鈴のオーダーヴァンガード加入のタイミングは原作に於ける香織がハジメ一行に加わるタイミングにすると決めてた時からこの構想を練ってました。
今回の話、ちょっと強引な超展開な部分もありますが、ご了承ください。
第89層の最奥付近の部屋にて一先ずの休息をとっていた天之河達だったが…
「クゥワッキャ、クゥワッキャ、キシャアァァァァァ!」
遂に居場所がジーオスパイダーにバレてしまった。
今のジーオスパイダーなら即死攻撃は使えず、尻尾からのエネルギー弾さえ何とかすれば…と思い込んでいた天之河達は油断していたし、ある事を知らなかったのだ。
"コア"を持つジーオスはコアを破壊されない限り行動が可能かつ再生能力がある事だ。
ジーオスパイダーは口を開くと再生した舌を伸ばし、斎藤と中野に順番で突き刺し、斎藤と中野は数秒後に金属が混じった肉塊となって絶命、ジーオスパイダーはラプトル型と共に他の者達に襲い掛からんとし、天之河は限界突破を発動して応戦する。
暫く応戦を続けていると魔人族の女も合流してきた。
「ふん、手間取らせてくれるね。こっちは他にも重要な任務があるっていうのに…」
「黙れ!お前は俺が必ず倒す!覚悟しろ!」
魔人族の女にそう返しつつ、このままではジリ貧だと思いダメージ覚悟で反撃に出ようとしたのだが…
「ッ!?」
それを実行する前に、天之河の限界突破の時間切れがとうとうやって来て、一気に力が抜けていったのだ。
しかも短時間に二回も使った弊害により今までより重い倦怠感に襲われ、踏み込もうとした足に力が入らず、ガクンと膝を折ってしまった。
「舐めてるガキだと思ったけど、その通りだったようだね。お前達、一時休戦だ」
魔人族の女の言葉にジーオスパイダーとラプトル型達は攻撃を止める。
「どういうつもり?私達に何を望んでいるの?わざわざ一時休戦にした以上、何かあるんでしょう?」
「やっぱり、あんたが一番状況判断出来るようだね。なに、特別な話じゃない。前回のあんた達を見て、もう一度だけ勧誘しておこうかと思ってね。
前回は勇者君が勝手に全部決めていただろう?中々、あんたらの中にも優秀な者はいるようだし、だから改めてもう一度ね」
「…光輝はどうするつもり?」
「ふふ、聡いね…悪いが、勇者君は生かしておけない。こちら側に来るとは思えないし、説得も無理だろう?
彼は、自己完結するタイプだろうからね。なら、こんな危険人物、生かしておく理由はない」
「…それは、私達も一緒でしょう?今だけ迎合して、後で裏切るとは思わないのかしら?」
「それも、もちろん思っている。だから、首輪くらいは付けさせてもらうさ。ああ、安心していい。反逆できないようにするだけで、自律性まで奪うものじゃないから」
「自由度の高い、奴隷って感じかしら。自由意思は認められるけど、主人を害することは出来ないっていう」
「そうそう。理解が早くて助かるね。そして、勇者君と違って会話が成立するのがいい」
魔人族の女の提案に対し誰もが言葉を発せない中、中村は震えながら自身の意見を述べた。
「わ、私、あの人の誘いに乗るべきだと思う!」
白崎以外のクラスメイト達が驚く中、坂上は顔を怒りに染めて怒鳴り返す。
「恵里、てめぇ!光輝を見捨てる気か!」
「龍太郎、落ち着きなさい!恵里、どうしてそう思うの?」
「わ、私は、ただ…みんなに死んで欲しくなくて…光輝君のことは、私には…どうしたらいいか…うぅ、ぐすっ…」
中村は涙を零しながらも言葉を紡ぐ。そして中村に賛同する者が現れた。
「私も、恵里ちゃんと同意見。もう、私達の負けは決まっているから全滅するか、生き残るか。迷うこともないよね?」
クラスメート達の中でも意見が別れる中、魔人族の女はこう提案する。
「ふむ、勇者君のことだけが気がかりというなら…生かしてあげようか?
もちろん、あんた達にするものとは比べ物にならないほど強力な首輪を付けさせてもらうけどね。
その代わり、全員魔人族側についてもらうけどね」
魔人族の女はそう言うが…
「み、みんな…ダメだ…従うな…騙されてる…信用…するな…人間と戦わされる…奴隷にされるぞ…逃げるんだ…俺はいい…から…一人でも多く…逃げ…」
そんな中で天之河は息も絶え絶えになりながらも皆に逃げるように促すが、魔人族の女はラプトル型に命じて何かを背後から引きずり出してきた。
天之河は訝しげな表情をするが、その"何か"の正体を見て愕然とする。
「…メ、メルドさん?」
天之河の言う通り、その正体は四肢を砕かれ全身を血で染めた瀕死のメルドだったのだ。
「ぐっ…お前達…お前達は生き残る事だけ考えろ!…信じた通りに進め!…私達の戦争に…巻き込んで済まなかった…お前達と過ごす時間が長くなるほど…後悔が深くなった…だから、生きて故郷に帰れ…最初から…これは私達の戦争だったのだ!」
意識が朦朧とする中、メルド団長は本心を語るが、ラプトル型は足の鉤爪をメルド団長に突き刺し、メルド団長は意識を失った。
「…るさない…!」
力なく地面に伏していた天之河は小さな声で何かを呟きつつ立ち上がる。
「は?何だって?死にぞこない」
魔人族の女に対し天之河は俯かせていた顔を上げ、その眼光で魔人族の女を射抜く。
「お前達!殺れ!」
魔人族の女の指示でラプトル型は天之河に襲いかかろうとしたが、天之河から凄まじい光が溢れ出し、それが奔流となって天井へと竜巻のごとく巻き上がり、迫り来るラプトル型の頭部に右手の拳を振るうと、いとも簡単に粉砕してしまった。
仲間を殺られたラプトル型がまた一体、襲いかかる中、天之河は負傷を感じさせない動きで回し蹴りを叩き込む。
その一撃はラプトル型の首をへし折り、後方の壁へと途轍もない勢いで吹き飛ばし、ラプトル型は轟音と共に壁を粉砕しながらめり込んだ。
天之河は取り落としていた聖剣を拾い上げると、射殺さんばかりの眼光で魔人族の女を睨みつけると同時に竜巻のごとく巻き上がっていた光の奔流を自身の体へと収束し始める。
これこそ"限界突破"の終の派生技能[+覇潰]である。
通常の限界突破は基本ステータスの3倍の力を制限時間内だけ発揮するものであるが、上位の技能たる覇潰は基本ステータスの5倍の力を得ることが出来る。
しかし更に無理やり力を引きずり出す故に今の天之河では発動は30秒が限界で、効果が切れた後の副作用も甚大なものである。
しかし、天之河はそんなのお構い無しに怒りのままに魔人族の女に向かって突進し
「お前ぇー!よくもメルドさん達をぉー!」
大上段に振りかぶった聖剣を天之河は躊躇いなく振り下ろす。
魔人族の女は舌打ちしながら、咄嗟に、砂塵の密度を高めて盾にしつつ後ろへ下がるが、光の奔流を纏った聖剣によって砂塵の盾は切り裂かれ、その奥にいる魔人族の女の身体は深々と斜めに切り裂かれて、血飛沫を撒き散らしながら後方へと吹き飛び、背後の壁に背中から激突した後、崩れ落ちる。
「まいったね…あの状況で逆転なんて…まるで、三文芝居でも見てる気分だ」
魔人族の女は考える。回復なら何とかなるしまだジーオスパイダーもいる…だから一芝居打つ事にした。
「ごめん…先に逝く…愛してるよ、ミハイル…」
手に持つロケットペンダントを見つめながら愛しそうな表情で呟く魔人族の女に、天之河は思わず聖剣を止めてしまい、愕然とした表情で目をこれでもかと見開いて魔人族の女を見下ろした。
何かに気がつき、それに対する恐怖と躊躇いが生まれた天之河の瞳を見た魔人族の女は、天之河が剣を止めた理由を正確に悟ると侮蔑の眼差しを返した。
「…呆れたね…まさか、今になってようやく気がついたのかい?"人"を殺そうとしていることに」
天之河は魔人族をこう認識していた。
残忍で卑劣な知恵の回る魔物の上位版、あるいは魔物が進化した存在くらい、と。
だからこそ自分達と同じように、誰かを愛し、誰かに愛され、何かの為に必死に生きている、そんな戦っている"人"だとは思っていなかったか無意識にそう思わないようにしていたのである。
そしてその認識が覆され、自分が手にかけようとした相手が魔物などでなく、紛れもなく自分達と同じ人だと気がついてしまい、自分のしようとしていることが人殺しであると認識してしまったのだ。
かつて碧刃は天之河に、そして召喚された者達全員にこう言った。
"魔人族との戦争に参加するのなら人を殺す覚悟をしろ"
しかし天之河は碧刃の言葉を聞いても聞き入れてはいなかった…受け流していたのだ。
「まさか、あたし達を人とすら認めていなかったとは…随分と傲慢なことだね」
「ち、ちが…俺は、知らなくて…」
「ハッ、知ろうとしなかったの間違いだろ?」
「お、俺は…」
「ほら?どうした?所詮は戦いですらなく唯の"狩り"なのだろ?目の前に死に体の"一匹"がいるぞ?さっさと狩ったらどうだい?おまえが今までそうしてきたように…」
「…は、話し合おう…は、話せばきっと…」
聖剣を下げてそんな事を言う天之河に対し魔人族の女は軽蔑するともにジーオスパイダーとラプトル型に指示を出した。
「全隊、攻撃開始!」
その指示に従い、ジーオスパイダーとラプトル型達は攻撃を再開する。
「な、どうして!」
「自覚のない坊ちゃんだ…私達は戦争をしてるんだよ!未熟な精神に巨大な力、あんたは危険過ぎる!何が何でもここで死んでもらう!ほら、お仲間を助けに行かないと、全滅するよ!」
魔人族の女がそう言った後、仲間達を襲わんとするジーオスパイダーとラプトル型を討伐せんとした天之河だったが、覇潰のタイムリミットが来た事、そして無理を重ねたきた代償として体が麻痺したように一切動かないという状態に陥った。
「こ、こんなときに!」
と悔しげな表情を浮かべる天之河。
一方の魔人族の女は白鴉の固有魔法で完全に回復し、天之河を殺そうとするが、八重樫の攻撃で阻止された。
「あんたは殺し合いの自覚があるようだね。むしろ、あんたの方が勇者と呼ばれるにふさわしいんじゃないかい?」
「そんな事どうでもいいわ。光輝に自覚がなかったのは私達の落ち度でもある。そのツケは私が払わせてもらうわ!」
八重樫とて人殺しの経験などない。経験したいなどとは間違っても思わないが、戦争をするならいつかこういう日が来ると覚悟はしていた。剣術を習う上で、人を傷つけることの重さも叩き込まれていた。
それと同時に後悔もしていた…天之河に対し甘かった事、そして自身の天之河や白崎に対する甘さが碧刃達との軋轢を生み、彼が自分達に呆れて離反するという事態を招いた事に。
魔人族の女の指示によりジーオスパイダーは八重樫を仕留めようと舌を伸ばすが、八重樫はそのスピードを生かして回避し、ジーオスパイダーの関節を狙おうとする。
ジーオスパイダーは続いてエネルギー弾を連発するが、そのエネルギー弾は谷口が張った障壁によって阻まれる。
「シズシズ!」
「えぇ!」
八重樫は神速の抜刀術でジーオスパイダーの関節を斬ろうと"無拍子"を発動しようと構えるが、ジーオスパイダーは八重樫にエネルギー弾を放ちながら視線を谷口に向けると一気に跳躍。体高8メートルはあろうかという巨体に見合わぬスピードで谷口の背後に回ってその舌を谷口の腹に突き刺した。
ジーオスパイダーの舌に刺された者達がどうなったのかは八重樫だって実際に目の当たりにしているから分かっている。
だが、谷口がジーオスパイダーの舌で貫かれた事を八重樫は信じたくなかった。だが、これは現実だった。
「す、鈴ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
親しかった者が死ぬ‥…その絶望のあまり八重樫は叫び、ジーオスパイダーを睨み付けたその時だった。
ジーオスパイダーの頭上に突如として巨大な穴が出現、その穴から着地したその存在はジーオスパイダーの舌を切り落としたのだ。
その存在とは青き騎神銃士…マグナコンボイである!
オルクス大迷宮に着くなり碧刃は
マグナコンボイは以前―ハジメと綾波に合流すべく優花と共にオルクス大迷宮に潜った時と同じ様にイオンブラスターを装備し地面に向かって何発も放って穴を開け、ダイノヴェイン共々皆を抱えて降りていったのだ。
こうして第89層に到着してジーオスパイダーの舌を切り落として周りを確認するとメルド団長は瀕死の重傷を負って倒れ、斎藤と中野は肉塊へと変わり、谷口はジーオスパイダーの舌が刺さった状態でもがき苦しんでいた。
ジーオスパイダーがいる事、斎藤と中野だった肉塊に混じっている金属と遠藤から聞いた近藤がジーオスパイダーの舌に刺された後に金属が混じった肉塊になったという話から谷口も金属細胞による毒に侵食されているとマグナコンボイは判断する。
「ハジメ、優花。メルド団長とジーオスパイダーの舌が刺さっている
マグナコンボイはそう指示を出すと各自は行動を開始。
ハジメはメルド団長の元へ行くと彼に神水を注射し、優花は谷口からジーオスパイダーの舌を引き抜くと彼女の腕に神水を注射したのだが、
「うぐぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
と谷口は苦しみのあまり悲鳴を上げ、ジーオスパイダーの舌で開けられた穴が塞がれた後も悲鳴を上げ続ける。
「まさか…」
優花はこの現象に見覚えがあった。自分達が魔物肉を食らい、神水を飲んで崩壊と再生を繰り返して変化した事…それと似ていたのだ。やがて"変質"は収まったのか悲鳴は小さくなっていき、谷口は意識を取り戻した。
「あれ、優花っち…?どうして此処に…?」
「ホルアドの冒険者ギルドの支部長に頼まれて来たのよ。大丈夫?」
「うん、さっきまで苦しかったけど、今は大丈夫…ただ、変な感じがする…言葉にするのが難しいけど」
と答える谷口。一方、アデプトマスターである
だが、マグナコンボイ達は今は目の前のジーオスパイダーを討伐する事が最優先だと考え、ジーオスパイダーとの交戦を開始する。
ジーオスパイダーはマグナコンボイに飛びかかるが、マグナコンボイは回し蹴りを食らわせ、更にその拳でジーオスパイダーの頭を地面に叩きつける。
ジーオスパイダーは体勢を崩しながらもエネルギー弾をマグナコンボイに向けて放とうとするが、ダイノヴェインがテールサーベルでジーオスパイダーの尻尾を切断した為にそれも叶わない。
マグナコンボイは右腕でジーオスパイダーの頭を押さえつつ左手で舌の根元を掴むとそれを一気に引き抜く。すると喉の奥からコアが露わになり、マグナコンボイは舌の根元を投げ捨てるとコアを掴んで引き抜いた後に握り潰した。
コアを破壊されたジーオスパイダーは機能停止し、崩れ落ちたのだった。
一方、白崎は自分達の救援にやってきた人物の1人―白髪の男がハジメだと瞬時に理解したと同時に戦闘中にも関わらず行動に移した。
「ハジメくん!」
白崎はハジメの元へ移動すると
「何?」
「貴方が好きです!一緒に居させて下さい!」
戦闘中にも関わらず告白し、非常識な告白に対しハジメはケジメをつけなければ、と思って返事をした。
「正直に言って僕は白崎さんの事、好きじゃないよ。僕の行動にも問題があったし、開き直って改善もしなかったのは認めるけどさ、白崎さんに絡まれたせいで、静かに送りたかった学校生活が滅茶苦茶にされたんだよ。
碧刃がいたから我慢は出来たけど、何も思わない訳じゃないし正直に言ってどっか遠くへ行って欲しいって思ってたよ」
ハジメの答えにショックを受けたのは八重樫だった。
八重樫はハジメの事を自分とは違い、碧刃のフォローはあれど周囲の圧力などものともしない強い人と思い、彼の強さに憧れたのだ。
だが、ハジメも全く傷付いていない訳じゃない…それをこの時になって漸く理解したのだ。
一方の白崎は冷静だった…ハジメの返答も想定通りだ。
「答えてくれてありがとう、ハジメくん。そうだよね、私も悪かったよね」
と白崎は謝罪する。
「でもね、ハジメくん。安心して…ハジメくんがそう思うのも"悪い虫"のせいだから…今からその悪い虫を排除して正気を取り戻してあげるからね」
白崎は視線をマグナコンボイに向けると憎しみを隠す事なく睨み付け
「頼じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!」
と叫び、ある魔法を発動させた。
白崎は中村との話し合い等を経てある事を思い付いた。
回復魔法は自分が味方としている対象を回復させる…なら、それを敵と認識した者に使えばどうなるのか?もしかしたら敵にダメージを与えられる…例えるならエナジードレインが出来るのではないか?
そして、鍛練の末に生み出したのは敵としている存在の魔力を奪ってダメージを与え、その分を味方に与える魔法…魔力吸収である。
魔力吸収で得た魔力は中村に渡す。そして中村は不適な笑みを浮かべるとある魔法をジーオスパイダーやラプトル型の亡骸に使う。
ラプトル型の亡骸は立ち上がり、更にコアを破壊された筈のジーオスパイダーを再起するのだった。
To be continue…
メタルスダイノヴェインのベース(あくまでもベースなので色や形状を変えます)
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ADブラックナイトグリムロック型
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TLKダイノボットスコーン
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メタルスメガトロン型