ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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ちょい長め


停戦交渉

うんこ南雲に近付いて、実態を探りたかったのに、そんなヒマが1秒も無くなってしまった追い詰められまくりの哀れな俺は浅井虎徹です。

 

テストがヤバい。あまりにもヤバすぎる。朝のHRが終わってから授業始まってるんだけど、軽くパニックで何も頭に入ってこない。

 

今こそ勉強しなきゃいけない?……うるせぇ!

 

ペーパーシャッフル、この際クラス対抗で勝ち負けなんてどうでもいいよ。特別試験として、良くも悪くもCP50しか変動しないから、そのくらい減ってもどうでもいい。今まだCP700ちょいあるから痛くもない。Dクラスは死ぬほど増やしたいだろうけどさ。

 

現在のCPは、こんな感じ。

 

A:CP804(坂柳クラス)

B:CP732(龍園クラス)

C:CP647(一之瀬クラス)

D:CP186(堀北クラス)

 

あれ?こうやって見ると……、次はAとBの頂上決戦で、俺達がペーパーシャッフルで勝てばCP50のマイナスとプラスで、754と782になって逆転Aクラスになれるっちゃなれるのか……。

 

そう考えると、惹かれる部分あるけど、……うん、無理だね。残念ながらそういうレベルじゃない。学力的には、俺達のクラス、4クラスでドベ争いだもん。ほぼ最下位です。

 

Dクラスと合同で学力テストしても、平均では流石に上回れる……はず。だけど、2クラス合わせた成績上位順で並べたら、トップ10に入るのは下手したらDクラスの方が多いかもしんない。

 

あのクラス、性格とか人間性が終わってる系のクズが多いけど、意外と優秀なのも居るし、欠点が無い普通に優秀なのも居るからね。……もちろん、ただのバカとかも多いし、全体的には低いみたいなんだけどさ。

 

今回の特別試験、ペーパーシャッフル。説明でカッコつけて言われてた『出題側:攻撃』『回答側:防御』ってやつで考えてみると、攻撃力は要するに『どれくらい難しい問題を考えられるか』なんだよね。それはつまり、『クラスのトップがどれくらい頭良いか』って感じでしょ。

 

そして守備力は『みんな勉強できるか』って感じかな。単純に平均点をどれくらい上げることが出来るか。

 

これ、どう考えても……、攻守両面で俺らよりAクラスの方が上なんだよね。どっちも完全に負けてる。

 

なんでもありの勝負だったら、龍園と坂柳は良い勝負するかもしれないけど、今回みたいな学力勝負とかだと話になんないね。下手したら龍園は俺以下のザコだよ。……どうしようもない。

 

椎名とかは優秀で、意外と天才枠なのかもしれないけど……、いやぁ、坂柳に勝つのは無理でしょ。そもそもAクラスは坂柳に限らず、他にも椎名みたいな大人しくて勉強出来るタイプかなり居るみたいだもん。質も量も負けてるんよ。

 

……考えてみたら、なんで椎名は入学時Cクラスに配属されたんだ?Aクラスでも不思議じゃないと思うんだけど。全体的なバランス調整?

 

それぞれのクラス特色、

 

初期A:真面目タイプ

初期B:社交的タイプ

初期C:不良タイプ

初期D:何でもありタイプ

 

だと思うんだけど……。やっぱこれに当てはまらないのも多い?

 

でもやっぱ、椎名も不良だったのかもしれない。勉強できるからって授業サボったり、授業中に本読みまくってたとかならありそう。……なんか可愛い不良だな。

 

ってか、俺も別に初期Cじゃなくても良くないか?中学時代はホントになんもしてないぞ。初期Bでもいいだろ。かなり社交的だぞ俺。

 

……話が逸れた。要するに、我ら龍園クラスは、勉強では坂柳クラスに勝てない。どうしようもないよ。絶対に無理だね。

 

そもそも勉強好きなタイプが集まってるAクラスに勝てる可能性があるのは、現状では『みんなで頑張ろ~!』ってやってる一之瀬クラスだけでしょ。前向きに、ちゃんと勉強も頑張ってるクラス。

 

俺らのクラスなんか赤点が嫌で勉強してるタイプばっかりだよ。そんな奴ら、ガリ勉クラスに勝てる訳が無いでしょうが。

 

今回しっかり負けて『日頃から勉強もしっかりやらなきゃダメ』って全員が思って、全員がちゃんと勉強しまくれば、1年後くらいに並べるかもしれないけど……。いや~、無理そうな気がする。どうなんだろか。これ縮まる差なのかね?

 

今回は絶対に勝てない、それは別にいい。ここで負けても、特別試験は学力勝負以外の対決ばっかりっぽいからなんとかなるでしょ。多分。

 

まだ1年の後半だし、今すぐAクラスになって良い事もそんなに無い。目標が消えて、後は落ちるだけっていう状況になることのデメリットの方が大きいかもしれないくらい。

 

これがもし高3ラストの特別試験とか言われてたら、必死に勝とうとするかもしれないけどさ。

 

 

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勝てないのはいい。けど今回の試験、ヤバいのは『ペア2人で1科目合計60点を取れなかったら赤点』ってやつだよ。これが本当にヤバすぎる。マジで勘弁して欲しい。本当に無理。

 

俺のペア相手はアルベルト。日頃から試験のたびに一緒に勉強すること多かったし、真面目だからそんなに成績も悪くないのは知ってる。今は平均ちょい下くらいだけど、これから上位の方にいっても不思議じゃないくらいのヤツ。相手として不満は別に無い。

 

日本語で会話はしないけど、だいたいちゃんと読めてるから赤点確定キャラではない。まぁ日本語も話せばいいのにとは思うけど……発音が恥ずかしいとか、龍園に言われてキャラ作りしてるとかで話さないだけなのかも。友達だからそこは別にいい。言うほど困らないし。

 

まぁまぁ好きな友人だし、仲良いし、ペアに不満は無い。ただ、現時点では、古典とか社会系科目がちょっと……。

 

俺もそんなに得意な科目でもないし、本当にヤバい。本当の本当にヤバい。しっかりテスト対策すれば、通常試験だったら50点ずつくらいは確保出来るだろうけど、今回のは坂柳が主導で作るテストでしょ?それで2人合計60点未満、赤点だったら退学……。無理でしょ。

 

だって、坂柳って、高1の今でも大学受験したら普通に受かるんじゃないの?偏差値60くらいまでの大学だったら受かりそうだよ。

 

最難関大学の医学部とかは流石にまだ無理だろうけど……。いや、それも受かりそうな気がする。……流石にまだ無理?

 

……分かんないな。今すぐ飛び級で大学生とか言われても納得するし、今も実は飛び級してて、高校生やってるって言われても信じちゃうかも。小さいし。

 

そんな坂柳が『自分でも正解するのが難しい』って感じの難易度の問題だけで構成した試験を作ってきたら、そんなの、下手したら、……いや、下手しなくても、普通に俺1人でも30点取れないでしょ。

 

つまりもう、無理だよ。赤点を回避するの。

 

もう終わりです。赤点決定、退学ですね。……さよなら。グッバイ!

 

ただ、……俺1人だけが退学っていうなら『諦める』の選択肢も見えてくるけど、退学前提で色々とやるのも考えるけど、俺だけじゃなくアールまで一緒に退学ってなるのがね。それは申し訳なさすぎるから、どうにか回避したい。

 

まぁ、それなりに愛着も湧いてきてる学校ではあるから、しなくていいなら退学したくないけどさ。

 

そのために、俺が出来る事は……、

 

①普通に勉強しまくる

→だから、そうしてどうにかなるレベルじゃない

 

②試験問題を改竄する

→龍園が勝手になんかやるでしょ。もちろん頼まれたら何かしら協力するけど、成功確率はめっちゃ低いだろうし、頼りにはならない

 

③坂柳と交渉する

→これだな

 

もう、どうにか坂柳に手を抜いてもらうしかない。懇願して、交渉して、難易度を下げてもらうしかない。

 

……そのための可能性は、1つだけあるかもしれない。

 

うん、葛城相手だったら無理かもしれないけど、坂柳になら通用するかもしれない説得。なんとなく見えてる。今日さっさと行って試してみよう。成功率は30%くらいかな。

 

龍園に黙って行ったら後でなんか言われそうなので、先に伝えておく。

 

ノートを小さく切り取って、メモに『昼に坂柳と会ってくる。テスト作りちょっと手を抜いて、って』と書いて、隣の龍園に投げつけた。スマホだと送信時間とかバレバレすぎるから、稀によくやるやつ。もちろん授業してる先生にはバレないタイミングで。

 

「……。」

 

慣れた様子で確認した龍園もまた、裏側に何か書いて、俺に投げてきた。カッコつけてノールックパスするなよロン毛、狙いが良いのもちょっとムカつく。

 

えーっと、書いてあったのは、『結論は出すな 俺が決める』とのこと。

 

「オッケー」

 

また書くのが面倒なので、小声で答えた。多分聞こえたでしょ。

 

龍園が決めるっていうのは別に構わない。そりゃリーダーなんだし。俺が勝手に決められることなんて無いでしょ。

 

 

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「お邪魔しま~す」

 

時刻は昼休み。ほとんど聞いてない午前の授業が終わってすぐ、Aクラスの教室にやって来た。

 

「……お前、浅井か。敵対クラスに何の用だ」

 

久しぶりに見る、Aクラスのメガネ。……名前なんだっけ?また忘れちゃったよ。まぁいいや。

 

「どもども。坂柳に話があってね」

 

「ふん……」

 

なんだ?舐めるなよアピールかな?

 

「こんにちは虎徹くん、どうしましたか?」

 

「よっす坂柳、昼にごめんね。メシは大丈夫?」

 

「えぇ。あまり食べませんから」

 

そう言いながら見せてきたのは、コンビニのおにぎり1つだけだった。そ、それだけ!?

 

「嘘でしょ坂柳、しっかり食べなきゃ大きくなれないよ?」

 

「……余計なお世話です」

 

あっ、なんか普通に睨まれてしまった。怖い。

 

「ご、ごめん……」

 

「はい。それで、何の御用ですか?」

 

さてどう言ったもんか。……普通に言っちゃうか。

 

「えーっと、Aクラスの自作テストって坂柳も関わってるでしょ?」

 

「はい、そうですね。虎徹くんも数学科目で作成していたと聞きましたよ?どんな問題を作ってくれたのか楽しみです」

 

「お、おぉ……」

 

なんで知ってるのかともかく、ホントに楽しみにしてそうな笑顔だ。

 

「それで、それがどうしました?」

 

「えーっと、ハッキリ言うけど、テストの難易度ちょっと下げてくれない?」

 

「なっ!」

 

「お前ふざけんなよ」

 

「無人島であんなことしておいて……」

 

周りで聞き耳を立ててる奴らが色々と野次を入れてくれたけど、無視だ無視。Aクラスのみんなこっち見てるけど、早く食堂とか行けよもう。

 

「全員0点にしてやる!狙いじゃなくて、40点くらい狙いにして欲しいんだよね。坂柳が本気で作ったら全員退学になっちゃうよ。Aクラスの感覚で問題作りまくったら、マジで俺達のクラスじゃ誰も解けなくなっちゃうよ?って」

 

なんとなくAクラスを持ち上げておこう。嘘でもないし。

 

「ふむ……」

 

「俺も龍園も、ほとんど消えちゃうよ?」

 

「それは、残酷かもしれませんが、私達にとっては歓迎する事態でしょう?他クラスが消えてくれるのですから」

 

「でも、坂柳個人としては、こんなに早く強敵が消えちゃうの嫌なんじゃない?」

 

「それは……なぜ?」

 

「だって、競争相手が居なくなっちゃうもん。遊び相手が消えちゃうよ」

 

これが坂柳を説得できるかも知れない、唯一の可能性。

 

坂柳は、大学なんか自分の学力でどこでも好きに入れるだろうし、その後の人生も特に困らないでしょ。そんな人間が『求めてるもの』は何か?Aクラス特権?いや、そんなものに頼る必要が無いはず。

 

けどこの学校に居る。その理由はきっと、ポーカー大会で見せた姿、夏休みの試験について話した時の反応などから見るに、恐らく『競い合うこと』自体が目的のはず。この環境こそ求めてるものなんじゃないかと。

 

「………痛い所を突きますね、虎徹くん」

 

おっ!良い反応なんじゃない!?

 

「でしょ?……人が消えてザコザコになったクラスと競い合ったって楽しくないと思うよ。全力の龍園と勝負して、やり合って、その上でぶっ倒す!ってタイプでしょ坂柳」

 

「ふふ……。そうかもしれませんね」

 

「どうせ学力勝負なんてこれから何度やったって結果は変わらないだろうし、圧倒的上位として『全力でかかってこい!』みたいな感じで頼むよ~。龍園とかこれからも色々とやってくれると思うよ?高1の段階で排除しないで下さい!お願い!」

 

強敵が消えちゃうよアピールをしてみる。

 

「……では、1つ契約を思いつきました。一方的に手を抜く、というのはクラスに示しが付きませんし、その保証も出来ませんからね。お互いに利のある契約を結びましょう」

 

「確かに。どんなの?」

 

テストの難易度を下げてくれる、って口約束されても信じられないもんね。

 

「こちらが用意するのは、ペーパーシャッフル試験において、『50問中25問以上の問題で答えを【ア】にする』というものにしましょうか。これなら全員が50点を確保出来ますし、絶対に誰も赤点にならずに済むでしょう」

 

「うん、多分」

 

1人50点なら、科目ごとの2人で合計60点はクリアされるし、総合得点も確か赤点ラインは1科目あたり1人40点台くらいのはずだから、50点取れればセーフなはず。例年の数値がどうやって出されて決まってるのか分からないけど、全員50点なら赤点ラインがそれ以上ってこともないはず。多分。

 

答えが全部【ア】っていうの、全問そう答えるのを強要されるようなもので、実質【ア】以外を選ぶのが怖くて仕方ない状況にはなっちゃう。でもまぁ、確定で赤点回避が出来るならいいでしょ。

 

「そして、そちらに求める条件は、無人島試験時に締結された『毎月のpp契約を破棄』です」

 

そういや無人島での交換取引あったね、忘れかけてた。全部龍園が受け取ってるから実感が無いもん。

 

「あれって毎月どれくらいだったっけ?」

 

「クラス全体でCP250相当、月々100万ppですね」

 

「はーーー!?」

 

嘘でしょ、そんな額だったっけ!?……葛城、それだけ一方的に吸い取られる契約しちゃってヘマこいたら、そりゃリーダー降格なるわな。

 

「流石に大きい金額ですよね」

 

「うん。……俺、もっと龍園に金せびろう」

 

最近なんか仲良くなってるけど、要所要所の活動費用はアイツに全部出させるべきだなこれ。

 

「虎徹くんとしては、この取引に賛成ですか?」

 

「う~ん………せっかくのpp契約はもったいない気はするけど、退学者を99%出さずに済むって話だから、俺は大賛成。けど……龍園が何を考えてるか分からんのよね」

 

なんか甘く見てたり傲慢っぽい所があって危機感が足りない気もするんだよなぁ……。普通に勉強しないやつなんて学校が振り落としても不思議じゃないってのに。運動能力とかで排除したら問題になるだろうけど、学力基準なら普通にあるだろってんだ。

 

「……では、私も譲歩しましょう。CP100相当、月々40万ppの減額を交換条件にして構いません」

 

「マジ?それくらいなら流石に龍園も飲むと思うけど……」

 

本来無いはずのppが入ってくる契約だし、捨ててもいいと俺は思う。

 

「ただし、この額で取引に応じるのは、今日中に契約を結べた場合とさせて下さい。明日以降は保証できません」

 

「えっ?今日中?……なんでそんなに急ぐの?」

 

「そうですね……、私達のクラスは、龍園クラスへの敵対意識が、他3クラスの中でも圧倒的に高いです。今までずっと負かされてきましたし、物凄い勢いで追い上げてくる相手でもあります。恐怖に近い警戒を持つ生徒も少なくありません」

 

「はぇ~」

 

まぁ分からんでもないかな?

 

「そんな人達が大半ですから、この取引に応じず『全員退学にしてやれ』という意見も必ず出てくるでしょう。pp契約も『全額破棄させろ』と言う声も必ず出てくるでしょう。その対策として、既成事実化してしまうためにも、今日中に契約しておきたいんです。……私個人としては、まだ龍園クラスを破壊したくはありませんから」

 

おぉ、優しい。

 

「うん、分かった。ありがとね坂柳、なんとか龍園を説得してみるよ」

 

「えぇ……ありがとうございます虎徹くん。よろしくお願いします」

 

いい笑顔だ。なぜかちょっと怖いけど、まぁそういう顔か。

 

「んじゃ昼メシ邪魔しちゃってごめんね!もっと食べなよ!」

 

「そう……ですね」

 

あ、最後の一言は余計だったかも。

 

 

---------------------------------------

 

 

「っていう話をしてきたよ」

 

「……。」

 

帰ってきて即座に龍園に説明したけれど、なんか反応がよろしくない。意味が分からん、褒めてくれても良くない?

 

「何、言いたいことあんなら言ってよ」

 

「……普通に考えて、過半数が退学になる試験になるとは思えねぇんだよ」

 

は~?

 

「何を余裕ぶっこいてんの。……今まで、去年まではちゃんと勉強するタイプばっかり入れてて、今年から変なやつも入れるようになったとかあるかもしんないじゃん。毎年お前みたいなやつが入学してくると思うの?そんな不良まみれの学校じゃないやんけ。鏡見ろよ、お前みたいなの他に居ねーだろ」

 

「うるせぇよ」

 

「今年だけ、特別みんなバカなのかもしれないでしょうが」

 

「チッ……」

 

「俺達の代が歴代最低の学力かもしれない。そして坂柳が歴代最高の頭脳かもしれない。これ両方ありえると思うし、その通りだったとしたら『脱落は毎年1,2組』っていうのが、俺達だけで10組とかになる可能性ありえるでしょ」

 

「……。」

 

「それなったらもう20人退学で、クラスの半分が消えちゃう。完璧な崩壊だよ。……その可能性を限りなくゼロに出来る道を作り出して来たんだよ?何が不満なんだよ」

 

「………何か引っかかる。坂柳が軽々しく譲歩してる事もな」

 

「話ちゃんと聞いてた?妥当な譲歩だと思うし、CP100相当ってそれなりの要求だと思うんだけど」

 

「今日中には決めてやるよ」

 

「当然だろバカ」

 

カッコつけて言うなアホ。

 

「フン……」

 

学力を軽んじまくってるクソボケ不良だから、なんか想定が甘い気がするんだよな……。ムカつくよ本当に。

 

もしこの取引を反故にして、退学者を出しまくるような事になったら、本気の本気でボコボコにしてやるからなこのクソボケ。

 

 

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イライラしながら授業を受けて、帰りのHR。いつも通り坂上先生がすぐ帰るのかと思ったら、何か伝達があるみたいだった。

 

「ペーパーシャッフル試験まで、残り3週間ほどです。自作テストの作成に取り掛かってもらっていますが、ここでお知らせがあります」

 

なんだろう?

 

「今回の試験ですが、全問4択の選択問題となりました。それを踏まえた上でテストを作成して下さい」

 

「ほぁっ!?!?」

 

じゃあなんで今まで言わなかったんだよ!!

 

「……問題作成の制限を告知するのは、これが予定通りのタイミングとなります。自由な発想で考えてみて欲しいという願いから、時期がズラされました」

 

なんとなく俺の方を見ながら説明してくれた坂上先生。じゃあ、まぁ、そっすか……。いやでも早く言えよ。

 

これ、そうなると退学の可能性が結構落ちたかもしれない。記述が無いっていうのは大きい。最悪でも運試し試験って感じも出てきたなこれ。

 

「さらに告知です。試験において、50点分、つまり25問は『学校側が用意した問題』が学年共通で出題されます。そのため、自作部分はそれぞれの科目で25問を作成して下さい」

 

なるほど、普通の問題が半分って事か。それなら『勉強してたら赤点にならない』って言われてたのにもやっと納得。もちろん手は抜けないけど、これなら全員退学を考えちゃうほどの絶望感は無い。

 

ってか、つまり……、

 

「あっっっっっぶね!!!」

 

これ、坂柳はもう知ってて、だから『今日限定』っていう条件を出してきた気がする。

 

めちゃくちゃ詐欺られかけたね、全く譲る必要のない大金を捨てそうになってた、って事か。

 

あ、危なすぎる、紙一重だった……。こわっ。





(補足)
原作には無い設定ですが、退学者が続出するようなテストにはしないだろうという憶測ゆえのものになりました。

しっかり勉強してる生徒も退学になる、っていう事態は流石に学校側が避けようとすると思いましたので。

(内緒話)
「ここで主人公が赤点退学したら、もう更新しなくて済むのか……」って、ちょっとだけ悩みましたw
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