青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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やっとの思いでこの話を書く事が出来ました。

オーダーヴァンガードと綾波の下りは感情をぶつけるかの様にちょっと感情的になりながら書きました。

因みにノイントのトランステクターはビーストマシーンズ(ビーストウォーズリターンズの原語版)のタンカー(現在のヴォイジャークラスに該当するメガクラス版で日本未発売。リカラーでオブシディアンとセットになったTFユニバース版は日本でも限定販売された)がモチーフになってます。


第37話『王都決戦―魂のエヴォリューション―』

 

 

ハイリヒ王国のある施設にある牢屋にて檜山は力を封じられた上で投獄されていた。

外がどんな状況かもわからない…わかるのは騒ぎが起きている事くらいだ。

「何が起きてやがるんだ…!」

檜山が舌打ちしたその時、壁が突然崩壊し、3メートル程の大きさの白いジーオスが現れた。

「じ、ジーオス!?何で此処にいやがるんだ!?」

檜山はウルの街やオルクス大迷宮などでジーオスが出現した事を知らされていなかったのだ。

檜山の疑問に答える事なく白ジーオス達はその牙を檜山に向ける。

「ひ、ひぃ!来るなぁ!」

檜山はこれまでの愚行の報いを受けるかの様に白ジーオスによって食い殺されるのだった。

 

 

 

 

イシュタル達による魔法…覇堕の聖歌によって弱体化しているオーダーヴァンガードの面々は交戦中の相手と防戦状態に陥っていた。

「やはりイシュタル達を何とかしないといけない、か…」

マグナコンボイはそう呟く。現在、イシュタル達から一番近くにいるのはダイノヴェインなのだが、そのダイノヴェインはノイントと交戦中で動けず、次に一番近くにいるティオ&宮古&畑山とハジメ達もジーオスや傀儡兵の相手をしている。

対策についてマグナコンボイが考えていたその時、マグナコンボイやオーダーヴァンガードの面々の周辺に映像が映し出され、ノイントに敗北したダイノヴェインの姿が映し出されていた。

『貴女は自分の事を元人間のアデプトテレイターだと思っている』

『その通り…私は前世が人間だったアデプトテレイター…です!』

『確かにそう。しかし、貴女は僅かながらに覚えている筈…"人間より前の前世"の事を』

『どう言う事…ですか…!?』

『思い出せないのから思い出させてやりましょう』

ノイントはダイノヴェインからスキャンした記憶のある一片を映像として映し出し、それを見たダイノヴェイン―綾波は絶望の表情を浮かべる。

『まさか…やめて…ヤメテ…』

『貴女は元々人間ですらない。人の手によって複数の生物の遺伝子を掛け合わせて造り出され、狂気に呑まれて殺戮の限りを尽くした醜い怪物…貴女の名は制御不能な王(インドミナス・レックス)

インドミナス・レックスという名前をマグナコンボイは聞き覚えがあった…いや、あかりとヴェルが以前話していたのだ…ある一匹の恐竜の事を。

 

 

 

 

100年前、第46太陽系の地球のコスタリカにあるイスラ・ヌブラル島に存在していた"ジュラシック・ワールド"はクローニング技術で蘇った生きた恐竜達を見たり触ったり出来る複合リゾート施設だった。

 

そのジュラシック・ワールドの科学者達はある日、一つの過ちを犯した。複数の恐竜や現存生物の遺伝子を掛け合わせた新種の恐竜の創造であり、それによって生み出されたのがインドミナス・レックスである。

 

インドミナス・レックスは(パドック)の中に隔離されて育たれたのだが、空腹以外何も満たされない…狩猟本能や性欲などが満たされない環境で育った故に彼女は狂気に呑まれてしまい、ある日職員を罠にかけて殺害し、パドックから脱走し、狂気のままに人間達や恐竜達へ殺戮の限りを尽くした。

 

そんな彼女を止めようと戦ったのが当時視察でジュラシック・ワールドに訪れていたあかりとヴェル、ヴェロキラプトルの調教師のオーウェンとその仲間達、そして4匹のヴェロキラプトルとジュラシック・ワールドの運営責任者だったクレアが切り札として解放したティラノサウルスである。

ティラノサウルスのレクシィとヴェロキラプトルの一匹であるブルーによって湖まで追い込まれていったインドミナス・レックスは其処で飼育されていたモササウルスによって湖の中へ引き摺り込まれ死亡した。

 

この惨劇によりジュラシック・ワールドは閉鎖され、生き残った恐竜達は後にネストと協力者の手によって全てとある無人島へ移送され、イスラ・ヌブラル島は火山噴火によって暫く人が住めない地となった。

 

この一連の出来事の概要は碧刃達の世界では歴史の教科書に記されているのだが、人類とアデプトテレイターの戦争が勃発した綾波と嵐の世界線では戦争の最中、歴史の中に埋もれてしまったのだった。

 

 

 

 

現在、惑星トータスのハイリヒ王国にて綾波は前々世…自分がインドミナス・レックスであった事を思い出してしまい、その場に崩れ落ちた。その瞳に光は宿っておらず

「私は狂気に呑まれて色んな命を殺した…殺す事を楽しんでしまった…私は…私は…」

と呟いた後、胃の中の物を吐き出した。

「そう、貴女は狂気に呑まれて殺戮を快楽として楽しんでしまった怪物、人間のふりをした醜い怪物」

ノイントは綾波はもう戦う意思すらないと判断したのか

「貴女が仲間だと思っている連中の最期を見届けさせてから始末してあげましょう」

とノイントは綾波を掴んでそう言うのだった。

 

ある場所でティオと宮古は白ジーオスと戦いつつノイントが映し出した映像を見た。

「インドミナス・レックスじゃと?」

「前世で見た映画に出てきた人間の行いで生み出されて人間に振り回された可哀想な恐竜だよ。まさか綾波がインドミナス・レックスだったなんて…」

 

ジュラシック・ワールドやインドミナス・レックスを知っている者も知らない者も動揺したり困惑している中

「インドミナス・レックス…多くの命を奪った悪魔…!彼奴は魔物と変わらない!また多くの人々を殺す前に始末すべきだ!」

と天之河は綾波(インドミナス・レックス)を批難するが、その天之河に向けて嵐は殺気を放ち、こう告げた。

「あんたは黙ってろよ、糞勇者野郎。あんたに綾波の何がわかるって言うのさ!」

「そ、それは彼奴が脱走して多くの命を奪った―」

「じゃあ、今の綾波がそんな事を、狂気に呑まれて殺戮に快楽を覚えるって思っているのか!?」

嵐の言葉に天之河は言い返せなかった。

「あんたは僕達を迫害したジーオス教や反アデプトテレイター派の連中と変わらない屑だよ」

嵐は天之河に軽蔑の眼差しを向け、その場にいた誰もが今のは天之河が悪い、と心の中で彼を批難するのだった。

嵐は白ジーオスを撃ちながら綾波に向けて言葉を送る。

「綾波、君がインドミナス・レックスだとしても君が君である事に変わらない!僕は君から貰った優しさを忘れない!」

 

「そうだよ、前々世がどうだったとしても―」

「綾波は綾波じゃ!」

宮古とティオが

 

「鈴達は綾波がインドミナス・レックスだったとしても!」

「「()達は受け入れる!」」

鈴とハジメと優花が

 

「…嵐達の言う通り!」

「ですぅ!」

ユエとシアが

 

「綾波、私…いや私達に取ってお前は家族も同然だ。だからこそ私はお前が抱えている闇を受け止めてやる!お前が背負っている罪を私も背負ってやる!」

そしてマグナコンボイが綾波に言葉を送り、綾波はその言葉に涙を流していた。

「私はいて良いのですか…?」

「寧ろ勝手にいなくなっては困るしそんな事、許可するつもりはない」

マグナコンボイ達の言葉に綾波は再び戦おうとしたが、身体が思うように動かなかった。

「まだ歯向かう気ですか?ならば、貴女の始末を先にやりましょう」

ノイントはそう言うと綾波を思いっきり地面に叩き付け、綾波は気絶してしまい、ノイントは肩の砲塔から砲撃を放つ準備をするのだった。

 

 

―side:Ayana―

 

 

此処は何処ですか…?

「確か私は…ノイントと戦って負けて…自分が誰なのかを知って碧刃さん達の言葉でまた戦おうとして…そうか、私は負けたんですね。もっと碧刃さん達と一緒に…」

「ダァー!何諦めてんだよ!」

「誰…ですか?」

私は辺りを見回して声の主を探して、漸く見付けました。

声の主はダイノヴェインによく似たトランスフォーマーでした。いや、ダイノヴェインが彼に似ているのかもです。

「もしかして貴方はダイノヴェインのベースになった―」

「俺のこたぁ良いんだよ。それよりもお前だ。お前はどうするんだ!?」

「私は…まだ諦めたくないです。碧刃さんや皆と一緒にいたいです!私が怪物(インドミナス・レックス)だと知っても受け入れてくれた皆さんに…」

「一つ、良いか?」

「はい、何ですか?」

「俺は自分の運命は自分で切り開くもんだと思っている。俺はデストロンのビースト戦士(プレダコン)として生まれたが、ある星にやってきて自分の意志でサイバトロンのビースト戦士(マキシマル)として戦うことを選んだ。

けどよ、ある日、俺はその星が太古の地球だと気付いてこのままじゃデストロンが勝つと考え、デストロンに再加入しようとした。その証としてある重要な物をデストロンのリーダーに渡しちまった。だけどよぉ、結局はサイバトロンの仲間との友情を捨てることができなかった」

「サイバトロンに戻ったのですか?」

「そうだ。だけど、罪悪感を拭えずにいた。そしてメガトロンはその物の情報を元に未来でサイバトロンと協力関係となりデストロンの邪魔者となる人類を消し去ろうと人類の祖先へと襲撃にかかりやがった。

俺はディスクを渡した責任から人類と自身の祖先達を守る為、そして運命は刻まれているのではなく自分で刻むものと証明する為に戦った」

「証明する事は…?」

「出来た。まぁ、死んじまったけどな。とにかくだ、自分が何者だったのかは関係ねぇ、自分が何者か、その運命は自分で決めるって事だ」

「私にも出来る…ですか?」

「ああ、出来る。だからよ、何時までもこんな場所にいるんじゃなくて仲間の元へ戻りな。お前には帰るべき場所が、仲間が待っているんだからよ!」

私の後ろに扉が出現しました。この扉を開けたら元の世界に戻れるという事ですね。扉を開ける前にお礼を言わないと。

「あの!ありがとうございました!」

「頑張れよ!」

 

 

―side out―

 

 

ノイントは綾波にトドメを刺そうとエネルギー弾を放とうとしたが、その前に綾波は意識を取り戻して立ち上がり、ハンドガンを発砲する。

「まだ立ち上がるとは」

「当然です!私は此処でくたばる訳にはいかないです!」

「そうですか。ですが、どうやって私に勝つのですか?貴女のトランステクターは大破して使い物には―っ!」

ノイントは驚きを隠せなかった…大破した筈のダイノヴェインが綾波と共に立ち上がったのだ。

無感情だった筈のノイントはこの時、恐怖を感じていた…何故かはわからないがこのままではこいつ(綾波)に殺される、と。

「貴女は一体何者だと言うのですか…!」

ノイントの言葉に綾波は闘争本能をむき出しにしてこう答えた。

「私は高坂綾波…オーダーヴァンガードの一人たるアデプトテレイターにして鬼神竜の戦女神!そして嘗てジュラシック・ワールドで暴れまわった制御不能な王…インドミナス・レックスだった者です!」

綾波の叫びと共にダイノヴェインは光に包まれ、綾波の脳裏にある言葉が…あの不思議な空間で出会ったサイバトロンのビースト戦士(マキシマル)の言葉が響いてきた。

『内なる野獣(ビースト)を手懐けろ!』

 

 

 

 

一方、惑星トータスの外で待機していたネストが所有する次元航行船"アクサロンMk-2"ではダイノヴェインの反応が喪失した後、再び反応が出ると同時にダイノヴェインに魔力粒子が集中している事を感知していた。

「つばめさん、これってまさか…」

オペレーターの一人は立木つばめに問う。

「あぁ、試験的に組み込んだ再構築(リフォーマット)プログラムが作動したな」

つばめは一部のトランスフォーマー達が持っているとされている再構築(リフォーマット)プログラムを一部のトランステクターに組み込んだ。

このプログラムは機体が大破したなどの戦闘不能状態に追い込まれた時に特定条件下で作動するものである。

「理論上の作動条件は再構築に必要な金属もしくは金属細胞、魔力粒子が充分にある事、そしてアデプトマスター本人の強い意思だが…まさかこの条件がすべて揃うとはな」

とつばめは驚きつつも不適な笑みを浮かべた後、部下にこう指示を出した。

「トランステクター3機と補給物資を送る準備を進めろ!タイミングを見て投下する!」

 

 

 

 

再びハイリヒ王国。大破した筈のダイノヴェインは大気中の魔力粒子とジーオスの残骸を取り込んでそのボディを再構築していく。

羽毛のないラプトルだったビースト時の外装はジーオスの金属細胞を取り込んだ事で光沢ある金属の外装(トランスメタルスボディ)へと変化し、その大きさも倍はあろうかという程に巨大化した。

全体的なフォルムは後頭部に生えている2本の角を除けばティラノサウルスに近いが、その両腕は綾波の前々世たるインドミナス・レックスを彷彿とさせる長さになっていた。

再構築(リフォーマット)が完了したダイノヴェインはノイントに向かって咆哮し、綾波は深呼吸した後、こう口にした。

「アデプタイズ!メタルスダイノヴェイン、変身(マキシマイズ)!」

綾波はダイノヴェイン…否、メタルスダイノヴェインと一体し、ロボットモードへと変化する。

嘗てはマグナコンボイより一回り小さかった身体はマグナコンボイを上回る巨体となっており、右手には大剣"タイラントブレード"を、左手には尻尾が変形したレックスメイスをそれぞれ持ち、更に右腕にはスパイクシールドが装備されている。

ノイントは肩のキャノン砲を発砲するが、メタルスダイノヴェインは巨体に見合わねスピードで回避し、タイラントブレードでノイントの左腕を切断し、回し蹴りでノイントを瓦礫の山にぶつける。

ノイントは立ち上がると魔法による攻撃を放とうとするが、その前にメタルスダイノヴェインは足裏のスラスターでノイントとの間合いを一気に狭めるとレックスメイスでキャノン砲を粉砕し、スパイクシールドを右腕に突き刺すとレックスメイスでノイントの胴体を殴る。

殴られたノイントは中の本体まで凄まじい衝撃に襲われ、メタルスダイノヴェインはバックステップで一旦下がるとタイラントブレードをノイントの腹部に突き刺し、その刃はノイント本体をも貫き、メタルスダイノヴェインは嘗て自分がそうされた様にノイント本体をトランステクターから引きずり出すと空中へ投げ

「ビーストモード!」

と叫んでビーストモードへと姿を変えてノイント本体を口でキャッチするとその牙で噛み砕いた後に咥内に魔力粒子を溜めた末に一気に解き放ち、ノイント本体を完全に消滅させた。

「綾波!」

其処へ背中に畑山と宮古を乗せたティオがメタルスダイノヴェインに合流する。

「教会の連中が妾達を弱体化させる魔法を放っておる」

「ならば、そいつらを仕留めれば良いです」

とティオとメタルスダイノヴェインは視線を聖教教会総本山に向ける。

「あのっ、私にも手伝わせて下さい!早急にイシュタルさん達をどうにかしておかないと、頼尽君達はどんどん衰弱してしまいます」

「わかりました。畑山さん、貴女は言語理解以外にどんな魔法が使えるですか?」

「えっと、土壌管理に土壌回復[+自動回復]、範囲耕作[+範囲拡大][+異物転換]、成長促進、品種改良、植物系鑑定、肥料生成、混在育成、自動収穫、発酵操作[+急速発酵][+範囲発酵][+遠隔発酵]、範囲温度調整[+最適化][+結界付与]、農場結界、豊穣天雨です」

メタルスダイノヴェインはふとある事を考えた。神山と言えど、人が暮らす場所であるから発酵できるものは大量にある。それを利用すれば簡単に教会ごとイシュタル達を始末できる…そう考えたメタルスダイノヴェインは畑山とティオにこう告げる。

「発酵操作が使えそうですね。畑山さん、教会総本山の周辺に発酵操作を発動させてほしいです。ティオさんは発酵操作が風に吹かれて霧散しないように風を操って一定範囲に留めてください、です。宮古さんはティオさんの援護を、接近してくるジーオスを仕留めてください」

「は、はい!」

「承知したのじゃ!」

「ラジャった!」

メタルスダイノヴェインの言葉に畑山は教会周辺に発酵操作を行い、ティオは風を操って発生した可燃性ガスを一定範囲に留め、宮古は接近してくるジーオス達をスナイパーライフルで確実に仕留めていく。

「ティオさん、私達のブレスで教会を殺るです!」

「うむ!」

メタルスダイノヴェインとティオは口から魔力によるブレスを放ち、大聖堂を含む聖教教会総本山は可燃性ガスに引火した事による爆発によって巨大なキノコ雲と轟音を立てながら崩壊し、イシュタル達は逃げる間もなく爆殺された。

畑山と宮古を乗せたティオが吹き飛ばされた中、踏ん張ったから吹き飛ばされずに済んだメタルスダイノヴェインは夜天を焦がす巨大なキノコ雲を背景に瓦礫の上に立ち、月下に照らされながら天に向かって咆哮する。

 

 

己の存在―制御不能な王(インドミナス・レックス)が甦った、ということを知らしめるかの様に。

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

マグナコンボイの強化について(1の場合、マグナコンボイ自体の外見はそのまま)

  • 1:マトリクスソード進化
  • 2:G2バトルコンボイ型へリフォーマット
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