ストパン世界に転生したけどモブとしてクルロスを見守ろうと思ってただけなのに… 作:まったりばーん
その為呼び名を変更しました
すみません
「先生、動いちゃ駄目だよ?」
「解ってるわよ…ヴァルトルート。お願いね。」
「ふふっ…了解。」
二人が入るのは欧州では定番であるユニットバス。
そんな標準的なバスルームで二人の魔女はシャワーからお湯を流したまま、何やら言葉を交えていた。
被服が濡れるのが嫌なのか、両者とも一糸纏わぬ産まれたままの姿。
湯気を照らす照明が小柄な少女の白い肌と、背の高い麗人の褐色の肌を照らし出している。
ここに第三者の目があれば淫靡という感想ではなく、一種の宗教画に描かれた裸体の美しさを感じたに違いない。
それ程までに二人の肢体と肌の艶は清楚的であった。
「先生、綺麗だよ。」
だが、背の高い伯爵はそんな雰囲気など気にしない。
欲望を隠さず、興奮気味にそう声を上げる。
隠しきれない猟犬の吐息がロスマンの肌を刺激した。
「やめてよ恥ずかしい。」
今の二人の体勢は少々、際どい。
銀髪の少女はその華奢な身体をバスチェアに預け、大きく開脚し、下半身の局所を金髪の伯爵にさらけ出しているのだ。
普段秘めている場所を凝視されているからか、ロスマンは白い頬を赤面させている。
「だからって全くお手入れしない訳にはいかないからね。先生、濃いんだから。」
クルピンスキーはそんな彼女の反応を楽しみながら、石鹸を手の平で泡立て、下半身に広がる銀色の草原に白い泡を這わせ始めた。
瞬く間に泡にまみれる白銀のステップ。
要領は髪の毛をシャンプーするのと変わらない。
「きゃっ!」
シャンプー中、ロスマンはヒャンッと声を上げた。
どさくさに紛れ、伯爵はその褐色の指でロスマンの秘部を刺激したらしい。
「変な所触らないでよ…。」
すかさず、クルピンスキーに抗議の視線を送る。
「ははっ、ごめんつい先生が綺麗で。」
「…もう。そんな風に言えば許されると思っていないかしら?…焦らさないで速くして。」
「じゃあイッキにやっちゃうよ?」
クルピンスキーはそう宣言すると手早く剃刀の刃を立てた。
そして、慣れた手付きで刈り上げる。
丁寧に、優しく、でも容赦をせず、羊毛の様に縮れた体毛を剪定する。
水の跳ねる音に混じって響くジョリジョリとした髪剃りの音。
それがクルピンスキーの嗜虐心を刺激した。
このまま押し倒してしまおうか?
伯爵はそう考える。
彼女の心の猟犬は完全に興奮してしまっている。
このまま、先生の細い体を押し倒し蹂躙したい衝動に駆られてしまう。
だが、猟犬はそれを何とか押さえつけ己の義務を遂行した。
「…おわったよ先生。」
ムラムラしながら刃を動かす手を止めたクルピンスキー。
彼女は剃刀を置くと、お湯を流したままにしていたシャワーを手に取り、泡にまみれたロスマンの局所へと湯を当てる。
忽ち、泡と一緒に銀色の体毛がシャワーで流された。
淫靡な体毛は水の流れで排水口へと誘われる。
…後で掃除が大変そうだ。
充分に洗い流されたのを確認し伯爵はシャワーを止める。
産毛一つないロスマンの下腹部が露になった。
「毎度の事だけどスースーするわね。」
「先生…興奮したって言ったら怒る?」
クルピンスキーの視線。
そのネトリ付く様な彼女の視線は、更地となったロスマンの股先へと集中している。
おそらく、少女が合意すればそのままベッドルームへと直行だ。
「…今日はイヤよ、剃ったばかりは痛いもの。それにまだ肌寒いし。」
褐色のウィッチの提案を、少女はハッキリと拒絶した。
季節は1946年4月。
北欧では、まだ肌に寒さを感じる季節。
いくら暖房器具があったとしても、今ここで事を始めるには抵抗があったのだ。
(今の流れならイケると思ったのに…。)
クルピンスキーはおわずけされた子犬の心持ちになる。
「それもそうか…じゃあ、今度はボクのもお願いね?」
「貴女は薄いじゃない。必要ないでしょ?」
湯気の籠るバスルーム。
一年近く前に家主が消えたこの家で、今、二人のウィッチは春の一時を過ごしていた。
───
「イテテッ…ガチでやったな」
小さな街の小さな警察署。
その小さなロビーのソファの上。
頭をさすりながら俺はそう独り言る。
アウロラ姉さんの妹、エイラに頭をぶん殴られて気絶すると警察署の前に放置されていた。
一応事情を聞くと取調室的な場所に案内され、暫く事の経緯を説明し、事件性はないと判断された。
それで、まぁソファーにでも座っていろと雑に扱われ今に至る。
家に連絡し迎えが来てくれるまではこの警察署から出れない様だ。
…全く、警察のご厄介になるのに良い事など一つもない。
周囲の警官も俺の扱いをどうした物かと呆れている。
だけれども、俺は一つの意外な収穫を手にしていた。
「俺は軍人だったのか…。」
俺のスッポリ抜け落ちた半生。
その二十年と少しの期間、俺は兵士として従軍していたらしい。
しかも、途中から義勇兵扱いとしてスオムス軍の指揮下で戦っていたのだ。
敗退した扶桑派遣軍が義勇兵として各国の軍に従軍するというのはよくある例らしい。
おそらくアウロラ姉さんと知り合ったのもそこだろう。
この従軍経験があったからこそ、このスオムスでの労働が認められ、在住許可も降りていた。
今まで異国人の俺が何故北欧で生活できていたのか解らなかったが、こういうカラクリがあったとは。
思いもよらない経歴だ。
だが、これで一つ符に落ちた事もある。
…指って多分、軍隊で失くしたんだなぁ。
俺に足りない半分の指。
左は三本、右は二本。
おそらく失墜の原因は軍隊生活であろう。
戦闘か事故かは解らない。
でも従軍中に負傷して欠損したというのが一番納得できる。
だからアウロラ姉さんは話したくないのだ。
きっとその戦闘か事故かは姉さんに罪悪感を与えるのに充分な物だったに違いない。
場合によっては姉さんに責任の所在がある類いの物だった可能性もある。
昼に見せたあの怯えた目。
きっと指の無くなった経緯を俺が知れば自分が怨嗟の対象になってしまう。
それを恐れた目だったのだ。
でも…
「別にそんなの気にしないのに、アウロラさん。」
そこまで考えて、自然と口からそんな言葉が出ていた。
確かに俺の負傷は姉さんの責任による物かもしれない。
でも、記憶を無くす前の俺ならいざ知らず。
今の俺にとっては姉さんは一緒にいて安心できる人。
かけがえのない家族の様な人だ。
この一年、色々な事をしてもらった。
住まいの用意や、職の斡旋…スオムス語の教育だって彼女がやってくれている。
姉さんに対する感謝はあれど、恨みなんて物は微塵もない。
ある筈がないのだ。
そもそも、アウロラ姉さん無しでは俺はこのスオムスで生きていけない。
そんな存在を突き放す事なんてできる訳ないのに、姉さんは俺が真実を知る事を恐れている。
(ちゃんと説明しなきゃな…)
心の中でそう思った。
「フジキさん、お迎えの方が来ていますよ。」
そして、心の中でそう決心したと同時に警官が俺に声をかけてきた。
アウロラ姉さんが迎えに来てくれたのだろう。
視線を入り口の方へと移す。
丁度、背の高い女性がロビーに入ってくる所だった。
「…は?」
右手を上げ此方に手を振る女性。
だけれども、彼女の髪色はプラチナブロンドではなく金髪だった。
──
「なぁっ!もう帰っただと…?」
「はい家にご連絡した所一時間程でお迎えの方が来て、一緒に帰宅しましたよ。」
驚愕に目を丸くするアウロラ。
同居人を迎えに街の警察署まで脚を運んだが、そこで待っていたのは同居人がもう帰宅したという受付での説明だけであった。
「連絡?可愛い妹よ、私が寝ている間に電話か何かあったか?」
アウロラは連絡という単語に眉を寄せ、傍らに控える妹に問い掛ける。
「…いや、ないけど。」
萎縮気味に喉を震わせるエイラ。
「だそうだが、本当に連絡したのか?家には電話一本来てないらしいぞ?」
受付に目線を戻し、警官を睨みつける銀狼。
「そんな筈は…。」
「事と次第によってはタダではおかんぞ?言え、何処に連絡した?彼は私の同居人だぞ!」
「しっ少々、お待ち下さい…。」
凄むアウロラに受付は困惑の表情。
それはそうだ。
スオムスでユーティライネン姉妹を知らぬ者はいないのだ。
いわば国の英雄に手違いがあったとなれば周囲からどんな目で見れるか解らない。
受付は焦る手で受話器を取り内線を繋ぎ、担当部署と連絡を取り始めた。
「なぁ…ねーちゃん…」
受付が担当部署とやり取りしている間。
苛つく姉のコートの袖を実妹エイラが控えめに引っ張った。
「なんだイッル?」
アウロラは妹に向き直る。
「そんなにあの扶桑人は大事な人なのか…ねーちゃん?」
エイラの疑問。
それは尤もな事である。
何せあの姉が…モロッコの恐怖と称されたウィッチが異性、しかも全くの異国人と同棲していたのだから。
アウロラに小突かれた後、愛する姉から語られた扶桑人との関係をエイラは未だに信じられない。
まだ十歳と少しの頃に戦場へと飛び出したあの姉が…
武器がないからと生身でネウロイを打ち倒したあの魔女が…
スオムスの英雄として知らぬ国民はいないあの恐怖が…
男と一つ屋根の下、一年も共同生活を送っていたのだ。
しかも、それを自分を含めた家族に知らせてはくれなかった。
まるで秘匿する様に。
引っ越したとだけ連絡を寄越してきた。
魔法力が消滅しかけなので一人隠居したものとばかり考えていたが…これではまるで…
(…みたいなんダナ。)
エイラは続く言葉を想像したくない。
あえて思考の中から男女の関係を示す特定の単語を摘まみ出した。
もし、その単語を想像してしまったら姉がどこか遠い所へ行ってしまう。
そう感じた。
だから、エイラは姉の口からはっきりと断言して欲しかった。
あの扶桑人の男がねーちゃんと"そういう関係"ではないという事を。
そんな希望と不安とが入り交じった瞳でエイラは頭一つ分背の高い、アウロラの瞳を見上げた。
エイラの知っている姉ならその唇は妹の期待通りに躍動するのだろう。
「あぁ、大切だ。お前やニパと同じ位にな。」
だが、エイラがよく知るハリのある綺麗な唇は見事に彼女を裏切った。
「…そう…カ。」
エイラが小さく呟くと同時に受付の警官が受話器を置く。
そして大きく声を張り上げた。
「今、確認が取れましたっ!ユーティライネン大尉!電報を送った番地ですっ!電話は契約されておりません!」
「ご苦労…。次は気を付けろ、行くぞイッル!」
アウロラは受付番から住所の書かれたメモ用紙を受けとると踵を返して出口へと向かった。
───
「ここの喫茶店はコーヒーが美味しいらしいよ?今日初めて来たから本当かどうかは解らないけど。」
「はぁ…?」
褐色の肌、金色の髪。
俺と同じ位の背丈に中性的な整った顔。
まるで舞台俳優。
そんな麗人という言葉がよく似合う女性。
彼女と対面する俺は、まだ今の状況がよく飲み込めずにいた。
「ここはボクのおごりだから、何でも頼んでいーよ。」
「じゃあ、コーヒーを。」
「他には?」
「大丈夫です。」
「ふーん、そう。じゃあ注文しちゃうね。すいませーん、コーヒーを二つ。両方ともブラックで…よかったよねフジキ君?」
そう言ってウェイトレスを呼び注文をする。
そんな何気ない挙動までもが様になっていた。
一体何者なのだろう?
連絡があったと俺を迎えに来た彼女。
事情を説明し、その正体を尋ねると麗人はお茶に付き合えば教えて上げると言って、半ば強引に俺をこの喫茶店へと引き込んだのだ。
「あの…そろそろ教えてくれませんか?一体、貴女は俺とどういう…」
「うーん、それって演技?」
俺の控え目な主張を麗人はそう遮る。
「は?」
「キミとは最後、喧嘩別れみたいになっちゃったからね。ボクに見つかったのが面倒なので、そういう訳アリのふりをして逃げようとしているのかなー?なんて…思っちゃったりして。」
「自分はそんな事は…」
「しない?しないよね?確かにそうだ。フジキ君は素直だったもん。ボクと違ってね…あっコーヒー来たよ。」
向かい合う俺達の間にティーカップが配膳される。
白磁の杯に注がれた湯気立つ液体。
まるで黒炭の様に真っ黒だった。
「ありがとう、これどうぞ。」
彼女はウェイトレスの去り際に、片目を閉じてウィンクしながらチップを渡す。
どこまでもキザったい女性だ。
「うーん、そうだねぇタダで教えるのも何だか味気ない気がするなぁ…だって一年ぶり位の再会なんだし。」
俺の方に向き直る麗人。
彼女の琥珀色の瞳は真っ直ぐと俺を見据えている。
「まぁ名前くらいは教えて上げる。ボクの名前はヴァルトルート・クルピンスキー。皆からは伯爵って呼ばれてる。改めてよろしくねフジキ君?」
握手を求める様に右手を差し出すクルピンスキーと名乗る人物。
俺はその右手を握り返す事を躊躇してしまう。
だって…俺の手は…。
「指の事なら知ってるよ?驚かないから安心して?」
「…!」
彼女は思わず固まってしまった俺を安心させる様に微笑んだ。
「俺の指の事を知って…?」
「うん、キミの事なら大抵は知ってるよ。それとさっきキミはボクとどういう関係かって聞いたよね?秘密を一つ教えて上げるからボクの右手を握り返してくれないかな?」
クルピンスキーは笑みを崩さずそう続けた。
秘密を教える。
この麗人は確かにそう言った。
俺はどうするべきだろう?
昼間には過去の事などアウロラさんがいればどうでもいいとさえ思えた。
その根幹は変わらない。
…でも、さっきの警察署で断片的に触れた過去の経歴。
その経歴のお陰で今、俺の心は揺れていた。
人間は好奇心を刺激されるとそれに勝てない哀れな動物だ。
例え、それが好ましくない事実だったとしても。
俺は後ろ髪を引かれる気持ちで、二本が人工物となった右手を使い、彼女の大きな手の平を握り返した。
「…捕まえた。」
…クルピンスキーは小さな声でそう呟いた。
「なっ…なにを…!」
ガチリと捕まれる右手。
彼女は俺が握手に応じた次の瞬間、その身成に似合わない馬力で以て俺の右手に圧力をかけ始めたのだ。
まるで獲物の首を閉める様に。
蛇が絡み付く様に。
細い指で締め上げられる。
義指がミチリと変な音を立てた。
こんな細い指のどこにこんな力が…!
そう思い、クルピンスキーの顔を見る。
「…魔女!?」
いつの間にか、麗人の頭には獣の耳が顕現していた。
クルピンスキー…彼女はウィッチだったのだ!
「握手してくれたから約束通り秘密を一つ教えて上げる。」
何とか逃れようと手首に力を入れる俺。
そんな抵抗を嘲笑うかの様に、クルピンスキーは中性的な喉を鳴らし始めた。
「キミとボクの関係はね…」
顔を俺の方へと近づけてくる。
ゆっくりと、だが確実に。
このまま直進してくれば彼女の顔面が俺の顔面へと直撃してしまう。
…だが、避けたくても腕が固定され動けない!
「何をっするっ…!?」
褐色の魔女の顔がどんどん近づく。
視界が彼女の端正な顔でいっぱいになる。
もう、吐息を感じる位の距離だ。
「離してくれ…っ!」
意図が解らない。
そんな恐怖で絶叫する。
回りの客の視線が殺到しているのが解った。
何より、もう寸前まで迫った彼女の視線が突き刺さる。
「ボクとキミの関係はこういう関係だよ…」
すぐ近くで囁く魔女。
「むぐっ…!?」
そして自称伯爵の柔らかい、弾力のある唇が俺の唇へと宛がわれた。
接吻…されている?
「…ぷはっ…キミはボクの物だ。」
一瞬、唇を離しそう宣言するクルピンスキー。
再び口腔内に麗人の舌が侵入した。
年内最後の更新となると思います
皆さん良いお年をお過ごし下さい
ご感想の返信遅れます
いつも沢山のコメント本当にありがとうございます
申し訳ありません