ストパン世界に転生したけどモブとしてクルロスを見守ろうと思ってただけなのに…   作:まったりばーん

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ちょっと多めです(当者比)


すっかり話は別物です!

金と銀の頭髪を持つ魔女二人がハンガーへと駆け込むと、既に彼女達以外のウィッチが集結していた。

皆が各々の武器を手に取り真剣な顔。

グレゴーリ撃破以来、ネウロイ迎撃の為に全員が召集される事は珍しかった。

 

「全員揃ったな、では簡単だが状況を説明する!」

 

中心に立つ人物、グンドュラ・ラルは入ってきた二人を尻目にそう口を開く。

 

「地中を移動したと思われる小型の地上型ネウロイが、スオムス領内の主要都市各所に出現し遊撃戦を開始した。規模は小さいがスオムスは現在駐留軍が少ない。これに伴ってスオムス内外の基地に出動要請がなされている。」

 

ラルは北欧を中心として描かれた大きな地図の一点を指差す。

指し示られた場所。

それはスオムスとオラーシャ国境の港湾都市。

ヴィボルグだ。

 

「我々はこの中で最も近いヴィボルグに急行し、現地の守備隊と協力してこれを叩く!以上だ!質問のある者は!?」

 

「はいっ!」

 

すかさず。不安げな表情のニパが手を上げた。

 

「何だ?」

 

「スオムス全土って…どれくらいの範囲なんですか…?」

 

自身の母国が危機に瀕しているからであろう。

金髪の少女は悲壮感のある声を震わせた。

 

「文字通り全土だ。ほぼ同時多発的に、主要地で、纏まった数のネウロイが出現した。おそらく、このペテルブルグの正面突破が困難と見て、その後方地であるスオムスを狙った…というのが上の見立てだ。奴等も頭が回るからな。」

 

「…そんなぁっ!」

 

ラルの言葉を受け、ニパは強く唇を噛み締めた。

自然とMG42を握る力が強くなる。

スオムスは比較的被害が軽度だったとは言え、少なくない損害を開戦初戦で受けている。

一瞬…彼女の脳裏にはその時の光景が甦った。

 

「ブリタニアからもウィッチと空挺部隊がスオムスに向かっている。トゥルク海軍基地からは海防戦艦イルマリネン、カウハバからは507も出て各地で対処に当たっている!だからこそ、我々にも声がかかってきたんだ。頼むぞ!」

 

「…はいっ!」

 

ニパを勇気づける様に言葉を続けるラル。

応える様にニパも叫ぶ。

でも、その瞳は動揺を隠しきれてはいなかった。

しかし、落ち着けている時間はない。

ラルはコホンっと咳払いをして話を一旦区切っておく。

そして、すぐにニパから目を離すと、入口のすぐそこに立っているロスマンに向かってこう言った。

 

「…それと、ロスマン曹長っ!何か私に言いたい事が?」

 

「はあっ?」

 

指名され、困惑するロスマン。

思わず上官にしてはいけない声を漏らす。

別に聞きたい事などない。

どうしてワザワザ名指しされたのか?

 

(あぁ、そういう事ね。)

 

しかし、壁に立て掛けてあった鏡を見て納得する。

…無意識の内にラルへ敵意の籠った視線を照射していたからだと、自覚するのにそう時間は要らなかった。

 

「ありません、ラル少佐。」

 

ロスマンは敵意の籠った視線のまま口元だけ笑って見せた。

 

「…そうか、では改めて出…」

 

「まってくれ!」

 

出撃!…ラルがそう号令をかけようとした所で、ハンガー内に新たなウィッチが入室した。

 

「やはり、ヴィボルグか…私も同行する。」

 

「…ユーティライネン中尉!」

 

声の主はアウロラ・エディス・ユーティライネン中尉。

同基地回収班の隊長であり、ヒスパニアからの古強者。

付けられた渾名、モロッコの恐怖は端的に彼女のその実力を示している。

既にその細い脚には陸戦ユニット三号突撃脚が装着され、準備は万端だった。

 

「私も出撃可能なウィッチだろう?」

 

「しかし、貴女は…」

 

声を淀ませるラル。

それもその筈、ユーティライネン中尉は既に二十を過ぎている。勿論、全盛期程の魔力はない。

だからこそ回収班という二線級的扱いの部隊にいるのである。

しかも、彼女は陸戦ウィッチ。

空を飛べないのは今回の場合は致命的だ。

ここから直線距離で130km離れたヴィボルグへは、その脚で何時間もかかってしまう。

 

「祖国の危機に年齢を理由で出撃しない程、私もお利口じゃないんだ。移動は輸送機を一機貸してくれ、ヴィボルグについたら落としてくれるだけでいい。帰りは久々に故郷の空気を吸いがらのんびり帰るさ。それに相手は地上型。なら、陸上戦力は必要だ。是非、私を使って欲しいっ!」

 

司令官の緑の瞳から二つの懸念を読みとったアウロラ。

彼女は目に笑みを湛えて解決策を提示した。

 

「ユーティライネン中尉には空挺降下の経験が?」

 

ラルは目を丸くする。

確かに経験豊富なベテランウィッチ。

だが、彼女の経歴に空挺作戦があったとはラルは聞いてはいなかった。

 

「ない!でも、ニパが何度も落っこちて生きてるんだ。私にできん筈もない!」

 

アウロラは簡潔に宣言すると、よく落下する妹分をからかう様に指差した。

忽ち、ニパは顔を赤くする。

 

「ねっ姉ーちゃんっ!」

 

さっきまで不安気だった顔付きを恥ずかしそうに赤く染めるニパ。

それを見て502の面々は真剣な顔を和ませた。

 

「はははっ、ニパ言われてらぁ!」

 

「墜落数はカンノも同じだろーっ!」

 

「ニパさん!墜落しても生還できる頑強さはニパさんの強みですよ!」

 

「ひかりー?お前、それ誉めてないだろー!?」

 

先程までハンガー内を包んでいた緊張感が霧散する。

故郷の危機に焦っていたニパも、アウロラの一言でだいぶ肩の力が抜けた様だ。

成る程、 人柄の良い彼女の事。

このプラチナブロンドの魔女はそれを狙ってからかったに違いない。

 

「フッ…解りました。パラシュート投下用の輸送機をすぐに用意させます。」

 

ラルはアウロラのそんな人柄も考慮して、同行を認める事にした。

 

「…では、改めて皆、頼むぞ!」

 

「「了解!」」

 

ハンガーに魔女達の声が反響する。

そして、それはすぐに回転する魔法のプロペラ音へと変わった。

 

────

 

ペテルブルグから数十分。

ラルは約束通り、アウロラの為に輸送機を用意しその機を守る様に502のウィッチ九名が飛行している。

基地司令であるラルは通信の為、基地に留守番だ。

 

「いいですかーっ!中尉!高度が下げ終わって!扉を開けて!ランプが緑になったら降下して下さいーっ!」

 

目的のヴィボルグ付近になり、輸送機の中でパイロットはそう叫ぶ。

 

「心得た!」

 

怒鳴り返すアウロラ。

エンジン音で機内は騒音まみれ。

叫ばないと声が通じないのだ。

 

「オーケー!じゃあいきますよ!中尉!」

 

機内で傾くアウロラの体。

耳が圧で痛くなる。

たった一人のウィッチを投下する為に輸送機はその高度を下げ始めた。

鮮明になるヴィボルグの風景。

中世の装いが残る古い町並みからは所々、火の手が上がっている。

 

「進路よしっ!進路よしっ!」

 

所定の高度まで下がったのか、パイロットは機を平行に戻す。

乃ち、降下の時である。

 

「…進路よしっ!進路よしっ!今だっ!3…2…1!降下!降下!降下!降下!」

 

ブーッ!とブザーが音を立てランプの光を緑に変えた。

 

「世話になった!行ってくる!」

 

そして、開かれたハッチから身を乗り出しアウロラは重力にその身を委ねた。

 

「…おい!今、パラシュート付けてなかったぞ!中尉!」

 

たった一つの大きな問題と供に。

 

───

 

「では、二名一組のロッテとなって分散し、各人地上のネウロイを捕捉撃破して下さい。まだ、民間人もいる様です。巻き込みは最小限度に。それとニパさん、貴女はユーティライネン中尉の直援をお願いします。」

 

「「了解っ!」」

 

そんな事を知ってか知らずか、航空歩兵組はサーシャの号令で分散している最中だった。

 

「一緒にいきましょう!ひかり!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

「定ちゃん!」

 

「行くわよジョゼっ!」

 

「…先生、飛びながら話せるかい?」

 

「奇遇ね、わたしも同じ事を考えていた所よ。」

 

「…おい、これって?」

 

「はい管野さんは余った私とです。昨日のしごきで身につけたコンビネーション!見せましょうっ!」

 

「…うーっす。」

 

死んだ目をした直枝というレアな現象がヴィボルグ上空で発生していた。

 

───

 

「ニパの奴、これを毎回こなしているのか?見直さないといけないな…。」

 

パラシュート無しで降下したアウロラは地上でそう独り言る。

空挺降下のやり方がよく解らなかったアウロラは取り敢えず、手に握る75mm魔力砲を地上めがけて発砲し落下速度を減速させながら、雪の積もっている所へ向かって、シールドで落下の衝撃を和らげつつ、五点着地の要領で降下に成功した。

 

「アウロラ姉ちゃん、大丈夫?」

 

インカム越しに聞こえる、妹分ニパの声。

アウロラがパラシュート無しで降下してしまった事は、パイロットからの連絡で知っていた。

 

「大丈夫だぞニパ。どうだ姉ちゃん凄いだろ?」

 

上空のニパに向かって主砲を持つ右手を突き上げる。

 

「はぁ、姉ちゃんらしいや心配して損した。」

 

呆れたと言わんばかりに溜め息を吐く。

 

「おっと…ニパ、お喋りは終わりだ。来たぞ…!」

 

「えっもう!?早くない!?」

 

「そりゃ、ネウロイがいる所へ向かって落ちたからな。」

 

ガチャンッ!

 

響く、主砲の装填音。

戦いの火蓋は切って落とされた。

 

───

 

「姉ちゃん!次の十字路右に三体!」

 

「よし!」

 

アウロラとニパのスオムス陸空コンビ。

二人の戦闘方法はすぐに確立された。

 

「姉ちゃん!後ろから二体向かってる!」

 

「そこかっ!」

 

上空からニパが地上を俯瞰し目となり、アウロラに指示を出す。

 

「屋根から一体!それは任せて!」

 

そして、たまにアウロラが対処できないネウロイが現れた場合はニパが始末する。

戦場を三次元的に見えるニパと、小回りが効き確実に敵を仕留める事のできるアウロラ。

航空歩兵のロッテ戦術をそのまま陸に当てはめた戦い方。

ヴィボルグの様な入り組んだ市街地では、このバトルスタイルが最適解である様だ。

 

(ヒスパニアを思い出す!)

 

街路を駆けながらアウロラはヒスパニア動乱の事を思い出していた。

ヒスパニア動乱も戦場は市街地が中心だった。

舗装された石畳を踏みつけ、入り組んだ街路を制圧し、民間人をも巻き込んでの戦闘。

 

十字路を曲がった先に敵がいるかもしれない…!

 

当時はそんな緊張感を感じながら戦っていた。

だが、今はそれがない。

愛しの妹分が逐次敵の所在を報告し、自分は主砲を打ち込む事だけに専念できる。

なんとも贅沢な戦い方だ。

 

(あの時これができていたらなぁっ…!)

 

アウロラがそう考えていた。

その時だった!

 

バリィンッ!

 

アウロラから見て左側の民家からネウロイが窓を突き破り、飛び出して来た。

 

(家に隠れてっ!)

 

彼女の持つ主砲は右手。

ウィッチ用にと、戦車の主砲をスケールダウンさせたデザインにはなってはいるが、それでも長く重くて取り回しが悪い。

それが左側で、至近距離に突如現れた物なので、アウロラは咄嗟に右手の主砲の照準を合わせる事ができなかった。

 

「不意打ちで取れると思ったかっ…!」

 

だが、アウロラは慌てない。

そもそも構造上、がら空きになる左側の事を考えない程、従軍経験が浅い訳ではない。

アウロラは左太腿に巻き付けたベルトに挿していたサブマシンガン、スオミを引き抜くと、左腕一本でネウロイへ向かってトリガーを引いた。

 

「喰らえっ!」

 

そのままマガジンが空になるまで弾を浴びせる。

銃身が加熱してきた所で、クモみたいな形の小型ネウロイは消滅した。

 

「姉ちゃん!平気!?」

 

「大丈夫だニパ。だが、奴等学習してきてる。ニパの目を誤魔化す為に民家の中に隠れていた。ニパ、お前も気を付けてくれ。」

 

「うん!解った。でも、今姉ちゃんに伝えたい事があるんだ!」

 

「どうした?」

 

「今、ずっと先の方で誰か人が一人ネウロイに向かって銃を撃ってたんだけど、ネウロイの光線で崩れた瓦礫の下敷きになっちゃったんだ!助けてあげようよ!」

 

「解ったすぐ向かう!」

 

まだ戦闘は終結していない。

民間人の救出は普通だったら無視する。

だが、可愛いニパのお願いなら聞くしかない。

アウロラは脚に意識を集中させ、戦闘脚の履帯を回転させた。

 

───

 

「ここか」

 

アウロラはそのまま進み、ニパの報告にあった瓦礫の山へと移動していた。

見るとそれほど大きな瓦礫ではない。

生存の見込みがなさそうなら無視して進もうと思っていたが、これなら掘り上げる価値はある。

アウロラはそう思うとスコップを取り出し、土で汚れるのを気にしないで、山を掘り進めた。

そして、砂とコンクリの中から俯せで倒れた件の人物を掘りあてる事に成功する。

背中に耳を当てて音を確認。

心音…生きていた。

アウロラは胸を撫で下ろす。

だが、気絶しているのか倒れた男は何にも反応しない。

 

(髪が黒い…?スオムス人じゃない、東洋人か?)

 

倒れた男の髪色を不思議に思って、体をひっくり返す。

そして、その正体を知り絶句した。

 

「…っ!お前は?どうしてここにっ!?」

 

瓦礫から現れたのはかつての部下で戦友だった男。

自分の判断ミスで回復しようのない欠損を与えてしまった男。

そして、それが理由で除隊され、一月以上も前にペテルブルグから消えた男だった。

 

「…フジキ!?」

 

アウロラの意識は戦場だというのに眼前の死にかけの歩兵に注目してしまう。

その時である。

 

「アアアアア────ッ!!!」

 

動物の物とも機械音とも似つかない鳴き声が、彼女の足元から鳴り響いた。

おそらく地中に潜伏していたのであろう。

小型のクモの様なネウロイがその漆黒の体躯を石畳の下から突き出させ、油断していたアウロラに飛び掛かかった。

 

「ネウロイッ!地面に潜って!?」

 

肉薄するネウロイ。

すぐにアウロラは手にする75mm砲を発砲しようと魔力を込めた。

…しかし!

 

(不発っ!?もうか!…もうなのか!?)

 

彼女の意思に反して75mm砲の、魔力を原動とする砲弾は射出されなかった。

二十を過ぎ、魔法力の減退期である今。

アウロラの身体は主砲の要求に応える魔力を長時間維持する事は不可能になっていたのだ。

 

「クゥッ!」

 

何とか微弱なシールドを展開し、怪異の突進をいなす。

だが、ネウロイはすぐに体勢を立て直すと体を怪しく発光させ始めた。

光線を撃とうとしているのだ。

この至近距離で。

 

(どうするっ!?)

 

彼女は思考する。

どう眼前の化け物を打倒するか。

 

主砲は…?

魔力不足!使えない!

 

スオミは?

マガジンが空!再装填している間に撃たれる!

 

「ならっ!こうするっ!」

 

アウロラは絶叫した。

彼女は右手に保持する75mm砲を大きく振り上げると、そのままネウロイの堅牢な装甲に力一杯ブチ当てた。

 

ガギィンッ!

 

岩にツルハシを打ち立てた様な音が反響した。

魔女の力で思い切りぶつけたせいで、75mm砲の砲身は歪んでしまう。

 

「アアアアア───ッ!!??」

 

心なしかネウロイの悲鳴も困惑混じり。

忽ち、不気味な発光を取り止める。

そして、砲のぶつけられた辺りの装甲が破散し、そこから赤く光を反射する物体を露出させた。

ルビーとも、ガーネットとも形容されるネウロイの心臓部。

通称、コア。

彼女が見逃す筈もない。

 

「そこかぁ!」

 

「アアアアア──ッ!」

 

コアを認識すると彼女は右足で、不敵に光る紅玉を力一杯踏みつけた。

 

「つぶれろっ!」

 

右足に装着する三号突撃脚。

その履帯がギャリギャリと音を立てネウロイのコアを圧迫する。

 

だが、硬い!潰れない!

 

それでもアウロラは己の体重をかけ続ける!

 

「つうううううぶううううれええええろおおおおっ!」

 

「アアアアア─────…アッ!」

 

ゴキンッ!

 

おおよそ自然界では発生し得ない音を鈍く出し、コアは粉々に砕け散る。

そしてクモみたいなネウロイは純白の粒子となって霧散した。

ネウロイという脚の支えを失った為、全体重をかけたアウロラの右脚をはズンッと前のめりにスオムスの大地を踏み締める。

石畳の歩道に5cm程沈み込んだ。

彼女がどれほどの圧力をかけていたのかが伺い知れる威力。

アウロラは瞬時に上体を起こすと、無用と化した75mm砲を放棄し、スオミのマガジンを交換。

辺りを警戒する。

どうやらさっきの伏兵が最後であったらしい。

今度こそ本当に敵の気配は感じられなかった。

 

「姉ちゃん!」

 

本日三度目の心配そうなニパの声。

 

「大丈夫だ。この辺りにはもうネウロイはいないみたいだ。取りあえず負傷者は回収した。安心しろニパ。」

 

「良かったぁ…」

 

安堵の声を上げるニパ。

 

「だが、私の方はもう魔力が限界だ。負傷者もいるし離脱する。

ポクルイーシキン大尉に伝えてくれ。」

 

「えーっ自分で言えば良いじゃないのさ?」

 

「私と彼女の間柄知らん訳ではないだろう?」

 

「大丈夫ですよ、中尉聞こえています。」

 

「大尉!?」

 

ニパとアウロラの会話に割り込むサーシャの声。

どうやら、ずっとチャンネルを接続していたらしい。

 

「了解しました中尉、負傷者を野戦病院に運んで撤退して下さい。守備隊も持ち直していますし、敵の狙いも分かりました。もう、中尉がいなくても方が付きます。」

 

「敵の狙いが?」

 

不思議そうにアウロラが喉を震わせた。

 

「えぇ、ネウロイの狙いはスオムスの鉄道網です。上空から観察していましたがネウロイはバラバラで適当に破壊活動をしている様に一見見えます。ですが、その実、駅の方へと向かっているんですよ。遠回りしたり、迂回したり、タイミングをずらしたりしていますが、確実に。」

 

サーシャは淡々と自身の推理を披露する。

完全記憶の魔法でこの町全体の街路を把握したからこそできる推理だった。

 

「ネウロイはペテルブルグを落とすのが難しいと考えて、ペテルブルグに繋がるスオムスからの陸路を遮断する為に動いてます。動きが解れば簡単です。今、守備隊の皆さんに駅の守りを固めて貰ってます。ニパさんも続いて下さい。」

 

「了解!じゃあアウロラ姉ーちゃん!また後で!」

 

そう言って上空のニパは駅の方へと飛んでいった。

 

「行ったか?」

 

そして、ニパが見えなくなるとアウロラはインカムの電源を切る。

 

「会いたかったぞフジキ。」

 

アウロラは気絶する異国の青年をお姫様抱っこで抱き上げた。

いつも、スオムスで愛しの妹にする様に。

 

 

 




ヴィボルグは現在ロシア領ですがWW1終結後~冬戦争の間はフィンランド領でした。
ストパン世界では人間同士の冬戦争は起きてないと思うのでヴィボルグはスオムス領にしました。

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