ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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娯楽室

おはようございます!可愛い子2人から虎徹呼びしてもらえるようになった絶好調の浅井虎徹です!フハハハハ、俺は無敵だ。朝からめちゃくちゃ元気だぜ。

 

ちょうど俺とめちゃ仲良しの可愛い子が1人登校してきた。うーん眠そうなクール顔だ。

 

「おはよう伊吹!」

 

「……おはよう」

 

……って、オイ!俺の名前言わんのかい!

 

「伊吹、俺は誰だ?言ってみろ!」

 

「……バカ?」

 

冷めた目でそう言って、さっさと自分の席に行ってしまった。ちくしょうこのアマ……。またミオ呼びしてやろうか。いや流石に嫌われそうだからしない。

 

「よう虎徹、龍園さんまだ来てないか?」

 

「知らん」

 

石崎、お前はどうでもええんじゃ。

 

「龍園さんから他クラスで特徴ある生徒を調べろって言われてんだけどさぁ……放課後は部活に行ってるやつも結構居るし大変なんだよな~。かといって授業中は見に行けないし、昼休みに他クラス行ける訳でもないし……。やっぱ食堂とかケヤキモールの店とかで様子見るしかねぇんだよな。けどDクラスなんかは金が無いから全然来ないし。すげぇ大変だぜ」

 

知るか!

 

 

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伊吹に名前を呼ばせる作戦を授業中ずっと考えてたけれど、まったく思いつかないまま昼休みになってしまった。もうダメだ、他の女に行こう。悲しみを振り切って前に進もう……。

 

そういえば今日は金曜日、久しぶりに坂柳に会いたいな。Aクラス訪問は勉強会という名目が無くなったのとテスト明けで疲れて自然と忘れてしまい、今は途絶えてしまっている。こういうのって一度終わっちゃうと再開しずらいよね、ただでさえ利害対立関係なんだし。じゃあ1回もサボるなよ俺。

 

うーん、坂柳と会うなんか良い理由を考えてたけど……マジで思いつかん。また勉強会?いやいや面倒過ぎるしヤダ……。てかテストはしばらく無いし。うーん……。

 

 

[浅井虎徹>>><<<坂柳有栖]

 

【浅井虎徹】:おっす坂柳、久しぶりに会いたいけど理由が思いつかないや

 

別に悪いこと企んでる訳でもないから直接言ってしまおう。返信待つ間にメシでも行こうかな……お、返信すぐ来た。

 

【坂柳有栖】:お久しぶりです浅井くん。では今日の放課後Aクラスに来ますか?

 

【浅井虎徹】:行く!

 

なんだか知らないけどめちゃくちゃ話が早いな。これが出来る女ってやつか?助かる~。

 

 

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放課後。ウキウキでAクラスに来た。

 

「お邪魔しまーっす」

 

お?なんか意外と人多いな……。あぁそうか、坂柳派じゃないのもまだ普通に残ってるからっぽいな。

 

「……なんだ、お前?」

 

「はいどうもどうも」

 

なんか見覚えのないヤツに絡まれるけど面倒なので適当に流す。

 

「おい待て。お前どこのクラスだ」

 

流せなかった。肩を掴まれて止められてしまう。

 

「Cだよ。ちょっと坂柳に呼ばれて会いに来たんだ」

 

「……坂柳か」

 

なぜか厳しい顔になるAクラスの男子生徒。これは葛城くん派とかいうホモ派だな?手も離してもらったので無視して教室に入ってしまう。

 

「あ、居た。久しぶり坂柳」

 

「こんにちは浅井くん。お待ちしてました」

 

「おいっす。……なんか今日呼んだ理由とかあるの?」

 

来たは良いけど話のネタとか特に考えてなかったな。

 

「えぇ。今まで会うのは勉強会だけでしたので、今日は違う事をしませんか?ボードゲームとか」

 

「ボードゲーム?人生ゲームとか?」

 

「……いえ、チェスなどを。いかがですか?」

 

なるほど。そういうのもボードゲームなのか。

 

「オッケ~」

 

「では娯楽室に行きましょうか。鬼頭くんもご一緒させて下さいね」

 

「え、誰?きと……うぉっ!」

 

いつの間にか傍に居た、とんでもない長髪で猫背の男だ。な、何だコイツ……仙人か?山帰り?目つきもなんかヤバない?夜中に見たら通報しちゃうような存在だぞ。

 

「……。」

 

なんも言わないし。どゆことなの。

 

「鬼頭くんは私に付き従ってくれる人です。安心して下さい」

 

何を?マジで雰囲気ヤバいぞ、追い詰められて銀行強盗しそうなホームレスみたいな感じじゃん。もしくは暗殺者?いきなり殴りかかったりしてきそうな顔だぞ。安心出来るかぁ!

 

「えぇ……」

 

さり気なく坂柳を間に挟む位置を取ろうとしたが、しっかりと間合いを詰めて壁になってくる。近い近い。無口で恐ろしく暗い雰囲気が間近にあると怖くて仕方ないぞ。うぉぉこっち見てるぞぉ……。

 

「……。」

 

「鬼頭くんは無口ですが良い人ですよ。それでは行きましょう」

 

めちゃくちゃ睨まれてる俺を無視して坂柳はさっさと教室を出ていってしまう。

 

「あー、よろしく……」

 

「……。」

 

これ人間か?会話機能が無いロボットって言われた方が安心出来るぞ。

 

 

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娯楽室、こんな部屋あったのかと感心していた。チェス、将棋、囲碁、オセロ、あとは良く分からん木のやつもある。他にも人生ゲーム的な箱に入っているのとかが結構な数置いてあり、経年劣化はしているけれど丁寧に使われているような落ち着いた雰囲気がある部屋だ。おっ、マージャンもある。良いねぇ!

 

「へぇ、良いとこだね」

 

「そうですね。……浅井くん、チェスは出来ますか?」

 

「めっちゃチェス推すやん。好きなの?」

 

「……はい。かなり得意としています」

 

「ふーん、チェスは……なんかコマが変身するやつがあるとは知ってるけど、条件覚えてないや」

 

「プロモーションですね。ポーンは敵陣最奥まで行くことで、好きな駒になることが出来ます」

 

「あ、そういえばそうだっけ。了解、んじゃやろうか」

 

「ええ。よろしくお願いします」

 

 

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2時間ほど経った。

 

チェスは普通にボロ負け、制限時間無しでじっくり考えながら、コマの動きを確認しながらやってたはずだけど……なんか知らんうちに完敗してた。こんなに差が出るものなのか……。坂柳はまともに持ち時間を使ってなかったけど、あれは俺が考えてる時間でもう手順を考え終わってたっぽいな。

 

あまりにボロ負けすぎたので、シンプルでルールをちゃんと分かっているオセロ(リバーシ)でも勝負してもらった。けどなぜか普通にめっちゃ負けた。カド取ろうと思ってたんだけど、なぜか置く場所が無くなっていくんだよなぁ……。魔法か?あっさりオセロだけで3連敗した。

 

俺としては限界の見えないような頭脳と戦ってみて面白かったのだが、相手側は……ちょっと悲しそうかもしれない。坂柳は真剣にやってくれているのは分かるが、なんとなくガッカリしているように見える、良い勝負にならなくてごめんね……。「人生ゲームやろうぜ!」とか言い出せる雰囲気じゃないや。

 

「あー坂柳、勝負にならなくてごめんね」

 

「……いえ。楽しかったですよ」

 

うん、これは嘘だな!

 

「将棋も囲碁も一応出来るけど……俺じゃ多分相手にならないね」

 

「……。」

 

肯定も否定もしないでくれてるけど、まぁそうだろうな。

 

「それにしても、坂柳はプロとか目指したらどう?将棋のプロ棋士とか。男相手でもトップ目指せるんじゃない?」

 

「……そういう道も面白いかもしれませんね」

 

あれ?そんなに反応良くない。せっかくだし色々聞いてみるか。

 

「坂柳はこういう頭脳バトル好きでしょ?」

 

「えぇ。好きですよ」

 

「それで……相手になる人が居なくて寂しいでしょ」

 

「…………そうかもしれませんね」

 

「それなのに競技プロとかはそんなに興味無い……?」

 

「いえ、興味深いですよ」

 

「んん~?」

 

反応がそれほど良くない気がする、嘘ついてそう。プロ棋士とかにそこまで興味無さそうってのは謎だな。うーん……?なんでだろう?

 

「……今日はここまでにしましょうか。楽しかったですよ、浅井くん」

 

うわ、なんか今生の別れみたいな雰囲気あるやん。見限られた?ヤダヤダ~!

 

 

---------------------------------------

 

 

「えっと、来週!また来週、今度は……ポーカーでもやろうよ!あれだったらゲームにどれだけ成熟してるかあんまり関係なく、どういう思考するタイプかって分かるじゃん!」

 

「……そう、ですね。分かりました、また来週遊びましょうか」

 

慌てて次回の約束をしたが、良かった受け入れてもらえた。流石に今日はガッカリさせ過ぎた感じがあったから次なんとかリカバリーしたいかな。

 

「よっしゃ。2人じゃ寂しいから今度は鬼頭も一緒にやろう。……他に誰か呼ばない?誰か一緒にやってみたい相手居る?」

 

流石に俺、坂柳、鬼頭の3人でポーカーじゃなぁ……。普通のポーカーでも5人くらいは居た方がチップの動きが多くて楽しいと思う。あとカード配るディーラーも居ないとダメだから最低6人くらい欲しいね。ディーラー交代するにしても。

 

「そうですね……。龍園くんなんてどうでしょう?」

 

「は!?龍園!?……マジで?」

 

そりゃ確かにポーカーくっそ強そうだけど、マジで?アイツ呼ぶの?『あまり一緒に遊びたくないランキング』があったら上位待ったなしの男じゃないか。

 

「本気ですよ。他には……Bクラスの一之瀬さん、そしてDクラスの平田くん、櫛田さん、堀北さんにも興味がありますね。Aクラスからは……私だけで良いでしょう。ディーラーが必要なら神室さんにでも頼みましょうか」

 

「えぇ……」

 

欲張りセットかよ。でもまぁ、めっちゃ楽しそうだな。誰が一番勝つかな?

 

「連れてくるのは難しいですか?」

 

なぜか挑発するような目で見てくる坂柳。俺を何だと思ってるんだか……、別に人材派遣会社でもないし、交友関係めっちゃ広いバケモノ櫛田でもないぞ……。

 

「んはは、そりゃ普通に難しいでしょ。でも謎に包まれてるAクラスの坂柳と知り合う機会で、リスクが無いなら来てくれるんじゃない?……参加費無しでしょ?賭けはアリにする?」

 

「いえ、賭け事は禁止されていますから無しです。参加費もいりません。……そんなもの無くても、きっと楽しいものになりますよ」

 

賭け無しは悲しいけど、まぁ監視カメラだらけの学校の中でやるのは流石にね……。楽しくなりそうなのは同意だけど、もうメンバー集まる前提かよ。

 

「メンバー誘ってみるけど、これだけ大人数だと……来週じゃなくて2週間後にしようか。あっちにも予定あるだろうし。流石に2週間後なら大丈夫だと思うし」

 

「ええ、構いません」

 

「んでもって、坂柳は確実に来てくれるよね?」

 

「当然です」

 

「あとは……『坂柳が呼び寄せた』っていうのも言っていいよね?」

 

「もちろん構いません」

 

「オッケー。……全員集まらなくても許してよ?」

 

「えぇ、もちろんです」

 

なら誘ってみるかね。いやー面白くなりそうだ。

 

……それにしても、鬼頭はどうすんだ?今日も次回もまったく参加しないことになりそうだけど。

 

「鬼頭は参加すんの?」

 

ずっと黙って控えてた鬼頭に声をかけてみると、

 

「俺はいい」

 

「うぉっ!しゃべった!」

 

「……。」

 

思わず超ビビってしまった。驚いた。ちょっと申し訳ない反応してもうたな。

 

「ごめん。えーっとじゃあ、当日もしかしたらディーラーやってもらってもいい?神室が来れるか分からんし」

 

「……。」

 

無言で坂柳に目を向け意見を求める鬼頭、うーんこの配下ムーブ。まだ入学して2ヶ月ちょいなのに、坂柳は何をしてこういう関係作ったんだか……。不思議だ。聞くのは怖いから聞かんとこ。

 

「えぇ、場合によっては鬼頭くんにお願いしましょう」

 

「……了解した」

 

「オッケー」

 

あとは、なんかあったかな……。

 

「そうだ、チップはどうする?ある?」

 

「えぇ。この部屋にありますよ」

 

実際の金じゃなくとも、フォールド、チェック、ベット、レイズがあるポーカーでチップ無しはどうしようもない。チップをどれだけ出すか、どれだけ降りれるかがゲームのキモなのだから。

 

「了解。あとはゲーム数とかルールもしっかり決めておこうか。プロのディーラーが居るわけでもないから簡単なヤツにしよう……、普通のやつよりテキサスポーカーの方が楽しいけど、あれちょっと時間かかりすぎかな」

 

テキサスポーカーとは1人の手札が2枚だけで、場のカードが0枚、3枚、4枚、5枚と増えていく形式だ。なのでカードを配る手間は相当減り、チップの計算とやり取りがめっちゃ増える。10人くらい居ても割と楽しく出来るゲームだ。合計7枚から役を作ることになるから、普通のポーカーで手札5枚から役を作るより色んな役が作りやすかったりする。序盤のブラフでも場が結構動くため、周りとの駆け引きや読みが多くなって楽しかったりもする。

 

……でも、あれは少しだけ慣れた人向けかもだし、レイズしまくればゲーム始まる前から資金差で振り落とせてしまうからみんなで楽しめなさそう。やめておこう。ついでに時間やプレイ数で区切ってリセットするのも難しいし、逆転するのも難しいゲームだし。ポーカー自体に慣れてない人が最初から最後まで下に居るだけ、みたいなことが平気で起きちゃいそうだな。時間もめっちゃかかるし。ダメだな。

 

現実で人とやってたら、癖の把握や表情読んだり、色々考えたりして余裕で6時間とか楽しめてしまう魔のゲームではあるけど、そこまで時間がある訳でもないからね……。

 

「えぇ、5枚ずつ配布する普通のポーカーで構いません。手順も簡単にするため、アンティもレイズ幅も最低額に固定しましょう」

 

アンティは確か参加費だったな。1ラウンドごとに支払うやつ。

 

「了解了解。んで、マイナスになったら脱落にしようか」

 

「そうですね……。ゲーム数はどうしますか?時間の問題もありますし、あらかじめ決めておきましょう」

 

「そういやそうだ。うーん、10ラウンドで1ゲーム、全3ゲームくらいにしようか」

 

「……時間がどれくらいかかるかの予想は難しいですね。場合によっては5ゲームにしましょう」

 

「まぁ確かに、時間が余ったらそうしよう。……17時半までに3ゲーム終わったら、もう2ゲーム、みたいな」

 

途中でどれだけ会話して時間潰れるのかなんて分かりようがないもんな。無言でパッパとやったら下手したら1時間で5ゲームとか出来そうだけど……まぁ無いだろう。ある意味で時間がどれくらいかかるかも楽しみだ。

 

メモメモ……、うん、当日またちゃんとルール確認するとしても、事前にこれくらいしっかり公開しておいた方が良さそうだな。

 

「おっけ。メンバー確認すると、Aは坂柳、Bは一之瀬、Cは龍園と俺、Dは平田櫛田に堀北だっけ?」

 

「そうですね、ディーラー役を交代するなら、それぞれクラスから1人呼んでもらっても構いません。私も神室さんを呼びましょう」

 

ちゃんとそれも端末でメモを取る。一之瀬が一番捕まえるの難しそうかな。龍園はどうせ暇だろ。それにしてもDだけ3人か……。

 

「Dだけ3人だね」

 

「……平田くんは確かサッカー部でしたね。そちらを優先してもらいましょう、なので呼ばないで頂いて結構です」

 

「分かった」

 

他クラスの他人の部活とかよう知ってんね。まぁ代表者同士ってことで把握しあってんのかな。

 

「Bクラスも一之瀬さんの他に参加者を誰か1人なら良いと伝えて下さい」

 

「了解」

 

妥当な人数って感じかな。これで1,2,2,2人

 

「それだったら、せっかくならもう1人Aクラスから呼べば?」

 

「……いえ、結構です」

 

ちょっと考えたな。葛城とかいうやつのことかな?まだ一緒に遊ぶ関係ではないってことかね。ま、ええでしょ。大差無いし、何か賭けてる訳でもないし。

 

「了解了解。じゃあ呼んでみるよ」

 

「お願いします」

 

そう言って素直に笑顔を見せてくれる坂柳。うーんやっぱ可愛い。

 

「これ全員集められたらご褒美とかある?」

 

「……何かをお望みですか?」

 

「浅井くんじゃなくて『虎徹くん』呼びして欲しいんだよね」

 

「なぜ?」

 

「仲良し感が出るからね!」

 

「……では、ポーカーでCクラスの誰かが優勝したら望みを叶えましょう」

 

「おぉ!?よっしゃ楽しみになったぜ!」

 

「そうですか……」

 

微妙に冷たい目を向けてくる坂柳。そりゃ喜ぶでしょうが!

 

「Aクラス、てか坂柳が優勝したらなんかして欲しい事とかあんの?」

 

後から何か要求されたら怖いと思ってつい聞いてしまったが……、メンバー集めだけでチャラって言えるだろこれ。聞いた俺、バカか?

 

「考えておきましょう」

 

「えぇ……」

 

怖いよ~……。流石に条件明かされず何か代償あったとかだと呼んだ俺の責任になりかねないし。やべぇよやべぇよ、集まらなかったって嘘ついちゃおうかな……。

 

「冗談ですよ。私が勝っても何も無しで構いません」

 

「ほっ……。良かった、了解」

 

こうして、クラスリーダー対抗のポーカーゲームが行われる事になった。

 

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