summer pockets reflection blue 前章[Asterlore] 作:八咫鏡光
ねえ、この話はご存じだろうか?ある男の子が女の子と仲良くなろうとする話さ。その男の子はマンションに住んでいて、マンションには5人分乗れるエレベーターが1基あるんだけど、そのエレベーターは薄暗くて3人乗ると、結構窮屈に感じる程度の狭さらしいんだ。
ある日、男の子は今日もエレベーターに乗るんだけど、エレベーターの扉の前に男の子と同い年と思われる女子高生が立っていたんだ。その女の子は男の子の顔を見るなり、顔を真っ青にしてエレベーターの中に入っていった。男の子は首をかしげながらエレベーターに乗った。後を追うように、カップル2人と老夫婦2人組が入ってくる。
女子高生はまるでこちらを気にせず、ずっと男の子に背をむけている。何か悪いことをしたのかと男の子は思ったが、全く身に覚えがないので、疑問に思った。
(嫌なら乗らなければ良かったのに)
だが女子高生は、マンション10階に住んでいる。だから無理して階段を使うわけにはいかないだろう。ところが彼女は10階まで乗らずに、7階で降り始めたんだ。どういうことか?男の子は女子高生に後ろから声をかける。
「ねえ?ここまだ7階ですよ?なんで10階に降りないんですか?」
「それに僕を見たとき、とても怖がってるような顔をされましたよね?どうしてです?僕なにか嫌がるようなことしました?」
「僕のこと見えてますよね?なんで無視するんですか?」
しかし相手の女子高生は気にもせず、急いで非常階段の方へ行ってしまった。そこで少年はあることに気づく。そういえばこのエレベーター5人しか乗れない。この日はカップル2人と老夫婦2人、そして女子高生と僕が乗っていた。1人余るはずだ。なのにエレベーターは何もなかったかのように普段通りに動いていた。おまけに女子高生は自分の顔を見るなり、まるで幽霊を見るような顔をしていた。幽霊‥‥‥。つまり‥‥‥。
ああ、とっくに彼女は気づいていたんだな‥‥‥。
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「むぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「きゃあ!?ちょっと紬」
さっきの話の顛末に気づいた紬さんが、独特の悲鳴をあげて隣にいた静久さんに抱き着いて震えている。なぜ俺たちがこうして夜な夜な電気を消して、かわりにろうそくを灯し円になって話をしているのか?全ては、『鳥白島百物語』という七夜が突然始めた歓迎会の催しから始まった。ルールはシンプル。一人一人それぞれの怖い話やオカルト的な話、不可思議な話をして、喋り終えた人が自分のろうそくを消すというものだ。百物語は自分たちができることなら何でもよし。特に話は別に怖いもので無くていいというのだから、皆好き勝手にいろんな話をして盛り上がっていた。ちなみに冒頭で語っていた話をしたのは、意外にも天善だ。皆、最初はどうせ卓球の話だろうと思っていたのだが、口を開けばなかなか怖い話だった。おそらく天善が話したのは、意味が分かると怖い類のものだ。登場人物の女子高生は霊感があり、喋りかけてきた男の子が幽霊であることにいち早く気づき、急いで降りて非常階段を使う決断に至った。そのままエレベーターで10階まで行けば、いずれ男の子の霊に連れ出される危険があったからだ。対する男の子は、自分が霊だと気づかず女子高生に声をかけたか、すでに気づいていて女子高生には自分が霊であることには気づいていないと思い、引きずり込もうとして声をかけたが逃げられたか、解釈はそれぞれ違うと思うが俺はこの2つの説があるんじゃないかと思った。たぶん紬さんもそれに気づいてあんな悲鳴をあげたんだと思った。
「さすがだね天善。まさか卓球以外にもあんな怖いのを用意していたなんて・・・・・・」
さすがに七夜も想定外だったらしく、天善に驚きを隠せないでいた。
「ふっ・・・・・・。俺を卓球だけの男だと侮らない方がいい。いつその手の話題が出るか有事に備え、常にあらゆるところから情報を仕入れているからな」
「だったら、そこは真面目な所で出せよ・・・・・・」
「全くだ」
良一がすかさずツッコミをいれ、のみきは呆れながらそう呟いていた。紬さんがようやく静久さんの胸にうずくまっていた顔をだした。
「想像以上に怖かったです。さっきまでおもしろい話やわけのわからない話ばかりだったので・・・・・・」
「そうね。ここまで来て一気に本格的なホラーな話が入り込んできたから、私もびっくりしたわ」
涼しい顔をしてはいるが、静久さんもそれなりに怖かったみたいだ。蒼もそれに同調する。
「そうよね・・・・・・。我先にと一番手にでた久島さんは自分自身が探している宝物の話をして、二番手の紬はこの夏休みの目標の話をして、水織先輩はえーっと・・・・・・」
蒼が何か言おうとして途中で止めたので、それに気づいた静久さんが代わりに口を開いた。
「ああ、おっぱいの話ね」
「は、はい!そうですねおっぱいの話・・・・・・」
そう言いかけた蒼がなぜか俺のほうを向いて、こっちに手招きして耳打ちしてきた。
「ねえ、今水織先輩おっぱいって言わなかった?」
「いや、静久さんが話をしてからずっとそんな感じだったぞ?」
「ええ~」
ええ~って言われても・・・・・・。ちなみに静久さんの話は『おっぱいないおばけ』という『おっぱい』というワードを使ったホラーなのかギャグなのか分からない話だった。男性陣は終始頭の上で『?』マークを浮かべていたが、反対に女性陣は意味深に胸元を抑えながら震えていた。特に紬さんがダンゴムシのように縮こまっていた。ふと、七夜が何か見つめているが・・・・・・。視線の方向は徳田という男の座っているほうなのだが、当の本人は・・・・・・。
「・・・・・・。徳田・・・・・・なのに」
「徳田君。なんでムンクの叫びみたいになってるの?」
「さあな」
『鳥白島百物語』が始まる前に、徳田は紬さんや鴎に自身のことについてあれこれ語っていたのだが、
「よくわかりません」
「ごめん。全然知らないや」
「なっ・・・・・・と、徳田なのに・・・・・・」
ずっと徳田なのに、徳田なのにと言ってショックを受け続け、完全に茫然自失となっていた。あの感じだと立ち直るのは時間がかかりそうだ。
「んじゃ、次は俺の出番だな」
「良一のことだ。どうせ裸の話なのだろう?」
眼鏡のくいっと上げながら、天善は良一をあざ笑いながら目を見やった。自分の話した話題が想像以上に盛り上がったのがよほど嬉しいのだろう。今の天善は上機嫌だ。
「そうね~。
蒼も、嘲笑気味に良一に視線を見やる。のみきは良一にライフルを向け、
「もし、そんな話をするのなら、容赦なく引き金を引かせてもらうぞ?」
「しねぇよ!俺だって流石にそんな話しねぇよ!俺をなんだと思ってやがるんだ!」
のみきにライフルを当てられて思わず立ち上がった良一は、両手を左右に振りながら猛抗議をした。
「
「いつも脱いでいるし、それしか考えてないだろう?」
「公共の場で服を脱ぐ、厄介者だ」
「ひでえ・・・・・・。特に蒼!お前いろんなことひっくるめてバカな人って言ったろ!」
「さあ?どうかしらね?」
「くっそ~」
3人からの散々な評価に畳の上で跪く良一。俺も蒼の言ってたあの一言の意味。なんとなく察しがついた気がするが、これ以上追い打ちをかけるのはやめておこう。
「そ、そんじゃいくぜ」
慌てて良一は正座し直して、話をはじめた。
「まあ、俺んちのじいちゃんから聞いた話なんだけどな・・・・・・」
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その昔、俺のひいひいじいちゃんが小さい頃だったかな?なまはげか鬼の面を被った妖怪がこの島をうろついていたんだそうだ。そいつは決まって小さな子の前に現れて、
『泣く子はいねがー、泣く子はいねがー』
っと叫んで追いかけまわしていたそうだ。しばらくその妖怪の話題で島中が騒然となって、子供が遊ぶまでの時間が減ったとか減らなかったとか・・・・・・。でも、ある時を境にその妖怪は現れなくなり、皆の記憶からも忘れ去られてしまったそうだ・・・・・・。
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「むぎぎぎぎぎぎぎぎぃ~」
良一が話を終えた途端、突然紬さんが良一を睨みながら唸りだした。
「どうしたの?紬?三谷くんも怖い話をするからそれに怒ってるの?」
静久さんがそう問いかけると、紬さんは首を横に振りながらこう答えた。
「ミタニさんは、私のげきりんにふれました」
「え?げき・・・・・・?」
「ちょっと待て。俺なにか怒らせ・・・・・・」
紬さんの予想外な答えにうろたえる良一達を気にせずに、
「むぎぃ~!!!!」
その独特な叫び声をあげて、紬さんは良一の右肩にポカポカと殴り掛かった。
「なっ!?ちょ、ちょっと待ってくれ!落ち着けよ紬。俺なにか怒らせるようなこと言ったか?」
「本当にどうしたの?紬?落ち着いて理由を話して」
静久さんの言葉で落ち着きを取り戻した紬さんは、良一を睨みつけながら人差し指をさしてこう答えた。
「ミタニさんは、その子のことを妖怪よばわりしました!その子はただお友達になりたかっただけかもしれないのに~!」
「お友達・・・・・・ね。でも流石にあんな怖がらせるようなことをしたら、お友達を作るにしてもなかなか出来ない――――――――」
「シズクは、ミタニさんの味方するんですか?」
「わ、私は別にそういうわけじゃ・・・・・・」
静久さんがどう返答すべきか迷っていると、
「悪い。流石にその人の気持ちを考えてなかったな~。もうこんな話はしない!それでいいんだよな?」
紬さんの言いたいことが理解出来たのか、良一が紬さんに謝罪をした。紬さんもそんな反省してる良一の姿をみて、一旦落ち着きを取り戻した。
「むぎゅ・・・・・・。分かっていただけたのなら幸いです。みなさんお騒がせしました」
っとそれぞれ皆の方向へ向いて頭を下げた。
「いや、私たちも誰かさんみたいに、相手のことを考えないで怪談話とかにしないように気をつけよう」
「おい待てよ。ちゃんと謝っただろう?」
「謝ればいいってものじゃない!ちゃんと反省しろ」
のみきに水鉄砲を突き付けられ、良一は慌てて両手をあげて抗議する。
「分かった!分かったからその銃下ろしてくれ」
そう言われながらも、しばらくのみきは良一に水鉄砲を突き付ける。
「まあ、それくらいにしてあげて。良一、さっき以外で他に何かないかい?」
七夜はのみきに水鉄砲を下すよう促しながら、良一に尋ねる。良一はしばらく考えて、渋々と答えた。
「まあ、あるにはあるんだけどな・・・・・・。ある前の夏休みの夜、俺が秘密基地をたまたま通り過ぎたときに・・・・・・」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!!」
良一が話し始めた途端、今度は天善が制止の声をあげた。
「どうした?天善。今更怖くなったのか?」
「そういうことじゃない!ただあそこは俺も利用するんだぞ!何かあったらどうする」
「天善お前、夜中にも秘密基地に通っているのか?」
突然怯え始めた天善の一言で、のみきが再び水鉄砲を構えた。
「ああ、いつも卓球の特訓で徹夜で練習しに来ているのだが・・・・・・」
「ってか、秘密基地なんてものがあったんだな」
「ああ、俺と良一がよく使っている」
「何がともあれ天善。徹夜で練習している件については、これが終わった後でじっくり聞かせてもらうからな」
「!!?」
のみきの鋭い視線と水鉄砲を前に、天善は両手をあげて震えていた。
「おーい、そろそろ話を続けていいか?」
呆れた顔で、良一が尋ねる。
「おい!まだ話が・・・・・・」
「よーし!んじゃ話を続けるわ」
天善の言葉を無視し、良一は話し始める。
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これは、俺がある夏休みの夜に体験したことなんだが、その日はたまたま秘密基地を通ったんだ。その時に、
『コツコツ・・・・・・コツコツ・・・・・・』
って音が秘密基地の中から聞こえたんだ。いわゆるラップ音てやつかな?って俺はそう思ったんだ。
『コツコツ・・・・・・コツコツ・・・・・・』
でも、こういう時こそどんなのがいるか試しに見たくなってくるじゃん?だからさ、俺勇気を振り絞って中を覗いたんだ・・・・・・。
『コツコツ・・・・・・コツコツ・・・・・・』
でも、その音の正体は天善が卓球の特訓で練習してる時の、ピンポン玉の音だったわけだ・・・・・・。
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「「「「「・・・・・・」」」」」
良一が話し終えた後、周囲はしばらく静寂に包まれていた。
「あれ?なんかがっかりしてる?」
「当然だ。身構えて損したぞ」
「なーんだ、結局そういうオチだったんだ」
「全然、怖くなかったですね」
「そうね」
「あまり、面白い話じゃなかったな~」
「全くだ。こういう最終なオチを持っていく話ならもっとタイミングというものがあっただろう」
良一のそんな一言で、全員が一斉に話し始めた。しれっと徳田が復活しているし。
「はぁ~ドキドキした~。こういうのはあまり好きじゃないんだよな」
「七夜、この手のオチがある話ダメなのか?」
「う~ん、話の内容によるけど・・・・・・」
「・・・・・・」
意外にも七夜は、こういう系統の話は苦手のようだ。だったらなんでこの『鳥白島百物語』なんか開いたんだ?無理せず、別の催しとかでも良かったのに・・・・・・。
「・・・・・・」
「?どうしたんだい?天善」
騒ぎ始める皆をよそに、天善だけひどく青ざめた顔で震えていた。
「どうした?体調でも悪くなったか?」
俺がそう尋ねると、必死に首を横に振った。
「ち、違う・・・・・・違うんだ」
「違う?」
「俺はあの日、秘密基地には来ていなかったんだ」
「「「「「え?」」」」」
天善の突然の爆弾発言に、全員が黙って彼の方を向いた。
「秘密基地に来てなかった?おいおいそういう嘘バレバレな冗談・・・・・・」
「嘘じゃない!俺の言うことが疑わしいなら、親に言って確かめるといい」
「いや、そこまで」
そんなことで、親に尋ねるわけにもいかない。
「なあ?天善。それが本当ならあの時お前どこにいたんだ?」
「俺は家でテレビを見ていた。その日は大事な卓球の国際大会があって、ずっと観戦してたんだ!!」
「・・・・・・マジかよ」
「でも、良一。あんたはあの日、秘密基地で天善の姿を見たのよね?」
「あ、ああ・・・・・・。それは本当だ。じゃあ、俺と天善の話がどちらも本当だとすれば・・・・・・」
「・・・・・・」
もし、どちらも話が本当なら・・・・・・。良一が見たという天善は一体何だったんだろう?再び静寂に包まれたその時、
「むぎゅ!!か、風が!?」
「え?そんな障子や窓は全部しまってあるはずなのに?」
七夜が言う通り、リビングには強い風が通るような隙間は一つも存在しない。それに今の風で、全てのろうそくの火が消えて、全体が真っ暗になった。
「うわ!?ぜ、全然見えないよ!」
「むぎゅ!?シズク、どこですか?」
「大丈夫。ちゃんと紬の隣にいるから安心して」
「きゃ!?ちょっ、ちょっと良一!どこ触ってんのよ!?」
「わざとじゃねぇって!うっかり当たっちまっただけだ!」
皆、突然の暗闇でパニックに陥り始めている。その時、
「あ、点いた・・・・・・」
「ふぅ~ありがとう鳴瀬さん」
しろはがなんとか電気を点けてくれたおかげで、なんとか皆落ち着きを取り戻した。
「いつまで触ってんのよ!」
「ぎゃぁ!!」
良一は、蒼のお尻に触れたまま固まっていたので、思いっきり蒼に蹴り飛ばされた。その蹴り飛ばされた良一をただなんとなく目で追っていると、
「ん?良一・・・・・・。その、あんたの後ろで倒れている子・・・・・・」
「え?後ろ?」
良一の後ろにある障子、その開いている障子の真ん中に良一とは別の倒れている何かに蒼たちは気づいた。その後ろには、
ぎゅるるるるるるるるるぅ~。
という音をリビング中に響き渡らせていた。
「だ、誰だ!?」
「え?なんで?どうして君が・・・・・・」
俺がその倒れている見知らぬ人物に戸惑っている隣で、七夜が目を見開かせていた。その倒れている人物はすぐ近くにいる良一の腕を掴み、
「ひい!」
「そ、そこの人・・・・・・」
「は、はい!なななな何でしょ~う?お前は・・・・・・」
最初腕を掴まれて悲鳴をあげていた良一も、その正体に気づいたのか途端に冷静に戻った。
「恥を忍んでお願いするよ・・・・・・。た、食べ物を持ってきてはくれないかい・・・・・・」
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「それで、七夜達が知っているわけか」
「まあ、羽依里と入れ違うような感じだったからね」
人目を気にせず、目の前にある歓迎会のご馳走を美味しそうに食べる少女、神山識と名乗る少女に視線を向けながら七夜はそう言った。聞けば彼女は昨日の歓迎会をやった食堂で、思わず飛び出してしまった俺と入れ違うように出会ったらしい。その時も腹を空かせて倒れていたんだとか。
「最も俺は、この島に来た初日で出会ったんだよね。あの時も腹を空かせて倒れてた」
「そ、そうなのか」
そんな俺たちの会話の内容を気にせず、黙々と食べ終わった識は綺麗に箸を置き、手を合わせて『ごちそうさまでした』と言った。意外と礼儀正しい子のようだ。
「いや~また皆に助けてもらったよ」
「それにしても識。どうしてお前はいつこの家に入り込んだんだ?」
そういえばのみきの言う通りだな。確かに普段外出するときはここだけに限らず、鍵をかけていないらしい。なんでもこの島は強盗が押し入ったことがないからだと、鏡子さんは言っていたが・・・・・・。結果的に彼女は不法侵入を容易く行ったことに変わりはない。
「外で美味しそうな匂いが漂っていたから、そのまま匂いを辿っていたら・・・・・・」
「ここに辿り着いていたわけか・・・・・・はぁ」
七夜は後ろ髪を軽く掴み、わしゃわしゃと動かしながら大きなため息をついていた。いくらなんでも家の中に気づかず入ることはないだろうに。そんな判断もつかないほど空腹だったってわけか。
「そういえば、知らない人もいるね」
識は周りをキョロキョロ見渡して、俺の方で動きを止めた。思わず視線が会う。
「な、なんだよ?」
「ねぇ、君は何て名前なんだい?」
「ああ、俺は鷹原羽依里だ」
「羽依里くんて呼ぶのかい?・・・・・・あっ」
途中、識が口を手で覆い始めた。七夜の鋭い視線に気づいたようだ。
「識・・・・・・。俺の時は別に君付けでも構わないけど、他の人にはそういうわけにはいかないからちゃんと『先輩』と呼ぶようにと言ったばかりだろう?」
「ごめん、七夜くん。すっかり忘れてたことは謝るから、そんな怖い目をしないでおくれよ」
「はぁ・・・・・・。分かったよ。次は気をつけて」
そういって、識は視線を再び俺のほうに戻す。
「っということで、改めて・・・・・・。僕の名前は神山識さ。今後ともよろしく頼むぜ、羽依里
「!!!!!!??????」
突然、俺の心臓に鋭い電撃のようなものが走った。何が起こったかって?それは、
「ど、どうしたんだい羽依里く・・・・・・じゃなかった!羽依里
「ふぐっ!?」
彼女の
「なんだ?これ?一体何を見せられてるんだ?」
「知らない・・・・・・」
「まあ、鷹原があんな反応するのも無理はない。そういう私たちも昨日は・・・・・・」
「あれはすごかったな・・・・・・」
「あたし、一度心臓が止まるかと思ったわ」
各々が口々に喋っていると、七夜は呆れ顔でわざとらしく大きく咳払いをした。
「はいはい。識の『先輩』呼びはともかく、他の人達にもきちんと自己紹介しないと」
「そうだったね。ごめんよ」
そういって、識は他の紬さんや鴎たちがいる方向へ向いた。
「名前はさっき聞いたから大丈夫だよ!久島鴎。鴎って呼んでね識ちゃん!」
「紬・ヴェンダースです。よろしくお願いしますね識さん」
「ふん!徳田実篤だ」
「よろしくお願い頼むぜ、鴎
「あ・・・・・・」
「むぎゅ!?」
「うご!?」
当然三人も、識の
「そんなにこの子の先輩呼びがすごいのね・・・・・・。私は学校で後輩たちに何度もそう呼ばれてるから、別に平気だけど・・・・・・。あっ、水織静久です」
「よろしく!静久先輩」
反対に『先輩』呼びには慣れているといった静久さんは、識の『先輩』呼びにも動じず、柔らかな笑みを浮かべ、挨拶をした。
「それで、皆集まって何をしていたんだい?」
「一番尋ねるのがそれかい!」
良一が真っ先にツッコむ。むしろ俺たちが彼女に尋ねたいことがあるというのに・・・・・・。
「俺と羽依里の歓迎会をやってて、その一環として『鳥白島百物語』みたいなのをやってたんだ」
「おお!怖い話とかをするあれのことかい?」
おおう。あんなに目を輝かせるとは思わなかった。彼女は怖い話は問題ないとみた。
「それなら、僕からも一つ話をさせてもらってもいいかい?」
「ああ、構わないけど、君にそういうネタを持ってそうには見えないけど?」
「大丈夫さ!とっておきの話を皆に披露するぜ」
七夜がそう怪しむと、識は自信満々に軽く胸を叩きながら答える。識は七夜に電気を消してろうそくをっと指示し始め、『やれやれ』と言いながら、識の分のろうそくを取り出し、火をつける。もちろんまだ喋っていないメンバー含めて。再び電気を消灯させる。
「さて、これから僕はこの島に伝わるあるお話をするぜ」
全員が識に視線を集めている。この島に伝わる話か・・・・・・。どんな話が来るか分からないが、きっとワクワクするようなおぞましい話とかが来るんだろうか?俺にはそんな予感がしてきた。
「お題は・・・・・・この島に住んでいる『鬼』の話さ」
第5話 鳥白島百物語・後編へ続く・・・・・・。
第四話「鳥白島百物語・前編」如何だったでしょうか?すいません。大幅に投稿が遅れた挙句、本来なら一話分で終わらせようと思ったのですが、流石に収まりきれないと判断して、前後編にしました。ご了承ください。さて、話を戻しますと、天善の話していたものは「意味が分かると怖い話」というものがインターネットで掲載されてまして、そこから参照させていただきました。その後からはサマポケ本編のものから引っ張っていった感じです。後編もそこから引っ張っていくものがありますので、色々と「ああ」ってなると思います。今後もこちらの事情で投稿が遅れるとは思いますが、最後までいけるように頑張りますので皆さん、今後とも応援よろしくお願いします!