青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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今月タカトミモールから届いたTF、アースライズとサイバーバースのアクションマスターのアーシーがどちらも思わぬ伏兵だった件←期待以上の出来だったよ…


さて、明日はやっとレジェンズのコンボバットを受け取れる…!


第47話『叶わぬ理想世界』

 

 

碧刃が綾波の偽物を倒した後、ハジメも優花達の偽物を倒した。

「流石大迷宮、いきなりやってくれるね」

ハジメはハンドガンを仕舞いながら悪態を吐く。

「南雲君、頼尽君…皆は…」

「転移の際、別の場所に飛ばされたんだろう。僅かに、神代魔法を取得する時の記憶を探られる感覚があった。あの擬態能力を持っている赤錆色のスライムに記憶でも植え付けて成り済まさせ、隙を見て背後から、という事だろう」

「なるほどね。……それにしてもよくわかったわね。見分けがつかなかったけど、どうやって気付いたの?」

「前にも言ったが、アデプトテレイター同士なら気配で分かる」

「僕は勘かな。何か優花達じゃないなって思って。後は気配感知で違和感を見抜くことは出来るよ」

と碧刃とハジメが答えたその時、バキバキと枝を折る音とドスッという巨体が地面を踏みしめる音が響いてきた。ハジメと八重樫は臨戦態勢に入るが、碧刃に制止された。

「大丈夫、この気配は綾波だ」

と碧刃が答えた後、木々の中から現れたのは体高6メートル、体長15.2メートルのアルビノと呼べるほど白一色に染まった身体に、筋肉質な腕に4本の鋭利なツメが生えそろった手、 細身の顔であるものの自身の拳を入れられるほど大きく口を開けることができる顎、矯正が必要なくらいに歯並びはガタガタだが鋭利な牙…そう、インドミナス・レックスである。

「碧刃、これなら僕でも綾波だって分かるよ」

「ある意味分かりやすいわね」

とハジメと八重樫が苦笑いを浮かべるのも無理はない。

「綾波、言葉が分かるなら右手を上げろ」

碧刃の言葉に綾波もといインドミナス・レックスは右手を上げ、はいと言わんばかりに吠え、碧刃と見つめ合うのだが…その光景は何処かシュールだった。

「グワッ、グワッ、ガァゥ」

「ふむ、転移したあと気が付けば前々世の姿に変えられていたのか」

「ガァゥ、ガァゥ」

「肉体そのものが変質したってところだろうな」

「ガァゥ…グゥワッ、ギャァア」

「トランステクターも武器も失ったのか。まぁ、これも恐らく試練だから何とかなるだろう」

「どうして意思疎通が出来ているのよ?それもごく自然に!」

「ん?嫁の言いたい事なら何となく分かるが」

「…そうですか」

「…グワァ!」

砂糖を吐きそうな表情で投げやり気味な返事をする八重樫と苦笑いを浮かべるハジメ、そして嬉しそうに尻尾を振りながら吠えるインドミナス・レックスであった。

しかし、魔力を通すくらいのことは出来るため、碧刃は宝物庫から念話石を出し、それが何かを察したインドミナス・レックスは大人しく右腕を出し、碧刃はインドミナス・レックスの右腕に念話石を装備させた。

『碧刃さん、聞こえるですか?』

すると、まるでティオが竜化している時のように空間そのものに声が響いたのだ。綾波の愛しい声に、碧刃の表情が嬉しげに緩む。

「あぁ、聞こえている」

『良かった、です』

「姿が変わってしまったが、無事で良かった」

「碧刃、綾波の姿が変えられたって事は…」

「他の者達も変わってしまっている可能性はあるな。綾波を元に…いや、インドミナス・レックスが元の姿か?まぁ、良い。綾波の姿に戻す為にも皆を探して合流するぞ」

碧刃の言葉に2人と一匹は頷く。するとインドミナス・レックスは頭を下ろし、その身を伏せたのだ。

『碧刃さん、ハジメさん、八重樫さん。私に乗ってください』

「良いのか?」

『せっかくなので碧刃さんを乗せたいなって思ったり…です』

「分かった、良いだろう」

インドミナス・レックスは碧刃を首元に、ハジメと八重樫を背中に乗せると立ち上がり、他の者達を探して移動を始めるのだった。

 

 

 

 

その後、碧刃達は無事に皆と合流したのだが、優花やシア、宮古、嵐、鈴は無事だったが、ユエとティオはゴブリンに、坂上はオーガへ姿を変えられていた。

それでも探索を続けていた一向はトレント型の魔物の襲撃を受け、ハジメや優花、鈴、八重樫、坂上が応戦している。

そんな中、碧刃はゴブリン化したティオにある事を訊ねた。

「ティオ、この迷宮は…」

『うむ。おそらくじゃが、ハルツィナは"絆"を試しておるんじゃろう』

「絆…そう言えば、入口の石版にもその言葉はあったな」

『そうじゃ。あれは単に亜人族による大樹までの案内だけでなく、攻略において絆を試すという意味でもあったのではなかろうか。仲間の偽物を見抜くこと、変わり果てた仲間を受け入れること、まさに"紡がれた絆"が試されているように思うがの』

「なるほどな。…その試練を乗り越えた先にゴールがあるなら、確かに"道標"と言える、か」

『そういう事じゃ。まぁ、あくまで推測じゃがの』

2人がそう話している内にもトレント型は樹々を生成して碧刃達を取り囲む。

「鈴!今から全部焼き払うから絶対に結界を解かないでよ!」

「うん!」

ハジメの言葉に鈴は頷き、ハジメは宝物庫から円月輪を結界の外に取り出すと感応石をもって遠隔操作をする。20は超えているだろう数の円月輪は風爪の能力が付与されており、気配遮断の能力で姿をくらませつつ周囲を埋め尽くす樹々を易々と切り裂いて上空へと飛び出していった。

そして上空を飛び交う円月輪は次の瞬間、黒い液体―フラム鉱石を融解させた摂氏三千度で燃えるタールを散雨のように眼下のトレント型に向けて雨音を響かせながら撒き散らされる。

そう、ハジメは円月輪のゲート機能を使って宝物庫に保管してある大量のタールを上空へ転送し、更に小さな火種をポイッと手元にある円月輪の中穴に放り込んだ。

その瞬間、結界の外は火の海と化し、タールが纏わりついても気にせず攻撃を繰り出していたトレント型は摂氏三千度の獄炎になすすべなく瞬時に焼き滅ぼされていき、熱風による上昇気流で炎が竜巻のように巻き上がり、地面すら焼き焦げて所々溶岩のように赤熱化している。

しかしタールは熱量は凄まじいもののその分燃焼時間はそれほど長くはなく、ハジメが作り出した地獄の業火も15分ほどで自然と鎮火した。尚、トレント型が下手に暴れたせいで樹海の普通の樹々に延焼し、あわや超大規模の森林火災が発生しそうになったが、そこはウォーターアームズを使って鎮火した。

その後、炭化した地面から木が地響きを立てながら生えてきて巨木へ急速に成長し、先のトレント型そっくりの姿となったが、特に襲いかかるでもなく、しばらく佇むと大樹の時と同じように幹が裂けるように左右に割れて中に空間が出来上がったのだ。

「次のステージに行く扉でもあったか」

碧刃は納得したように頷き躊躇うことなく洞に向けて歩みを進めた。その後をハジメ達も付いて行く。

洞の中は特に何の特徴もない空間だったが、全員が中に入った直後に入口が勝手に閉じていきほぼ同時に足元が輝きだした。

「また転移か…」

碧刃はそう呟くとインドミナス・レックスの左手の指を1つ握り、シアはユエとティオを抱き寄せる。

転移陣が引き離そうとするなら抗えない可能性の方が大きかったが何もしないよりはいいし、インドミナス・レックスはともかくユエとティオは現在戦えないのだから、ちょっとしたことが致命傷になりかねないのだ。

こうして碧刃達は莫大な光に包まれるのだった。

 

 

―side:Magna Convoy―

 

 

「―さい、マグナ―」

ん…誰だ…

「起きてください、マグナコンボイ」

その声に呼ばれて私は意識を覚醒させた。

「やっと起きましたか、マグナコンボイ」

私の目の前には私より遥かに小さいロボットの姿があった。

「此処は何処だ…」

「何処って私達の船、センチネルの中ですよ。何とか助かって良かったです、マグナコンボイ」

「あぁ、ありがとう。コンボバット」

 

コンボバット―彼はストラクサスの手によって作られた青き偉大なる司令官(ブルービッグコンボイ)のクローンとして作り出され、己の意思でストラクサスに反逆した存在だ。

マトリクスソードに宿っていたブルービッグコンボイの(スパーク)の残滓から彼を導いて欲しいという命令(オーダー)を受け、彼と共に各地を旅している。その過程で生き残っていたプライマスヴァンガードの仲間と合流出来たし、新たな仲間を得る事が出来た。

その仲間というのが、ある施設で出会った綾波達アデプトテレイターと呼ばれる存在だ。彼女達を救出して以来、懐かれてしまった。

 

「私も心配してましたが、綾波は特に貴方の事を心配してたんですよ。今は宮古達が寝かしつけているところです」

「そうか…心配をかけて済まなかったな」

「早く皆に無事な姿を見せて安心させてあげてください」

「あぁ、そうだな…」

コンボバットと共に仲間の元に顔を出すと皆が安堵の表情を浮かべる…特に綾波に至っては泣き付いてきた位だ。

 

だが、私は先程まで樹海の大樹まで迷宮攻略をしていた筈だ…コンボバット達がいて綾波達もいる…そうか、これは夢、私が望んでいた世界、理想世界だ。

私があの戦いで死んだ事に変わりはないし、私は死んでアデプトテレイターとして転生したから綾波達と出会う事が出来た。

「どうしたんですか、マグナコンボイ?」

「これは夢だ…私が密かに望んでいた叶わぬ夢だ」

「どうしてそう思うのですか?」

「君と綾波達は同時に存在などしていない…私は死んでアデプトテレイターとして転生したから綾波達に出会う事が出来た」

「夢でも良いじゃないですか?」

「いや、私にはやるべき事がある。エヒトを倒し、ハジメ達を故郷に帰して私もあの世界に変える…綾波達を連れて!」

私の言葉にコンボバットは満足げな表情を浮かべる。

「そうですか…流石、エネルゴンマトリクスとマトリクスソードを受け継ぐに相応しい存在ですね」

私の意識は急速に沈んでいく。

「甘く優しいだけのものに価値はない。与えられるだけじゃ意味がない。たとえ辛くとも苦しくとも、現実で積み重ね紡いだものこそが貴方を幸せにします。忘れないで」

コンボバットのものではない声に私はこう返した。

「あぁ、留意しよう」

 

 

 

 

再び意識を取り戻した時、私はドーム状の空間にいた。周囲には透明感のある黄褐色をしている長方形型の柩のような物体が配置されており、私が寝ていたのもこれらの一つのようだが、黄褐色の部分だけがなくなっている。

「まるで琥珀だな」

右隣の柩を見るとその中にはまるで琥珀の中に閉じ込められた太古の虫のように黄褐色の柩の中に横たわって目を閉じている綾波の姿があり、その姿はインドミナス・レックスではなく高坂綾波の姿となっていた。

他の柩には皆が閉じ込められており、トレント型と交戦した洞から転移し、そのまま琥珀の中に閉じ込められ、それぞれ仮初の世界…理想世界も見させられているのだろう。そして、あの世界から脱出できれば、現実において目の前の琥珀から解放される、といったところか。

 

そんな事を考えていると綾波が閉じ込められている琥珀が光を放ち始めた。

やがて琥珀は放っていた光を徐々に収めていくと次に端から順に溶け始め、そのまま地面に吸い込まれるように消えていった。5分もしない内に綾波を覆っていた琥珀は完全に消え、綾波は目を覚ました。

「調子はどうだ?」

「碧刃さんですか?」

「ああ、私だ」

綾波は少しボーとしているようだったが、その視線は僅かたりとも私から逸れたりせず、完全に意識が覚醒した後も一心不乱に私を見つめている。

「本物の碧刃さんですか?」

「何でそんなことを聞くのか何となく理由はわかるが、それは綾波が判断してくれ。今、目の前にいる私が綾波にとって本物か。それとも偽物か。

私は目の前にいる綾波が本物だと確信している。違和感を全く感じないからな」

「私もこの反応は本物の碧刃さんだと感じるです。さっきの質問は忘れて欲しいです。それで、碧刃さんはどうだったんですか?」

「あぁ、お前達がいて、コンボバット達がいて…彼らと共に各地を旅していた…そんな世界だ」

「コンボバットさんって碧刃さんが前に言ってた…」

「あぁ、私の前世での仲間だ。もう会うことなど出来ないだろうな。綾波はどうだったんだ?」

「人類とアデプトテレイターの戦争が起きなくて、その中で碧刃さんと結婚して、皆とは変わらず友人…そんな平和な世界でした」

「そうか…よく帰ってきたな、綾波」

私は綾波の頭を優しく撫でた。

暫く待っていると皆も自力で脱出に成功した。危惧していた鈴と八重樫、坂上はそれなりに遅れてではあるが、何とか脱出出来たようだ。

因みに八重樫は

「…私がお姫様とか有り得ない…」

と呟いていたし、坂上も八重樫を見ると顔を赤くしていた。

鈴は自力で脱出したは良いが、その表情は悲しげであり、本人は大丈夫だと言うが、余りに痛々しい笑顔に宮古と八重樫は二人がかりで鈴を抱き締め、私と綾波、嵐は鈴の頭を撫でた。

 

そして、全員が琥珀から脱したことで次のステージへ強制的に送られるらしく、部屋の中央に魔法陣が出現すると魔法陣の光が爆ぜ、三度私達の視界を塗り潰した。

 

 

 

 

続いて達が転移した場所は最初と同じ樹海の中だったのだが、最初のどっちに向かえばいいのか見当もつかないような広大さはなく、天井も向かうべき目標も見えていた。

他の樹々がほぼ同じ高さの中、空間の一番奥に一際大きな樹がそびえ立っていた。

「新たな転移陣のある場所は恐らくあの樹だろう。今回は全員いるみたいだな」

「えぇ、それに偽者もいないみたい」

優花の言うとおり、感じ取れる気配からして全員が本物だ。

私達は巨樹を目指して真っ直ぐ進むのだが、周囲には虫の鳴き声一つ聞こえない静寂で満ちており、風すら吹いていないので葉擦れの音も聞こえなかった。

「う~む、何だか嫌な感じじゃの」

「うん。何だか、オルクスで待ち伏せされた時みたいだよ」

「確かに…魔物の気配も全くないものね」

ティオの言葉に、鈴と八重樫は魔人族の女の待ち伏せにあった時のことを思い出したようだ。

「一応、キラービークを先行させているんだけど、特に何もないな。このまま何事もなくとは流石にいかないと思う。いっそのこと、巨樹までの樹海を全部焼き払う?」「南雲…俺が言うのも何だが、取り敢えず面倒いから壊しとけみたいな発想はどうかと思うぞ

それにもうあの灼熱地獄は勘弁だぜ。マジで鈴の結界があっても生きた心地がしなかったんだからな」

他の者達も取り敢えずこのまま行こうと諭す様な眼差しを向けられ、ハジメは渋々、取り出していた円月輪と追加のキラービークを宝物庫にしまい込んだ。

そうして暫く歩いていた時だった。

「…ん?雨?」

「ほんとだ。ポツポツ来てるね」

突然、頭上から感じた水気に嵐は顔をしかめ、それに鈴が手をかざしながら同意するが、顔を見合わせた瞬間に有り得ない事象だと気がついて二人同時に武器を装備する。

「鈴!ユエ!」

「うん!」

「…んっ」

私の言葉に鈴とユエが障壁を張った直後、土砂降りの雨が私達を襲い、鈴とユエが張った障壁に弾かれてその表面をドロリと滑り落ちていく。

「どう見ても唯の雨じゃないわね」

「雨であるはずがない。ドロリとしたその粘性もそうだけど、そもそもここは閉鎖空間…空なんてない…!」

「優花やハジメの言う通りだね。硫酸や何らかの毒性をもった液体を降らせるトラップか、あるいは、そういう魔物か」

嵐が言った考えだが、今回は後者のようだった。

 

 

私達の視線の先に樹々、草、地面、あらゆる場所からにじみ出てくる乳白色の何かの姿があった。

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

 

マグナコンボイの強化について(1の場合、マグナコンボイ自体の外見はそのまま)

  • 1:マトリクスソード進化
  • 2:G2バトルコンボイ型へリフォーマット
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