。
もうじき死する状況で聞くべきではない、予想外の理解できない言葉にシスティは疑問を抱きながらもはっきりと答えた。
「違います。私は処刑人。私達は神に負けた敗北者で反逆者。決して英雄などではありません」
そう、システィ達は
その返答に満足したのか、ユキは死まで秒読みでありながらも不敵に笑い、
「なら何も問題ない。
「ッ!」
悪寒を感じたシスティは重力球を作りユキにとどめを刺す。もはや動くことすらできないユキに回避する術などあるわけがなく、受け身すら取れずに重力球をその身で受ける。
重力球はユキを飲み込み、重力球が消えた頃にはユキの姿は微塵も残ってなく、この瞬間
基準値:C
発動値:B
集束性:E
操縦性:C
維持性:A
拡散性:D
付属性:E
干渉性:AA
限定的能力値簒奪能力
筋力・体力・耐性・敏捷・魔力・魔耐といった、トータス基準の能力値を一時的に奪い取る能力。
人としての能力値を数値化できる世界だからこそ生まれた非常に特殊な星辰光であり、トータスで新しく誕生した初めての星辰光。
相手を弱体化させ自身を強化するという、攻防一体の能力。
本来は作中ほどの速さで効果が発揮することはない。
相手がユキだからこそ異常な速さで効果は発揮していた。それは単に、ユキ・ロスリックとシスティ・ライセンの関係が■■だったからである。