青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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昨日、駿河屋でポチったコンボバットが局留めにしてた郵便局に届いたものの、その郵便局の営業終了時間に届いた+土日は営業してないので受け取れるのが明後日月曜日という悲しみ…日曜日に思いっきり堪能しようと思ってたのに…


代わりにタカトミモールから届いた物を堪能します←



そうそう、前回の話に登場した天之河はジーオスのコアになっただけ(例えるなら鉄血のオルフェンズのグレイズアインでのアイン・ダルトン)なのでアデプトテレイター化ではなかったり…


第46話『樹海の大樹』

 

 

「かぁーー、ちくしょうが!わーたよっ!俺の負けだ!要求を呑む!だから、これ以上、無差別に爆破すんのは止めろ!」

「それは重畳。では誓約の言葉を」

淡々としたカムの言葉にガハルドは苦笑いを浮かべつつ肩の力を抜くと、会場にいる生き残り達に向かって語りかけた。

「はぁ、くそ、お前等、すまんな。今回ばかりはしてやられた。…帝国は強さこそが至上。こいつら兎人族ハウリアは、それを"帝城を落とす"ことで示した。民の命も握られている。故に、"ヘルシャーを代表してここに誓う!全ての亜人奴隷を解放する!ハルツィナ樹海には一切干渉しない!今、この時より亜人に対する奴隷化と迫害を禁止する!これを破った者には帝国が厳罰に処す!その旨を帝国の新たな法として制定する!"文句がある奴は俺の所に来い!俺に勝てば、あとは好きにしろ!」

「ふむ、正しく発動したようだ。ヘルシャーの血を絶やしたくなければ、誓約は違えないことだ」

「わかっている」

「明日には誓約の内容を公表し、少なくとも帝都にいる奴隷は明日中に全て解放しろ」

「明日中だと?一体、帝都にどれだけの奴隷がいると思って…」

「やれ」

「くそったれ!やりゃあいいんだろう、やりゃあ!」

「解放した奴隷は樹海へ向かわせる。ガハルド。貴様はフェアベルゲンまで同行しろ。そして、長老衆の眼前にて誓約を復唱しろ」

「一人でか?普通に殺されるんじゃねぇのか?」

「我等が無事に送り返す。貴様が死んでは色々と面倒だろう?」

「はぁ~、わかったよ。お前等が脱獄したときから何となく嫌な予感はしてたんだ。それが、ここまでいいようにやられるとはな。…なぁ、俺に、あるいは帝国に、何か恨みでもあったのかよ、頼尽碧刃」

ガハルドは碧刃の手引きではないかと考え、彼に問うが彼は壁にもたれながら綾波からケーキを食べさせもらっており、如何にも無関係だと言わんばかりであり、その無言の返答にガハルドは盛大に舌打ちする。

「ガハルド、警告しておこう。確かに我等は、我等を変えてくれた恩人から助力を得た。しかし、その力は既に我等専用として掌握している。やろうと思えば、いつでも帝城内の情報を探れるし侵入もできる。寝首を掻くことなど容易い。法の網を掻い潜ろうものなら、御仁の力なくとも我等の刃が貴様等の首を刈ると思え」

「専用かよ。羨ましいこって。魔力のない亜人にどうやって大層なアーティファクトを使わせてんだか…」

「案ずるな、ガハルド。アーティファクトは許可を受けた者達しか扱えないようになっている。お前が誓約を宣誓したところで、調子に乗って帝国を攻めることなど有り得んよ。もしそうなったら、愚か者達が所持している物は不許可になり使用できなくなる」

その言葉にガハルドはカム達はただひたすら亜人族の不遇改善と戦争の回避を望んでいると察する。

「そうかい。よーくわかったよ。だから、いい加減解放しやがれ。明日中なんて無茶な要求してくれたんだ。直ぐにでも動かなきゃ間に合わねぇだろうが」

「…いいだろう。我等はいつでも貴様等を見ている。そのことを忘れるな」

その言葉を最後にスポットライトが消え、ハウリア達が撤退していく中、碧刃に通信が入った。

『銃士閣下、こちらアルファワン。全隊撤退します。数々のご助力、感謝のしようもありません』

『私達はシアの為に少し手を貸しただけだ。気を抜くな、まだ全て終わったわけじゃない。むしろ、これから先こそが本当の戦いだ。"皇帝一族を排しても"そんな愚か者がいないとも限らないからな』

『心得てます、銃士閣下。元より戦い続ける覚悟は出来ています。この道が我々が歩むと決めた道ですから』

『そうか。覚悟があるなら是非もない。兵士達よ、見事だった』

碧刃の言葉にカム達は

『オォオオオオオオオオオオオ!!』

と喜びの雄叫びを上げたのだった。

 

 

―side:Magna Convoy―

 

 

「くそっ、アイツ等、放置して行きやがったな。…誰か、光を…」

ガハルド皇帝がそう言う中、私は宝物庫から発光する鉱石を取り出し天井に飛ばし、光石は天井付近で浮遊すると一気に夜闇を払い、昼間と変わらない明るさをパーティー会場にもたらした。

至る所におびただしい量の血が飛び散り、無数の生首が転がっている。胴と頭がお別れしていない者でも無事な者は一人もおらず、全員が手足の腱を切られて痛みに呻きながら床に這いつくばり、貴族令嬢は恐怖と痛みで失禁しているものも少なくない。

辛うじて意識を保っていた気丈な一部の令嬢達も視界の端に映ったシアの兎耳を見た瞬間、声にならない悲鳴を上げて白目を剥きながら気絶した。男でも少なくない者が失禁しながらシアに怯えた目を向けている。

リリアーナ姫とメルド団長は無事だが呆然としている…いや、リリアーナ姫はよく見ると失禁していた。

他に無事なのは私達以外だと坂上と八重樫くらいか。

そんな中、最後まで戦闘を行っていた者達は憎しみの籠った眼で私達を睨んできている。

「おい、頼尽碧刃!お前等に帝国に対する害意がないってんなら、嫁とイチャイチャする前に治療するなり、人を呼ぶなりしてくれてもいいんじゃねぇか?」

「お前の部下達が治療した瞬間に襲いかかってきそうだが、その場合はそのまま殺っても良いか?」

「いいわけ無いだろ!おい、お前ら!そこの化け物には絶対手を出すなよ!確実にハウリア族とグルで、いい女ばっか侍らしてるいけすかねぇ奴でも無駄死には許さねぇぞ!」

生き残ったガハルド皇帝の部下達は自分達の主からの生き残れという命令に悔しそうに目元を歪める。

「ほれ、お前のことを殺したくても、実際に化け物の顎門に飛び込むような馬鹿は、ここにはいねぇ。俺がさせねぇ。そろそろ出血がヤバイ奴もいるんだ。頼むぜ」

「向かってこないなら別にいいだろう」

私達は神水で生き残った者達を回復させる。

回復しても意識を閉ざしたままの令嬢達や腰を抜かしたままの貴族達を尻目に、戦闘可能な者は即時にガハルド皇帝の周囲に固まって私に向けて警戒心を向きだしにする。

「だから、よせっての。殺気なんか叩きつけて反撃くらったらマジで全滅すんぞ」

「しかし、陛下!アイツ等は明らかに手引きを!」

「そうです!皇太子殿下まで…放ってはおけません!」

「このままでは帝国の威信は地に落ちますぞ!」

仕方ない、力の差を見せ付けてやるか…私は皆に下がるように言うとトランステクターを顕現させ

「アデプタイズ、マグナコンボイ、トランスフォーム」

私は本来の姿(マグナコンボイ)となり、床を突き抜ける。

私の姿と放った殺気にガハルド皇帝達の部下も漸く理解したのか、腰を抜かしてしまう。

「分かっただろ。こいつは正真正銘の化け物だ。ただ一人で万軍を歯牙にもかけず滅ぼせる、そういう手合いだ。…強ぇんだよ、その影すら踏めない程な。奴に従えとは言わねぇが、力こそ至上と掲げる帝国人なら実力差に駄々を捏ねるような無様は晒すな!

それはハウリア族に対しても同じだ。最弱のはずの奴等が力をつけて、帝国の本丸に挑みやがったんだ。いいようにしてやられたのは、それだけ俺達が弱く間抜けだったってだけの話だろう?このままで済ますつもりはねぇし、奴等もそうは思っていないだろうが…まずは認めろ。俺達は敗けたんだ。敗者は勝者に従う。それが帝国のルールだ!それでもまだ、文句があるなら俺に言え!力で俺を屈服させ、従わせてみろ!奴等がそうしたようにな!」

ガハルド皇帝の怒声に腰を抜かしていた者達は視線すら向けられず、ガハルド皇帝の周囲の部下達は僅かに逡巡した後、彼の前で頭を垂れた。

最後まで戦い抜いたガハルド皇帝の言葉は、主であるという事以上に、重かっただろう。

 

 

こうして帝国の亜人奴隷達はカムの要求通りに解放され、私達は彼らをガンホーMk-2の下部に装備したコンテナに乗せてフェアベルゲンまで送り届けた。

また、ガハルド皇帝はフェアベルゲンにて長老衆に宣誓する為に、リリアーナ姫は同じ人間族の王族にしてハイリヒ王国の王女としてその宣誓を見届けるために、メルド団長はリリアーナ姫の護衛もあるが彼女と共に宣誓を見届ける為に同乗している。

「なぜ、こんな金属の塊が飛ぶのかさっぱりわからん。だが、最高に面白いな!おい、南雲ハジメ、お前が作ったんだってな。俺用に一機用意してくれ。言い値を払うぞ」

ガハルド皇帝は好奇心で輝く瞳をハジメに向ける。

「えっと、その辺りは碧刃に訊いてみてください、皇帝陛下」

丸投げか…

「頼尽、頼む」

「金なら間に合っているから諦めてほしい。乗るのは今回限りだろう」

「そういうなよ。一機だけ、小さいのでいいんだ」

「私達に何のメリットもない」

「金がダメなら女だ!娘の一人にちょうどいい年の奴がいる。ちょっと気位は高いが見た目は上玉だぞ。お前のハーレムに加えてやるから、な?いいだろう?」

ガハルド皇帝の言葉に綾波達は

「駄目です」

「「駄目だよ」」

「駄目だね」

という返答が来た。

「…そういうことだ」

「チッ、見せつけやがって…」

因みにリリアーナの婚約に関してはそれどころではなく、帝国から王国に援助を頼みたいという状況(因みにバイアス皇太子がリリアーナ姫を強姦しようとした事は王国にも伝わっており、国王は流石に怒りを隠せなかったらしい)で、リリアーナ姫の輿入れは白紙撤回となった。

状況が落ち着いて皇族の命の安全性が一応でも確認されれば、その時改めて、ランデル殿下にガハルド皇帝の娘を嫁がせるという形がベターだろう。

 

フェアベルゲンに到着後、亜人達は家族や友人との再会に喜びを分かち合い、ハウリア族は亜人族解放の英雄となり、カムはハウリア族族長から兎人族長老兼諜報部隊の司令官へと昇格した。

ガハルド皇帝は長老達の前でも宣誓した後、グランドブリッジで帝国へ返し、リリアーナ姫やメルド団長も王国へ帰っていった。メルド団長とケインズはすっかり意気投合したのか今度一緒に酒を飲む約束をしたらしい。

私達は霧が晴れるまでフェアベルゲンに滞在する事になったのだが、それはもうお祭り騒ぎだった。

 

 

そして、フェアベルゲンに到着してから二日目、ちょうど大樹への道が開ける周期が訪れた。

ハウリア族に案内されながら進み、道中、当然のように樹海の魔物が霧に紛れて奇襲を仕掛けて来たのだが、私は基本的に八重樫や坂上に任せている。

ハルツィナ樹海の大迷宮がどのような試練を用意しているかわからない以上、初挑戦の彼等に樹海の魔物でウォーミングアップをしてもらった方が良いからな。勿論、2人だけでは対処できないから其処は鈴や嵐がフォローする。

 

「みなさ~ん、着きましたよぉ~」

シアが肩越しに振り返りながら大樹への到着を伝え、濃霧の向こう側へ消えていくシアを追って私達も前へ進むと霧のない空間に出た。前方には以前見た時と変わらない枯れた巨大な木がそびえ立っていた。

「これが…大樹…」

「でけぇ…」

「すごく…大きいね…」

「これ程の巨木、僕も見たことがないよ」

と八重樫、坂上、鈴、嵐が呟く中、ハジメは今まで攻略して来た大迷宮の証を取り出しながら根元にある石版のもとへ歩み寄り、私達も其処へ集まる。

「カム、何が起こるかわからないからハウリア族は離れておけ」

「了解です、銃士閣下。ご武運を」

カムを筆頭とするハウリア族が敬礼し散開した後、攻略の証である指輪を石版の窪みにはめ込んだ。一拍置いて、石版が淡く輝き出し文字が浮き出始め

"四つの証"

"再生の力"

"紡がれた絆の道標"

"全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう"

と以前来た時と同じ文字が浮かび上がった。

「使う証は神山以外のでいいかな」

ハジメはそう呟きながら"ライセンの指輪"、"グリューエンのペンダント"、"メルジーネのコイン"をそれぞれ順番にはめ込んでいき、一つはめ込んでいく度に石版の放つ輝きが大きく強くなっていく。

そして、最後にコインをはめ込んだ直後、その輝きが解き放たれたように地面を這って大樹に向かい、今度は大樹そのものを盛大に輝かせた。

「む?大樹にも紋様が出たのじゃ」

「…次は、再生の力?」

ティオの興味深げな呟き通り、大樹の幹に七角形の紋様が浮き出ており、ユエはその輝く紋様に歩み寄るとそっと手を触れながら再生魔法を行使する。

すると今までの比ではない光が大樹を包み込み、ユエの手が触れている場所から、まるで波紋のように何度も光の波が天辺に向かって走り始め、大樹は燦然と輝きながらまるで根から水を汲み取るように光を隅々まで行き渡らせ徐々に瑞々しさを取り戻していく。

「あ、葉が…」

シアが呟いた様に大樹は生命力を取り戻していき、枝にポツポツと葉が付き始める。まるで、生命の誕生でも見ているかのような、言葉に出来ない美しさだ。私達の眼前で大樹は一気に生い茂って鮮やかな緑を取り戻す。

直後に少し強めの風が大樹をざわめかせ、辺りに葉鳴りを響かせると、次の瞬間、突如として正面の幹が裂けるように左右に分かれ大樹に数十人が優に入れる大きな洞が出現した。

 

 

私達は顔を見合わせ頷き合うと、躊躇うことなく巨大な洞の中へ足を踏み入れた…は良いのだが、洞の中は特に何もない、ただ大きな空間がドーム状に広がっているだけだった。

「行き止まりなのか?」

坂上が訝しそうにポツリと呟いた直後、洞の入口が逆再生でもしているように閉じ始めた。

入口が完全に閉じ暗闇に包まれた洞の中で、咄嗟にユエが光源を確保しようと手をかざした。が、その必要はなかった。

なぜなら、足元に大きな魔法陣が出現し強烈な光を発したからだ。

「うわっ、なんだこりゃ!」

「一体なんなのよっ!」

「騒ぐな!転移系の魔法陣だ!転移先で呆けるな!」

私が動揺する坂上や八重樫に注意した直後、私達の視界は暗転した。

 

 

 

「っ…ここは…」

再び光を取り戻した私達の視界に映ったのは、木々の生い茂る樹海だ。

「みんな、無事?」

ハジメが軽く頭を振りながら周囲の状況を確認し皆の安否を確認し、八重樫達が「大丈夫」と返事をする。綾波、優花、シア、ティオも特に問題はないようだ…と言いたいが、そうではない。

綾波からアデプトテレイターの反応を感じないし、優花とシア、ティオも生命反応からして本人じゃない。

「頼尽君、ここが本当の大迷宮なのよね?…どっちに向かえばいいの?

私達が飛ばされた場所は周囲を樹々で囲まれたサークル状の空き地であり、取るべき進路を示す道標は特に見当たらず、頭上は濃霧で覆われているから飛び上がって上空から道を探すことは出来そうにない。

「探すしかないな」

私が呟くとハジメは近くの木の幹に手を当て追跡を発動し、魔力的なマーキングがなされると進行方向を示すように矢印型の紅い光が木に貼り付いた。

 

それを見て八重樫が頷いて先へ進むが、私とハジメは立ち止まった。

「気付いていたか、ハジメ」

「うん、優花とシア、ティオは本人じゃない」

私は綾波に向けて、ハジメは優花とシア、ティオに向けてハンドガンを発砲した。

「どう…して…碧刃…さん…」

「な、何をやってるのよ頼尽君!南雲君!」

八重樫がそう言う中、ハジメは錬成で八重樫を拘束し、私は綾波に擬態している者にこう言った。

「紛い物の分際で綾波の声を真似るな、偽物。次に、その声で私の名を呼んでみろ。顔の皮を剥いでやる」

綾波の姿をした"何か"は表情をストンと落とすと無機質な雰囲気を纏って無言を貫く。撃たれた肩から血が流れ落ちないから明らかに人ではない。

「本物の綾波達は何処にいる?」

私は問いながら綾波の偽物の逆の肩を撃ち抜くが、綾波の偽物は表情一つ変えることはない。

「答える気はないか。…いや、答える機能を持っていないのか。ならばもういい」

私はハンドガンの銃口を綾波の偽物の額に向けると今度こそ頭部を撃ち抜き吹き飛ばし、綾波の偽物の後方に、何かが飛び散る。

そして、飛び散ったのは脳髄などではなく赤錆色のスライムのようなものであり、綾波の偽物の胴体は一拍おいてドロリと溶け出し、同じように赤錆色のスライムに戻りそのまま地面のシミとなったのだった。

 

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

マグナコンボイの強化について(1の場合、マグナコンボイ自体の外見はそのまま)

  • 1:マトリクスソード進化
  • 2:G2バトルコンボイ型へリフォーマット
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