八幡がvtuber(にじさんじ )に入って成り上がるお話   作:きょうポン酢

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第二話

 

俺は通話での二時選考を何故か通過し、都内のいちから株式会社での最終面談に望むところだった。

 

いちから株式会社とはバーチャルライバーグループであるにじさんじを運営している会社だ。

にじさんじに入るにはこれをクリアしなければならない。

 

面接官「あなたはにじさんじに入ってどのような活動がしたいですか?」

 

八幡「俺は…金をたくさん稼ぎたいです。そのためなら歌やゲームだってやるし、案件やイベントだってどんどんやっていきたいです」

 

面接官「書類では現実の人間関係があまり良好では無いと書かれていましたが、配信で顔もわからない相手に話し続けることが出来ますか?」

 

俺はリアルでは根暗なコミュ障だし、目が腐っているし、それを意識するとやはり人と話すことが苦手だと思う。

 

八幡「俺は自意識の化け物と言われたことがありましてね、相手の顔が見えないからこそ俺は真価を発揮すると思っています」

 

一人語りならこれまで何度だってしてきた。脳内での自問自答は他の誰よりもしてきた自信がある。他の何よりも自分を知っているからこそ、配信活動は俺にぴったりであると思ったのだ。

 

面接官「ライバー活動を行うにあたって何かプランのようなものはありますか?」

 

俺はこの日までに死ぬほど妄想して構成したキャラクター像を伝える。

 

八幡「腐り目系vtuber、腐木谷ハチヤでいこうと思っています。詳しい内容はーーー」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして俺はついにライバーとしてにじさんじにデビューすることになった。合格通知が来た時は思わずリビングで涙ぐんでしまい、小町に気味悪がられていたのを覚えている。

 

にじさんじの新人ライバーは公式アカウントからツイッターによりデビューが発表される。

 

俺のバーチャルライバーとしての名は腐木谷ハチヤ、これは面接時に伝えた通りにしてもらった。

 

キャラクターの見た目は寝癖のついた黒色の中髪で、ダボダボの黒い制服に赤いネクタイを結んでいる。

 

ぱっと見やる気はなく、まるで人生舐め腐ってそうな高校生のガキだ。

 

目は事前に伝えた通り腐っており、2Dイラストということもありリアルよりも可愛げのあるデザインになっている。

 

まあ俺の目の腐り様をキャラクターに反映させたらそれはもうひどいことになる。なんせいちからの面接担当の人に会った時にはかなりギョッとされてしまって、なんだか申し訳なくなっていたのだから。

 

無事デビュー出来たのは良い、良いんだ。

 

だが…これは無いだろう!

 

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にじさんじ公式

 

本日より一名のライバーがデビュー!

 

にじさんじより新たに一名のライバーがデビューいたしました!

 

詳細はこちら→

 

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そう、俺は一人でデビューすることになった。

 

最近のにじさんじといえば同時に3名や2名などの複数のライバーがデビューすることがトレンドなのだ。

 

なのに俺は一人。

 

リアルでさえぼっちなのに、バーチャルでもぼっちとなってしまったのだ。

 

ていうかこれじゃあマジのプロぼっちじゃねえか!今までネタでぼっちのスペシャリストなんて自称してたけど、これじゃああんまりよ!八幡泣いちゃう。

 

やはり俺は孤独に愛されし男というわけか…

 

運営さんからは当初三人でのデビューを予定していたが、二人のデビューが諸事情により遅くなってしまうこと。

 

デビューする時期に目処が立たないため、仕方なくソロでデビューする方向に話が進んだらしい。

 

八幡「まずいぞこれは…非常にまずい!てぇてぇが無ぇ!」

 

これじゃあ同期でユニット組んだり、一周年記念で集まりながらリスナーのみんなに祝ってもらうのが叶わなくなってしまうじゃないか!

 

ちなみに[てぇてぇ]とはvtuber同士が仲良くしている様を尊いと思う気持ちのことだ。尊いを悟空訛りにするとてぇてぇになるだろ?そういうことだ。

 

いつまでも悲観していては垨があかないので、ツイッターでの第一声を考えることにする。

 

バーチャルライバーとして、ツイッター上での第一声(産声)を上げることにより、どんな人物であるかをリスナーのみんなに知らせる必要がある。

 

ここでファーストインパクトを刻み込んでおくのが非常に大切だ。にじさんじの先輩たちは古の2chコピペなどを貼ったり、キャラクターを左右に揺らしてみたりなど人によりけりだ。

 

八幡「よし…」

 

ーーーーー

 

俺が腐り目系バーチャルライバーの腐木谷ハチヤだ。この通り目は腐っているが、ゾンビ系vtuberでは無いので間違えないように。

俺には同期はいないが、先輩方に負けないように活動していきたいと思う。

これからよろしく頼む。

 

ーーーーー

 

少し固いような気もするが、こんなもんで良いだろう。

 

俺が呟くとすぐにリプ欄にコメントが届いた。

 

 

 

@これからよろしくお願いします!

 

@ほんとに目腐ってて草、ゾンビやん

 

@男一人かぁ…

 

@みんな目腐ってるって言うけど、俺は味があって好きだぞ

 

@この気怠そうな感じ良い…推します!

 

 

しばらく眺めていると何人かの先輩ライバーからリプライが届いた。

 

舞元啓介@男一人で大変だな!これからよろしく!

 

樋口楓@ほんまに目腐っとるなぁ!気合入れてけよ!

 

夜見れな@わー、新人さんだ!よろしくね!

 

不破湊@おおおおおお、よろしく!

 

本間ひまわり@新人さん!一緒に頑張っていこな!

 

 

舞元さんは34歳独身農家だ。スポーツ系の実況が好きで、色々なライバーからよく弄られている。元カノに全財産盗まれたり、焼きそばのMAXENDを食べて痙攣したりと伝説の多い人だ。

 

樋口さんは大阪のヤンキーJKと言った感じで、愛称はでろーん。歌が非常に上手いためライブ常連でもある。怒らせると怖い。

 

夜見さんはアイドルマジシャンだ。にじさんじレジスタンス(株)なるものに所属している面倒見の良い人。口癖は、ぇあ~。

 

不破さんはバーチャルホストだ。脳死トークでめちゃくちゃな事を言うのが面白い。どうやら味噌がウザいらしい。

 

本間さんは天真爛漫な関西JKといった感じで、太陽の様に明るいから名前にぴったりだと思ってる。体重について触れてはいけない。挨拶はおはござ。

 

このように個性豊かなライバーたちが所属するのがにじさんじなのだ。

 

八幡「俺もライバーになったんだな…これから頑張るか」

 

先輩方からのリプに返信し喜びを噛みしめつつ、ツイッターで夜通しエゴサをしまくるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、総武高校2年F組にて。

 

材木座「八幡よ!我の最推しであるホロライブの湊あくあを見よ!あくあたんは大天使なのだぞ!?」

 

放課後の今、このクラスになぜかいる材木座、体育の授業で一緒になってからはなにかと絡んでくる。現在ホロライブというvtuber事務所のライバーにハマっており、俺にvtuberを布教した本人でもある。

 

だが材木座は男のvtuberを好まず、にじさんじのライバーをあまり見ないらしい。ホロライブは女性のみのvtuberグループなのだ。

 

俺は材木座にはvtuberを見ている事を伝えておらず、当然俺がにじさんじのライバーになった事など知る由もない。

 

エゴサで夜更かしをした俺は半ば適当に相槌を打つ。

 

八幡「はいはい、あくあたんは天使天使」

 

材木座「おお!八幡もやっとあくあたんの魅力が分かってきた様であるな!ムハハハハ!!」

 

戸塚「なんだか楽しそうだね、材木座くん」

 

八幡「ああ、あいつはいつも脳みそお花畑だよ」

 

もちろん俺の天使は一人、戸塚しかいない。

 

俺のために味噌汁作ってくんねぇかなぁ。

 

戸塚「もー、何言ってるの八幡!僕男だよ〜!」

 

やっべ、心の声が漏れていたらしい。八幡恥ずかしい。

 

八幡「じゃ、じゃあ俺はそろそろ部活に行くわ、じゃあな戸塚」

 

戸塚「うん!また明日!」

 

材木座「八幡我は?はちまーん!?」

 

廊下を出て少しすると由比ヶ浜が廊下の壁に背を預けながら、地面を見つめていた。

 

結衣「あ、ヒッキー!遅いよ何してたの?」

 

八幡「材木座に絡まれてた、てかなんで待ってんだよ先行っとけよ」

 

結衣「いいじゃん待ってたって!てかゆきのん待ってるよ部室行こ?」

 

八幡「おう」

 

俺たちは奉仕部へと足を運ぶのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

奉仕部にて。

 

俺と由比ヶ浜は奉仕部の扉を開けると、いつもの席で雪ノ下が読書をしながら紅茶を飲んでいた。

 

結衣「ゆきのん、やっはろー!遅くなってごめんね?」

 

雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん。それに遅刻谷くんも相変わらず目が腐ってるわね」

 

八幡「遅刻谷って誰だよここには比企谷しかいねえよ、てか目が腐ってるのはいつもの事だろうよ」

 

雪乃「そうだったわね、目が腐っているのはいつもの事よね、私としたことが失念していたわ腐り谷くん」

 

うん、分かってて言ってるわこの人。

 

てか目が腐ってるって言われると身バレしたのかと一瞬焦っただろもう。初配信もしてないのに身バレとか洒落にならんわ…

 

俺と由比ヶ浜はいつもの定位置に着くと、各々やりたい事をやり始める。雪ノ下と由比ヶ浜は近い距離で、今日何があっただの駅前のクレープ屋がどうだだの話しをしている。

 

俺はといえば雪ノ下がいれた紅茶を飲みながら、スマホでツイッターを眺めていく。いつもはラノベを読んでいるが、今日ばかりはそうではない。

 

時間はゆっくりと静かに過ぎていった。

 

雪乃「今日はいつにも増してニヤニヤとスマホを眺めているのね、一体何を見ているのかしら?」

 

結衣「もしかして…エッチなサイト見てる!?ヒッキーさいてー!」

 

雪ノ下と由比ヶ浜の軽蔑するような視線が突き刺さる。

 

八幡「ちげーよ!こんな日が出てるうちからそんなもん見るわけないだろ!」

 

しまった、ツイッターで初配信を楽しみにしているファンの声を見ていたら、表情に出てしまっていたらしい。

 

俺がスマホを眺めていると犯罪者にでも見えるのだろうか。八幡善良な一市民よ?

 

雪乃「では何を見ていたというのかしら不埒谷くん」

 

八幡「それは…あれだ、vtuberを見てたんだよ」

 

もはや言い逃れなど出来るはずもない。

 

雪乃「vtuber…そうなのね」

 

結衣「ヒッキーvtuber知ってるの!?」

 

八幡「逆にお前らが知ってることに驚きだよ、なんで知ってんだよバリバリのオタクコンテンツだろこんなん」

 

雪乃「以前ユーチューブで猫の動画を見ていたら、おすすめに現れたのよ。それで見てみたら意外と面白かったわ」

 

結衣「今人気だよね、あたしはかわいい女の子の配信とか見ちゃうなー」

 

八幡「おお…すげえな」

 

これ以上この話はまずい、こいつらがvtuberを知っているのであれば、将来的に俺のチャンネルにたどり着く可能性が高い。

 

ここは早いとこトンズラさせて貰う。

 

八幡「すまん、用事を思い出した。今日は早帰りするわ」

 

雪乃「ダメよ、比企谷くんに大した用事が無いことくらい分かっているわ」

 

結衣「そうだよヒッキー、サボりは良くないよ?」

 

八幡「いやほんとにやらなきゃいけない事があるんだわ、すまんな」

 

これは嘘でもなくガチだ。初配信に備えてサムネイルを作ったり、音量調節、PCの動作確認などやる事は意外と多い。

 

雪乃「そう、なら平塚先生には私から言っておくわ」

 

結衣「そっかー、じゃあしょうがないね」

 

八幡「ああ、お先に」

 

俺は奉仕部を後にして、帰路についたのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「まさか比企谷くんがvtuberを知っていたなんて驚きだったわ、てっきりそういうものに興味ないと思っていたのに」

 

「あたしもびっくりしちゃった、だってあたしたち…」

 

「ええ、随分前から色々と準備していたわね、色々と問題はあったけど」

 

「そうだよ、何回も応募してやっと合格したんだもんあたしたち」

 

「とにかく比企谷くんにバレないようにしなきゃいけないわね、私たちのこれからの活動について」

 

「あたしも友達とかに知られるのはちょっと抵抗あるなー、やっぱり恥ずかしいもん」

 

「私たちの同期になるはずだった人の初配信が近々行われるみたいね、楽しみだわ」

 

「一緒に見ようねゆきのん!」

 

「もちろんよ」

 

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