第46太陽系の地球、
見た目は3人とも10代後半から20代前半に見えるが、3人とも100年以上生きたアデプトテレイターだ。
「しかし、本当に厄介な事だわ…トータスの結界が強すぎて突入が出来ねえ…」
そう呟くのは立木つばめ。ネストのアデプトテレイター達の代表責任者にしてネスト設立に携わった立木一族の1人であり、ネストの技術部門たる立木技研の技術者も兼任する…実質的にネストのトップとして君臨している人物の1人である。
「碧刃も現時点で2人のアデプトテレイターを保護…それも両方とも転生者って何の運命なんだろうね」
そう言うアデプトテレイターは頼尽あかり。碧刃の養母の1人にして100年前にジーオスの変異種でも最強クラスのジーオスXを倒した英雄の1人である。因みに100年前に活動していたスクールアイドル"μ's"の幻の10人目たるマネージャーとは彼女の事でもある。
「いや、二度あることは三度あるというから分からないぞ」
優雅にお茶を飲みながら答えるのは頼尽ヴェールヌイ。旧姓は風見で、あかりと同性結婚したアデプトテレイターであり、ジーオスXを倒した英雄の1人である。
彼女達は碧刃から送られてきた報告書と映像を閲覧しているのだ。
「しかし、このクラスメート連中はろくでもない連中ばっかりだね。マトモなのは今のところハジメと…えっと、優花だっけ?碧刃と一緒にオルクス大迷宮に潜った娘くらいだよ。ハジメとは良い感じらしいし結婚式何時やるのかな?」
あかりとヴェルはハジメとも知り合いである。
「あかり、急かし過ぎだ。彼らはまだ17歳だからどのみち後1年経たないと婚姻届を出せない」
「それもそうだね。しかし、この勇者とかふざけてんの?戦争舐めてるの?得体の知れない怪しい奴の言葉にまんまと乗せられて戦うだって?その上でどんな奴だろうと人殺しは悪だって?ほんと侮辱もいいところだよ。戦争をしている以上は人を殺す事を避けては通れないし、例えばテロリストとかを相手にしていると相手を殺してでもテロを止めないといけない。こいつらも救出しなきゃならないのかねぇ…」
とあかりは愚痴を言うとため息を吐く。
「どんな屑だろうと被害者の民間人だからな…私達は救出しなければならないが…私もあかりと同感だ。それにこの勇者(笑)の言い分ならクラスメートであるハジメも仲間の筈なのに、いじめを受けるのはハジメにも非があるとは彼を見下している。呆れるな。碧刃が呆れて離反するのも無理はない」
「
とあかりとヴェルはクラスメート達への批判を述べる。
「あかりとヴェルの言う通りだけど、助けなきゃいけない者は助けなきゃならない。俺も碧刃達以外は乗り気になれないけど」
「こうすぐ見つかるならダイノヴェインと一緒にもう一つトランステクターを送っておくべきだったな。トリケランダーなら丁度完成していたのに」
とつばめはあるトリケラトプス型トランステクターの画像を見ながらぼやく。
実はつばめが作ったビースト戦士タイプのトランステクターはダイノヴェインだけではない。それと平行してトリケラトプスに変形するトランステクター―トリケランダーも作っていたのだ。
「次はもう一機予備で送るか…」
とつばめは呟くのだった。
その頃、惑星トータスのフェアベルゲンでは碧刃とアルフレリックが話し合いをしていた中…
「シア!」
とある人物がシアの名を叫んだ。
「お、お父様…」
シアはバツの悪い顔を浮かべる。目の前に現れた人物の名はカム・ハウリア。兎人族のハウリア族族長にしてシアの父親である。
カムは娘に対する怒りを浮かべながら近づき、娘の前に立つとその頬を叩いたのだ。
「何をしてたんだこの馬鹿娘が!」
「で、でも!ああしないとお父様や皆が!」
「私達は家族!一新同体だ!」
「それでも!私のせいで皆酷い目に逢うのなんて耐えれません!」
「私こそお前だけが苦しむのは耐えられない!」
と言い争いは平行線であり、回りの人物は熱くなっている2人の間に入る事が出来なかった。
そんな中で宮古は今の自分に出来る事は何かと考え、碧刃に念話でこの事を伝える。直ぐに碧刃は駆け付け、2人を止める為に2人に対して殺気を放つ。
「冷静になったか?少しは頭を冷やせ」
と碧刃は言うのだった。
暫くして碧刃達とシア、カムは同じ卓に付いた。
「貴方が銃士様ですね。私はカム・ハウリア。シアの父親でハウリア族の族長をしております」
「その通りだ。私は頼尽碧刃。オーダーヴァンガードのリーダーを務めている」
「この度は娘を助けていただきありがとうございました。それとすみません、お見苦しい所を見せてしまって」
「いや、気にするな。貴方の気持ちは私にも分かるからな」
一回深呼吸をして碧刃はこう言った。
「今回の件、第三者の私が言うべきではないかもしれないが、言わせてもらおう。どちらも悪い。
まずはシア、お前の気持ち…家族や同胞の命を救うにはこうするしかなかったというのは分かる。だが、お前には家族がいて愛され、大切にされてきた。彼らの気持ちも考えるべきだっただろう。
そしてカム。貴方の娘を想う気持ちは分かる。だが、娘の気持ちもわかってやってほしい。
今回の件、確かに難しい問題だろう。残っていても国に見つかって処刑されていただろうし、一族総出でフェアベルゲンを出ても帝国に捕まっていただろう。どちらも正しくどちらも間違っているのだからな。
だからこそ先ずは冷静になれ。互いに無事だった事に安堵し、互いに謝れ。シアはカムに心配をかけた事を、カムはシアの気持ちを汲んでやれなかった事を」
碧刃の言葉にシアとカムは考え込む。そして、シアが先にこう言った。
「お父様!お父様や皆に心配をかけてごめんなさい!私、皆の命を救いたかったんです」
「私の方こそすまなかった…お前に全てを背負わせたくないあまりにお前の気持ちを汲んでやれなくて…」
シアに続きカムもシアに謝罪し、事態はひとまず丸く収まるのだった。
もう問題はないな、そう思った碧刃は宮古の頭を優しく撫でる。
「ありがとうな、宮古。教えてくれて」
「このままじゃ駄目だって思ったから…家族が生きていて、お互いに好きなのにすれ違ってずっとそのままなのは悲しいから。
でも、自分の事を理解して心配してくれる家族が生きていて羨ましいな…私は8歳の時に両親が死んじゃってから独り身だったから。いじめなんかに負けるもんか、って頑張ってたんだけど…何時の間にか疲れちゃって…」
宮古の言葉に綾波は彼女を抱きしめた。
「今は私や碧刃さんがいるです…ミコさんはもう独りじゃないです」
「綾波の言う通りだ。お前には私達がいる、前にも言ったがお前が望めば私は…私達はお前の家族になろう」
碧刃も2人を優しく抱きしめながら撫でる。暫くして落ち着いた後、綾波と碧刃は宮古の涙を拭き取る。
「ミコさんには笑顔でいてほしいです。貴女の笑顔はとても素敵、ですから」
綾波の言葉に宮古はうん!と笑顔で返すのだった。
―side:Magna Convoy―
フェアベルゲンに滞在する事になった翌日。
目が覚めた私は身支度を行う為にベッドから出る。
ベッドの中には私を囲うかの様に両隣にそれぞれ綾波と宮古が寝ている…裸で。
昨日も結局性行為に及んでしまった。まぁ、アデプトテレイターは生殖能力がないから妊娠というのは起きないが…
こんな光景を
私が起きて直ぐに綾波と宮古も起きた。
「おはよう…ございます…」
「ふぁ~あ、おはよう~」
「おはよう、2人とも」
2人の朝も早いのは前世での生活習慣が染み付いているかららしい。
綾波の場合は父方の祖母がそういった面に厳しかったらしく、宮古は一応武家の家柄だったらしく、母親から厳しく躾られたらしい。
2人とも武術に対してある程度の心得があるからかその事でも話が合うらしい。
シアに関してはその能力故に現時点はフェアベルゲンに居させる事は出来ないので連れていくしかないという事になり、此処に滞在している間はユエ、綾波、宮古と交代で特訓をし、優花とはその付き添いをしている。
魔法に関してはユエ、近接攻撃に関しては綾波と宮古が教えるのが適任だからな。
私とハジメは色んな物を作っている。
「あのさ、碧刃」
「どうした?ハジメ」
「前々から言おうとしてたんだけどさ、碧刃のトランステクターというか前世の姿って無茶苦茶カッコいいよね!」
「そ、そうか…?」
「しかも変形する超ロボット生命体ってロマン有りすぎだよ!」
「お、おう…喜んでくれて何よりだ」
そんな会話をしつつ私達は魔物の細胞とダイノヴェインや私のトランステクターから得た金属細胞をクローン培養した物を使って動物型アーティファクト"ゾイド"を幾つか作った。
第46太陽系の地球の架空の物語に登場する金属生命体を再現した物だ。
現段階ではヴェロキラプトル種のラプトールとラプトリア、クワガタムシ種のクワーガとクワガノスがそれぞれ数機完成している。ハジメ曰くディノニクス種のギルラプターとアーケオプテリクス種のソニックバード、ワニガメ種のバズートルも作っておきたいらしい。
機体選定はハジメの趣味だ。
ゾイドを作る為の施設もフェアベルゲンに作った。工場には金属細胞培養装置が設置してあるが、これもハジメがつばめから送られてきた設計図を元に作った物だ。
シアに関してはユエ曰く
「…魔法の適性はハジメと変わらない…けど、身体強化に特化してる。正直、化物レベル。
…控え目に言うと…今の段階で綾波や宮古の10分の1相当。鍛練次第では2人とも互角になるかもしれない」
らしい。アデプトテレイターに匹敵するレベルとは中々に興味深い。
こうして準備を進めて遂に大樹へ向かう日が訪れた。
朝早くから大樹へ向かったが、件の大樹は見事に枯れていた。
大樹の周りの木々は青々とした葉を盛大に広げているのだが、直径50メートル以上はあろうと思われる大樹だけは何故か枯れていた。
「大樹は、フェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし、朽ちることはない。枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないという点からいつしか神聖視されるようになりました。まぁ、それだけなので、言ってみれば観光名所みたいなものですが…」
とカムが解説を入れる。私達はそれを聞きながら大樹の根元まで歩み寄る。
「アルフレリックが言ってた通りだな。石板が建っている。オルクスの扉の同じ紋様みたいだな」
大樹の根元に建っていた石板には七角形とその頂点の位置に七つの紋様…オルクスの部屋の扉にも刻まれて紋様が刻まれている。
「もしかしたらこれが彼らのエンブレムなのかも」
「優花の言う通り、その可能性が高いんじゃないかな?」
ハジメは宝物庫たるオルクスの指輪を取り出す。石版に刻まれた紋様の一つは指輪に刻まれた紋様と一致していたのだ。
「…ハジメ、碧刃これ見て」
「何かあったのか?」
ユエは石板の裏側を指差している。そこには、表の紋様に対応するかの様に小さな窪みが開いていた。
「試してみるよ」
ハジメがオルクスの指輪を表のオルクスの紋様に対応している窪みに嵌めてみると、石板が淡く輝きだし、ある文字が浮かび上がった。
「"四つの証"、"再生の力"に"紡がれた絆の道標"…そして"全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう"…どういう意味なんだろう?」
と宮古は疑問を投げ掛ける。
「四つの証は…たぶん、他の迷宮の証…で再生の力と紡がれた絆の道標は…亜人の案内人を得られるかどうかですかね?」
「綾波の推測通りかも。奴隷以外じゃ亜人族は樹海の外にでないから、亜人に樹海を案内して貰える事なんて例外中の例外よね」
綾波の言葉に優花はそう言った。
「じゃあ…あとは再生…ユエの固有魔法かな?」
「…試してみる」
ハジメの言葉にユエは薄く指を切って"自動再生"を発動しながら石板や大樹に触ってみるものの特に変化はない。
「…違うみたい」
「…枯れ木…再生の力…最低四つの証…もしかして、四つの証、つまり七大迷宮の半分を攻略した上で、再生に関する神代魔法を手に入れて来いってことか?」
私の言葉に皆は納得の表情を浮かべる。
「迷宮に挑めないのは残念だが、この情報がわかっただけでも収穫だ」
フェアベルゲンに戻った私達は次の迷宮へ向かう為、出発する準備を行い、準備が完了するなり直ぐに出発する事にした。
「銃士様、娘のシアの事をよろしくお願いします」
「あぁ、任せろ」
私はカムの言葉にそう答える。
「シア、身体には気を付けるんだぞ」
「はい!お父様!行ってきます!」
私達は亜人達に見送られながらフェアベルゲンを後にしたのだった。
樹海を抜けた私達はそこから一番近い人間族の町であるブルックの町を訪れた。
途中まではトランステクターを走らせて向かったが、流石に町からでも私達が見えるであろう距離に来たら降りて徒歩で向かった。
門の脇には門番の詰所たる小部屋があり、中から革鎧に長剣を腰に身につけた男が現れ、私達を呼び止めた。
「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」
門番の質問に私は答えながらステータスプレートを取り出した。
「食料の補給がメインだ。旅の途中なものでな」
私がステータスプレートを見せた後、ハジメと綾波、優花もステータスプレートを提示し、門番はそれを確認すると宮古、ユエ、シアにも提示を求めた。
「そっちの3人は…」
「この2人は魔物の襲撃でステータスプレートを失っている。この兎人族は…わかるだろ?」
「随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当レアなんじゃないか?あんたって意外に金持ちか?」
「以前、帝国にいった時に相当な額を稼いだからな」
と私は答える。
「そうだったか。通っていいぞ」
「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」
「中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞くと良い。簡単な町の地図をくれるから」
「おぉ、そいつは親切だな。ありがとう。お勤めご苦労様」
私は門番に礼を言うと皆に行くぞと呼び掛け、門を潜って町へ入ったのだった。
To be continue…
今回の話、フェアベルゲンを出るまでにするかブルックの町に到着するまでのどっちにしようかと迷いましたが、フェアベルゲンを出るまでにすると他の話より短めになるのでブルックの町に到着するまでにしました。
谷口鈴の今後について最終投票(1の場合テレイター化で大幅強化&碧刃ハーレム入りで出番増加、2の場合出番は原作と同じ位か減少)
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1.オーダーヴァンガードへ正式加入
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2. 坂上とくっつく(坂上改心・和解)