青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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さて、この度はあるキャラの本作での今後についてアンケートを取る事にしました。
まぁ、登場するのはもうちょい先(オーダーヴァンガードに合流する場合はもっと先)になりますが、今の内から考えておきたいので…


次の話を投稿した際に一度締め切り、上位2つで最終投票を行います。
今回、ついに再会の時が…


第17話『それぞれの再会』

 

ウルの町は北の山脈地帯の近辺の湖畔に位置しており、そこへ通ずる街道は平原のど真ん中に存在する。

 

街道とはいえ舗装などはされておらず、何度も踏みしめられることで自然と雑草が禿げて道となっただけのもので、サスペンションなどという物がこの世界の馬車には当然ないので馬車の乗員は尻を痛める事になるだろう。

 

 

 

そんな街道を1台のセミトレーラートラックが爆走していた。青い車体に銀色のライン…無論ビークルモードのマグナコンボイである。

マグナコンボイが牽引するトレーラーのコンテナはブルックの街で更なる改良が行われ、オーダーヴァンガードのメンバー全員が乗ってもまだ中に余裕があるし一部の座席は必要に応じて増設したり逆に取り外したり出来る。

 

勿論、サスペンションやショックアブソーバーで衝撃も緩和されるし冷房や暖房も完備しているので中はいたって快適である。

 

因みにトレーラーとマグナコンボイの助手席の双方に通信装置とモニター、カメラが設置してあるので任意で互いの様子を見れたり会話できたりする。

「このペースなら後一日ってところか…皆、ノンストップで行くから休める内に休んでおけ。

到着するのはおそらく日が沈む頃になるだろう。町で一泊して明朝から捜索を始める」

「…時間が経てば経つほど、ウィル・クデタ一行の生存率が下がっていく…ですね」

綾波の言葉に碧刃(マグナコンボイ)はそうだ、と返す。

「…それにしては随分と積極的」

とユエは言う。

「生きているに越したことはない。生きて連れて帰った方が感じる恩はでかい。

これから先、国や教会との衝突は幾度もあるだろう。そんな時に盾は多いほうがいい」

「なるほど。それにしてはハジメさんも優花さんも綾波さんもミコさんも機嫌が良いですね」

シアの言葉にユエは頷く。

「これから行くウルって町は湖畔の町で水源が豊からしいんだ。そのせいか町の近郊は大陸一の稲作地帯なんだそうだよ」

とハジメは答える。

「稲作?」

シアの言葉に優花はこう答える。

「そう、稲作、つまりお米。私達の故郷、日本の主食よ」

「お米なんて転生してから食べてないから楽しみだよ!」

「すまないな、宮古。非常食の米類を残しておけば良かったのだがお前と会うときには既に切らしていてな」

「うぅん、良いよ良いよ。私は気にしてないから。助けて貰ったのにそんな贅沢なんて言えないよ!

とにかく、この世界のお米が日本の米と同じものかどうかは分からないけど、早く行って食べてみたい!」

そう盛り上がる面々に対し綾波は外をぼーと眺めていた。

「どうしたの、綾波?」

「米と聞いて前世での事を思い出してたです。前世で人類とアデプトテレイターの戦争が起きて私達一家はアデプトテレイター擁護派だった事は以前話したですね?」

「うん、そうだったね」

「前世で最期に食べた食事が皆で食べたお餅だった…です。私達一家はあるアデプトテレイターのグループを匿っていたのですが、彼女達は私の話し相手になってくれたり一緒に暮らしてご飯を食べたりして家族同然の仲でした。

ある日、ふと餅の話題になって、あるアデプトテレイターが餅を食べた事がないって言ったのでだったら皆で餅を作って食べようってなって皆で餅を作って食べて…楽しくて美味しかったです。

ですが、その日の夜に反アデプトテレイター派にアデプトテレイター達を匿っていた事がバレて…私達一家は彼女を逃がしたのです」

「そして反アデプトテレイター派に捕まって殺された、か…」

「はい、別れ際にそのアデプトテレイターの一人はこう言ってたです。『ありがとう。僕はこの日の事を、大切な人達の事を忘れない』と」

「もしそのアデプトテレイターにまた会えたらどうしたい?」

マグナコンボイは綾波に問う。

「色々話したい…です。守りきれなくてごめんなさいとか辛い思いをさせてごめんなさい、とか」

「そうか…」

とマグナコンボイは呟いた時、"何か"を感じた。

「綾波、宮古。感じたか?」

「はい、感じたです」

「うん、感じたよ」

そしてそれは綾波と宮古も感じたのだ。

「碧刃、もしかして…」

「ハジメが考えている通り、アデプトテレイターだ。方角からしてウルの町にいる」

 

 

 

 

その頃、畑山愛子は日々の業務をこなしながらも失踪した清水幸利の捜索を行っていたのだが、何の成果もなく町の表通りをトボトボと歩きながら宿へ戻っていた。

「はぁ、今日も手掛かりはなしですか…清水君、一体どこに行ってしまったんですか…」

 

「愛子、あまり気を落とすな。まだ、何も分かっていないんだ。無事という可能性もある。お前が信じなくてどうするんだ」

「そうですよ、愛ちゃん先生。清水君の部屋だって荒らされた様子はなかったんです」

「自分で何処かに行った可能性だって高いんですよ?悪い方にばかり考えないでください」

元気のない愛子に、そう声をかけたのは畑山愛子専属護衛隊の隊長であるデビッドと生徒で愛ちゃん護衛隊の菅原妙子、宮崎奈々である、

周りには他にも騎士達と生徒達がおり、彼等も口々に畑山を気遣うような言葉をかける。

 

清水幸利という生徒が失踪してから約2週間、畑山達は、農地改善という任務をやりつつ清水の行方を追っていたが、未だになんの手掛かりも掴めていなかった。

清水の部屋が荒らされていなかったこと、清水自身が"闇術師"という闇系魔法に特別才能を持つ天職を所持しており、他の系統魔法についても高い適性を持っていたことから、連れ去られたというよりは自発的な失踪と多くの者が考えていた。

清水は大人しいインドアタイプの人間で社交性もあまり高くなく、クラスメイトとも特別親しい友人はいなかった。

それ故に愛ちゃん護衛隊に参加したことも驚かれ、親衛隊の生徒は清水の安否よりもそれを憂いて日に日に元気がなくなっていく畑山の方が心配であり、それは護衛隊の騎士達も同じだった。

皆を不安にさせているどころか気遣わせている事に気付いた畑山は、一度深呼吸するとペシッと両手で頬を叩き気持ちを立て直した。

「皆さん、心配かけてごめんなさい。そうですよね。悩んでばかりいても解決しません、清水君は優秀な魔法使いです。

きっと大丈夫、今は無事を信じて出来ることをしましょう。取り敢えずは、本日の晩御飯です!お腹いっぱい食べて、明日に備えましょう!」

畑山達は宿泊先でウルの町で一番の高級宿である"水妖精の宿"へと到着した。

この宿の一階部分はレストランになっており、ウルの町の名物である米料理が数多く揃えられている。

そして落ち着いた店内の中、愛子達は三方を壁に囲まれ、店全体を見渡せる場所で一応、カーテンを引くことで個室にすることもできる一番奥にあるVIP席に座り、その日の夕食に舌鼓を打っていた。

「ああ、相変わらず美味しいぃ~異世界に来てカレーが食べれるとは思わなかったよ」

「まぁ、見た目はシチューなんだけどな……いや、ホワイトカレーってあったけ?」

「いや、それよりも天丼だろ?このタレとか絶品だぞ?日本負けてんじゃない?」

「それは、玉井君がちゃんとした天丼食べたことないからでしょ?ホカ弁の天丼と比べちゃだめだよ」

「いや、チャーハンモドキ一択で。これやめられないよ」

このウルの町で食べられている料理は見た目や微妙な味の違いはありつつも料理の発想自体は地球…特に日本のものと似通っており、米を筆頭にウルティア湖という湖では魚が、山脈地帯からは山菜や香辛料を得る事ができるのだ。

「此処の料理はほんと美味いよ!前世じゃ"あの娘達"に出会うまでまともな食事なんて中々ありつけなかったし、この世界で食ってきた魔物肉は不味かったからね」

「「「「「いや、魔物肉は普通食べられないから」」」」」

愛ちゃん護衛隊の面々はある少女に突っ込みを入れる。

青み帯びた銀髪をサイドテールで束ね、金色の瞳を持つ日本人の少女。

 

彼女の名は"神北(かみきた) (あらし)"。

 

人類とアデプトテレイターの戦争の最中、反アデプトテレイター派に捕まって殺されたのだが、気が付いたらこの惑星トータスにいて力を封じている首輪を何とか破壊した後、魔物肉を食べたりしながらこの惑星を放浪し、ウルの町へ向かう最中であった畑山達に出会った。

騎士達は言葉の通じない…トータスの人間や召喚者なら誰もが持っている言語理解の技能を持っていない彼女を怪しんでいたのだが、畑山達の厚意で同行しているのだ。

トータスの言葉に関しては畑山達が通訳をして嵐に伝えている。

美味しい料理で一時の幸せを噛み締めている畑山達の元に六十代くらいの口ひげが見事な男性―この宿ののオーナーであるフォス・セルオが近寄ってきた。

「皆様、本日のお食事はいかがですか?何かございましたら、どうぞ、遠慮なくお申し付けください」

「いえ、今日もとてもおいしいですよ。毎日、癒されてます」

畑山が代表してニッコリ笑いながら答える。

「それはようございました」

とフォスは微笑んだ後、その表情を申し訳なさそうに曇らせた。

「実は、大変申し訳ないのですが…香辛料を使った料理は今日限りとなります」

「それって、もうこのニルシッシルを食べれないってことですか?」

ニルシッシルとはこの世界にてカレーに該当する料理である。

「はい、申し訳ございません。何分、材料が切れまして…いつもならこのような事がないように在庫を確保しているのですが…ここ一ヶ月ほど北山脈が不穏ということで採取に行くものが激減しております。

つい先日も、調査に来た高ランク冒険者の一行が行方不明となりまして、ますます採取に行く者がいなくなりました。当店にも次にいつ入荷するかわかりかねる状況なのです」

「あの…不穏っていうのは具体的には?」

「何でも魔物の群れを見たとか…北山脈は山を越えなければ比較的安全な場所です。

山を一つ越えるごとに強力な魔物がいるようですが、わざわざ山を越えてまでこちらには来ません。ですが、何人かの者がいるはずのない山向こうの魔物の群れを見たのだとか」

「それは、心配ですね…」

「しかし、その異変ももしかするともう直ぐ収まるかもしれませんよ」

「どういうことですか?」

「実は、今日のちょうど日の入り位に新規のお客様が宿泊にいらしたのですが、何でも先の冒険者方の捜索のため北山脈へ行かれるらしいのです。

フューレンのギルド支部長様の指名依頼らしく、相当な実力者のようですね。確か青き銃士と呼ばれているそうです。

もしかしたら、異変の原因も突き止めてくれるやもしれません」

青き銃士、その言葉に護衛隊の面々はまさか、とある人物を思い出した。菅原と宮崎からしたら友人の優花を拐った人物…その人物の天職が銃士だったのだ。

一方、フォスが何と言っているのか分からないが、畑山達の話からニルシッシルがもう食べられないという事は理解した嵐はある反応が近付いているのを感じ取ったのだ。

「どうしたんですか神北さん?」

「私と同じアデプトテレイターが3人、近付いてきている。速度からして徒歩や馬車なんてレベルじゃない。車とかかな」

嵐の言葉に護衛隊の面々はまさか、と思った。この世界で車を使っている存在なんて彼らが知る中で一人しかいない。

「敵か味方かわからないからできるだけ気配を消して隠れて様子を見てみる」

嵐はそういうとニルシッシルを完食して何処かへと隠れた。

「おや、噂をすれば。彼等ですよ。騎士様、彼等は明朝にはここを出るそうなので、もしお話になるのでしたら、今のうちがよろしいかと」

「そうか、わかった。しかし、随分と若い声だ。"金"に、こんな若い者がいたか?」

一方のデビッド達騎士は有名な"金"ランクの冒険者達を脳内でリストアップしたが、彼らの声はそのどれにも該当しなかった。

愛子は"豊穣の女神"としてどうしても目立つので普段からカーテンを閉めている。

「―"碧刃さん"はどんな米料理が好きなんですか?」

「寿司だな。あかりとヴェルに誘われて回転寿司とやらに行ったが、寿司が運ばれ来るというのが興味深い。そして美味い。寿司屋に行ったらウニと貝類、海老系統、サーモン各種は絶対に食べるな」

「じゃあ、"ハジメさん"や"優花さん"はどうなんですか?」

「私はカレーかな」

「僕は―」

碧刃とハジメ、優花という名前に畑山は心臓が高鳴り、思わず立ち上がって閉めていたカーテンを引きちぎる勢いで開け放った。

 

「頼尽君…!南雲君…!園部さん…!」

「「あ、愛ちゃん先生!?」」

ハジメと香織は思わず声をハモらせる。

「…心配してたんですよ…」

「す、すみません…」

「お久しぶりです、先生」

と優花とハジメは返答する。

一方、菅原と宮崎は優花の姿を見るなり彼女に抱き着いた。

「優花っち!無事だったんだね!」

「良かったぁ…良かったよぉ…」

「ふ、2人とも久しぶり…」

と優花が返した後、菅原と宮崎は視線を碧刃に向けると睨み付けて殴りかかろうとするが

「碧刃に何をするつもりだったのかな?」

「まぁ、貴女方では碧刃さんに勝つなんて不可能ですが」

宮古と綾波によってその手を掴まれたのだ。宮崎と菅原は痛みで顔を歪ませながらも碧刃を睨み続け、他の護衛隊も碧刃に対し批難しているかの様な眼差しを向ける。

「南雲が生きていたのは本当だったみたいだけど…頼尽、優花っちを拐うなんて最低!」

宮崎の言葉に碧刃達は呆れていた。

「なるほどな、そういう事になっていたか。メルド団長から一応事情は聞かされたようだが…あの勇者(バカ)がそんな解釈をしてそれを信じて疑わなってないといったところか」

碧刃は冷静にそう推測する。

「黙れ頼尽!この人でなし!」

菅原の言葉に綾波と宮古は菅原と宮崎の腕をへし折ろうかと考えていた時、先に優花が動いた。優花は菅原と宮崎の前に立つと2人を睨みながら殺気を放ち、2人の頬を叩いたのだ。その行為に菅原と宮崎は信じられないと言わんばかりに唖然とした表情を浮かべている。

「謝って。碧刃に謝って!」

「何で―」

宮崎が反論する前に優花はこう言った。

「ハジメ以外のクラスメートを信用していない碧刃からしてみれば拐う必要なんてない。

だけど、碧刃の反応からハジメが生きてるって分かった私はハジメを助けたいから自分の意思で碧刃に無理を言って連れ行ってと頼んだの!

碧刃(恩人)を悪く言う事は許さない…だから碧刃に謝って!それが出来ないなら…私は2人と絶交するから」

優花の怒りから彼女が本気かつ本当の事を言っていると察した菅原と宮崎は力を抜き、碧刃に頭を下げ、他の護衛隊の面々も頭を下げる。

「頼尽、ごめんなさい…」

「色々勘違いして酷い事を言って…」

「碧刃、私からも謝らせて。貴方からしてみれば信用できないし許せないだろうけど、それでも2人は私の友達だから」

宮崎と菅原の言葉に碧刃はこう返した。

「私はお前達を信用などしていない。その理由が分かるか?」

碧刃の言葉に宮崎達は頷く。

「お前達がハジメにした事…いじめやそれを黙認していた事を私は許せない。だからこそ信用できない…だが、信頼している優花に免じて今回の件はこれまでの行為をハジメに誠意を持って謝罪する事を条件としてなかった事にしよう」

と碧刃は告げる。

碧刃の出した条件に宮崎達護衛隊の面々は最大限の誠意…つまり土下座をしてハジメに謝罪する。ハジメは

「天之河達や檜山よりはマシだし、優花に免じて今すぐ許すって事は出来ないけど、許すよ」

と完全にではないが一先ず許したのだ。

「さて…そろそろ良いか…其処に隠れているのは分かっている。私はお前と交戦する意思はないから出てきて欲しい」

碧刃は隠れていた嵐にそう告げる。

「本当に交戦の意思はないの?」

嵐の言葉に碧刃はそうだ、と返して嵐は碧刃達の前に出た。

そして、嵐は綾波の姿を見て、綾波は嵐の姿を見て驚きの表情を浮かべていた。

 

「嵐…どうして此処に…!?」

「綾波…どうしてアデプトテレイターに…!?」

 

 

こうして鬼神竜の戦女神は前世での友人だった戦女神と思わぬ再会を果たすのだった。

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

 

谷口鈴の今後について最終投票(1の場合テレイター化で大幅強化&碧刃ハーレム入りで出番増加、2の場合出番は原作と同じ位か減少)

  • 1.オーダーヴァンガードへ正式加入
  • 2. 坂上とくっつく(坂上改心・和解)
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