勿論、オリキャラもいます‼︎
それでは!どうぞ!
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ある世界での話。
現実の世界は既に八月を迎えてる。
そして、この世界はずっと同じ日の夏で時間が止まっている。
青空と赤い標識ばかりのその世界、暑さのせいでアスファルトの地面に陽炎が揺らいでいる。
そんな世界に一人、暑苦しい姿をした黒ローブが、ビルの屋上にあるフェンスに乗ったその状態で、両手で頬杖をついたその状態で、下を見ている。
その下で起こっているのは、酷い惨劇。
一人の少女が黒猫を追いかけ、もう一人の少年がその少女を追い掛ける。
そして少年はその少女に近付くトラックを見つけ、急いで注意をしようとするが遅く、少女はトラックに跳ねられる。
少年はそれを見て泣き叫ぶが、しかしその光景を見ても、黒ローブの眉は動かない。
一ミリたりとも動かない。
何故なら、既にその光景を見慣れてしまっているのだから。
人造エネミー(Ⅰ)
8月14日のこの日、ある家でけたたましいサイレンの音が鳴り響く。
その音が鳴っている部屋の主はそのサイレン音に驚き、ベッドから転げ落ちてしまった。
「……ッ!」
その主は右脛を抑えて、激痛を我慢する様な顔をしている。
どうやら、右の脛を大きく打ってしまった様だ。
その主は痛みと爆音への恐怖で涙目になりながらも、雪崩れ落ちた布団を手繰り寄せ体に巻きつける。
すると、サイレンの音が止み、代わりに一人の少女の声が聞こえてきた。
『おはようゴザイマス!ご主人』
その青いツインテールの笑いをこらえている少女『エネ』は、パソコンの中から部屋の主である、黒髪でひょろい体をしたパンツ一丁の男『如月 伸太郎』に和かに挨拶をする。
「エネ……お前……」
シンタローはパソコンの中にいる少女に文句を言おうとするが、しかしそれよりも早くその部屋に聞こえたのは、扉を勢いよく開いた音。
そして、次に響いたのは、母親の怒声。
「シンタロー‼︎あんた、アレだけ大きな音は近所迷惑になるって言ったはずなのに、何でまたするの‼︎」
「いや、違っ‼︎お、俺じゃねえ‼︎犯人はこっちの……」
シンタローはパソコンを指差しながら画面を見るが、その中には誰もいない。
(逃げやがったな‼︎彼奴!)
「兎に角!もう二度とするんじゃないよ!分かったわね!」
そう言って出て行く母親。
シンタローはそれを見て、服を着てからパソコンの前にある椅子にノロノロと座る。
そして溜息を一つ吐こうとした直後、また扉がイキナリ開く。
それにビクッとしたシンタローは直後に椅子ごと倒れ、頭を打つ。
「痛え……イキナリ入ってこないでくれよ、母さん……」
「ああ、そうね。ごめんなさいね。でも、あんたに伝え忘れてたことがあってね」
「伝え忘れた事?」
シンタローはそれに首を傾げると、母親は伝える。
「幼馴染の『龍斗』君が来てるわよ」
それに対して、シンタローは少しだけ嬉しそうな顔をする。
「お、そうなのか?なら、ちょっと降りるか」
「あんたが下の階に降りるなんて、お風呂とか、ご飯とか、龍斗君が来るときぐらいよね〜」
「うっ……」
シンタローは母親から『事実』を突きつけられ、少し呻く。
その後は無言で階段を下り、玄関まで向かうと、やや長い薄い茶髪で特徴的な癖っ毛、濃緑のパーカーを着て、外は快晴なのにも関わらず黒の傘を持った青年がその場に立っていた。
「『リュウ』!来てくれたのか」
「ああ。で、上がっていいのか?」
「ああ、こっちだ」
シンタローは嬉しそうな顔を必死に抑えてリュウを自身の部屋まで連れて行くと、パソコンの中からエネの声が聞こえてきた。
『ご主人が急に何処かへ行ったと思ったら、リュウさんでしたか‼︎』
エネが嬉しそうな笑顔を浮かべてそう言うと、リュウも頷く。
「俺だ、エネ。期待外れか?」
『いえ!期待通りです‼︎ご主人が下の階に降りるときなんて、お風呂とかご飯とか、リュウさんを出迎える時ぐらいしかないですからね〜』
「母さんと同じこと言うなよ……」
シンタローはそう言いながらもパソコン前に座り、何かの作業に入るシンタロー。
暫くの間、部屋の中ではキーボードを叩く音しか無かったが、しかし、リュウが急に口を開く。
「……なあ、シンタロー。『アカネ』とは連絡取ってるか?」
それに対して、シンタローはキーボードを叩く指を止めずに答える。
「……メールでのやり取りだけだ。直接会って会話した事はない」
「……そうか」
リュウはそう言って外を見る。
外は未だに快晴である。
「……雨、降らないかな?」
「本当にリュウは雨好きだな〜」
「まあな」
そんな会話の後に、シンタローの指が止まる。
そうして自分の耳に持っていたヘッドホンを当てると、そこから音が流れ出した。
その音を暫く聞いていると、シンタローはカッと目を見開く。
「これは……売れるッ‼︎」
そう叫ぶシンタローの背中に、少し呆れの視線を向けるリュウ。
そんな視線など気にせずに作曲作業を続けるシンタロー。
しかし、そのパソコンの中では、エネがその作業を故意に邪魔する。
『今日はかなり猛暑日だそうてすよ。うわっ!都心で予想最高気温35℃ですって!わわっ。もう都内だけで十人くらい熱中症で搬送されてるみたいですよ。ご主人も外出時にはしっかりと対策しないと駄目ですね!』
「俺には関係ねぇよ。外なんて出ないんだから」
「流石ヒキニート」
「違う。自宅警備員だ」
そんな会話の最中も作業を続けているシンタローだが、急にエネに話し掛ける。
「っつーかお前さぁ……俺のログインパス変えたろ」
『おお!流石ご主人、反応が早くて嬉しい限りです!』
「戻せよ……今すぐ……」
『まぁまぁそう焦らずとも。というわけでこんなものをご用意いたしました!』
その声とほぼ同時に画面に現れたのは『保存しますか?』の問い。
それをエネは勝手に『NO』を押し、ディスプレイに表示されていた全てのウィンドウが瞬時に閉じられた。
それに驚いた表情を見せるリュウと、絶望の顔を見せるシンタロー。
そのすぐ後にシンタローは叫ぶが、その叫びを意に返さずに画面に四択クイズが表情さ!た。
『そんな訳で第一問!これに正解すると一つ目のパスワードを……」
「お前は馬鹿なのか⁉︎死ぬのか⁉︎これ‼︎曲‼︎これ‼︎」
そうして暫く言い合いを続けていると、シンタローの肘がパソコン近くに置いてあったコーラに当たり、その中身の液体は外に溢れた。
それを見て絶望した顔をするシンタローだが、エネとリュウはそんなシンタローに大声で呼び掛ける。
その声に反応したシンタローは直ぐにティッシュでキーボードとマウスを拭う。
その作業から少しして、ある程度綺麗になってからキーボードの文字を叩いてみる。
すると、打てる文字が『t』『r』『o』のみ。
「……おお。これは……『トトロ』って打てるな」
『他にも『トロロ』とも打てますね……』
そんな会話をするエネとリュウはチラッとシンタローを見ると、死にそうな顔となっていた。
「……俺、パソコンがないと生きていけねえ……」
「あ〜、パソコンを買い換えるしかないんだろうが……」
リュウはそう言ってエネとアイコンタクトを交わすと、エネは画面上に色々な店の情報を開く。
『やはり、何処もお盆休暇で頼んでもくるのが二日後ですね……』
「……二日?」
シンタローはそう呟くと、ますます死にそうな顔をした。
それを見て暫く黙っていたリュウは、一息つくと、シンタローの肩に手を置く。
そんなリュウの行動に視点が合わない目で見返すシンタロー。
そんな状態のシンタローを気にせずに、リュウは考えを言う。
「仕方ない、買いに出るぞ」
「……」
シンタローはその言葉に目を見開き、エネは嬉しそうな顔をする。
その後、一度エネとシンタローが口論したが、『パソコンが無いと死ぬ』シンタローが結局折れ、外へと出ることにした。
シンタローは溜息を吐きながらタンスの中を調べてみると、そこにあったのは赤いジャージ。
猛暑であるにもかかわらずにシンタローはそのジャージを羽織ると、携帯を持ってリュウと共に外に出るのだった。