私はひとつの「 」で延々と台詞が続くのは嫌いなので…
漫画の「吹き出し」が変わると思ってください。
逆に「空行がある」場合は会話するキャラクターが変わります。
登場人物の口調、それぞれの呼び方が特徴的なので、誰がしゃべったかはおそらくわかると思いますが、「これ誰の台詞だよ?」っていうのがあったら、すみません。
2021/8/9 買い食いが校則違反になるという描写を訂正しました。
情報提供をいただき、ありがとうございます。
■Chap.2 ‐友情(アイビーの花言葉)
消えた謎の小学生3人は、次の日、改めて訪れた。
同じジェラートを注文し、お金を出そうとしたところを、あわてて止める。
「お客様、昨日の料金を預かったままです。まずは、そちらをお返ししますので…」
「え、でもアタシたちの分のジェラート、もう作ってくれてましたよね?それを受け取れなかったのはアタシたちが悪いので...昨日の分はお釣りだけいただければ、それでいいです。」
「食べていただけなかったものに、代金をいただくわけにはいきませんよ。サービスだと思ってください。」
そんなやり取りの後、決して小学生のお小遣いとしては安くない金額を、きちんと返してあげられたことにほっとする。
3人から口々に御礼を言われるのが少し恥ずかしくて、話題を変えることにした。
「しかし、あの一瞬で3人が消えたのは、どういうイリュージョンだったんです?」
「ああ~~~~~~、アレは………その………」
「なんというか~~~~~~?」
「特殊な事情がありまして………」
詳しいことは話せないらしいが、大赦の「御役目」という神事?に関わることらしい。
学芸会用の手品という、バレバレすぎる嘘をつこうとしたが、それなら商品とお釣りを受け取らなかった説明にならないと指摘すると、気まずそうにではあるが、少しだけ話してくれた。
我々一般人からすれば、大赦というのは『謎の巨大組織』なわけで、恩恵を受けてはいるものの、あまり関りたいとも思えなかった。
だから、それ以上詳しいことは尋ねなかった。
明らかに説明に困窮していた3人は、小学生らしい、ほっとした表情を見せていた。
そのあとは、注文されたジェラートを渡し、代金を受け取って、今度こそ無事にお釣りを渡すことができた。
振り返った瞬間に「また消えていたらどうしよう」という気持ちがあったが、杞憂で済んだ。
3人は口々に「祝勝会」という言葉を唱えながら、ようやく当店ご自慢のジェラートにありついて、ご満足いただけたようだ。
その流れがひと段落した時、リボンの女の子から声を掛けられた。
「すいませ~ん」
「はい、おかわりですか?」
「いえ、もしよかったら、今日の記念撮影をお願いできないかな~と思いまして」
意外な依頼ではあったが、断る理由もない。
「もちろん、いいですよ」
そう言って、自分の携帯電話を取り出す。
「はい、チーズ」と、満面の笑みの3人を撮ったものの…
「あ、やべ。これどうやって君らに送ればいいんだ?」
流石に女子小学生の連絡先を尋ねるのも、登録するのもかなりヤバいと思いあたる。
「あ、そうですね。じゃあ、アタシの携帯でもう一枚お願いします。それをみんなで共有しますから。」
そう言って渡された端末で、もう一枚。
神樹館小学校では、知らない大人に連絡先は教えないように、きちんと教育されているようで安心した。
「ありがとうございました。これも何かの縁ですね。私は鷲尾須美。すでにお分かりかもしれませんが、神樹館小学校6年生です。」
「同じく三ノ輪銀と…」
「乃木園子です~」
そう思った矢先から、自己紹介をし出す三人………礼儀正しくて良いんだが、本当に大丈夫かと心配になるなぁ。
「どうも、私はジェラート店のしがない雇われ店主、
「店長さんなんですね~………ミッ●ーかミキ●ィー、どっちがいいですか~?」
「どっちも何かヤバそうだからやめてくれ………失礼しました、お客様。」
思わず素の口調でツッコミが出た。
「アハハ、アタシたちは小学生なんですから、そんなにかしこまらないでくださいよ。」
そんな軽口を言い合える程度に、俺こと「トッキー(藤と幹かららしい。独特のセンスだ…)」と、少女たちの仲は深まったのであった。
この時、俺の携帯で撮った一枚の写真。
端末からはキチンと削除したこの1枚が、自動保存されるクラウドデータの奥底に、眠ることになったのである。
■Chap.3 -別れの悲しみ(キンセンカの花言葉)
それから頻繁…とは言わないが、ちょくちょく3人が顔を出すようになった。
当店のジェラートを買わない時でも、「ヘイ、トッキ~!エンジョイしてるぅ~?」なんてエキセントリックな挨拶をされれば、「ヘイ、そのっちご機嫌いかが~?」と返すような関係である。
なお、残りの2人には至ってまともな対応をしている。
来店回数が多いのは断トツで三ノ輪さん。
家族で来店いただいた際には、赤ちゃんの金太郎用にサービスで小皿に一口サイズのジェラートとスプーンを渡してあげると、殊の外喜ばれた。
次いで乃木さん。
気に入った味を見つけると、冗談半分ながら買い占めようとするのがお約束となっている。
一度、本気にした従者さん(?)が店舗の買収契約書を持ち掛けてきた際は、とても焦った。
雇われ店長にそんな権限あるわけないだろ...
鷲尾さんは、主に休日に。
三ノ輪さん曰く、真面目な彼女は買い食いに抵抗があるんだろう、とのこと。
当店のことは気に入ってくれたようで、和風テイストのメニューを、少しずつ変えて注文してくれている。
「三ノ輪さん、いらっしゃい。今日もご家族で?」
「そうなんですよ!イネスはなんでも揃いますからね!ほら金太郎~、店長だぞ~?」
「やあ金太郎、今日もサービスするよ~。」
「ダァ~。」
「ありがとうございます。…店長って兄弟はいるんですか?」
「いや、一人っ子だな。両親は讃州の方で畑と小料理屋やってるんだが、下宿した丸亀に居ついてしまってからは、あまり地元には戻ってない。」
「へぇ~そんなに遠いわけでもないのに、帰らなくていいんです?」
「大学時代は金がなくて通おうとした時もあったんだが…予讃線が不便*1でな。かといって車で通うのも免許取り立てだったから...」
「ていうか、店長って何歳なんスか?」
「29だ」
「………………………顔の割に若いけど、ネタにできるほどでもないんですね」
「こちとら18の頃から顔は42だと言われてるんだ。大学時代から居酒屋が顔パスな老け顔で悪かったなぁ!」
「なんか…………スイマセンでした。」
「ねえトッキ―、今日は甘いジェラートじゃなくて、甘~い恋の話が聞きたいんよ~?」
「いやとりあえず注文はしような?…それにしても彼女いない歴=年齢の俺にそれを聞くかぁ…」
「え~?結構モテそうなのにねぇ、ミノさん。ほら、わっしーが熱い視線を送ってるよ?」
「店長がモテそうかどうかはさておき、須美はメニューに熱い視線を送ってるぞ…?」
「…ねえわっしー、トッキ―とわっしーをモデルにしたキャラ同士で熱~い年の差ラブラブシーンを描いても良い?」
「「いいわけないだろ(でしょ)」」
「ありゃ、生返事でOKしてくれると思ったのに、失敗だったんよ~。」
「あ、トッキ―をモデルにした恋愛小説はココで連載してるから、是非感想が欲しいんよ~。」
そう言って渡されたメモには、有名な小説投稿サイトとペンネームが書かれていた。
「ウッソだろお前…すでにインターネット上で公開されてんのか…?」
「冴えないサラリーマンが美女に抱いた熱い恋心!自分を磨いて美女に並びたてる人間になろうとする、情熱ある作風が男性読者にも人気なんよ?」
「似たような主人公が小学生と恋に落ちたら、確実に非難轟轟じゃねえか…」
「あ~、それもそうかな~」
「「「オイ」」」
「やあ、鷲尾さん。難しい顔をして、悩み事かい?」
「あ、店長さん。次の図画工作の絵画、戦艦を描こうと思うんですが、どう思います?」
「せ、戦艦⁉」
「あら、巡洋艦の方が好みですか…?」
「いや、その前にミリタリーな方面にはあまり知識が無くてだな…特にそれがあったのは300年前の西暦時代だろ?」
「なんと!日本國の成年男子としての意識が低すぎます!今日は徹底的に国防について教育しなければ!」
「いや、それはおかしい。仕事中だ。」
「いいですか?そもそも我が国は島国であり、制海権の重要性は…………」
「お客様!お客様!お客様!あーっ!困ります!あーっ!あーっ!いけません!」
(数十分後)
「というわけで、戦艦を描こうと思うんですが、どう思いますか?」
「ハイ!トテモスバラシイトオモイマス!教官が熱く語られた大艦巨砲主義、その極致ともいえる戦艦大和、長門のいずれかをお描きになられてはどうかと愚考いたします!」
「よろしい!…ふう、ちょっと熱くなりすぎましたね。何か飲み物を注文できますか?」
「うちはジェラート屋だぞ?メロンソーダとかコーラフロートとかそういう類のソフトドリンクならあるが…?」
「抹茶を点てろとは言わないけれど、せめてほうじ茶が飲みたいわ…」
しかし、別れの時は突然訪れる。
暑さが厳しくなってきた7月の事。実家の父親が体を壊したと連絡があり、職を辞して、地元に帰ることになったのだ。
たまたま、三人組が来店したその日、別れについて切り出そうとしたところ、盛り上がっているようだったのでやめておいた。
どうやら、遠足が近いらしく、楽しみにしているみたいだ。
どうせ、三人のうち誰かは、3日と空けずに来店するのだ。
次の機会で良いだろうと考えたが ——結局彼女らに、別れを告げることはできなかったのである。
主人公の名前には一応由来があります。
なぜ「幹夫」にしたかは、後々本編で明かされます。
苗字は…
「みきお」と言えば「いとう」(漫画家様)だろう。
↓
全く一緒だと迷惑が掛かってしまうかもしれないから、ちょっと変えとこ。
という安直な考えです。
私は当時「五臓六腑爆裂拳」という必殺技名に感銘を受けたんだ!
いいじゃないか!