青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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今回の話の後半はマグナコンボイこと碧刃とハジメの出会いの話となりますが、マグナコンボイにとってはこの世界で始めてできた友人(あかりやヴェルは上司兼養母、つばめは上司ですし)なので何処かのタイミングでやりたいと思っていました。

あと、今回の話ではラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神の第39話と第40話の内容に触れているのでそちらと合わせて読んでいただければと思います。


第12話『銃士と錬成師の出会い』

 

―side:Magna Convoy―

 

 

ブルックの町中はそれなりに活気があり、結構出ている露店から呼び込みの声や白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

あかりやヴェルに連れられてこういった感じの町を訪れた事を思い出す。今度、綾波と宮古を連れていってみるか。

皆も楽しそうにしている中、シアだけは何故か不満がありそうだった。

「そんな不貞腐れてどうしたの?」

とハジメはシアに訊ねた。

「この首輪!これのせいで奴隷と勘違いされたじゃないですか!ハジメさん、わかっていて付けたんですね!うぅ、酷いですよぉ~、私達、仲間じゃなかったんですかぁ~」

シアが怒っているのは、旅の仲間だと思っていたのに意図して奴隷扱いを受けさせられたことが相当ショックだったからのようだ。

ハジメがシアに付けた首輪は本来の奴隷用の首輪ではなく、シアを拘束するような力はないのだが…

ハジメはため息を吐くと理由を言った。

「奴隷でもない亜人族、それも愛玩用として人気の高い兎人族が普通に町を歩けるわけないでしょ?まして、シアは白髪の兎人族で物珍しいから、誰かの奴隷だと示してなかったら、町に入って十分も経たず目をつけられるよ」

「後は、絶え間無い人攫いの嵐ね」

ハジメと優花はそう答える。2人の話にシアは調子に乗ってユエにお仕置きされたのも言っておこう。

 

 

そんなこんなありつつ私達はこの町の冒険者ギルドに到着し、中に入った。

周囲から視線を浴びつつカウンターへと向かうと恰幅のある婦人が私達の応対に当たった。

「あら、可愛らしい嬢ちゃんをこんなにも連れて隅に置けない坊やだね」

婦人はハジメにそう言う。

「こんな身なりで去勢させられたが、私も一応男だ」

と私はステータスプレートを見せ、婦人はそれを確認すると

「あらやだごめんなさいね」

「よくある事だ。初対面の相手には基本的に間違えられる」

私の言葉に周囲の冒険者達はこんな声を上げる。

「マジかあれで男なのか」

「ほぼ女じゃねーか」

「さて、じゃあ改めて、冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」

「ああ、素材の買取をお願いしたい」

「素材の買取だね。じゃあ、もう一度ステータスプレートを出してくれるかい?」

因みに買取自体はステータスプレートはなくても出来るのだが、冒険者と確認できれば一割増で売れる他、ギルドと提携している宿や店は1~2割程度は割引され、私達は使う事はないが、馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりする。因みに冒険者登録には1000ルタの資金が必要だ。このルタの貨幣価値は日本円と同じらしい。

婦人は宮古、ユエ、シアの分も登録しておくかと聞いてきたが、3人のステータスが隠蔽されてない状態で目に付くのは不味いと考えた私達はそれを断った。

 

冒険者になると職業欄に冒険者が追加され、その隣にランク毎に色分けされた点が記載される。

最低ランクが青で上昇するにつれ赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金と変化(これはこの世界の通貨の価値を示す色と同じである)し、戦闘系天職を持たない者は黒まで上がるのが限界らしい。

私達は冒険者に登録して1ヶ月程で、帝国で色々な依頼を行ったり闘技大会に出たりしたというのもあって今は赤か黄のランクだ。

「男なら頑張って黒を目指しなよ?お嬢さん達にカッコ悪いところ見せないようにね」

「ああ、そうするさ。それにこれでも私はこのパーティーの責任者だからな。それで、買取はここでいいのか?」

「構わないよ。あたしは査定資格も持ってるから見せてちょうだい」

この婦人、かなり有能な人物のようだ。

私は予め宝物庫から出してバックに入れ替えておいた素材―魔物の毛皮や爪、牙、そして魔石をカウンターの受け取り用の入れ物に入れられていく。品物を見た婦人は驚愕の表情を浮かべた。

「とんでもないものを持ってきたね。これは…樹海の魔物だね?」

「ああ、そうだ。やはり珍しいのか?」

「そりゃあねぇ。樹海の中じゃあ、人間族は感覚を狂わされるし、一度迷えば二度と出てこれないからハイリスク。好き好んで入る人はいないねぇ。亜人の奴隷持ちが金稼ぎに入るけど、売るならもっと中央で売るさ。幾分か高く売れるし、名も上がりやすいからね。

まぁ、樹海の素材は良質なものが多いからね、売ってもらえるのは助かるよ」

婦人は全ての素材を査定し金額を提示した。買取額は48万7000ルタ。結構な額だ。

「これでいいかい?中央ならもう少し高くなるだろうけどね」

「充分だ。問題ない。それと門番からこの町の簡易な地図を貰えると聞いたんだが」

「ああ、ちょっと待っといで…ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」

「ありがとう」

手渡された地図は無料というのが信じられない出来で、中々に精巧で有用な情報が簡潔に記載されていた。

「こんな立派な地図なら十分金が取れるレベルだと思うんだが…本当に無料で良いのか?」

「構わないよ、あたしが趣味で書いてるだけだからね。書士の天職を持ってるから、それくらい落書きみたいなもんだよ。

それより、金はあるんだから、少しはいいところに泊りなよ。治安が悪いわけじゃあないけど、その5人ならそんなの関係なく暴走する男連中が出そうだし、あんたも女と間違えられて襲われるかもしれないからね」

「手を出してきたらやり返す。特に彼女達に手を出したらな」

と私は綾波と宮古の頭を撫でる。ハジメも優花やユエの頭を撫でてるのだが、シアも撫でて欲しいとハジメに視線を向けていた事は言うまでもない。

 

 

ギルドを後にした私達はガイドマップと言うべき地図に記載されていた宿であるマサカの宿を訪れた。紹介文曰く少し割高だが料理が美味く防犯もしっかりしており、風呂に入れるので女性陣の満場一致で決まった。

中に入ると宿の一階は食堂らしく、多くの人が食事をしている。

「いらっしゃいませー、ようこそマサカの宿へ!本日はお泊りですか?それともお食事だけですか?」

受け付けを担当したのはこの宿屋の娘と思われる10代半ば辺りの少女だった。

「宿泊だ。このガイドブック見て来たんだが、記載されている通りでいいか?」

「ああ、キャサリンさんの紹介ですね。はい、書いてある通りですよ。何泊のご予定ですか?」

「一泊で食事付き、あと風呂も頼む」

「はい。お風呂は15分100ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

私は風呂に特に拘りはない。前世ではそういった文化などなかったし、日本にいた頃だって烏の行水の如く風呂の時間は基本的に短かったので15分でも問題ない。しかし日本人たるハジメ、綾波、優花、宮古はそうでもないので男女別に分けても2時間は必要だろう。

「2時間程で頼む」

「2時間もですか!?」

「でないと私の連れが納得しない」

「え、え~と、それでお部屋はどうされますか?2人部屋と3人部屋、4人部屋が空いてますが…」

「3人部屋1つと4人部屋1つだ」

「念のために聞いておくけどさ、碧刃。部屋割りって…」

ハジメの言葉に私はこう返した。

「私と綾波、宮古で1部屋、ハジメと優花、ユエ、シアで1部屋だ」

「で、ですよね~てっきり僕と碧刃の男性陣と女性陣2グループに分けるかと思ったけど」

「こうしないと綾波と宮古(あいつら)が納得しない」

私とハジメの会話に周囲の宿屋の客からは

「あんな身なりで男なのかよ」

「マジか信じられねぇ」

というお決まりの感想が聞こえてくるが、私は構わず宿屋の娘に告げる。

「…とりあえず3人部屋1つと4人部屋1つで頼む」

「は、はい、かしこまりました」

と部屋を確定した時、ユエが部屋割りに異議を唱えてきた。

「…ダメ、私とハジメ、優花で一部屋、シアは碧刃達と一緒。シアがいると気が散る」

「気が散るって…何かするつもりなんですか!?」

「…何って…ナ二?」

「ちょっ、こんなとこで何言ってるんですか!お下品ですよ!」

ユエとシアが言い争っていると、綾波と宮古が殺気を2人に向けて放ち、2人は怯えた。

「ちょっと黙ってくれませんか…!私はミコさんと一緒に碧刃に気持ち良くして貰いたいのですから…!」

「綾波の言う通り、これだけは譲れないから!」

その言葉に周りが静まり返り、私はため息を吐きながら綾波と宮古にこう言う。

「慕ってくれるのは有難いが、とりあえずお前らも落ち着け」

私の言葉に2人は「「はい…」」と返す。

「おい、マジか…男の娘が美少女2人と3Pかよ」

「やべぇよ…今夜のおかず…」

という声は無視した。

部屋割りは多数決の結果、私の案が採用された…というかユエの案に賛成する者がいなかった。

因みに一人で風呂に入ったハジメだったが、優花、ユエ、シアの乱入を受けて落ち着いて風呂に入れなかったどころか宿屋の娘に覗かれたらしい。好奇心かららしいが、女将にバレてお仕置きされた様だ。

私達は風呂に入る時は事前に見られないよう対策をしたから覗かれなかった。

 

 

翌朝、私達は同時に目が覚めて身支度を済ませる。

「ミコさん、右手の調子はどうですか?」

「うん、今日もバッチリだよ!」

宮古は義手となっている右腕を動かす。流石、ハジメが作った義手だ。

私達は先に朝食を食べようと1階の下に降りる。

ジメ達と合流したのだが、そのハジメは多少グッタリとした様子だ。

『ハジメ』

『何さ?』

私はハジメだけに念話を飛ばす。

『昨夜はお楽しみだったな』

『それは碧刃もだよね!』

『あぁ、まぁな。慕ってくれる事に悪い気はしないし、見てるとこいつらを幸せにしてやりたいと思えてくる。あいつらは辛い経験をしてきたからな』

『なるほどね…こっちは大変だったよ。僕達を見てシアが寂しそうにしていじけた末に襲ってこようとするわ宿屋の娘が覗き見しようとしてくるわで』

『対策をしていないからだ』

『確かにそうだけど…』

『シアはどうなった?』

『優花とユエの手で絶頂させられた末に気絶してそのまま寝ちゃった』

『あかりやヴェルから兎は性欲が強いとは聞いた事が本当だったか…』

『何を教えちゃってるのあかりさんとヴェルさん!?』

『女を気持ち良くする方法も2人に教わった。興味深かった』

『あぁ…もしかして碧刃の筆下ろしの相手って…』

『あかりとヴェルだ』

『あ、うん…やっぱりそうだと思ったよ』

朝食を食べ終えた私達はそのままライセン大峡谷へ向かった。

 

此処は魔物が多く魔法も効果や威力が低下する。ユエにとっては不利な場所だ。だから先陣として私と綾波、宮古、シアが動き、ハジメ、優花、ユエは後方支援に就く。

そんな編成で魔物を討伐しつつライセン大迷宮への入口を探したが、手がかりが殆どない状況だった為、どうしても時間がかかって何時の間にか夜になってしまった。

 

今日の探索を切り上げて夕飯を食べて翌朝に探索を再開しようと皆に発案しようとしていた時だった。

「皆さん大変ですぅ!こっちに来てくださぁ~い!」

シアが、魔物を呼び寄せる可能性も忘れたかのように大声を上げる。

私達がシアの声がした方へ行くと、そこには、巨大な一枚岩が谷の壁面にもたれ掛かるように倒れて、壁面と一枚岩との間に隙間が空いている場所があった。

その隙間の前で興奮を押さえらないでいるシアが腕を振っていた。

「こっち、こっちですぅ!見つけたんですよぉ!」

シアに導かれて私達が岩の隙間に入ると、壁面側が奥に窪んでて、結構な広さの空間があった。

そして、その空間の中でシアが指差した先にあったのは壁を直接削って作ったと思われる装飾のついた長方形型の看板で、看板には丸っこい字でこう彫られていた。

 

"おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪"

 

「まさかこんな所にあったとはな…」

「しかも"!"や"♪"マークとか妙に凝ってるね」

「お茶目な方ですかね?」

私と宮古、綾波が感想を言っている一方、ハジメや優花、ユエは信じられないものを見たと言わんばかりに看板を見ている。

「こんな地獄の谷底にはミスマッチすぎるわよ」

と優花はため息を吐きながら言う。

「ユエ、本物だと思うか?」

「…ん」

私の言葉にユエは肯定した。

「根拠は?」

「…ミレディ」

「やはりそこか」

オスカーの手記に出て来たライセンのファーストネームが"ミレディ"だった。

ライセンという名は有名ではあるらしいが、ファーストネームの方は知られていない。

「だけど、素直に信じられないよ…何でこんなにチャラいのさ…」

とハジメは苦笑いを浮かべていた。

「で、碧刃、どうするの?」

という優花の言葉に私はこう返した。

「今日はもう遅い。明日、万全な状態で挑む。この辺りでテントを張って野宿だ。見張りは私がやるから皆は寝ていると良い」

「碧刃、本当に良いの?」

ハジメがそう訊ねる。

「構わないさ。一晩寝てなくても問題ない」

私はそう答え、皆が寝るのを見届けてから見張り番を始めた。

見張り番と言っても魔物や族が来ない限り暇だ…そんな事を考えていると、2人の人影が近付いてきた。

「寝てろと言った筈だが…」

「えへへ…でも寝付けなくて」

「隣、良いですか?」

「好きにしろ」

毛布に身をくるんだ宮古と綾波は私の両隣にそれぞれ座る。

「ねぇ、碧刃のお母さんってどんな人?」

宮古はそんな事を訊いてきた。

「あかりとヴェルか?」

「うん、綾波が自分のお祖母さん達が碧刃のお母さんと親しかったって聞いたから」

「…そうだな。不思議な人達、だろうか。こんな私に養子にならないかと誘って…私の方が年上なんだがなぁ…。

普段の生活でも仕事の話はするが、基本はアニメや漫画の話だ。まぁ、その2人から色々教えて貰ったお陰で私はハジメと友人になれた」

「そう言えば、ハジメさんとの出会いとか聞いた事ない…です」

「そう言えば話してなかったな。まぁ、大した事じゃないが…ある日、あかりやヴェルと一緒に買い物に行った時の事だ」

 

 

その日、私はあかりやヴェルと一緒にショッピングモールに訪れていた。

「碧刃に好きに回ってみてね」

「好きに、か?」

「そうそう、自由に見回って気になる店があれば寄ってみて気になる物があったら買ってみる。それがショッピングの醍醐味だよ」

「ネット通販も良いが、こうやって現地で楽しむのも良いものだ。買いすぎには注意だがな」

そう話ながら進んでいると、ある広場であかりとヴェルが立ち止まった。

広場では10代半ば辺りの少女達が楽しそうに躍り、周りの人達も楽しそうに盛り上がっていた。

「どうしたんだ?」

「うん、此処を通る度にちょっと懐かしいなって思ってね。

ざっと100年ぐらい前、当時スクールアイドルμ'sのマネージャーをしてた時にこのショッピングモールのリニューアルイベントがあるからライブしてみないかってオファーがあって即決で乗ったんだよ。

ライブ当日はヴェルがネスト日本支部に配属された日で誕生日だったから、ちょっとしたプレゼントがしたくて…皆の協力を受けながら作詞をやって、それを皆がライブで披露して…後は派手に誕生日パーティーをしたんだよ」

「あの日は私の人生の中でも最高のパーティーだった。まぁ、皆は天寿を全うして生きているのは私達だけになってしまったが」

「だからね、此処に来てこの広場でスクールアイドル達が踊っているのを見る度に思い出すんだよね。大変だったけど、楽しかったあの頃を、ね」

あかりとヴェルは懐かしげだが、何処か寂しそうな表情を浮かべていた。

 

その後、私は2人に言われた通りに色んな店を見て回った。お金はあるから困らない。

前世では戦ったり仲間を探して旅をしたりという事ばかりだったから新鮮だった。

そんな中でたどり着いたのは中古商品を販売しているリサイクルショップという店だ。

店内には家電や雑貨など様々な物が売られている。

その店内でふと目に入った物があった。

「こういうのもあかりとヴェルが好きな物だったな」

お土産に買ってみるか、と思って手を伸ばした時、誰かの手と当たった。

「す、すみません!」

振り向くと1人の10代半ば辺りの少年がいた。

「いや、こちらこそすまない。先にどうぞ」

「良いの!?」

「私は養母の土産に良さそうだから手に取ろうとしただけだ。土産は他で探せば良い。君はそれが欲しいのだろ?」

「う、うん…ありがとう」

その少年はそれと他に手にしていた物をレジへと持って行って私の元へ帰ってきた。

「本当にありがとう!」

「別に構わないさ」

「僕はハジメ。南雲ハジメ」

「私は頼尽碧刃だ」

「よろしくね、頼尽さん!」

「あぁ、宜しく頼む。南雲」

これが私とハジメの出会い…まぁ、ありふれた出会いだ。

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

 

谷口鈴の今後について最終投票(1の場合テレイター化で大幅強化&碧刃ハーレム入りで出番増加、2の場合出番は原作と同じ位か減少)

  • 1.オーダーヴァンガードへ正式加入
  • 2. 坂上とくっつく(坂上改心・和解)
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