青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)   作:衛置竜人

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最終話『青き銃士と戦女神』

 

 

 

ヴァルキリーコンボイ(あかり)グリムヴァルキリー(ヴェル)はアルヴに対しヒット&ランの要領で攻撃していた。

アルヴは魔法を使って2人と応戦するが、それでも固い絆で結ばれ、お互いに互いの事を理解している…つまり以心伝心している彼女達には敵わない。

「このっ!ちょこまかと!」

なかなか決定打を与えられない事にアルヴは苛立ちを隠せなかった。

一方、ヴァルキリーコンボイはアルヴがどうやって魔法が使えるかそのからくりを探るべく解析を続けていたのだが、遂に見つける事が出来たのだ。

『ヴェル、奴は魔導炉にストレージデバイスを元に魔改造した装置を体内に組み込んで直接魔法を使えるようにしているみたい』

『だったらそれを破壊すれば良いだけか』

『やるよ、ヴェル!』

『あぁ、あかり!』

ネストに所属するアデプトマスターの中でも2人のコンビネーションは最強クラスと言える。

グリムヴァルキリーはビーストモードへ変形するとネストの技術部門たる立木技研製トランステクターの動力炉たるENドライバー内の魔力粒子(EN粒子)の増幅によって機体を一時的に強化するエナジドライブを発動、通常の3倍のスピードと機動力でアルヴの背後に回るとその顎と牙でアルヴを拘束。アルヴは拘束から逃れようと足掻くがその前にエナジドライブを発動したヴァルキリーコンボイがアルヴに急接近し、右手に持ったENソードをグリムヴァルキリーごとアルヴに突き刺そうとする。

ヴァルキリーコンボイのENソードがアルヴに突き刺さった瞬間にグリムヴァルキリーはアルヴから離れてロボットモードへ変形、ヴァルキリーコンボイはENソードに突き刺さったアルヴの魔導炉を無理矢理引き出して破壊する。

「そんな、まさか…」

動揺するアルヴに対しグリムヴァルキリーはその右拳をアルヴの胴体に突き刺すとトランスフォーマーの魂たるスパークを掴み、そのまま握り潰したのだ。

スパークを破壊されたアルヴは機能停止し、その場に崩れ落ちた。

「まだジーオスが大量にいる」

「うん、エヒトはマグナコンボイ達に任せて私達はジーオス共の相手をするよ」

「あぁ、あかり」

アルヴを倒したヴァルキリーコンボイとグリムヴァルキリーはジーオス達との交戦を始めるのだった。

 

 

 

 

降霊術を使ってジーオスを操ってトリケランダー()と交戦する中村だったが、次第に劣勢となっていった。

元々トリケランダーと中村個人とでは保有する魔力量に雲泥の差があるのだ。

「今の内に言っておくよ。鈴ってマジキモイから」

そんな中、中村はそう口に出した。

「…へぇ。例えば?」

「そうだね。いつも、へらへら笑ってるところとか。陰口叩かれても、やっぱり笑ってるところとか。中身エロオヤジなところとか。他にも挙げればキリがないけど、一番キモイのは、その年で一人称が自分の名前なところ。いや、ホント、有り得ないよねぇ」

トリケランダーの中の鈴の額にはビキビキッと青筋を浮かび、トリケランダーの中の鈴は笑顔のまま言葉による反撃に出た。

「そっかぁ。でも、恵里も大概気持ち悪いよね?」

「はぁ?」

「いつも一歩引いてニコニコしちゃってさ。陰口叩かれても、やっぱり微笑むだけだし。中身はただの根暗だし。メガネで控え目で図書委員って、狙い過ぎだよね。って言うか、一人称については文句言われたくないんだけど。なに、"僕"って。僕っ娘だけなら嵐もそうだから良いとして、それに加えてメガネ図書委員とか盛り過ぎてイタイだけだし。しかも、『僕はヒロイン』って。ププッ、厨二は卒業しようよ」

恵里の額にビキビキッと青筋が浮かび、笑顔のまま反撃に出た。

「厨二?存在自体が厨二みたいな存在になっただけでなく元からリアルで『お姉様~』とか言っちゃうイタイ奴には言われたくないなぁ。鈴って百合の気あるよね。何度か身の危険を感じたことあるし。有り得ないくらい変態だよね。マジキモイ」

「あはは、あんなの冗談(ジョーク)の範疇でしょ?それにさ、初恋こじらせて、明後日の方向に突っ走っちゃった勘違い女に変態扱いはされたくないなぁ。有り得ないくらいイタイよね。マジキモイ」

「「ア゛ァ゛?」」

どちらも花の女子高には見えないチンピラのような表情で言葉の暴力を振るい合い、それから少しの間、二人の間で目を覆いたくなるような罵詈雑言が飛び交った。

暫くして言葉のレパートリーが尽きたのか、一先ず頭を冷やした中村はこう言った。

「今更止まる事なんて出来ない」

「言ったでしょ?鈴が止めるって」

「僕は目的の為に手を汚してきた」

「だったらその罪、鈴が一緒に背負って上げる。例え偽りで歪だったとしても鈴にとって恵里は友達である事に変わりはないから」

「ふっ、馬鹿だね。こんな裏切り者で、最低のクズ女の何が良いんだか。あの時、あの橋の上で出会ったのが鈴だったなら…どうなってたのかな?な~んて、うん、僕が一番の馬鹿か」

と中村は涙混じりにそう呟くとトリケランダー()にこう言った。

「僕に本気の一撃を見せてよ、鈴」

「うん、わかった」

中村は残った魔力を全てジーオスに注ぎ込み、ジーオス達はエネルギー弾のチャージを行って発射、それに対しトリケランダーはビーストモードに変形してジーオスに向けて突進する。

ジーオスのエネルギー弾はトリケランダーに直撃し爆煙が上がるが、煙の中から現れたのは外装が焼きただれたが突進してくるトリケランダーとその背中に立っている鈴の姿だった。

鈴は視界に中村の姿を捉えると彼女に向けて跳躍し

「歯を食いしばれぇぇぇぇぇぇぇ!恵里ぃぃぃぃぃぃ!」

叫びながらその拳を中村の左頬に振るい、殴り飛ばされた中村は壁に衝突。魔力も尽きていた中村な意識を失って倒れ、降霊術で操られていたジーオスも崩れ落ちた。

こうして中村との一騎討ちに勝った鈴が彼女の身柄を拘束したその時、神域の外から爆発音が響き渡り、鈴は中村を抱えたままトリケランダーの背中に乗ると上の階にいるメタルスダイノヴェイン(綾波)との合流を目指すのだった。

 

 

 

 

メタルスダイノヴェインとジーオスFBの戦いはメタルスダイノヴェインの方がやや優勢だが、それでもどちらとも消耗していた。

メタルスダイノヴェインは長時間に及ぶジーオスFBとの戦いの中でレックスメイスとスパイクシールドが砕かれてしまい、今は折れたタイラントソードしか武器がなく、外装もボロボロだがその闘志は尽きてなかった。

対するジーオスFBは触手などは再生能力のお蔭で失っても取り戻せるが、魔力もかなり消費している為かその再生速度も衰えており、次第に焦りを見せるようになった。

「こんな筈がない…俺は正しいんだ…ヒーローになりたかっただけなんだ…じいちゃんみたいに…ただ、それだけで…どうしてこんなことに…」

メタルスダイノヴェイン(綾波)は知らぬ事だが、天之河の祖父は弁護士であり、天之河はそんな祖父から人々を救ってきたという体験談を聞かされて育った。

天之河の祖父は幼少期の彼を気遣って敢えて意図的に美化して話した体験談を聞かせ、もっと年を重ねてから現実的な体験談―そう、人間にも汚く醜い一面がある事を話そうとしたが、その前に天之河の祖父は急死してしまったのだ。

天之河はその美化された話を胸に刻みこんだことに加え、地球ではその能力の高さ故に失敗や挫折を経験したことがないせいで現実では通用しない理想的な正しさを抱いたまま成長し、結果として思い込みが激しく不都合な事態に直面すると他人に責任転嫁して自分の行いを正当化する歪な存在と化してしまったのだ。

「俺は悪くない。俺は悪くないんだ。悪いのはお前と頼尽だ。お前らさえいなければ全部上手くいったんだ!この悪魔め!」

ジーオスFB(天之河)に対しメタルスダイノヴェインは呆れた表情でこう言った。

「どちらが悪魔なんですかね。まぁ、私は悪魔でも良いです。そもそも私を悪魔として生み出したのは人間のエゴによるものですから」

メタルスダイノヴェインはエナジドライブを発動させるとジーオスFBとの間合いを一気に狭めると折れたタイラントソードで触手を一気に切り裂くとその拳でジーオスFBを殴り、その足で蹴りつける。

彼女の猛攻にジーオスFBは反撃する事が出来ず、メタルスダイノヴェインはひび割れたジーオスFBの胸部装甲を割ってその中へ右手を突っ込むと中に埋め込まれている天之河を無理矢理引き剥がすと外へ投げ棄て、ジーオスFBに接続されていた天之河は無理矢理引き剥がされた結果、四肢が千切れてしまう。

これで決着がついた…かに見えたが、ジーオスFBは再生させた二本の触手でENドライバーを貫いたのだ。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」

咆哮を上げるジーオスFBはなりふり構わず周囲を無差別に攻撃する。

「あの勇者(バカ)を失っても動けるなんて…」

メタルスダイノヴェインはジーオスFBをスキャンするが…天之河が中にいた時にはなかった筈のコアが出現していたのだ。

「ひょっとして…この事態を想定して未活性のコアを仕込んで勇者(ゴミ)を引き剥がすと同時に活動開始という訳ですか…」

メタルスダイノヴェインはそう推測したが、ENドライバーに深刻なダメージを負ってしまった事で機動力は落ちて武器もない現状ではまともに戦える状態ではなかった。

「こうなったら自爆覚悟で…」

メタルスダイノヴェインの中の綾波がそう呟いた時だった。

『ダァー、その役目は俺に任せろ』

という声が響いてきたのだ。

「その声…まさか…!?」

『お前が考えている通りだ』

メタルスダイノヴェインに宿る"存在"は足でジーオスFBを抑えつつ胸部を開くと強制的に綾波との一体化を解除すると右手で優しく掴んで外へ出す。

「どういうつもりなんですか!?」

『お前には大切な人がいるんだろ?そいつの為にお前は生きろ!後は俺に任せろ』

メタルスダイノヴェインはそう言うと目から魔力粒子によるビームを放って壁を破壊し、両腕でしっかりとジーオスFBを捕らえて外へ向かって歩き出す。

ジーオスFBの触手による攻撃を何度も受けても外へ向かって歩き続けるメタルスダイノヴェインは

『あばよっ!高坂綾波!』

と言って外へ飛び出すと壊れたENドライバーに魔力粒子を集束させると一気に解き放って自爆、その爆発はジーオスFBとそのコアを飲み込み、ジーオスFBはコアごと消滅するのだった。

 

 

鈴が綾波と合流した時、メタルスダイノヴェインは自爆した後だった。

「綾波!良かった無事で…メタルスダイノヴェインは…?」

鈴の言葉に綾波は首を横に振り、鈴は先程の爆発音と壁に開いた大きな穴から何が起きたのかを察した。

勇者(アホ)は後で裁けるよう止血はしておいたです。鈴さんは勇者(クソ)を連れて脱出するです」

「綾波は?」

鈴の言葉に綾波は決然とした表情でこう返した。

「碧刃さんの元へ行くです」

「わかった。気を付けて…死なないで」

「わかってるです」

綾波はそう答えるとマグナコンボイの元へ向かい、鈴は四肢を失い気を失っている天之河を回収するとトリケランダーに乗って神域から脱出するのだった。

 

 

いくらエネルゴンマトリクスとマトリクスソードがあるからと言ってもエヒトを簡単に倒せる訳ではない事をマグナコンボイは理解していた。

マグナコンボイも魔力粒子を利用した攻撃は出来るが、魔法が使える訳ではなく、魔法が使える事はエヒトにとって大きなアドバンテージとなっていた。

「どうした?その程度か青きコンボイ!」

エヒトは挑発しながら複数の分解魔法を込めた魔力弾をマグナコンボイに向けて放ち、マグナコンボイは幾つかの魔力弾を相殺したが、相殺しきれなかった分はマトリクスソードで防いだ。。

マトリクスソードは概念魔法で作られた事もあって分解魔法を受けても消滅したり壊れたりせず耐えられるが、何度も耐えてきた事もあってあちこちにヒビが入っていた。

そう、現状はマグナコンボイの劣勢となっているのだ。

「何故諦めない?」

「私には帰るべき場所が、帰りを待つ人達がいるからだ!」

「そうか…」

エヒトはそう言うと空間魔法を発動して目の前にゲートを形成するとその中に剣を刺す。

「空間魔法、か…」

そしてそのゲートが開いた先はマグナコンボイの腹部であり、其処にエヒトの剣が突き刺さっていたのだ。

エヒトは魔力弾による雨をマグナコンボイに浴びせる。

魔力弾による雨が止んだ後、ダメージが蓄積された外装がボロボロになったマグナコンボイは意識を失って倒れるのだった。

 

 

―side:Magna Convoy―

 

 

「此処は何処だ…?私は死んだのか…?」

 

「まだ死んではいない…だが、このままだとお前は死ぬ…言うなれば風前の灯火だ」

 

その声は…まさか…

 

振り向いた先にいたのは一人のコンボイ…プライマスヴァンガードの偉大なる青き司令官(ブルービッグコンボイ)

「司令官殿…」

「久し振りだな、マグナコンボイ」

「はい、お久しゅうございます…司令官殿」

「此処は死者の(スパーク)が集まる場所だ」

「という事は私はやはり…」

「先程も言ったが、お前はまだ死んではいない。一時的にこの場所にいるだけだ。マグナコンボイ、お前はどうしたい?」

「私は…死にたくない…私には帰りを待つ人達がいる…コンボバットだけではない…あかり、ヴェル、つばめ、ハジメ、優花、ユエ、シア、ティオ、ミュウ、レミア、嵐、宮古、鈴…そして最愛の人たる綾波…」

私がそう答えた時…

『―、―さん、―刃さん、碧刃さん、マグナコンボイ!』

綾波の声が響いてきた。

「すみません、司令官殿。貴方とは話したい事がありますが私にはまだやるべき事があります…そして待っている人がいます」

「そうか…短い時間だが話が出来て良かった。マグナコンボイよ、良い仲間と大切な人に巡り会えたな」

「はい、ありがとうございます司令官殿」

 

 

―side out―

 

 

綾波が神域の最上階にたどり着いた時、マグナコンボイはエヒトによって倒された後で、その瞳から光を失っていた。

「醜い怪物だった小娘よ、遅かったな。お前の主はくたばったよ」

不適な笑みを浮かべるエヒト。

「いえ、まだです」

「現実を受け入れろ」

「受け入れるのはお前の方です!碧刃さんは簡単にくたばったりしないです!」

「人の話を聞けないのだな…まぁ、良い。お前も直ぐにこいつの元へ送ってやる」

エヒトは魔力弾を綾波に向けて放ち、綾波はフリースタイルシールドで防ぎつつフリースタイルガンで相殺して悪足掻きをする。

「私は信じているです…貴方は簡単にくたばったりしない…立ち上がってくる事を…」

綾波は最愛の人の名を口にする。

「碧刃さん…碧刃さん、碧刃さん、碧刃さん!」

そして綾波が

「マグナコンボイ!」

と叫んだ時、マグナコンボイの目に光が再び宿り、彼は再び立ち上がった。

「待たせたな…綾波!」

再び立ち上がったマグナコンボイはエヒトにこう言い放った。

「エヒトよ!私の名はマグナコンボイ!私はお前に屈したりはしない!」

マグナコンボイの叫びと強い闘志に応じるかの様にマトリクスソードに魔力粒子の光がが集まっていき、マトリクスソードは形を変えてゆく。光が収まった後、其処にあったのは形を変えたマトリクスソード(マトリクスマスターソード)と盾だった。

マグナコンボイがマトリクスマスターソードの柄を両手で握ると彼の身体は光に包まれる。

「マトリクスマスターソードよ、私に力を!」

光に包まれたマグナコンボイはマトリクスマスターソードを引き抜いた。

光が収まった後、マグナコンボイの身体は傷が完治しており、更に盾が3つのパーツへ分割されて彼の身体に装備されていたのだ。刃の様なウイングが両肩に、そして残った中央の盾が左腕に装備され右にはマトリクスマスターソードを手にしている…これこそ解放者達が作り出した神殺しの剣たるマトリクスソードの力を最大限に引き出した姿…ハイパーサージモードである!

HS(ハイパーサージ)マグナコンボイは瞬間移動したかの様にエヒトの前に移動すると盾でエヒトを殴り飛ばす。

壁に激突したエヒトは体勢を立て直すと分解魔法による魔力弾をHSマグナコンボイに向けて放つが、HSマグナコンボイはマトリクスマスターソードに魔力を纏わせて魔力弾を切り裂く。

HSマグナコンボイはエヒトに向けてベクターシールドブラスターとコンボイガンを発砲してエヒトの剣を破壊すると再びエヒトの前に移動し、彼の身体に盾の先端を突き刺して中の魔導炉を引きずり出した。そう、HSマグナコンボイもあかりやヴェルと同じ様にエヒトを解析して魔導炉とそれに組み込まれたデバイスの存在に気づいたのだ。

魔導炉を引きずり出して破壊したHSマグナコンボイは一度エヒトから距離を取ると綾波に視線を向け、察した綾波は彼の左肩に飛び乗る。

「いくぞ、綾波!」

「はい!マグナコンボイ!」

2人は共にある言葉を詠唱する。

「「我らが剣よ!この闇に光を照らしたまえ!そして我らが敵を切り裂け!」」

詠唱と共にマトリクスマスターソードの刃に魔力粒子が集束され

「「マトリクスライトスラァァァァァァァァァァァァッシュ!!」」

HSマグナコンボイはその魔力粒子をエヒトに向けて解き放ち、魔力粒子による光の刃はエヒトの身体と(スパーク)を左右真っ二つに切り裂き、更にジーオスや使途達をコントロールし魔力を送っているメインコアを破壊するのだった。

 

 

 

鈴が気を失った中村と天之河を連れて神域を脱出し、王都へ戻った後、神域の最上階で爆発が起きると共にハジメ達オーダーヴァンガードの面々やあかり達ネスト、トータス連合にバトルコンボイとメガトロン率いるセイバートロン連合と戦っていたジーオスや使途達は一斉にその動きを止め、活動停止した。

皆が何が起きたのかと辺りを見回す中…

「みんな!あれを見て!」

ハジメが指差した先には爆発する神域から脱出し、綾波を左手に乗せて空を飛ぶHSマグナコンボイの姿だった。

 

 

「あれが件のマグナコンボイか」

空を飛ぶマグナコンボイの姿を眺めながらメガトロンはそう呟く。

「彼の今後が楽しみだな」

バトルコンボイの言葉にメガトロンはそうだなと笑みを浮かべて返す。

 

 

HSマグナコンボイはハジメ達の元へ降り立つとマグナコンボイとしての姿に戻り、綾波を地上に降ろす。ハジメ達がマグナコンボイと綾波の無事に喜ぶ中、マグナコンボイはトータスの人々にこう伝えた。

「トータスの民達よ!私はマグナコンボイ!諸君らを駒として扱い、その命を弄んでいた神を名乗る欺瞞者、エヒトルジュエはこの手で討ち取った!諸君らは自由だ!」

マグナコンボイの言葉にトータスの民達は歓声を上げるのだった。

 

 

 

 

―side:Magna Convoy―

 

 

エヒトの軍勢と私達との戦い…トータス戦役の終結からもうじき一年が経つ。

亜人族は"獣人族"と呼び改められ、人間族と魔人族は終戦協定を締結し、永きに渡る戦争は終結した。

メルドやフリード、カム曰くまだ多少のわだかまりがあるようだが、三種族が共存する都市の建造が進められているなど平和に歩みよっているようだ。

ミレディはそんな平和になった世界を見て回りたいと今は旅をしているらしい…尚、彼女はつばめ達の協力もあって今は人間だった頃の姿そのもの(あかり曰く等身大の人形)なゴーレムに魂魄魔法で魂を定着させている。

 

この一件を経て第46太陽系の地球と惑星トータスは特殊災害対策機関(ネスト)を通じて協議した末に交流を持つ事になった。

技術や文化の交流は勿論、アニメや漫画など日本の文化の輸出も進められているらしい。

 

トータスへと召喚され、地球へと帰還した私達は帰還者と呼ばれる様になり、トータス戦役が終結した翌日、休息を取ってから地球へと帰還し、多くの者が家族と再会した。

更にネストの諜報部の活躍によってマスコミが殺到するなんで事態は避けられた。

 

帰還者の中でもエヒト陣営についた3人…天之河、白崎、中村についてだが、まず白崎は八重樫の手で記憶を消された事もあってネストの監視がついた上での保護観察処分となり、中村は過去の境遇から多少は同情の余地ありという事から執行猶予付きでの判決となった。尤もネストからの監視は一生つく事になるだろう。

そして天之河はジーオスとなって世界を滅ぼそうとする者に加担したという(やらかした事)を例えるならジーオス教のテロリストと同じである事や中村の一連の行動の原因でもある事などもあって厳しい声や彼を批難する声が地球側・トータス側双方で上がっており、裁判が続いているが、今のままでは無期懲役になる可能性が高いだろう。

 

その他の帰還者達は帰還者用のクラスに通う事となり、畑山教師はその担任となった。

ユエ、シア、ティオ、ミュウ、レミアは基本的に南雲家に居候する事になったが、優花の実家を手伝ったりもしている。ハーレム自体、日本では忌諱されがちと聞いた事があるが、ハジメの両親も優花の両親も、あと何故か鈴の両親も寛容だった。

因みにユエ、シア、綾波、宮古、嵐、コンボバットと彼と共にいた2人のアデプトマスターも私達と共に帰還者クラスに通う事になり、ミュウはネストが運営に関与している幼稚園に入園した。

綾波は私達と共に第46太陽系の地球に"帰還"したその日の内にあかりやヴェルの案内で高坂穂乃果に会いに行ったのだが、その事はまた別の機会に話すとしよう。

アデプトテレイター組は本人達の意志もあって正式にネストに入る事となり、私が面倒を見る事になった。

 

そして、オーダーヴァンガードに関してだが…目的はあくまでもエヒトを倒して地球へ帰還する事であり、それが果たされた事もあって解散した…のだが、あかりやヴェルの発案でネスト内に於ける私の部隊として再編され、コンボバット達が新たに加入した。

 

エヒト陣営との戦いは終わったが、私達の戦いが終わった訳ではない。

この星ではジーオスとの戦いが続いているし、それでこそテロリストなどと戦う事もある。

 

 

私の名はマグナコンボイ…又の名を頼尽碧刃。

 

 

特殊災害対策機関(ネスト)、チームオーダーヴァンガード、出動(ロールアウト)!」

 

 

私は戦い続ける…大切な者達を守る為に、そして彼らの元へ帰る為に。

 

 

 

 

―side out―

 

 

 

 

青き銃士と戦女神

 

 

 

 

The End

 

 

 

 

Thank you for your reading!

 

 

 

 

 





後日談の短編もやる予定ではありますが、これにて青き銃士と戦女神の本編は完結となります。
これまでお付き合いいただきありがとうございました!

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