ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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光と闇のイケメン

ほぼ坂柳有栖の奴隷こと浅井虎徹だ。俺は彼女のために働き、彼女のために生きる……。嘘だ。坂柳のことは好きだが、ちょっと得体のしれない怖さがあるので少し怖い。でもまぁどうしても興味持っちゃうし、仲良くしたいから色々動いちゃうね。まぁ仕方ないね。

 

さーて、メンバー集め誰から声をかけるか……。やっぱ一応ウチのリーダーでもある龍園かな。

 

 

[浅井虎徹>>><<<龍園 翔]

 

【浅井虎徹】:時間空いたら電話して

 

 

さて、悪巧み部の部長様はどういう反応をするか。

 

 

---------------------------------------

 

 

数分して電話かかってきた。

 

「はいもしもーし」

 

「浅井、何の用だ」

 

「2週間後の金曜日だけどさ、みんなでポーカーやるから来てくんない?」

 

「……は?」

 

「今日放課後に坂柳とオセロとかやってたんだけどさ、普通の頭脳バトルじゃ相手になんなかったんだよね。んでトランプとかなら楽しくやれそうだし、それぞれの性格も分かって面白そうだよね~みたいな話になって、ポーカーやるなら龍園にも来て欲しいってさ」

 

まぁ確かに性格掴む良いチャンスではあるだろうけど、それ以上にコイツを遊びたいと思うの勇気あるよな……。坂柳はちょっと頭おかしいとも言える。

 

「てめぇ何やってんだ……?」

 

呆れた声を出されてしまう。お前の方が何やってんのか意味不明じゃボケ。

 

「謎の嫌がらせをシコシコやってる人間に言われたか無いわ」

 

「……、他は誰だ」

 

「えーっと、Aは坂柳、Bは一之瀬とあと1人かな。Cは俺とお前、Dは櫛田と堀北の予定だよ。ほぼリーダー対決よね」

 

まだ坂柳以外の誰も参加決定してないけど。

 

「……クク、おもしれぇ」

 

お、興味が勝ったか。そりゃまぁ面白そうだもんね。「面倒だ」とか言うたら「弱虫だ~、逃げた~」とか煽りまくるつもりだったけど、流石に来るか。

 

「じゃあ2週間後の金曜、空けといてね」

 

「あぁ」

 

「ルールとかは後で多分グループチャット作って送ると思う。まだ他の人間に声かけてないけど」

 

「分かった。……Cからは2人だけか?」

 

「ん?あー、ディーラー役を交代するならもう1人良いって感じだったし、参加するのも別に2人までって厳しく制限してる訳じゃないけど……でもせめて3人だろうな。あんまり人が多くなってもゲームやりにくいじゃん」

 

Cクラスからもう1人くらいなら良いだろうけど。Cクラスの誰かが優勝するためにも良いかもね。

 

「……伊吹も呼ぶか」

 

「伊吹好っきやな~!」

 

俺も好きだけど。

 

「黙れ。アイツは割と良いコマだし、俺との敵対関係を見せておくのも良いだろ。器用な部分もあるからな」

 

器用……?

 

「あー、インチキとかはやめとこうよ。普通にやろうぜ。別に何か賭ける訳でもないんだし、警戒されてどうすんねん」

 

「……場合によってはな」

 

「ただでさえ信用されない存在なんだから大人しくしとけよ」

 

「うるせぇ」

 

「言い忘れてたけど、Cクラスの誰かが優勝したら俺が嬉しいから頑張ってね」

 

「……なぜだ」

 

「え~、聞いちゃう?恥ずかしいな~」

 

「言わねぇと出ねぇぞ」

 

「は?出る言うたやんけアホ」

 

「言え」

 

「こ、この野郎……。あれだよ、Cクラスの誰かが優勝したら坂柳に『虎徹くん』呼びしてもらえるんだよね。だから優勝したら5000ppくらいあげてもいいよ」

 

「……バカか?」

 

「は?大マジだよ。伊吹も参加させるなら言っといて」

 

「つーか、お前は俺に上納金払ってねぇだろうがよ」

 

あの収入から20%徴収の話か。今月、6月1日の収入からが対象よね。……俺以外に払ってないやつ居んのかな?

 

「別に払ってもいいけど、4月の規律違反でCPを510も減らされた責任をお前はリーダーとして払ってないだろうが。せめて俺に5月と6月分それぞれ51000pp、合わせて10万と2千ppを俺に出してからだよ話は。おかしいだろアホ、お前のせいで収入減ってんのに、なんでもっとお前に払わなアカンねん。バカか?」

 

「……。」

 

「別に他のヤツにこの意見を言うつもりも、共有するつもりも無いよ。下剋上を起こそうって気も無い。リーダーであるお前を邪魔する気も全然無い。……でも、俺はCP1000に1回でも戻すまではお前を認めねぇからな。それでやっとスタート地点だろが、もらえるはずだったppがもらえなかったという、実質借金まみれのスタートだけどなぁ!」

 

実際にはキツいかもだけどね。学校側からしたら全クラスの合計CPを減らせば減らすほど疑似資金を与えずに済むんだし、コストカットとしてクラス対抗でプラスのない戦い、マイナスの押し付け合いになる戦いをさせたりするとも思う。もしそうなったらCP1000以上にするのは相当に難しいことになるな。けどそれは俺の知ったことではない。

 

「チッ……。とりあえずポーカーは参加してやる。伊吹も連れて行く」

 

「ん……オッケー」

 

まぁとりあえず参加してもらえるから良いか。

 

一応こっちからも伊吹にチャット送っとこう。「龍園から話があると思うけど、2週間後の金曜日にポーカー大会やるで~。伊吹が総合優勝したら5000ppあげる」っと……。

 

うーん、でも正直あのメンバーで伊吹が居ても勝てそうにねぇな……。めちゃくちゃ運が良かったらいけるだろうけど、ぶっちゃけ期待できない。そういう意味では5000pp言わなくて良かったかもしれんね、優勝したら後からプレゼントみたいな方が良かったか。あー、失敗したかな。てか考えてみたらディーラー任せられなくしちゃったか?あれ?俺がやるしかないか?

 

考えてみると、仲間が良い手札だったらあえてレイズに乗りまくってチップを貢ぐことも可能ではあるね。それはまぁ、インチキではない協力プレイだな。多分。きっとセーフ。

 

ただ仲間同士で助け合うのやりすぎたら、龍園と仲良しだと思われちゃうな……。それは嫌だな。うーん悩ましい。

 

 

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さて次に連絡するのは……一之瀬にしよう。いやでも直接話したの4月が最後か?もう2ヶ月くらい関わり無いな。やばい、忘れられてたら悲しすぎるし、側近の神崎に話してみるか……。チキンじゃない、リスクマネジメントってやつだ。いやチキンだ。

 

 

[浅井虎徹>>><<<神崎隆二]

 

【浅井虎徹】:久しぶり神崎。Cの浅井です

【浅井虎徹】:Aクラスの坂柳がポーカーをいっしょにやるのに一之瀬を呼んで欲しいって言ってたから誘いたいんだけど、来てくれると思う?

【浅井虎徹】:2週間後の金曜日ね

 

【神崎隆二】:久しぶりだな

【神崎隆二】:良く分からない。詳しく説明してくれ

 

【浅井虎徹】:電話でもいい?

 

【神崎隆二】:あぁ

 

「もしもーし」

 

「浅井か?」

 

「うん、久しぶり神崎。ちょっと長くなるかもだけど大丈夫?」

 

「平気だ。それで……そもそも、お前Aクラスと仲良かったのか?」

 

「うん?Aクラスと仲良いっていうか、Aに2人くらい知り合いが居るだけって感じ。たまたまだよ。……絶対に一之瀬の方がAにも知り合い多いでしょ」

 

「まぁ、そうだろうが……」

 

「坂柳って知ってる?」

 

「……あまり詳しくはないが、Aクラスでかなり成績が良い人物ということは知っている」

 

「歩行杖を使ってる女の子で、めちゃくちゃ頭良いんだよね。まだあんまり表に出てきてないけど、Aクラス内での権力闘争に関わってる子」

 

「確か、葛城と敵対してる女子生徒が居るとは聞いてたが、そうか坂柳か」

 

「そうそう。んでちょっと仲良かったんだけど、今度ポーカーやろうよっていう話になってね。なんとなく『もうちょっと人数欲しいけど、誰か呼んで欲しい?』って聞いたら、一之瀬とか龍園とか櫛田、堀北とかの名前が出てきたって感じ」

 

「……リーダーばかりだな。Dの平田は?」

 

「Dだけ3人になっちゃうし、サッカー部の邪魔しちゃ悪いってので呼ばないことにしたんだ」

 

「なるほどな。堀北という生徒は詳しく知らないが……」

 

「坂柳が名指しするんだから優秀なんじゃない?」

 

「そうか」

 

今思ったけど堀北に俺かなり嫌われてるよな多分。うーんめんどくさ。櫛田経由でお願いするか。……それでもダメだったらどうしようかな、諦めちゃおっかな。

 

「えっと……競い合うクラスの代表同士、顔合わせの良い機会だと思うんだよね。参加費も無いし」

 

参加費を1000ppずつくらい徴収して優勝者が全取りってのも考えたけど、それくらいなら『賭け』にならないただの『トランプ大会』で済むとは思ったけれど、DクラスのCPが0だからなぁ……。そんな貧民から徴収するのは流石に申し訳なく思うし、今回は無しだね。

 

「そうだな……。一之瀬も良い機会だと思うかもしれない。伝えておく」

 

「よっしゃ、ありがと」

 

「Bクラスから参加できるのは一之瀬だけか?」

 

「いや、もう1人くらい良いはず。神崎が来れば?」

 

「……そうなる、と思う。俺も同行したいからな」

 

なんだろう、この『惚れた女を守るイケメン』みたいな感じ……。ふと思ったけど龍園の対極に居る人間っぽいかも?誰かのために動く光のイケメンと、自分のために他人を動かしまくる闇のイケメン。守るためと攻めるため、みたいな。

 

「うん、楽しみ楽しみ。部活やってなかったらクラス超えて知り合う機会もあんまり無いもんね」

 

「それも、リーダークラスだとなおさら難しいだろうからな。もし今回の件が実現したら感謝させてくれ」

 

「いいよ別に。まだ全員が集まるかも分からんからね」

 

「ただ……、浅井、お前はCクラスが最近何をやってるか知っているのか……?」

 

なんか張り詰めた声だ、伊吹が言ってた龍園からの嫌がらせのことだろうな。

 

「そんなに詳しく知らないけど、なんかBクラスに嫌がらせしてるってやつ?ウチの不良っぽいやつらが毎日のように何かしてるってのは知ってるけど」

 

「……あぁ」

 

「何されてんの?詳しくは知らないんだけど」

 

「道を塞いで邪魔してきたり、事故を装って体をぶつけてきたり、喫茶店の近くでいきなり大声で騒ぎ出したり、Cクラス同士で喧嘩し始めて暴力的な面を見せつけてきたり……、決まってこちらの事は『気付かなかった』なんて言うが、絶対に嘘だ。絶対に。事故に見せかけてどれだけの嫌がらせが出来るか、どれだけ邪魔したり脅せるかなどを試してるように思える」

 

うへぇ……。CP減点されないライン探しってそういうことしてんのか。静かにブチ切れるイケメンの声とか普通に困る。

 

「それは、その、なんかごめんね……」

 

「お陰でウチのクラスの女子には1人行動しないように言ってある。絶対に男子を含めた集団行動をするように、と……。大迷惑だ。男子もなるべく公共施設に行かないようにクラス全体で警戒していたり……。非常に腹立たしい状況だ」

 

「ウチの頭おかしいロン毛がホントすんません……」

 

「浅井、お前は……龍園に従ってる訳じゃないのか?」

 

真面目な声だ、そりゃめっちゃ嫌いなCクラスの人間だったら不信感もあるか。真面目に答えよう。

 

「俺は全然従ってないんだけど……かといって龍園に何か言われた時、逆らったり反抗することは出来なさそう。そういう意味ではBクラスへの妨害を止めたりっていうのに俺は役に立てないと思う。ごめん」

 

実際に龍園に何か言われても、俺個人として無視するくらいが関の山だろう。龍園に反対して、クラスとしての行動を辞めさせるのはまぁ無理だ。アイツのリーダーシップはもうクラスを完璧な組織にしつつある。俺1人がギャーギャー言った所で止まることは無いだろう。

 

「そうか……」

 

期待はしてなかったんだろうけど、それでも残念そうな神崎の声。なんとなく、少しだけ弁明しておこう。流石に全員が龍園みたいで、他人への嫌がらせが生き甲斐みたいに思われたら……困る。想像してしまったが、もしクラス40人全員が龍園だったらこの世の終わりだ。

 

「あー、その……不良共っていうか、武闘派的なやつらの一部はイジメっぽいことして調子乗って楽しんでるかもしれない。けど、全員が全員、龍園に言われた事を楽しんでやってる訳じゃない……はず。そこは分かってもらえたら嬉しいかな……」

 

「……。」

 

「みんなはどうしてもAクラス上がりたいし、そう考えるとやっぱウチのクラスだと悪逆非道な龍園に従って色々やった方が早そうで、何より現実味がありそうってのはやっぱ思っちゃうだろうから。大半の生徒は龍園が好きだから従ってるんじゃなくて、他に選択肢が無いから従ってるってのはあると思う。……それに加えて、逆らったら何されるか分からない。逆らって殴られたくないっていうのもあるだろうし」

 

「……だからと言って、ウチのクラスへの妨害行為は許せない問題だ」

 

「いやまぁ、そりゃそうだ。うん。ごめんね」

 

「Aクラスに上がりたいのは分かるが、だからといって試験でもない日常的に嫌がらせをしてくるのは違うだろう」

 

「うん、まぁ、その通り。完璧にその通りだ」

 

100%正しい。あのロン毛チンピラが100%悪い。

 

「……浅井、同じクラスから見て龍園ってのはどういう男なんだ?何をしたらBクラスへの妨害行為を辞めると思う?」

 

「うーん……とりあえず、アイツは頭ちょっとおかしいと思う。人殴ったり、人の上に立つこと自体が好きなタイプだと思うよ」

 

「暴力的なリーダータイプってことか?」

 

「まぁ、そうだね。良くも悪くも、クラスを暴力でまとめ上げる能力はとんでもないと思う」

 

「……。」

 

「それで、嫌がらせとか妨害行為を辞めさせるには……。そもそも、神崎はなんで龍園がそんな事してるんだと思う?」

 

龍園の意図には気付いてるだろか、CP減点の条件を見たいという。……いや、ただ嫌がらせをしたくてしてる可能性もあるけども……。3割くらいありそう。

 

「それは、……学校側がどれくらい干渉してくるかを見極めるためだろう?」

 

「うん、多分そんな感じ。CP減らされるにしろ、『何をしたら減らされるのか』『どれくらい減らされるのか』を見てるんじゃないかな」

 

「……何のためだ?」

 

「うーん、暗躍のため……?なんか悪巧み大好きマンっぽさあるから、そういう生物なんじゃない?すげー迷惑な人種」

 

「はぁ……。勘弁して欲しいものだな」

 

そりゃそう思うだろね……。終わりがあるのかも分からない嫌がらせを延々受けるのは気分最悪に違いない。

 

「えーっと、辞めさせるには……データ集めさせちゃえば良いと思うな。なんか嫌がらせされて、すぐその場で先生に電話してみるとか、教師の前ではどうなるかとか。少しでもCP減点されるように証拠を残すとか?」

 

他には……『わざと大げさに転んで怪我した演技をしてみる』とか『あえてその場では教師に言わないで、後から誇張して伝えてみる』とか『監視カメラには映らなかった部分を後で自傷で怪我して教師にチクる』とかかな。でもあんまり言ったら引かれそうだし、龍園の仲間だと思われたら嫌だから言わんとこ。

 

「そうだな。……あぁ、参考になった。ありがとう」

 

「いえいえ」

 

まぁ100%ウチのクラスが悪いんだろうし……。それでも感謝してくれるの、ホントまじで良いやつだな。

 

「じゃあポーカーの件は一之瀬に伝えておく。後日連絡する」

 

「了解。よろしくね」

 

こうして、とりあえず一之瀬も誘えた……かな?神崎ともちょっと仲良くなれたのは良かったな。

 

一之瀬が断ってくる姿はあまり想像できないけれど、うーん……断るとしたらどういう理由がありえるかな。予定があるから?リーダー対決戦より優先する予定は考えにくいけど、先に他の生徒と約束してたから……とかはありそうかも。後は……普通に「龍園嫌い!」で断られる可能性だな。その時はもう仕方ない、龍園を追い出すしかないね。

 

Dクラス、というか櫛田への連絡はまた明日にしよう。もう結構遅い時間だし。

 

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