青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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今回の話、色々と詰め込んだり省略したりでちょっと滅茶苦茶になっているかもしれません。

ただ、作者としては最初と最後の描写をやりたかっただけだったりします←オイ


今回の話、できればラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神(特に序章)を読んでから読んでいただければと思います。


第36話『王都決戦―醜い怪物―』

 

西木野総合病院…家族経営の病院だったが現在ではネストも運営等で関与している病院である。

 

その病院の個室の一つに一人の女性が入院しており、その日、あかりとヴェルは彼女の元を訪れた。

「入るよ、穂乃果」

「元気か?穂乃果」

「あかりちゃん、ヴェルちゃん、いらっしゃい」

彼女の名は高坂穂乃果…およそ100年前のスクールアイドル創成期に活動していた伝説のスクールアイドル"μ's"のリーダーだった人物である。

当時、廃校の危機に瀕していた音ノ木坂学院で結成されたμ'sは音ノ木坂の廃校を阻止し、スクールアイドルの甲子園とも言うべきラブライブの第2回大会で優勝し、スクールアイドル初の海外ライブや他のスクールアイドルとの大規模な合同ライブを決行し、ラブライブのアキバドーム開催に貢献し、今や伝説のスクールアイドルとして今なお根強い人気を持っている。

あかりを除いたμ's最後の生き残りの117歳となった穂乃果は今やあかりやヴェルと世間話をする事が一番の楽しみとなっていたのだ。

「―んでさ、碧刃がクラスメートと一緒にトータスって惑星に召喚されるというラノベみたいな展開が起きて私達も大騒ぎだよ」

あかりは養子の碧刃(因みに穂乃果はあかりとヴェルの紹介で碧刃と会った事がある)がクラスメート共々トータスへ召喚された事を話した。

「そうなんだね、碧刃君、無事に帰ってくると良いね」

「あぁ、そうだな。その為にも私達も頑張らないとな」

とヴェルは言う。

「ねぇ、穂乃果…覚えてる?平行世界(パラレルワールド)の話」

「うん、覚えているよ」

「実はね、碧刃が現地で保護したアデプトテレイターの一人が平行世界の穂乃果と海未の孫らしいんだよ。気付いたらこの世界線に転生してたんだって」

「そうなんだ!会ってみたいね、その娘に。その為にも長生きしないと!」

穂乃果は…そして彼女を見守り続けてきたあかりとヴェルは察していた…穂乃果の余命も長くはない事を。だが、穂乃果は平行世界の自分と幼馴染みの園田海未の孫である少女―高坂綾波の顔を見るまでは死ねない、とそう思っていたのだった。

 

 

 

 

惑星トータスの神山にある塔の牢獄の様な部屋にて畑山愛子は壁際に寄りながらベッドの上で三角座りをして自らの膝に顔を埋めていた。

手首に付けられたブレスレット型のアーティファクトによって畑山は全く魔法が使えない状況に陥っていた。

脱出不可能という状況下にて畑山は生徒達の身を案じるしか出来なかった。

畑山を拐った銀髪の修道女は自分達の主は畑山が碧刃から聞いた話を光輝達に話す事は不都合だと言っていた。

落ちついて振り返ってみると、帰還後の王宮は畑山から見ても余りに不自然で違和感だらけだった。

エリヒド国王や重鎮達はどこか危うげな雰囲気で強硬な姿勢を崩さない。

きっと、あの銀髪の修道女が何かをした…というのが畑山の推測だ。

 

あの修道女は碧刃達オーダーヴァンガードの事を排除すべき"イレギュラー"だと言っていた。

そう考えていた時、窓がノックする音が聞こえてきて、振り返るとハジメ、優花、鈴の姿があった。

「南雲君!園部さん!谷口さん!なぜここに…」

「助けにきました」

と優花は答える。

「わ、私のためにわざわざ助けに来てくれたんですか?」

「この神山には用がありましたし、先生が拐われたのには僕達にも責任がありますから」

ハジメはそう返し、優花は畑山に魔法が掛けられている痕跡がない精査し、畑山に魔法が掛けられている痕跡がないと判断した優花はハジメに視線を向けて頷き、ハジメは畑山に付けられた魔力封じのアーティファクトを解除する。

「あの、どうして私がここに囚われていることを知っていたんですか?」

「リリィに聞いたんです」

「リリアーナ姫ですか?」

「えぇ。先生が拐われるところを目撃してたらしいです。王宮内は監視されているだろうから掻い潜って天之河君達に知らせることは出来ないと踏んで、メルド団長と共に僕達に助けを求めるために王都を抜け出して…異端認定の事も聞きました」

「リリィさんが…」

ハジメの話に畑山がそう呟いた時、遠くから何かが砕けるような轟音が微かに響き、僅かではあるが大気が震えた。その数秒後にハジメ達は外にいる碧刃達から報告が来たのだ。

「先生、魔人族の襲撃です。さっきのは王都を覆う大結界が破られた音らしいです」

と優花は答える。

「魔人族の襲撃!?それって…」

「今、ハイリヒ王国は侵略を受けています。碧刃達から知らせが来ました。魔人族と魔物の大軍による完全な不意打ちです」

ハジメの状況説明に愛子は顔面を蒼白にする。

「まずは外に出て皆に合流しよう」

ハジメの言葉に優花と鈴は頷き、3人は畑山を連れて塔を出るのだった。

 

 

オーダーヴァンガードの面々はリリアーナの案内でハイリヒ王国へと入る事が出来た。

そんな中、碧刃は各種センサーから多数のジーオスの反応を捉えた。

「ジーオスの反応…おそらく魔人族が外に来てるな…ハジメ、優花、鈴は畑山教師の救出を。後の者でジーオス等の相手をするぞ」

碧刃の指示に従ってハジメ、優花、鈴は畑山の救出へ向かう。

碧刃と綾波は一番巨大なジーオスの反応へ向かったのだが、その途中で2人は"テレイター"の反応が急速に近づいているのを感知し、そのテレイターは碧刃と綾波の姿を捉えると魔力弾を放ってきたのだ。

「「アデプタイズ!」」

「マグナコンボイ、トランスフォーム!」

「ダイノヴェイン、変身(マキシマイズ)!」

碧刃は本来の姿(マグナコンボイ)となり、綾波はダイノヴェインと一体化し、咄嗟に跳躍して回避する。エネルギー弾が命中した場所は爆音などなくただ砂より細かい粒子となり、夜風に吹かれて空へと舞い上がりながら消えていった。

「…分解…でもしたのか?」

「ご名答です、イレギュラー」

マグナコンボイにそう答えたのは白を基調としたドレス甲冑のようなものを纏っている女だ。

その顔は碧刃達がメルジーネ海底遺跡で見た幻影の中にいたローブを着た女と同じである。

「お前、テレイターだな?過去の記録映像の中にお前と同じ顔の人物がいた。それに私達はアデプトテレイターだ」

「やはり先に始末しておくべきでしたか」

その人物はそう呟くとこう返した。

「その通りです、イレギュラー。ノイントと申します。"神の使徒"として、創造主の盤上より不要な駒を排除します」

その人物―ノイントはそう返した後、戦車らしき物を顕現させてそれと一体化し一目のロボットへと姿を変える。

「トランステクターか…厄介な相手になりそうだな」

マグナコンボイはENソードとコンボイガンを手にノイントとの交戦に入ろうとしたが、その前にダイノヴェインが立ってこう言った。

「碧刃さんはジーオスの方に向かってください。彼奴は私がやります」

「わかった。任せるぞ、綾波」

「はい!」

マグナコンボイはビークルモードへ変形してそのジーオスの反応へ向かった。

 

 

ダイノヴェインとノイントが交戦を開始した頃、嵐はリリアーナ、メルド団長と行動を共にしていた。

「そんな…大結界が…砕かれた?」

リリアーナは信じられないといった表情で口元に手を当て震える声で呟いた。

リリアーナ達が王宮に入った直後、王都の夜空に大結界の残滓たる魔力の粒子がキラキラと輝き舞い散りながら霧散していき、再び轟音が王都を覆う光の膜のようなものが明滅を繰り返しながら軋みを上げて姿を現した。

「第二結界も…どうして…こんなに脆くなって…これでは、直ぐに…」

王都には外敵からの防衛線として三枚の巨大な魔法障壁が形成されており、そして三つのポイントに障壁を生成するアーティファクトが設置されている。

定期的に宮廷魔法師が魔力を注ぐことで間断なく展開維持している障壁は数百年に渡り魔人族の侵攻から王都を守ってきた。

しかし、その絶対守護の障壁が、一瞬の内に破られ、二枚目の障壁も破られようとしている。内側に行けば行くほど展開規模は小さくなる分強度も増していくが、二枚目も既に悲鳴を上げるかの様に脆くなっており、全て破られるのも時間の問題だった。

「不味い事になってきた。碧刃からの連絡で綾波が"神の使徒"と交戦を開始。神の使徒はトランステクターを保有している。他の皆もジーオスと交戦してて手が放せないみたいだね」

現在、王都内でも混乱が生じており、家から飛び出しては砕け散った大結界の残滓を呆然と眺める者もいれば、既に最小限の荷物だけ持って王都からの脱出を試みている者もいるし王宮内に避難しようと門前に集まって中に入れろと叫んでいる者達もいた。

「リリィ!メルド団長!」

そこへ駆けつけてきたのは八重樫達だ。彼女達もこの騒ぎで外に出てきて、偶然にもリリアーナとメルド団長の姿を発見したのだ。

「キシャァァァァァァァァァ!」

その時、咆哮を響かせながら3メートル程の大きさの白いジーオスが複数現れたのだ。

「まさか此処まで入ってくるとはな…」

「結界はまだ完全に破られていないのに…」

とメルド団長と天ノ河は口にする。

「考えられるのは結界に生じた僅かな綻びからの侵入、あるいは内通者による手引きだね」

状況を分析した嵐は自身の推測を述べる。

「後者の方が可能性としては高いな…だが、今は連中を始末しないと」

メルド団長は碧刃から託されたナイトソードを構え、ジーオスとの交戦を開始したのだった。

 

 

マグナコンボイはジーオスの反応の中でも一際大きな反応が出ている場所へ到着した。

「待っていたぞ、マグナコンボイ。お前が此処に来る事は予想出来ていた」

「フリードか」

其処へ現れたのは白竜に乗ったフリードだ。

「これから現れるジーオスがお前を滅ぼすだろう」

フリードが指を鳴らすと、そのジーオスは地面を割って現れた。

「グゥワッギャ、グゥワッギャ、ギシャァァァァァァァ!」

その個体にマグナコンボイは見覚えがあった。

以前、あかりとヴェルが見せた資料映像の中にいたジーオスの一つと酷似していたのだ…違いは外殻が白く、発光体が青い事だけだ。

「ジーオスX、か…とんでもないのを出してきたな」

ジーオスX…それは100年前に第46太陽系の地球の東京湾の建造途中だった人工島に出現し、あかりとヴェルによって倒された―そして綾波と嵐の前世ではあかりが自らの命と引き換えにして倒した巨大なジーオスである。

「やれ、ジーオスXイミテイト!」

フリードは白いジーオスXことジーオスXイミテイトに指示を出すと他のオーダーヴァンガードのメンバーとの交戦に向かい、マグナコンボイはジーオスXイミテイトとの交戦を開始したのだった。

 

 

一方、畑山を救出したハジメ達は道中、彼女の身柄を竜化しているティオと宮古に任せ、嵐やリリアーナ、メルド団長と合流したのだが、彼らは白いジーオスと"死んだ騎士"達に囲まれていたのだ。

「この騎士達…まさか」

「そのまさかだよ、鈴」

その声に鈴は上空へ視線を向ける。其処にいたのは白いジーオスに跨がっている中村だった。

「恵里…」

鈴が呟いた後、中村は白ジーオスから降りて地面へ着地する。

「ハジメ君、みぃ~つけた」

更にハジメの背後から白崎が現れ、ハジメと八重樫はそれぞれの武器を構える。

「雫ちゃん、私に剣を向けて…まさか殺す気なの?」

「えぇ、香織。私には貴方を殺してでも止める責任があるわ」

「シズシズの言う通り…私も恵里を殺してでも止める!」

鈴はハンドガンの銃口を中村に向け、中村は不適な笑みを浮かべる。

「鈴が私を殺してでも止める?ふっ、はっはっはっはっ!傑作だね!これは!」

「っ!恵里!」

鈴は中村に向けてエネルギー弾を発砲、中村はそれを白ジーオスや傀儡兵で防ぐと彼らに鈴や他の者達を攻撃するよう指示を出す。

一方、白崎はハジメを殺して傀儡にしてもらう前に八重樫を片付けるのが先決だと判断して彼女と交戦を始めるのだった。

 

王国各地で戦闘中のオーダーヴァンガードの面々だったが、その交戦の最中で異変が生じた。

まるで、体の中からあらゆるエネルギーが抜き出されているかの様な感覚に襲われ、魔力が霧散していくのだ。しかも、光の粒子のようなものがまとわりついて動きを阻害しているのだ。

「…状態異常の魔法…!」

「…流石総本山。外敵対策はバッチリってところですね…!」

とフリードと交戦していたユエとシアはそう言う。

 

 

聖教教会の教皇たるイシュタルとその配下の司祭達は、"本当の神の使徒"たるノイントが"可変外装"を纏って戦っている事に気が付き、援護すべく"覇堕の聖歌"という魔法を行使した。

これは、相対する敵を拘束しつつ衰弱させていくという凶悪な魔法で、司祭複数人による合唱という形で歌い続ける間だけ発動するという変則的な魔法である。

「イシュタルですか。…あれは自分の役割というものをよく理解している。よい駒です」

ノイントは感情など感じさせない眼差しを恍惚とした表情で地上から自身を見つめているイシュタルに向ける。

因みにノイントは自身が"創造主"からトランステクターを託された事、それがどんな姿なのかを話している。

イシュタルの表情を見れば、ノイントの戦いに協力しているという事実こそ人生の絶頂といった様子のようである。

ノイントはダイノヴェインへの猛攻を続け、肩のキャノン砲からエネルギー弾を放ち、両腕の回転ノコギリでダイノヴェインのボディを切り裂こうとする。

ダイノヴェインはサイバーシールドでそれらを防いではいるが、イシュタル達の妨害によって防戦一方となっていた。

幸いなのは影響を受けているのは動力やエネルギー弾として使用している分のエネルギー…つまりEN粒子のみであり、武器やボディにコーティングされたEN粒子が効果を失い、機体や武器の強度が下がるという事はない事だろう。

しかし、決して壊れないという訳ではない。攻撃を受け続けていればその箇所はいずれは破壊される。

ノイントは両腕のペンチアームでサイバーシールドを掴むとダイノヴェインから奪い取り、引きちぎって破壊した。

「サイバーシールドが…」

ノイントはその剛腕でサイバーシールドを失ったダイノヴェインを殴り、テールサーベルをへし折って肉弾戦に持ち込み、何度も何度も殴っては蹴り、対するダイノヴェインはイシュタル達の妨害もあって劣勢を強いられていた。

ノイントは右のペンチアームでダイノヴェインの頭を掴む。

そして戦意を喪失させた上で止めを刺そうとダイノヴェイン(綾波)の脳をスキャンし、記憶を読み取ったのだ。

「ほう、興味深いですね」

ノイントはダイノヴェインを投げ捨てると右足で踏み押さえ、更にその光景を投影魔法で碧刃達に見せるかの様に映す。

「貴女は自分の事を元人間のアデプトテレイターだと思っている」

「その通り…私は前世が人間だったアデプトテレイター…です!」

「確かにそう。しかし、貴女は僅かながらに覚えている筈…"人間より前の前世"の事を」

「どう言う事…ですか…!?」

「思い出せないのから思い出させてやりましょう」

ノイントはダイノヴェインからスキャンした記憶のある一片を映像として映し出す。其処に映し出されているのは白い巨大な恐竜らしき生物が他の恐竜や人間を殺戮していく光景だった。

その白い恐竜らしき生物にマグナコンボイや第46太陽系の地球出身の者達は見覚えがあった。何故なら歴史の教科書でその恐竜が引き起こした惨劇について記載されていたからだ。

ノイントはダイノヴェインをペンチアームで解体し、綾波を引き摺り出す。綾波の表情は真実に気付きながらもそれを受け入れたくなくて絶望し震えている…そんな感じだ。

「まさか…」

綾波は漸くそれが夢でない事をはっきりと理解した。

自分が体験した訳ではないのに自分が体験したかの様に感じる夢…白い恐竜が狂気に呑まれて他の恐竜や人間を次々と殺してしまう夢…以前からたまに見ていたが、アデプトテレイターに転生してから転生前より多い頻度で見るようになった夢。だが、それは単なる夢なのではなく、綾波が前世のそのまた前世…言わば前々世で実際に体験した事なのだ。

「やめて…ヤメテ…」

「貴女は元々人間ですらない。人の手によって複数の生物の遺伝子を掛け合わせて造り出され、狂気に呑まれて殺戮の限りを尽くした醜い怪物…貴女の名は」

そして、ノイントは綾波の前々世の名前―その怪物の名前を口にした。

 

 

 

 

制御不能な王(インドミナス・レックス)

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

 

マグナコンボイの強化について(1の場合、マグナコンボイ自体の外見はそのまま)

  • 1:マトリクスソード進化
  • 2:G2バトルコンボイ型へリフォーマット
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