―side:Magna Convoy―
「それじゃあ、始めようか」
ミレディは予備動作なく猛烈な勢いでモーニングスターを射出し、私はサイドステップで回避、コンボイガンを発砲するが、ミレディは近くに浮遊していたブロックを引き寄せて防御した。
私はコンボイガンを左手に持つと右手にENソードを装備すると足裏のスラスターを噴射しながらブロックを飛び移り、ミレディの背後へ迫ろうとするがミレディは上昇して上から私に襲いかかる。
私は背面のエネルギーパックをイオンブラスターに変形させて背面アームに装備、エネルギー弾を発射する。
着弾と同時に煙が上がり、その煙の中からミレディが出現。私はミレディに向けてENソードを振るうが、ミレディは真剣白羽取りで受け取る。
「なかなかやるね」
「そっちこそ」
私は両足でミレディを蹴り飛ばすとイオンブラスターをエネルギーパックに変形、コンボイガンと合体させ、それをミレディに向けて投げた。
エネルギーパックと合体したコンボイガンは回転しながらエネルギー弾を発砲、何発かはミレディに命中する。
ミレディがコンボイガンに気を取られている隙に私はミレディの背後に回ってENソードを振り下ろす。
ミレディの左腕は切断されたが、ミレディはミレディは近くに浮遊していたブロックを引き寄せてはそれを砕き、その破片を使って右腕を再生させる。
「何々?もう終わりなの?ねぇねぇ、君の実力はこの程度なの?」
ミレディは私を殴ろうとしていたが、私はバックステップで回避すると見せかけてミレディとの間合いを狭めて一発、また一発と殴り、三発目は肘打ちで殴り、更に回し蹴りを喰らわせる。
そして反撃しようとするミレディの両腕を掴むとその身体を足で押さえて両腕を思いっきり引きちぎる。
ミレディが両腕を再生しようとするが、私は左手にイオンブラスターとコンボイガンを装備、5つの銃口から実弾とエネルギー弾をミレディの胸部に零距離で放った。
ミレディの砕かれた鎧の中からコアの姿が見え、ENソードを突き刺そうとする私だったが、ミレディは私を蹴り飛ばすと、私の頭上にブロックを落とそうとしてきた。
私はコンボイガンとイオンブラスターを発砲してブロックを破壊しつつミレディとの距離を狭め、ENソードをコアに突き刺さしたが、ミレディの目から光は失われていない。
「これで終わりなのかな?」
「いや、まだだ」
私はENソードの柄の先に回し蹴りを喰らわせる事でコアにめり込ませる。コアにめり込んだENソードは亀裂を押し広げていき、やがては貫通し完全に粉砕した。
コアを粉砕されたミレディは目から光を失い、倒れ込み、私は碧刃としての姿になった。
「碧刃、やったね」
後ろを振り向くとハジメ達が駆け寄ってきた。
「一歩間違えていたら私の方が負けていたかもしれなかったかもな」
と私が言った時だった。
「ちょっといいかなぁ~?」
ミレディの声が聞こえてきて後ろを振り向くと、ミレディの目の光がいつの間にか戻っていた。
「コアは砕いた筈だが」
「その通り…この勝負は君の勝ちで試練はクリア!今の私はコアの欠片に残った力で少しだけ話す時間をとっただけだよぉ~、もう数分も持たないから」
「そうか…聞きたい事がある。私一人と戦ったのは私がお前達の仲間だったトランスフォーマーと同じコンボイだからか?それと、彼の事を知ったのはオスカー・オルクスの伝言からだった。その理由も気になる」
「そうだよ。…疑問の答えだけど、"彼"自身、私達に自分の存在は出来るだけ伏せておいてって言ってたからね…"奴"との戦いに行く前に。
私達は奴らとの戦いに入ることなく各地に散らばって迷宮を作る事にした…でも、彼は自分一人だけでも奴に戦いを挑む、って言って奴らの元へ行って…帰って来ることはなかった。その後に彼からのメッセージが送られてきて彼が死んだ事を知った。
そして、戦いに赴く前に彼はエネルゴンマトリクスをオーくんに託したんだよ…何時の日かこれを受け継ぐ者が現れるまで…彼は一人で奴に立ち向かっていって死んだ。
私に一人で勝てないようなら奴と戦って勝とうだなんてそれでこそ束になってかかっても無理だからね」
「そうか…」
少しの沈黙の後、優花はミレディにある事を訊ねた。
「それはそうと、他の迷宮が何処にあるのか教えてくれない?失伝していて、殆ど判明していないのよ」
「あぁ、そうなんだ…そっか、迷宮の場所がわからなくなるほど…長い時が経ったんだね…うん、場所…場所はね…」
とミレディはポツリポツリと各迷宮の場所を口にした。中には想定外の場所にあるものもあった。
「以上だよ…頑張ってね」
「ありがとう。…それにして随分としおらしくなったよね。最初の軽々しい口調やら台詞はどうしたの?」
ハジメはミレディに訊ねる。
「あはは、今までごめんね~。でもさ…あのクソ野郎共って…ホントに嫌なヤツらでさ…嫌らしいことばっかりしてくるんだよね…だから、少しでも…慣れておいて欲しくてね…君に対しては…彼と同じ…"
そう言えば…君やそこの2人は…随分と落ち着いてたみたいだけど…」
綾波と宮古の事だろう。ミレディの言葉に苛立たなかったのは私と綾波と宮古のみだったからな。
「私も宮古も故郷で酷いものを、屑な連中を沢山見てきたです」
「それと比べればマシな方だと思えば耐えられるよ」
2人の言葉にミレディはそっか、と呟いた後、こう告げた。
「コンボイを名を持つ君にもう一つ、伝えなきゃならない事がある…私達はエネルゴンマトリクスの一部からある物を作り出して厳重に封印した…彼のエネルゴンマトリクスを受け継いだ者に託す為に…」
その場所というのが"魂魄魔法"を獲得できる迷宮の地下らしい。
「なるほど、エネルゴンマトリクスを受け継ぎ、神への叛逆の意志を持つ者に、か…」
「そういうこと…まぁ、君達は君達の思った通りに生きればいい…君達の選択が…きっと…この世界にとっての…最良だから…」
そう告げるゴーレムミレディの身体は青白い光に包まれ、その光は蛍火の様に淡い小さな光となって天へと登っていった。
幻想的な光景の中、ユエはミレディに近づいた。
「何かな?」
と問うミレディにユエは一言を贈った。
「…お疲れ様。よく頑張りました」
「…ありがとね」
「…ん」
「…さて、時間の…ようだね…君達のこれからが…自由な意志の下に…あらんことを…」
こうして解放者の一人、ミレディ・ライセンは淡い光となって天へと消えていった。
「…最初は、性根が捻じ曲がった最悪の人だと思っていたんですけどね。ただ、一生懸命なだけだったんですね」
「…ん」
シアの言葉にユエは頷く。
「碧刃、あれを見て」
ハジメに言われて振り向くと、壁の一角が光を放っていた。
私達はその場所に向かい、上方の壁に向かうべく浮遊ブロックを足場に跳んでいこうとしたのだが、私達が跳び乗った途端に足場の浮遊ブロックが動き出し、私達を光る壁まで運んだ。
なるほど、そういう事か。
光る壁の5メートル手前の場所でブロックが一時停止すると、直後に光る壁は音も立てずに発光部分の壁だけが手前に抜き取られるかのように移動し、抜き取られた場所から光沢のある白い壁で出来た通路が出現した。
そして、壁の向こう側で私達を待ち受けていたのは…
「やっほー、さっきぶり!ミレディちゃんだよ!」
より人間らしくなった華奢なフォルムに乳白色のローブ、ニコちゃんマークが描かれている仮面を装備しているゴーレム…つまりミレディだった。
ライセン大迷宮は意思を残して自ら挑戦者を選定する方法をとっているようだから、故に誰かが一度クリアすると最終試練がなくなってしまう。
一度の挑戦者が現れ撃破されたらそれっきり等といった事は有り得ない。だからあのゴーレムを倒してもミレディは消滅しないとは考えていた。
それに浮遊ブロックを意図的に動かせるのはミレディだ。あの時点でミレディが消滅していない事を確信していた。
だが、私以外はそんな事考えていなかったのかさっきの感動を返せと言わんばかりな状況だ。
「あれぇ?あれぇ?テンション低いよぉ~?もっと驚いてもいいんだよぉ~?あっ、それとも驚きすぎても言葉が出ないとか?だったら、ドッキリ大成功ぉ~だね☆」
この女のミレディの性格の悪さは演技とかではなく本物だろう。
見ろ、優花、ユエ、シアはミレディへ今までの報復を行おうとしている。
「…さっきのは?」
とユエは問う。
「ん~?さっき?あぁ、もしかして消えちゃったと思った?ないな~い!そんなことあるわけないよぉ~!」
「でも、光が昇って消えていったけど?」
「ふふふ、中々よかったでしょう?あの演出!やだ、ミレディちゃん役者の才能まであるなんて!恐ろしい子!」
優花の言葉にそう答えるミレディ。
「え、え~と…」
優花、ユエ、シアがゆらゆら揺れながら迫ってくる中、ミレディ頭をカクカクと動かし言葉に迷う素振りを見せると意を決したように言った。
「テヘ、ペロ☆」
これは駄目なパターンだ。
「殺ろうか」
「…賛成。慈悲はない」
「死んで下さい」
「ま、待って!ちょっと待って!このボディは貧弱なのぉ!これ壊れたら本気でマズイからぁ!落ち着いてぇ!謝るからぁ!」
その光景にハジメ、綾波、宮古はミレディに対し呆れた表情を浮かべていた。
このまま放っておく訳にもいかないので、私は3人を何とか落ち着かせ、ミレディに神代魔法を習得させる為の魔法陣の起動を頼んだ。
「…やっぱり重力操作の魔法か」
私の言葉にミレディはこう返した。
「そうだよ~ん。ミレディちゃんの魔法は重力魔法。上手く使ってね…って言いたいところだけど、そこのコンボイと彼にべったりの子達とそこの男の子とウサギちゃんとは適性ないねぇ~もうびっくりするレベルでないね!」
「想定の範囲内だ」
「まぁ、ウサギちゃんは体重の増減くらいなら使えるんじゃないかな。茶髪ちゃんはまぁまぁ、金髪ちゃんは適性ばっちりだね。修練すれば十全に使いこなせるようになるよ。
それはそうと、君はともかくそこの2人から普通の人間とは違う何かを感じたんだけど…」
ミレディの疑問に対し、私はアデプトテレイターである事や自分達が持ち合わせている情報をミレディに話した。
「なるほど、色々と納得できたよ」
とミレディは驚きを露にしていた。
「さて、私達はそろそろ出発するか」
私はミレディに手を差し出し
「これからも頑張ってね、マグナコンボイ」
「あぁ、ありがとう。偉大なる解放者の一人よ」
と私達は握手を交わす。
その後、ミレディはまるでこれからいたずらを行わんと言わんばかりに不適な笑みを浮かべて下がっていた紐を掴みグイっと下に引っ張った。
すると共に四方の壁から途轍もない勢いで水が流れ込んできて、瞬く間に部屋の中を激流で満たすと同時に部屋の中央にある魔法陣を中心にアリジゴクのように床が沈み、中央にぽっかりと穴が空いた。
私は宝物庫からトレーラーを出して皆をトレーラーのコンテナの中に乗せ、トレーラーは激流に流され中央の穴に向かって一気に流れ込んだ後にある泉へ浮上した。
私達は上陸するとトレーラーを宝物庫にしまう。
現在地はブルックの町から馬車で一日ほどの場所であり、休息と物資の補充を兼ねて町に寄って行くことにした。
町で買い物などをしていると優花や綾波、宮古、ユエ、シアを狙ってナンパする者もいたが、そいつらは彼女達やハジメにフルボッコにされたが、当然の結果だな。
何故か私にもナンパする男もいたが…何故なんだ?あれか、ホモという奴か?丁重に断ったが…
3泊した私達は現在、全員揃ってギルドを訪れている。
「今日はみんな集まってどうしたんだい?」
「明日にでも町を出発する。貴女には色々世話になったから、挨拶をと思って。ついでに、目的地関連で依頼があれば受けておこうと思っている」
因みに私とハジメは重力魔法と生成魔法との組み合わせの試行錯誤や各種装備のメンテナンスや開発をする用でそれなりに広い部屋を探していたのだが、婦人ことキャサリンに良い部屋ないかと訊ねたら、ギルドの部屋を使っていいと無償で提供してくれたのだ。
「そうかい。行っちまうのかい。そりゃあ、寂しくなるねぇ。あんた達が戻ってから賑やかで良かったんだけどねぇ」
「出会った連中の7割が変態或いは変人で2割が阿呆だったけど…」
ハジメは苦笑いを浮かべる。
「まぁまぁ、何だかんで活気があったのは事実さね。で、何処に行くんだい?」
「フューレンだ」
中立商業都市であるフューレンに向かうのは、次の目的地たる"グリューエン大砂漠"にある七大迷宮の一つ"グリューエン大火山"へ向かう途中にあるし、大陸一の商業都市に一度は寄ってみようという事になったからだ。
「う~ん、おや。ちょうどいいのがあるよ。商隊の護衛依頼だね。空きは4人分、どうだい?受けるかい?」
「他に仲間の同行は問題ないか?」
「ああ、問題ないよ。あんまり大人数だと苦情も出るだろうけど、荷物持ちを個人で雇ったり、奴隷を連れている冒険者もいるからね。まして、ユエちゃん、シアちゃん、宮古ちゃんも結構な実力者だ。4人分の料金でもう3人優秀な冒険者を雇えるようなもんだ。断る理由もないさね」
「よし、それなら私は構わないが…皆はどうだ?」
「急ぐ旅じゃないし良いんじゃないかな?」
「たまには良いと思うわよ」
「私も別に構わないよ」
「私も碧刃に従う…です」
「…急ぐ旅じゃない」
「そうですねぇ~、たまには他の冒険者方と一緒というのもいいかもしれません」
皆も賛成のようだ。
「あいよ。先方には伝えとくから、明日の朝一で正面門に行っとくれ」
「了解した」
私が返答した後、キャサリンが一通の手紙を差し出した。
「これは?」
「あんた達、色々厄介なもの抱えてそうだからね。町の連中が迷惑かけた詫びのようなものだよ。他の町でギルドと揉めた時は、その手紙をお偉いさんに見せな。少しは役に立つかもしれないからね」
「ありがとう」
「素直でよろしい!色々あるだろうけど、死なないようにね」
「あぁ、死ぬつもりはないさ」
その後、この街で世話になった人達に挨拶して回り、翌朝に私達はブルックの街を出発するのだった。
―side out―
そこでは人類とアデプトテレイターによる戦争が勃発していた。
アデプトテレイター達は反アデプトテレイター達に迫害され、多くの者達が彼らに狩られていたのだ。
ネストは解体され、アデプトテレイター達はレジスタンスとして絶滅に抗うしかなかった。
そんな世界に1人のアデプトテレイターがいた。
彼女の仲間達は反アデプトテレイター派の中でもジーオスを崇拝するジーオス教の者達によって目の前で殺され、彼女の命も風前の灯火だった。
ある物はミキサーで粉砕され、またあるものは手足を切断された上で強姦させられ、ある者は首を切り落とされ、またある者は頭をまっ二つにされた。
彼女だって左足を奪われて身動きが取れない…故に逃げ出せない。
どうしてこうなったの、それが意識を失う前の彼女が抱いた思いの一つだった。
何処で世界はこんな酷いものになってしまったのか、どうして人類はこんな酷い事が出来るのか…
最期に思い浮かんだのは自分達のリーダーたる存在のヴェルや今も何処かで生きているであろう仲間達、そして自分達に良くしてくれた人間の家族。
その一家は伝説のアデプトテレイターたる頼尽あかりの親族の末裔であり、彼女達を匿っていたが、それが反アデプトテレイター派にバレてしまい、彼女達を逃がした後に捕まってしまった。
おそらく生きてはいないだろう…
自分ももうじき死ぬ…仲間の様に殺される。だが、せめてあの人間の一家の者達にお礼を言いたかった…
苦しみから解き放たれ、目覚める事はない、と思っていた彼女は何故か目を覚ました。
ポッドから出た先に広がっていたのは地球とは異なる惑星だった。
To be continue next stage…
最後に出てきたアデプトテレイター、ウルの町で登場させるかフューレンで登場させるか…
谷口鈴の今後について最終投票(1の場合テレイター化で大幅強化&碧刃ハーレム入りで出番増加、2の場合出番は原作と同じ位か減少)
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1.オーダーヴァンガードへ正式加入
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2. 坂上とくっつく(坂上改心・和解)