ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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「なぁ虎徹、何かあったのか?」

 

「え?……無いけど」

 

私は伊吹澪。アイツが停学明けから変な感じになってると気付いてはいるけど、こちらから話しかけられずに1週間以上が経ってしまい、石崎が話しかけてるのに聞き耳を立ててる。

 

「そうか?最近の虎徹、なんか変な気がするぞ。悩みでもあるなら相談乗るぜ?」

 

「いや、気のせい」

 

「気のせいか?……前と同じ?」

 

「うん。一緒」

 

「そっか……。なら良かったぜ」

 

おい!明らかに変だろ!なに言い負かされてんだよバカ!!

 

……とか思いつつも、私は話しかけられずにいる。こっちから話しかけた事なんてほぼ無いし。そもそも、悩んでるっぽい人にどういう感じで声をかけたら良いか全く分からないから、どうにも出来ない。

 

新聞事件が終わった後で、龍園からクラスのグループチャットに『他学年との交流は可能な限り拒否しろ』という短いメッセージが送られてきた。なんか知ってるに決まってるのに、チャットで虎徹について聞いてみても『放っておけ』としか返してこなかった。

 

ムカつく。勝手に思い詰めてるアイツにも、そんな様子を嫌そうな目で見るだけで放置してる龍園にも、バカ過ぎる石崎にも、直接まだ話しかけられない自分にも、すべてに腹が立つ。

 

学校側に怒られて停学になったから落ち込んでる……とは違う、と思う。多分。

 

けど、なんか、やっぱ確実に変。おかしい。

 

 

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「アンタ……なんか、目が変だよ」

 

昼休み、授業が終わった後も何も書いてないノートに視線を落としたまま、ただ何もせず虚空を見つめてるコイツに、ついに私から話しかけてみた。地味に緊張してる、話すの久しぶりだし、私から話しかけるの初めてかもしれないし。

 

「ん?あぁ、伊吹。……なんて言った?メガテン?」

 

「違う。目が、変」

 

ふざける元気はあるのか。けど、顔を合わせて分かる。今までと明確に違う。

 

「そう?あ~、寝不足かも。帰ったら寝るよ」

 

「……なんで?」

 

「はい?」

 

「なんで……笑わなくなったんだよ。何があったの」

 

1番の違い。今まで見てきた、ちょっとムカつく感じの、ヘラヘラした笑顔が完全に消えてる。表情自体が抜け落ちてるような感じ。最初は眠いだけなのかとも思ったけど、絶対にそうじゃない。

 

「……んはは、そうだった?最近めっちゃ寒いからね。2月だし」

 

無理して笑った、というよりは笑うのがめんどくさそうな感じ。今までと違いすぎる。

 

「別にここは寒くないだろ」

 

「まぁ、確かに」

 

「なんなの?アンタ。停学明けてから、ずっと変」

 

「うーん、……そうかも?」

 

「何かあったなら、……言いなよ。クラスメイトだから」

 

緊張でちょっとおかしい日本語になった。顔が熱い。

 

「ん~、あ~………どうしよう。じゃあ……うん、せっかくだし相談したいかな。ちょっと言うこと整理するから、放課後に時間くれる?」

 

「いいよ。分かった」

 

「ありがとう」

 

うん……話しかけて良かったかも。

 

 

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「なんで屋上のドア、こんな」

 

放課後、夕方。人気のない所が良いかもと屋上に虎徹を呼んでみたけど、普通のドアに見たことの無い頑丈そうな鍵が2つも追加されてる。なんで?前は出れたんじゃなかったっけ?

 

「よっす、どしたの?」

 

なぜか職員室に寄るとか言ってた虎徹がもう来た。

 

「これ」

 

「うん?……えっ、なにこれ。厳重すぎるでしょ」

 

「知らなかった」

 

呼んでおいてこうなったのは少しだけ悪い気分になる。

 

「そらそうでしょ。なら、ここでも良いんじゃない?」

 

「ん」

 

そう言いながら階段に座ったのを見て、同じ段、けど離れて私も座った。スカートのせいで上には座れないし、かといって下に座るのも変だし。

 

「……考えてみたら、屋上が封鎖されてるのって俺のせいかも」

 

「なんでよ?」

 

初耳なんだけど。

 

「屋上で、タンクに……あ、これ言っちゃダメなやつかも。ごめん」

 

「……。」

 

なにそれ。やっぱ裏で色々やってんだろうなコイツ。

 

「今日は……あ~、心配してくれてありがとう伊吹」

 

「別に。それで、……何に悩んでんの?」

 

「えーっと、全部は言えない。けど、それは俺が『言いたくない』とか『言うのを禁止されてる』とかじゃなくて、『言ったら困る人が居る』っていう事で分かって欲しい」

 

変な言い回しする。虎徹、特に考えずペラペラなんでもしゃべるようなイメージあったけど。

 

「まぁ……分かった」

 

「けど、意見は聞いてみたいから、ちょっと質問させてくれる?」

 

「いいよ」

 

それなら励ます言葉とか考えなくて良さそうだから、こっちとしても助かるかも。

 

 

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「じゃあ、世界で1番……『優しい人』もしくは『良い人』ってどんな人だと思う?」

 

「……。」

 

変な質問。シンプルだからこそ、ちょっと難しい。

 

「あっ、ちなみに俺以外でね」

 

「アンタなんか選ばない」

 

「えぇ~」

 

少しだけ懐かしい、バカなやり取り。

 

「1番優しい人、……誰にでも平等に優しい人、かな」

 

「誰にでも、なるほど。確かに。……じゃあ、『優しい』って何だと思う?」

 

ちょっと面倒な質問だけど、なぜか真剣みたいだから、こっちもマジで考える。

 

「なんか、励ましたり、助けてくれたり?」

 

「うん。……うん、俺もそう思う」

 

なんで、これ聞いて寂しそうな顔すんの?

 

「なんかあったの?」

 

「えーっと……『優しすぎる人』っていうのは、他人のためにどこまでも自分を犠牲に出来ちゃう人、なんだろうね。伊吹は、……優しくなりすぎないでね」

 

「は?……いやまぁ、うん」

 

微妙にバカにされてるのかとも思ったけど、本気で言ってるみたいだ。やっぱり良く分かんない、コイツのこと。

 

「優し過ぎたら、ダメなんだよなぁ……。相手が善人だけなら、そりゃ理想の世界で、理想の人間だけどさ。善人に見えたクズが、この世には山ほど居るんだから、そんな……。せめて3年、あと2年あったら、俺が、……なんとか体感してもらえたと思うんだけど、……ちくしょう」

 

「……。」

 

優しすぎる人って、もしかして一之瀬と何かあったってこと?……質問した方が良いんだろうか?それとも黙って聞いてた方がいい?まったく分からない。自分の対人経験の少なさに嫌気が差す。

 

「はぁ~~~……もう、ただただ、やるせないよ。なんであんな要求を飲むかね?って本人への怒りもあった。腹も立った。バカ過ぎるだろとムカついたりもしたれけど、多分、ホントに優しい、俺が想像出来ないほど優しい性格の子だからこそ、人のために、自分を捨てれちゃうんだろうなって……。そうなると色んなことに説明が付いちゃうし、もう、本当に……キツい。まだ未成年、親御さんの心情とかも考えちゃうと、もう、ひたすら悲しいよ」

 

悲しい?

 

「ねぇ……マジでどういうこと?一之瀬に何かあったの?」

 

「……えっ?あれっ、一之瀬って言っちゃってた?……いやその、ごめん、言えない。彼女のためにも、……うん」

 

「別に、誰にも言わないよ。絶対に。そんな、言う相手も居ないし」

 

他クラスと仲良く出来るほどの社交性なんか無いし。

 

「それは、……もし言ったら、多分伊吹は、知らなかったフリを出来ない気がする。ただ何も聞いてなかった事にして、今まで通りの顔出来るような人じゃない、と思う。これは信用してないんじゃなくて、伊吹が良い人だって信じてるからこそ、言えんのよ。……ごめん」

 

「……あっそ」

 

意味分かんない。悪気は無いんだろうけど、すごいモヤッとする。

 

「うん……」

 

「じゃあ、悩みについて具体的には言えないって?」

 

「そう、なるかな。言ったら、……言えない。ごめん」

 

「ふん。……まぁ、別にいいけど」

 

なんか、結構ヤバいことに巻き込まれてんの?

 

 

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「じゃあ、次の質問は……1番『優秀な人』ってどういう人だと思う?」

 

また変な、曖昧な質問だ。まぁ、何かの参考になってるなら答えるけどさ。

 

「シンプルに『なんでも出来る人』とかじゃないの?」

 

「……じゃあ、全体的に平均で総合力は高い人と、めちゃくちゃ頭が良くて勉強も出来るし、人の考えを見抜ける、けど体が弱いみたいな人だったら、どっちが優秀だと思う?」

 

虎徹みたいなタイプと、坂柳みたいなタイプ?

 

「それは……。求められてる仕事というか、何を必要とされてるかによるでしょ」

 

「うん。そりゃそうだ」

 

「任された役割とか立場で、ちゃんと結果を出す、……みたいな?」

 

「その通りだと思う。……じゃあ、1人で全部やれる人と、みんなと協力してやる人、どっちが優秀だと思う?」

 

「協力した方が、……いや、両方?」

 

「あ、ひっかけ問題のつもりじゃなかったけど……。でも、うん、そうだね」

 

「……何が聞きたいの?」

 

「あ~、これは仮の話として聞いてね」

 

「うん」

 

「めちゃ万能で、社交性もあって、すべて実現してきた人が居たとしよう。けど、表では人当たりの良いその人が、裏ではめちゃくちゃ悪巧みしてて、人を傷付けて支配して、それで他者を潰して勝ってきてたとしたら……。それもまた優秀だと思う?」

 

「……龍園のこと言ってんの?それともアンタ自身のこと?」

 

「えぇ!?いや違う違う!」

 

じゃあ誰だよ。……まぁいいや、質問について考えると、

 

「要するに、手段を選ばない癖に、それを上手く隠してるやつをどう思うかって?」

 

「そうそう。俺も龍園も隠してないでしょ!?」

 

それはそれでどうなんだ?と思うけど、

 

「手段を選ばない、人を傷付けてでも勝つために動く。それも強さかもしれない。……けど、嫌いだ」

 

「うん。……え?なんでそんな怖い目してんの?」

 

「どうせ自分達のこと言ってんでしょ」

 

アンタ達以外に誰が居るんだよ。

 

「いやいやいや……。あっ、じゃあ、仮に俺達がそういう悪い事して、それでAクラスになろうとしてたら、伊吹どうする?」

 

「それは、場合によっては止める……と思う」

 

多分。Aクラスにならなきゃ意味が無い以上、もしかしたら手段を選んでられない時もあるのかもしれないけど……。

 

「うん、良いね……。じゃあ、俺達が悪い事してるのに、それをめちゃくちゃ上手く隠して、伊吹が気付けなかったら?どうする?」

 

「そんなの……。隠されて分からないなら、分かんないじゃん」

 

「……うん、そりゃそうだ」

 

「どうしようもないでしょ」

 

そう言うしかないだろ。どういう質問?

 

「それ聞いて、ちょっと気が楽になった、かも」

 

「まぁ、手遅れだったとしても、後からでも、許せなかったらぶん殴るよ」

 

誰かがストッパーにならなきゃダメだろうし。虎徹と龍園が好き放題やってたら、絶対にやり過ぎる気がする。

 

「うん……。うん、そうだよね」

 

なんで少し安心したような、それでいて悲しそうな表情してんの?

 

 

---------------------------------------

 

 

「それで結局、何に悩んでんの?流石に気になるんだけど。具体的なこと言わなくていいから、もう少し教えて」

 

「うーん……消すのは確定してる。けど、1つだけ消したとしても、それだけだと多分解決しない。関係してる、いくつ……っていうか、どこまでを、どうやってやれば、全部解決できるのかな……みたいな。真似するヤツも絶対に潰さなきゃ、すべて、全部を消さなきゃダメなのかな、それは分かりようがないし、流石の俺でも、疑いレベルで全員はやれないし、……みたいな」

 

なにそれ?

 

「ゴキブリの話でもしてんの?」

 

「ふっ、……んはははは!!ゴキブリ!んはは!」

 

「は?なに?」

 

いきなり大声で笑い出した。頭おかしくなった?

 

「うん、もう、そうだね。もうほぼそんな感じ、全部駆除しなきゃね。んはっ、んはははは!!!」

 

久しぶりに本気で笑ってる姿を見たけど、なんかバカにされてる気がしてムカつく。なんでこんなに笑ってんだよ。

 

「良く分からないけど、学校に、坂上先生とかに言えばいいじゃん」

 

「それは、ん~~………無いかな」

 

いきなり表情が抜け落ちた真顔で、呟くような声だった。

 

「なんでよ。生徒の自由意志を尊重してるって言ったって、助けを求めたら、ちゃんと対処してくれるんじゃないの?」

 

何があったのか知らないけどさ。少なくとも本当にゴキブリって訳ではなさそう。

 

「言えない、っていうのもあるけど、……多分、言っても握り潰されるんじゃないかな。俺を退学にして口封じする可能性の方が高いだろうね」

 

「はぁ?なんでよ」

 

「俺も信じたくないけど……っていうか信じてなかったし、今も半信半疑だけど、この学校でここまでコストかけてる理由が本当に『日本の未来を支える人材の育成』だとしたら、やっぱ優先順位があるだろうからね」

 

優先順位?生徒の?

 

「アンタなんか退学になってもいいって?」

 

「ん?……あぁ、俺の価値も、そりゃ当然かなり低いだろうね」

 

変な反応。虎徹のことじゃなくて、敵の優先順位が高い、みたいなこと?

 

「Aクラスの相手となんかあったの?」

 

「いや、言えない。……クラスとか置いといて、システム的に『競争社会』を再現しようとしてるせいで退学者を出しまくって、その結果、『勝ち残ったのはゴミでした』とは、誰も認められないだろうからね。理性じゃなく、経済的な問題で。そういう状況すぎる。『優秀だから生き残った』と言い張るしかない。ただ『生き残っただけ』のゴミに対してもね」

 

もしかして2年とか3年が相手なの?

 

「……生き残ってる生徒は、学校側が優遇するってこと?Aクラスがただ勝ち続けるようになってるってこと?」

 

「ん~、いや、特別試験とかは割りとちゃんと平等にやってると思うよ。それこそが『競争力』の育成だから、そこで変な手は加えてないはず。多分ね」

 

「じゃあ、優遇してるはずって何なの」

 

「あ~……言えない」

 

なんでだよ。

 

「犯罪にでも巻き込まれてんなら、変なこと考えてないでちゃんと先生に言った方が良いでしょ」

 

「……言ったら、終わるんだよ。人の、尊厳、いや人生が。だから言えない」

 

ホントにどういうことなの……。

 

「証拠を握られてるとか?それがバレたらヤバいってこと?」

 

「ん~~、ごめん、話しすぎたかも」

 

やっぱそういう感じっぽい。

 

「なら、その犯人が何も出来ないように準備して逮捕?拘束?すればいい話じゃないの?」

 

「ハァ……。もし、協力者が居たら?もし犯人を潰した後、報復で証拠を使われちゃったら?……絶対にミスれない。絶対に、全員の動きを封じなきゃいけない。ただ口を割らすだけじゃなく、関係者も根こそぎ行動を封じなきゃダメなんだよ。そして、あんなヤツが理想像であることを、俺が否定する。甘すぎる勘違い、ふざけた常識を潰してやるしかない。俺が、何をしてでも。そうでもなきゃ、あれを真似するヤツも絶対に出てくる。ただ1人を、だけじゃダメなんだよ……」

 

静かに、落ち着いてるように見えて、明らかに激怒してる。人生でこんな姿の人間、今まで見たことない。少しだけ怖いけど……ここで何も言わなかった方が、なんかヤバそう。

 

「何があったか分からないけど、それってアンタがやらなきゃいけないことなの?……言ってくれないから分からないけど、それ全部アンタの責任なの?」

 

「ん~……どうだろ。3割くらい俺の責任、っていうか罪かな」

 

その罪滅ぼしみたいなこと?

 

「誰か、先生とかに任せてもいいんじゃないの?虎徹、アンタ勝手に思い詰めてるように見えるよ」

 

「……まぁ、そうかもね」

 

「私に具体的なこと言わないってのは、ムカつくけど、それは置いといて……私じゃなくても龍園とかなら相談出来るんじゃないの?先生に言えないっていうのが良く分かんないし、なんかまた悪いこと企んでるのかもしれないけど、それでも1人でそんな顔してるのは多分ヤバい。誰かに相談しなよ。椎名とか金田も口は固いと思うけど」

 

「それはちょっと……。でも、考えてみるよ。うん、ありがとね伊吹」

 

「ふん。まぁ、それくらいしか言えないけど」

 

少なくとも、意味分からないくらい1人で思い詰めてるよりはマシでしょ。相談相手で1番頼れそうなのが龍園かもっていうのが、酷すぎる状況だけど。

 

 

---------------------------------------

 

 

「……ん~」

 

「……。」

 

「あ~、えーっと……」

 

しばらくお互いに無言が続いた後、虎徹がこっちを見て、無言で口を開いて、閉じて、開いて……分かりやすく何か言いたそうにしてる。

 

「なに?言いたい事あるなら聞くよ」

 

「これ、マジなんだけどさ」

 

「なに」

 

「……キスして、抱きしめていい?」

 

「は!?……ぶっ飛ばすよ!?」

 

なんでこの流れでふざけてんだよ。割りと本気で心配してたのがアホらしくなってくる。

 

「マジマジ。ダメ?」

 

「絶対にヤダ」

 

「………本気だよ伊吹。本気で好きだよ」

 

「はぁ!?」

 

どういうタイミングで、何言ってんの?

 

「結婚してくれ伊吹。一生守るよ」

 

「なっ、……は!?」

 

ちょっ、本気で言ってんの!?

 

「これマジ。思いつきじゃないから」

 

「……いや、いやいやいや。意味が分かんない」

 

「伊吹澪、俺と結婚してくれ」

 

まっすぐこっちを、見たことのない真剣な顔で見てる。

 

「アンタ、頭おかしいの?」

 

「いや、本気だよ。マジです」

 

くっ……、訳が分からなすぎて頭がちょっと痛い。

 

「その……いや、流石にありえない。そういうの、考えて、ない、から」

 

「それは、ダメってこと?」

 

「うん、ダメ。ありえない」

 

そもそも、2人とも未成年じゃんかよ。早すぎる。

 

「そっか……」

 

「……うん」

 

どう考えてもハイとは言えない。

 

「なんでダメ?」

 

「いきなり……意味分かんないし。アンタに恋愛感情とかも、別に、無いし」

 

多分。

 

「ん~……まぁ、ダメなら仕方ないか。うん……しゃーない」

 

「……。」

 

残念そうな顔をしてるけど、だからってOKも出せないし……。

 

「良い夢、見れた」

 

「は?」

 

「心残りも……うん、無いかも。いやあるけど、未練も沢山あるけど。でも、覚悟が決まったかもしれない。聞いて良かった。スッキリした」

 

「……バカなの?」

 

勝手に一方的に告白しといて、断られたのに、清々しい顔しやがって。やっぱ本気じゃなかった?

 

まったくもって、意味が分かんない……。やっぱコイツ、ちょっと頭おかしい。本気なのか本気じゃないのか、ふざけてるのかふざけてないのか、まったく分からない。

 

でもまぁ、少しは元気が出たっぽいかな。それは良かったけどさ。

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