評価件数500以上って絶対ちゃんと読んでないじゃん、そんな奴ら現時点でのこの作品よりよっぽど邪悪だよ……。
10話到達記念に★7評価ください(直球)
気付いたら自分のクラスであるはずのCクラスで友達が居ないまま1ヶ月以上が経過してしまった浅井虎徹だ。ヤバい!
龍園?あのイカレポンチは監視対象であって友達じゃない気がする。あえて言うなら、敵?いやまぁチャットやり取りしてるから敵ではないか。チャッ友?
先日Aクラスにお邪魔したけれど、流石に毎日だと迷惑だろうし、無意味に警戒もされちゃうだろうということで週1くらいで顔を出させてもらうことになった。そういう訳でAクラス勉強会はまた今度だ。
なのでCクラスでも勉強会をして、それを機会にクラスメイトと仲良くなろう!そう決意する日曜の夜だった。サンデーナイト。
[浅井虎徹>>><<<龍園 翔]
【浅井虎徹】:Cクラスで勉強会せんの?
【浅井虎徹】:あと2週間以上あるけどさ
10分ほどして返信が来た。
【龍園 翔】:勝手にしろ
は?お前がリーダーやろがい!……じゃあ好きなメンバーでやるか。あまり覚えてないクラスメイトから考えた、呼んで欲しいメンバーを龍園に伝える。
【浅井虎徹】:伊吹、アルベルトと仲良くなりたい。お助けキャラとして椎名も。言っといてよ
アホそうな強気ガール伊吹と、初日に龍園に立ち向かっていった勇気ある巨大ムキムキ黒人ハーフ?の山田アルベルト、この2人は勉強会をした方が良いだろうし、割と仲良くなりたい相手だ。そしてCクラスが誇る数少ない優等生の椎名ともせっかくだから仲良くなりたい。
今回のテストは5月の第3週、高校入ってから2ヶ月も経ってない段階で行われる。試験内容のほとんどは中学復習レベルのはずだ。小テストのレベルと、それぞれの授業での教師陣が扱う内容を見てもほぼ間違いない。龍園なんかを入学させてしまうアホな学校運営側でも、流石に一発で赤点のテストに関する情報でデマを流すことはないだろう……。多分。無いよね?
そういう訳で、小テストと同じような中学の復習主体のテストだったらまぁ俺でも100点近く取れるとは思うが……、勉強得意キャラでいくには俺の学力はそこまでじゃない。菅原から聞いた話では、中高一貫校の生徒は高校1年が終わった段階で高校範囲の単位取得が終わってるとかなんとか。当たり前だがそういうレベルと比べてもまるで相手にならないし、俺は高校入学前にちょっと付け焼き刃で頑張った程度でしかない。だから椎名も呼んで、俺も教えてもらう側にも立ちたい。もちろん可愛い子と仲良くなりたいという下心もある。下心90%くらい。
……しかし既読付いてるのに返信来ない。このロン毛野郎、やっぱ敵だよコイツ。
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次の日、朝、Cクラスの教室にめっちゃ早く来て伊吹&アルベルト&椎名を待っていた。仲良くなるための声掛け、難しいぞこれは……。
……おっと、誰もが一瞬ビビる黒い巨体がクラスに入ってきた。意外にも来るの早いなアルベルト。
「あー、ハロー、アルベルト」
「……。」
なんで無言なんだ?まぁ敵視してるとかいう感じではないけど……。無口タイプっぽい。こっちを見てくれてはいるから、英語で話しかけてみよう。
「あー、アイムコテツ!ハロー!」
「……hello」
「マイ、イングリッシュスコア、イズ…………プーア?バッド!プリーズテルミー、イングリッシュ!」
「……。」
「そのかわり……、インステッド?アイルティーチユー!」
「……OK」
オーケ?やったぜ。
「あー、連絡先交換しよう。……エクスチェンジ……なんとか。ナンバー?アドレス?」
そう言いながら端末を出して操作すると、アルベルトも応えてくれて、連絡先の交換……よし、出来た。
「トゥデイ、放課後、アフタースクール、スタディーパーティーOK?」
「……、If BOSS say yes, I’m OK.」
ん?今ちょっと笑いかけた?……スタディーパーティーは変か?
ボスが許可くれたらオッケーって……。龍園だよね?
「Boss is 龍園?」
「Yes」
「んー、Wait!」
そう言って龍園にチャットで聞いてみる。ダメって言うこと無いとは思うんだけど、悪巧みに使う可能性もあるか……。いやいやあと2週間ちょっとで日本語不慣れなヤツの勉強会以上のイベントあってたまるかという話だな。
[浅井虎徹>>><<<龍園 翔]
【浅井虎徹】:今日の放課後、アルベルトと勉強会していい?
割とすぐ返信が来た。
【龍園 翔】:好きにしろ
……もうちょい、なんていうか、「分かった」とか「頼む」とか言うべきじゃねぇか?直属の一番側近みたいな部下でしょ?まぁ、龍園だし仕方ないか……。
「オッケーイ!許可もらえたよ」
「……。」
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そして伊吹も待っていたんだが……、あんにゃろ、ホームルーム開始ギリギリまで来なかった。不良娘!コラ!今でも遅刻は減点だぞアホ!
意外にも椎名もかなり遅めに登校し、周りに人が沢山居るため声をかけられなかった。
そういう訳でアルベルトとしか約束出来ず授業が始まってしまった。顔見知り程度の関係があればメモに書いて回したり……ダメか、教室にさりげなく設置されてる監視カメラで全部チェックされてるだろうし、そんなことで減点されたらアホらしすぎる。
しかし監視カメラはどれくらい精度良いんだろうか?カメラから俺の体で隠れている右手だけで消しカスを龍園に飛ばしてもバレないんだろうか?……そのうち試そう。
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昼休みになった。
けど伊吹とも椎名とも人が居ない所で話せそうもないし、アルベルトに今日やる言っちゃったからなぁ……。なんとかして今日あの2人も呼びたい。
……ちょっと嘘ついちゃうか。
ノートを1ページ切り取って、2つに切って……、『放課後Cクラス勉強会 まずはアルベルト、伊吹、椎名、浅井の4人でやれ』と同じことを2枚に書く。丁寧に折りたたみ、手のひらで隠せるサイズにして……、片方を教室に残ってた龍園に投げつける。
「あ?」
いきなり睨みつけてきた龍園に静かにするようジェスチャーし、読ませて……、メモを返してもらい、また折りたたむ。
そして伊吹、椎名の元に行き、
「これ、龍園から」
と言って、見られたらヤバいものを渡す感じでメモをさりげなく渡す。これで多分来るでしょ。
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放課後のCクラス、不機嫌そうな伊吹と、持っている本をひたすら読んでいる椎名と、無言で立ち続けているアルベルトの3人が残っていた。……社交性が壊滅してるヤツばっかりか!
「あー、じゃあ勉強会しようか」
「……チッ」
「……。」
「……。」
しゃーないから俺が声をかけたが、伊吹は舌打ちするだけだし、椎名は本を読んでいて気付かない。……アルベルトだけが机を動かすのを手伝ってくれる。I love you BIG MAN.
「あー、椎名……、しいなー!」
「……はい?なんですか?」
「そろそろ勉強会しようと思うから、よろしくね」
「はい、分かりました~」
そう言うかと思えば、また読書に戻ってしまった。なんでやねーん!
「てか……、なんでアンタなの」
伊吹に睨みつけられながらいきなり怒られる。ホワイ?
「なんでって?なんで?」
「だから、なんでアンタなんかと勉強しなきゃいけないんだよ。ったくアイツも意味分からないことばっかり命令してきて……」
そんなん俺が仲良くなりたかったからじゃい!とは言えないか。それにしても男っぽい口調が出るなコイツ。まさかと思って胸を見てしまったが…………、女子のはずだ。女生徒用の制服スカートだし。流石に女装男子ではないはず……。違うよな?違うよな!?頼むぞ!?
「……何よ?」
思わず絶望しかけた顔になってしまい、怪しまれてしまった。慌てて話を戻す。
「あー、伊吹はテスト成績悪いんでしょ?」
「うっさいし、そこまで悪くもないっての」
「……。龍園からしたら、伊吹の成績が不安だったんじゃないの?手下としてまだ消えて欲しくない存在だからこそ成績ちゃんとして欲しい、ってことで命令したんじゃない?」
まぁ龍園からの命令なんて一切無いんだけど。
「……アイツにそんな優しさがあるとは思えないけど?」
確かに。龍園にそんな精神ありそうもねーな。そして実際に無いし。正解!
「んはは、まぁいいじゃんか。テストが大丈夫そうな感じだったら勉強会やめたって良いだろうし、とりあえず少しやろうよ」
「……チッ、分かったよ」
こうして、なんとか勉強会を始められた。
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「ん、ここはこんな感じで……、教科書のこれ使う感じ。違うように見えるかも知れないけど同じことしてるだけだから、途中の計算式までちゃんと写してみたら分かると思うよ」
「……。」
伊吹の成績は中の中くらい、つまりぶっちゃけ勉強会をするほどでもなかった……かも。ただ少しだけ理系科目に苦手があったようなので、そこそこ予習してる俺がなんとか教える事が出来た。
伊吹の問題点は、教える以前に分からない事を聞いてこないため、こちらから様子を見て聞き出さないといけないことだった。「俺も少しは教えないと龍園に怒られちゃうから」とか「正直に分からないとこ言って欲しい」とか「今ここで解けるようになればいいんだから」とか言いまくって疑問を聞き出した。結構苦労したが、でもまぁ大人しくしてる不良美少女と合法的に仲良くなるチャンスだから苦労ではないな。
「アルベルトは……、うん、こっちの中学の復習まとめページにある、thisページ。この漢字と熟語をテスト形式でノートに何度もやって、全問正解なるように覚えよう」
アルベルトは、当然のように英語がほぼ満点。たまに日本語の問題文が良く分からない時に間違える程度で英語は間違いなく大丈夫そうだ。数学と理科系も平均点以上は確実に取れそうな感じ。……ただし、国語と社会の文系科目がヤバい、マズい。
言ったことは愚直にやってくれるし、漢字もノートに書いてる文字から書き慣れてないのが分かるものの、書いて覚えるというのはちゃんと出来てそうだから……、うん、ちょっと怖いけど2週間あれば大丈夫かな。社会も同じように覚えてくれそうだし。
「椎名は……、いいか」
椎名はずっと読書してた。ま、いいか。一緒に机合わせてるってだけでも、少しは仲良くなってるでしょ。多分。
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「よーし、じゃあそろそろ終わろか」
2時間も経ってなく、1時間半ほどだったが……、椎名の集中力が完全に切れてる雰囲気があったので提案した。
「ん……」
「……。」
「………あ、終わりですか?」
交流会として意味があったのかは正直自信が持てないけれど、少なくとも顔見知りくらいにはなったと思う。
「えーっと、一応やったし、これで良い気がするけど……、アルベルトは一応テストまで毎日一緒に勉強しようか。なるべくでいいから」
「……OK」
こいつ素直で良いヤツだ。割と日本語も分かってくれてるのね。
「てか、アンタさ……、アイツのことどう思ってんの?」
あれ?なんかちょっと真面目そうな顔で伊吹が聞いてきた。……アルベルトも椎名もなんかちょっと真剣にこっちを見てる?
「アイツ?龍園のこと?」
「そう。……言いなりになってんの?」
そういえばそういう話にしてたっけ。
「いや、何か言われたのは初めてだよ」
「……どう思ってんのよ?」
龍園を?うーん難しいな……。あんまり言い過ぎると裏での繋がりがバレちゃう?チャットで聞いたら情報を教えてくれる便利なやつとは思ってるけど、だからって好きってほどでもない気もする。好き寄りの嫌い?嫌い寄りの好き?好きなとこもあるよ、くらいかな。
「ん~……、とりあえずCP510減点で俺がもらえるプライベートポイントが減りまくったのはムカつくね。死ね!って感じ。だいたい龍園が原因だろうし」
これは100%本音だ。
あとは適当に持ち上げておこう。嫌い嫌いと言ってたら『龍園に裏で抵抗する男』みたいな変な噂になっちゃうかもしれないし。
「……ただ、クラス対抗戦があるらしいけど、内容が勉強での学力を競い合うだけになるって事はないと思う。もし学力で競うだけだったらAクラスが順当に勝ち続けるだけだろうし、それだったら普通の学校と何も変わらないから。だから、普通じゃない試験がもしあったら、頭おかしい暴力チンピラがリーダーだとAクラスにも勝ったりする可能性があるかも?とは思うかな」
俺としてはAクラスとかどうでもいいし、何でもいいから減りまくったポイントを戻せ!俺に楽しく散財させろ!という気分の方が大きいが。
「じゃあ、認めてんの?」
「んー、嫌いでもあるけど……、入学初日にあそこまでやる実行力とかは素直にすごいし認めるしかないかなと思うよ」
「あんなの……、ただの暴力でしょうが」
嫌そうな顔をしてる伊吹、暴力を嫌ってる?それとも……、まさかの同族嫌悪とか?そりゃないか。
「伊吹は龍園をどう思ってんの?」
「……嫌いだよ」
「んはは!」
ストレート過ぎるやろ。だけど逆に龍園からは気に入られてる、と。なんか面白いな。可哀想だけど。
「じゃあアルベルトは?What do you think about Ryuen?」
「……。 He has strength of mental and physical. And he has power and leadership.」
えーっと、メンタルとフィジカルの強さ、パワーとリーダシップがある?リーダーシップは無いやろ。あるか?あれは恐怖政治の才能であってリーダーシップとは別な気がするけど……。
「I lost to him, So, He is my BOSS」
負けたし、彼がボス?ネイティブ発音で早すぎるけどなんとなく聞き取れた。それにして格闘マンガみたいな価値観だな。
「はーん。……そうだ、Why did you fight to him?」
なんで龍園に立ち向かっていったのかが気になる。あの時は腕力自慢というか、喧嘩で勝ってやる!的な不良かと思ったけど、なんか違う気がする。石崎がボコされて正義感から、みたいに言われた方が納得出来る。
「Cuz, for my soul.」
はい?意味分からん。
「椎名、今のどういう意味?」
「う~ん……、魂のために?」
困った顔でとりあえずの直訳を教えてくれる椎名、流石にそれは分かるけど……。生き方みたいなもんか?プライド?詳しく聞くのは……、またもっと仲良くなって、もうちょい英語分かるようになってからでいいか。
「あー、まぁいいや。……椎名は龍園のことどう思ってんの?」
せっかくなので3人全員に聞いてみよう。
「私は、まだ判断するのは保留ですね~」
「なんで?」
「だって、クラスポイント制度が発表されてから1ヶ月も経ってませんし、今回学校から提示された試験も普通のテストでしょう?さっき浅井くんが言ってたように、学力だけを見るのではない試験がきっとあるでしょうし、そういうのを見てからですね~」
うん、まぁそりゃそうか。
「なーるほどね。そういう意味ではテストの次にどんな試験があるのか楽しみだね」
「そうですね~」
うん、3人の考えも聞けたし結構仲良くなれた気がする。
「……そうだ、みんな連絡先交換しよう」
危ない危ない、忘れてた。そう問いかけたら交換済みのアルベルト以外の2人も素直に交換してくれた。伊吹まで特に抵抗無くやってくれたのは……、ちょっと意外。仲間認定してくれた?そうだったら嬉しいね。流れで俺以外の3人も交換しあっていた。
こうして、今更ながらCクラスの友達が出来た良い日になった。