全てはここから始まったように思う。
この、伝説の桜の木の下から。
あの日、今と同じようにこの桜の花びらが降りしきる中、わたしはマリエールさんに出会った。
あの時は伝説のことも、何もかもを知らず、ただただ綺麗な人だと思った。
教室で会った時、一瞬でケンカになったけど、このわけの分からない境遇の仲間が居て安心した。
軽口を言い合えるライバルのような、境遇を知る唯一の理解者のような、そんな感じだった。
朝、一緒に登校するようになった。
それが当たり前になるまでそう長くはかからなかった。
マリエールさんを落とそうと決めたときは、まだ打算と負けず嫌いな気持ちが強かった。
でもどうしてか、放課後を一緒に過ごせることがすごくうれしかったことを覚えている。
試験勉強を初めて教えてもらったとき、未来への道を照らされた気がした。
大人になるにつれ、諦めるしかないと知った夢を、諦める必要はないと教えてくれた。
リボンタイを選ばせて貰う時にも改めて思ったのが、マリエールさんの瞳は本当に綺麗だということ。一番好きなのは感情を乗せたときの色なんですけど。
文化祭のとき、忙しいのにわざわざ会いに来てくれた。あの時結構無理して時間を空けてくれたのを知っている。
マリエールさんは綺麗で頭が良くて、優しくて、気高くて、強かで。それでいて可愛いとても素敵な人だ。洗練された立ち振る舞いも気品あふれる声もその努力も。
「お待たせしたかしら」
振り返ると、そこに立つマリエールさんに強い既視感を覚える。
あの時とは逆の立ち位置が少し面白い。
その生き様全てが美しい。
こうして綺麗な花に囲まれているのも、晴天の下その空の瞳が輝くのも。もちろん、雨に濡れて俯く姿も。
その美しさ全てを傍にいて守りたいと思う。
地面に膝をついてマリエールさんの手をとった。
いつまでだって傍に居たい。それに、女の子が騎士でも良いって言ってくれたのはマリエールさんだ。だから、
「このまま、指先に口付けるのを許してはくれませんか」
主人になってくれることを請うことにした。
じっと瞳を見つめる。少し驚いたように見開かれていた目が伏せられた。
指先がわたしの唇を撫でるように動く。
そして、その美しい人は大輪の花が綻ぶような笑みを浮かべて言い放ったのだった。
「お断りですわ!」
この10話で第一部完とさせていただきます。
評価、感想、お気に入り等ありがとうございました。
拙い文章ではありますが楽しんでもらえたなら幸いです。
というわけで2期は
ロゼ「騎士になればずっと一緒に居られるじゃないですか!マリエールさんの分からず屋!おたんこなす!騎士にならせろ!」
マリエール「なにも分かってないのね!わたくしは隣に貴女を置きたいのであって傅かれたいわけでも後ろに付かれたいわけでもありませんわ!このおばか!あんぽんたん!」
これ