今度は綾波のトランステクターのダイノヴェインについてアンケートを取りたいと思いますので宜しくお願いします。
―side:Magna Convoy―
標高1000メートルから8000メートル級の山々が連なる北の山脈地帯…そこに到着した私達が目にしたのは生えている木々や植物、環境がバラバラという不思議な場所だ。
普段見えている山脈を越えても、その向こう側には更に山脈が広がり、北へ北へと幾重にも重なっている山脈は現在は4つ目の山脈まで確認され、5つ目以降は完全に未知の領域らしい。
5つ目以降の山脈越えを狙った冒険者がいたそうだが、山脈を越える度に生息する魔物も強力になるので叶わなかったらしい。
第一の山脈で最も標高が高いのが神山で、私達が訪れた場所は神山から東に1600キロメートルほど離れた場所だ。
私はそんな山脈の麓へ到着すると畑山教師を降ろしてトレーラーに乗せると碧刃としての姿になる。
「宮古、嵐はトレーラーに残って周辺を警戒。私、優花、ユエとハジメ、綾波、シアに別れて探索を行う」
私の言葉に皆は了解、と返して私達は探索を開始した。
私のグループは冒険者達も通ったであろう山道を進んでいた。魔物の目撃情報があったのは、山道の中腹より少し上、六合目から七号目の辺りだ。ならば、ウィル達冒険者パーティーも、その辺りを調査したはず…私達は偵察機たるキラービークを先行させて山道を進んでいた。
キラービークの映像は私とハジメが持つ端末、そしてトレーラーに送られている。
およそ1時間…私のグループは六合目に到達し、其処で一度立ち止まった。キラービークの一機があるものを発見したのだ。
「…これは盾?それに、鞄も…」
ユエは映像を見てそう呟く。
「まだ新しい…当たりかもしれない」
現地に赴くと映像で確認した通り、ひしゃげて曲がっている金属製の小ぶりなラウンドシールドと、紐が半ばで引きちぎられた状態で散乱している鞄に近くの木の皮が禿げているのを発見した。
「高さは2メートル程、何かが擦れた拍子に皮が剥がれたのだろう。高さからして人間の仕業ではない…」
「魔物との戦いがあった…?」
「恐らくは、な。優花」
傷のある木は他にも幾つもあり、それらの木に沿って先へ進んでいると次々と争いの形跡が発見できた。半ばで立ち折れた木や枝、踏みしめられた草木、折れた剣や飛び散った血痕があった。
「…碧刃、これってペンダント?」
ユエが発見したのはペンダントらしきものだ。
「遺留品かもしれない。確かめてよう」
ユエからペンダントを受け取り汚れを落とすと、どうやら唯のペンダントというよりはロケットらしい。留め金を外して中を見ると、女性の写真が入っていた。
「誰かの恋人か妻と言ったところか。古びた様子はない…もしかしたら冒険者一行の誰かのものかもしれない。回収しておこう」
更に探していくと遺品と呼ぶべきものが次々に見つかり、身元特定に繋がりそうなものだけは回収していった。
日もだいぶ傾いており、そろそろトレーラーに戻ろうとした時だった。
『碧刃、こっちに来て』
ハジメからの通信が入り、私達は現場に急行した。
大きな川、その上流に小さい滝が見え、水量が多く流れもそれなりに激しく、本来は真っ直ぐ麓に向かって流れていたのであろう。
しかしその川は現在、途中で大きく抉れ、小さな支流が出来ていた。
「まるで、横合いからレーザーか何かに抉り飛ばされたみたいですね」
「そうだな、シア。ここで大規模な戦闘があったようだ」
抉れた部分は直線的であり、周囲の木々や地面は焦げている。
何本もの木が何か大きな衝撃を受けたのか、半ばからへし折られて、数十メートルも先に横倒しになっていた。川辺のぬかるんだ場所には、30センチ以上ある大きな足跡も残されている。
「うん…この足跡、大型で二足歩行する魔物…確か、山二つ向こうにはブルタールって魔物がいた筈だけど…この抉れた地面は…」
ハジメの言うブルタールはRPGのオークやオーガに該当する魔物だ。
上流に向かってウィル達は追い立てられるように逃げてきたようだが、これだけの戦闘をした後体力的にも、精神的にも町から遠ざかるという思考ができるか疑問に思うから更に上流へと逃げたとは考えにくい。
「足跡が川縁にあるということは、体力的に厳しい状況にあったウィル・クデタ一行は流されてそのまま逃げ込んだ可能性が可能性が高い…です」
「確かにそうだな。下流へ行ってみるぞ」
下流へ下って移動すると、先ほどのものとは比べ物にならないくらい立派な滝に出くわした。
私達は、軽快に滝横の崖を降りていき、滝壺付近に着地する。
更に気配感知に反応があった。
「気配感知に掛かった。感じから言って人間だろう。場所は…あの滝壺の奥だ」
「生きてる人がいるってことですか!?」
シアの言葉に私は頷く。
「反応は一人か…ユエ、頼めるか?」
「…ん、まかせて…"波城"、"風壁"」
ユエは高圧縮した水の壁を作る水系魔法の"波城"と風系魔法の"風壁"を発動させ、滝と滝壺の水が真っ二つに割れ始め、更に、飛び散る水滴は風の壁によって完璧に払われた。
滝壺から奥へ続く洞窟らしき場所は入って直ぐに上方へ曲がっており、そこを抜けるとそれなりの広さがある空洞があり、天井からは水と光が降り注ぎ、下方の水溜りに落ちてきた水が流れ込んでいる。
そして、その場所の一番奥に横倒しになっている端正で育ちが良さそうな顔立ち20代前半くらいの青年が見つかった。
彼の顔色は青ざめて死人のような状態だったが、まだ息はあり、倒れている人間は彼のみだ。
「大きな怪我はないし、鞄の中には未だ少量の食料も残っているから、単純に眠っているだけみたい」
優花はそう判断すると私は神水を青年に注射し、暫くして彼は目を覚ました。
「ん…此処は…確か…」
そんなウィルに私は問う。
「お前は、ウィル・クデタか?」
「えっ、はい、そうです!私がウィル・クデタです」
「そうか、私は頼尽碧刃。オーダーヴァンガードというパーティーのリーダーだ。
フューレンのギルド支部長イルワ・チャングからの依頼で捜索に来た。生きていてよかった」
「イルワさんが!?そうですか。あの人が…また借りができてしまったようだ…
あの、あなたも有難うございます。イルワさんから依頼を受けるなんてよほどの凄腕なのですね」
いつぞやのフューレンの糞貴族と比べて物凄くマシな人物みたいだな。
それから、各人の自己紹介と、何があったのかをウィルから聞いた。
ウィルの話を要約するとこうだ。
5日前に私達と同じ山道に入り五合目の少し上辺りで、突然、十体のブルタールと遭遇したらしく、ウィル達は撤退に移ったが、襲い来るブルタールを捌いているうちに数がどんどん増えていき、気がつけば六合目の例の川にいた。
ブルタールの群れに囲まれ、包囲網を脱出するために、盾役と軽戦士の二人が犠牲になり、追い立てられながら大きな川に出たが、漆黒の竜が出現、黒竜はウィル達が川沿いに出てくるや否や、特大のブレスを吐き、その攻撃でウィルは吹き飛ばされ川に転落。流されながら見た限りでは、そのブレスで一人が跡形もなく消え去り、残り二人も後門のブルタール、前門の竜に挟撃された。
ウィルは、流されるまま滝壺に落ち、偶然見つけた洞窟に進み空洞に身を隠していた。
ウィルは話している内に感情が高ぶったからかすすり泣きを始めた。
「わ、わだじはさいでいだ。うぅ、みんなじんでしまったのに、何のやぐにもただない、ひっく、わたじだけ生き残っで…それを、ぐす…よろごんでる…わたじはっ!」
そんな事をほざくウィルの胸倉を綾波は掴み上げた。
「生きたいと願う事、生き残ったことを喜ぶ事の何が悪いのですか!?」
「綾波の言う通りだ。その願いも感情も当然にして自然にして必然、お前は人間として極めて正しい」
「だ、だが…私は…」
「それでも死んだ者達のことが気になるなら…生き続けろ。その人生、足掻いて足掻いて死ぬ気で生き続けろ。そうすれば、いつかは…今日、生き残った意味があったって、そう思える日が来るかもしれないからな。
ブルタールや黒竜の事は気になるが、今はウィルを連れて帰る事が最優先事項だ。下山するぞ」
ユエの魔法で私達は滝壺から出てきたのだが…来客が現れた。
「グルルルゥゥゥゥゥゥゥ…」
滝壺から出た私達を歓迎したのは体長は7メートル程、漆黒の鱗で全身を覆った黒竜だ。
黒竜は翼をはためかせながら空中より金色の目で私達を睨み付けながら低い唸り声を上げている。
恐らくオルクス大迷宮の第190層クラスの魔物と同等の力を持っているだろう。
「どうやらただで帰らしてはくれないみたいだな」
黒竜はウィルの姿を見つけるとその鋭い視線を向け、頭部を持ち上げ仰け反ると共に鋭い牙の並ぶ顎門を開けてそこに魔力を集束しだした。
「ウィルを消すつもりか…ハジメ!錬成で障壁を作れ!」
「了解!」
ハジメは錬成で障壁を作り
「綾波!」
「はいです!」
私は即座にトランステクターを顕現し、綾波も宝物庫からトランステクターを出し
「「アデプタイズ!」」
「マグナコンボイ、トランスフォーム!」
「ダイノヴェイン、
私は
その隙にダイノヴェインは背後に回ると後頭部に向けて回し蹴りを食らわせる。
黒竜はバランスを崩して転倒、それでも黒竜はブレスをウィルに向けて放とうとするが私はバックパックのブラスターを発砲、更にハジメはリボルビングバスターキャノンで、優花はトライデントスピアーを投げる事で援護する。
黒竜は立ち上がってウィルに攻撃を仕掛けようとするが、シアがインパクトナックルで殴って阻止、ダイノヴェインは竜の弱点である尻回りの柔らかい場所に向かってテールサーベルを突き刺そうとするが、それに気付いたのか偶然なのか黒竜はその尻尾でダイノヴェインを叩き飛ばす。
空中へと飛ばされたダイノヴェインはサイバーシールドをローター代わりにして滞空した後に着地、黒竜の頭を何度も殴る。
「…綾波!」
「はい、ユエさん!」
ダイノヴェインはユエの言葉を受けて黒竜から離れ
「"禍天"」
ユエは重力魔法による渦巻く重力球を作り出し、消費魔力に比例した超重力を以て黒竜を押し潰す。
「…シア!」
「はいですぅ!」
ユエが禍天を解除した後、シアはスパイクハンマーでヒビが入っている黒竜の外殻を殴り、黒竜の鱗や外殻は砕けて血が流れ出る。
「もう一発ですぅ!」
シアは装備をを瞬時に装備をインパクトナックルに換装すると尚ウィルに向けてブレスを吐こうとする黒竜の頭を殴り、インパクトナックルの拳を射出する。黒竜の頭は地面に叩き付けられ、黒竜は血を吐いた。
「なぁ…ハジメ。違和感を感じないか?」
と私はハジメに問う。
「確かに…どれだけ攻撃を受けてもウィルを狙っている」
「それにしてはどんだけ優先度高いんだって感じだけど」
「まるで私達の事なんてどうでもいいみたい…です」
優花と綾波の言葉の後、私はある可能性に辿り着いた。
「もしかして…操られているのか…」
私が呟いた後、ダイノヴェインは黒竜にとどめを刺そうとしていたのだが…
『待って…ほしいのじゃ…』
と何処からとなく声…いや念話が聞こえてきた。私達の内の誰の声でもない…まさかとは思って
「戦闘中止!」
と皆に指示を出し、私は碧刃としての姿になると黒竜に問う。
「言葉が分かるのか?」
『そうじゃ…だが、このままでは…妾は…ゲホッ!死んでしまうのじゃ…思っていた…以上にダメージが…大きいのじゃ…』
「分かった。これを飲め」
私は黒竜に神水を飲ませ、傷やダメージが治った黒竜は立ち上がる。
『ありがとうなのじゃ…お蔭で洗脳が解けても危うく死ぬところだったのじゃ』
「こちらこそ手荒なまねをしてすまなかった。ところで貴女は何者だ?言葉を話す竜など聞いたことがないが…」
「…もしかして、竜人族?」
『如何にも。妾は誇り高き竜人族の一人じゃ』
ユエの言葉に黒竜はそう答える。
竜人族…今から500年前に滅んだとされる種族たる彼等は竜、つまりドラゴンとしての姿と私達の様な人の姿を使い分けると言われている。
「その竜人族が何故一介の冒険者達を襲ったんだ?我々と交戦してもウィルの殺害を優先にしていた節があるが」
『妾は、操られておったのじゃ。お主等を襲ったのも本意ではない。仮初の主、あの男にそこの青年と仲間達を見つけて殺せと命じられたのじゃ』
「なるほどな…詳しく話を聞かせてほしい」
『話を始める前に竜化を解いても良いかのう?竜化…つまり竜の姿は魔力を消費して維持しているが故に魔力が無くなると竜の姿を維持出来なくなるのじゃ』
「構わない」
黒竜はその体を黒色の魔力で繭のように包んで体を覆うと、その大きさを小さくしていき、ちょうど人が一人入るくらいの大きさになった後、一気に魔力を霧散させる。
黒竜は長い黒髪に金色の瞳、20代前半くらいの見た目で着物を着た女となった。
「先ずは自己紹介をせねば。妾はティオ・クラルス。竜人族最後の一族、クラルス族の一人じゃ」
「私は頼尽碧刃、オーダーヴァンガードというパーティーのリーダーを務めている」
「それでは頼尽殿。話そう、何があったのかを」
「碧刃で構わない。何があったんだ?」
「竜人族の中には魔力感知に優れた者がいて、数ヶ月前に大魔力の放出と何かがこの世界にやって来たことを感知したのじゃ。
我々竜人族は表舞台には関わらないという種族の掟があるものの、流石にこの未知の来訪者の件を何も知らないまま放置するのは、我々にとっても不味いのではないかと、議論の末、遂に調査の決定がなされ、妾が派遣されたのじゃ」
「その来訪者が我々だな」
私の言葉にティオは頷き、話を続ける。
「本来なら山脈を越えた後、人型で市井に紛れ込んで竜人族であることを秘匿して情報収集に励むつもりじゃったが、その前に一度しっかり休息をと思い、この一つ目の山脈と二つ目の山脈の中間辺りで休んでいたのじゃ。
当然、周囲には魔物もいるから竜化状態で睡眠状態に入っていたら黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れてのう。
恐ろしい男じゃった。闇系統の魔法に関しては天才と言っていいレベルじゃろうな。そんな男に丸一日かけて間断なく魔法を行使されたのじゃ。いくら妾と言えど、流石に耐えられんかった…」
「そして洗脳されてしまったのだな。竜化状態で睡眠に入った竜人族はそれでこそ尻を蹴り飛ばされでもしない限り起きない。
それでも、竜人族は精神力においても強靭さを誇るからそう簡単に操られたりはしない…が…今回は相手が悪かった、か。そして男は他の魔物も洗脳していったが…その魔物の集団をウィル達に見られて、目撃者を始末するために差し向けらた、という事か?」
私の言葉にティオは頷く。
「その通りじゃ」
ティオから一通りの事情を聞き終えた後
「…ふざけるな」
ウィルは拳を握り締め、怒りを宿した瞳で黒竜を睨んでいる。
「…操られていたから…ゲイルさんを、ナバルさんを、レントさんを、ワスリーさんをクルトさんを!殺したのは仕方ないとでも言うつもりかっ!
大体、今の話だって、本当かどうかなんてわからないだろう! 大方、死にたくなくて適当にでっち上げたに決まってる!」
「…今話したのは真実じゃ。竜人族の誇りにかけて嘘偽りではない」
しかしそれでもウィルは言い募ろうとするが、ユエが口を挟んだ。
「…きっと、嘘じゃない」
「っ、一体何の根拠があってそんな事を!?」
ユエは食ってかかるウィルを一瞥した後、ティオを見つめながら語る。
「…竜人族は高潔で清廉。私は皆よりずっと昔を生きた。竜人族の伝説も、より身近なもの。彼女は"己の誇りにかけて"と言った。なら、きっと嘘じゃない。それに…嘘つきの目がどういうものか私はよく知っている」
「ふむ、この時代にも竜人族のあり方を知るものが未だいたとは…いや、昔と言ったかの?」
ティオは竜人族という存在のあり方を未だ語り継ぐものでもいるのかと、若干嬉しそうだった。
「…ん。私は、吸血鬼族の生き残り。三百年前は、よく王族のあり方の見本に竜人族の話を聞かされた」
「何と、吸血鬼族の…しかも三百年とは…なるほど死んだと聞いていたが、主がかつての吸血姫か。確か名は…"アレーティア・ガルディエ・ウェスペリティリオ・アヴァタール"だったかのう?」
「…今はユエと名乗っている。大切な人達から貰った名前」
ユエの言葉にそうか、と呟くティオだったが、ウィルは未だに納得していなかった。
「それでも、殺した事に変わりないじゃないですか…どうしようもなかったってわかってはいますけど…それでもっ!ゲイルさんは、この仕事が終わったらプロポーズするんだって…彼らの無念はどうすれば…」
それ死亡フラグと私は思ったし、ハジメや優花、綾波もそう思っただろう。
「ウィル、ゲイルってやつの持ち物か?」
私は取り出したロケットペンダントをウィルに見せ、ウィルはそれを受け取ると、マジマジと見つめ嬉しそうに相好を崩す。
「これ、僕のロケットじゃないですか!失くしたと思ってたのに、拾ってくれてたんですね。ありがとうございます!若い頃のママの写真が入っているので間違いありません!
大切な物が帰ってきたのは嬉しいですが、それとこれとは話は別です。彼女がまた洗脳されたら脅威になるから殺すべきです!」
それに対しティオは懺悔するかの様にこう告げた。
「操られていたとはいえ、妾が罪なき人々の尊き命を摘み取ってしまったのは事実。償えというなら、大人しく裁きを受けよう。
しかし、今は猶予をくれまいか…せめて、あの危険な男を止めるまで。あの男は、魔物の大群を作ろうとしておる。
竜人族は大陸の運命に干渉せぬと掟を立てたが、今回は妾の責任もあるし放置はできんのじゃ…勝手は重々承知しておる。だが、どうかこの場は見逃してくれんか」
とティオは頭を下げる。
「私達としては貴女と戦う理由・殺す理由はない。洗脳が解かれた今、貴女は我々と戦う意思はないのだろ?」
私の言葉にティオは頷くが、ウィルは未だに納得していないようだ。
それを見かねた私はウィルに対し殺気を放ちながらこう告げた。
「お前はこう言ったな、また洗脳されたら脅威になるから殺そう、と」
「それがどうしたって言うんですか…!?」
「それは建前で本当は彼女が憎くて復讐したいからなんだろ?」
図星を突かれたのかウィルは何も言えなくなる。
「私は別に復讐など無意味だとか復讐が駄目だとかありふれた事は言わない。
私も嘗て裏切り者に憎しみを抱いて戦った事もあったからな。
復讐というのはやるとしても自分の手でやらなければ意味がない。だが、お前は自分には力がないから我々に頼ろうとしている、違うか!?」
ウィルは私の言葉に言い返せず、他の者達も口出しなど出来なかった。
「武器なら貸してやる。だから、復讐したいのなら自分の手でやれ」
私は宝物庫からサムライソードを出し、地面に突き刺さそ、ウィルはサムライソードを引き抜き、ティオに向けて構えるが、その手は震えていた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ウィルは叫びながらサムライソードを振り下ろすが、その刃はティオを斬ることなく彼女の隣に振り下ろされた。
「お前、本当は"人の姿をした者"を斬ること…傷つけるのが怖くてできないんだろ?
私が彼女を殺さないと言って反対したのは復讐したいけど、自分には力がないし人の姿をした者を斬るなんてできないからだろ?」
私の言葉にウィルは何も言い返せず、私はサムライソードを宝物庫へしまう。
『碧刃、大変だよ!これ見て!』
宮古からの通信が入ってきて私は端末に送られてきた映像を見る。映像はキラービークから送られてきたものあっ、とある場所に集合する魔物の大群の映像だった。
To be continue…
綾波のトランステクターのダイノヴェインの強化について
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リフォーマットなし