ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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長くなったので2分割しました。


Poker Game!(1/2)

さーて始まりました!疑似クラス対抗戦、ポーカーバトル!勝っても負けても、何の意味もない!じゃあなぜやるんだ!?それはプライドを賭けた勝負だからだ!ここ高度育成高等学校に集められた才能達、その中でも格別の精鋭が揃った、世紀の一戦!世紀の勝負!世紀のポーカー対決です!実況は浅井虎徹、解説も浅井虎徹、アナウンサー浅井虎徹でお送り致します!

 

嘘です。俺もプレイヤーだよ。

 

とりあえずルールを確認しておこう。普通の5枚ポーカーに、Joker2枚入れた形式だ。ジョーカー2枚の理由は、ただ単純に「派手になって良さそう」という理由からだ。

 

 

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【ルール】

Aが一番強くて一番弱い、繋がってワープしてる訳じゃない。

『A,2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K,A』

10,J,Q,K,Aならアリ。最強のストレート

J,Q,K,A,2とかK,A,2,3,4とかはダメ。ループして繋がる訳ではない

Jokerは好きなカードになるワイルドカード

 

 

【役】

役が弱い順に以下の通り。同じ役同士では構成するカードが強い方の勝ち。

 

・ハイカード(役無し)

・1ペア(同じ数字2枚が1セット)

・2ペア(同じ数字2枚が2セット)

・3カード(3枚同じ数字)

・ストレート(5枚の数字が連続)

・フラッシュ(5枚全てのマークが同じ)

・フルハウス(3カード&1ペア)

・4カード(4枚同じ数字)

・ストレートフラッシュ(5枚全て同マーク&数字が連続)

・ロイヤルストレートフラッシュ(10,J,Q,K,Aのストレートフラッシュ)

・ファイブカード(5枚同じ数字、当然ジョーカー必須)

 

 

【プレイ手順】

1. 全員に5枚配る

2. ベッティング

3. 手札から交換したいものを選んで交換

4. ベッティング

5. 手札オープン、勝者1人が全取り

 

 

【持ち点】

・1人5000点から

・0点になったらそのゲーム脱落

 

 

【ベッティングについて】

チェック :チップ出さず次に順番を渡す

コール  :現在のベット額に合わせてベットする

レイズ  :ベット額を上げる

フォールド:その時点で場から降りる

 

 

【ベット額】

・1人Max1000まで

・持ち点が0になってたらその人はそこまでしか賭けられない

 

 

【優勝条件】

1番1位が多かった人。

1位回数が等しかったら、1位の時の最高スコアが高い方の勝ち。

 

 

【メンバー】

A:坂柳

B:一之瀬、神崎

C:龍園、浅井、伊吹

D:櫛田、堀北

 

席順もこの通り。

 

 

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優勝条件だけは今回オリジナルかな。時間があり余ってたら『1位を2回取る人が出るまでやり続ける』なんていうルールにしても良かったけどね。でもそれだと下手したら全員1回ずつ優勝して8ゲームやっても決まらない可能性あるな。徹夜ポーカーなっちゃう。

 

役では『ストレートよりフラッシュが強い』というのは何度確認しても忘れる、分からなくなる。覚え直してもそのうち「どうせ出ねぇだろ」みたいな感じで忘れる。んでまた確認する。人間はこれを忘れてしまうように出来てる。フラッシュ!……アア~!(曲)

 

ちなみにチップの表記は100$と500$と1000$で、キラキラしてて高級感があり、重量感もあるやつだ。……俺が調子に乗って20枚入り500ppのやつを色々10セット買ってきてしまった。だってカッコ良かったから……。当然だが、別に換金出来る訳じゃない。

 

そしてトランプも新品をみんなの目の前で開けたものを使う。……これまたちょっとこだわりのある500ppで買った紙トランプだ。100均にあったオモチャのトランプはプラスチック製で、異常に扱いにくかった。曲げて持ち上げることが出来ない硬さというかなんというか……。緑のカジノマットを使ってるからその上では大丈夫かもしれないけど、やっぱ気に食わなかったので他のものにした。そういう訳で、俺の部屋には試しに買って1回も使われてない開封済みトランプがいくつかある。

 

前置きが長くなっちゃったけど、そろそろ始めよう。

 

 

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Game 1 Round 1

 

「ルール再確認だけど、ラウンドごとの参加費は100ドル、レイズ幅も100ずつね。レイズ上限は1人あたり1000ドルまで」

 

1人1000ドルまでって言っても、1ラウンドで2回のベッティングでそれぞれ1000ドルずつ出すなんていうアホみたいなことが起きたらそれだけで2000ドルだけどね……。上限としては丁度いいと思う。

 

それぞれには初期点数として5000ドル分ずつのチップが配られている。本当だったらとんでもなくリッチな高校生達だな。

 

「浅井くん、マイナスにはなりますか?」

 

「えっと、その人は持ち金すべてベットした後はもう眺めるだけって感じだね。他の人は引き続きレイズしてもいいけど……まぁもったいないよね、自分がベットする額が増えるばっかりだろうし」

 

坂柳が全員把握できるように質問してくれたので答える。……会話してるうちに神室が全員にトランプを配り終えてくれた。さてさて、俺の手札は『542JQ』だ、はいカス。

 

「では始めましょうか。ベットです」

 

坂柳から始まり、場のベット額が100になった。

 

「……コールで!」

 

「俺は降りよう」

 

一之瀬、神崎と続く。

 

「レイズだ」

 

あっさり宣言するアホ龍園、はえーよ!ちゃんと考えてんのかコイツ……?

 

席順はA,B,C,Dの順で並べてあるので龍園の次は俺だ。

 

「じゃあコール」

 

「……私は降りる。フォールド?だよね」

 

伊吹はあっさり降りた。まぁ初回からアホに付き合う必要は無いよね、アホ慣れしてる感がある。続いてDクラスの櫛田、堀北だが……なんだか対象的な2人だ。櫛田はずっと笑顔で他のメンバーの顔色を見ているし、堀北は手札をしっかり隠しながら見てずっと何かを考えてる。

 

「私は……フォールドにしようかな」

 

「……レイズ」

 

うっわ堀北も上げてきた。

 

「ふふ、龍園くんは本当に良い手なのでしょうか?……レイズ」

 

「私は……コール」

 

ちょっと困惑してる一之瀬、それでもまだ降りないのか。最初っから付き合う必要ないと思うけどね……。まだちょっと流れを把握してないのに飲まれちゃってる感じがある。

 

「レイズ」

 

龍園のレイズで、あっという間に場のベット額は500だ。うーん……、考えてみたらカス手札で付き合うものでもないな。龍園のアホは無駄にレイズしまくってるだろこいつ。

 

「まだ手札交換してないじゃんかよ……展開が早すぎる。フォールド!てか一之瀬もあんまり慌てないでフォールドして流れ見た方が良いと思うよ、マジで。初回から頭おかしい人に付き合って10ラウンド前に息切れする方がつまらないって」

 

「余計なこと言うなカス」

 

「……。」

 

うるせぇやい。敵対関係をアピールするって理由が無かったら言い返してるのに……。あれ?アピールのために言ったよねお前?まさか素の悪口か?は?おい。

 

「……コール」

 

堀北のコール。あ、気付けば残ってるの4人だけ、坂柳、一之瀬、龍園、堀北だ。

 

「レイズです」

 

坂柳も好戦的だな~。

 

「………………コール」

 

絞り出すように声を出した一之瀬。

 

「レイズ」

 

一之瀬に被せ気味に宣言する龍園レイズ。絶対にアホだなコイツ。何度も言うけど、まだ、手札交換してないんだよ?絶対にアホだ。

 

「コールよ」

 

堀北も堂々と言ってるけど、本当に大丈夫なんですかね?

 

「この辺にしておきましょうか。コール」

 

「……コール」

 

これでベット額1人あたり700ずつ。ベッティング1巡目でもう賭け金が……これ結構いってるよな。それぞれのベット額を出してみると、

 

参加費100×8人に加えて、

 

坂柳 :700

一之瀬:700

神崎 :0

龍園 :700

俺  :200

伊吹 :0

櫛田 :0

堀北 :700

 

合計……3900!

 

そして肝心なのが、それぞれ手札を何枚交換するのかだけど……

 

坂柳 :1枚

一之瀬:3枚

龍園 :2枚

堀北 :3枚

 

おっ、坂柳1枚交換ってまさかツーペアもう出来てた?もしくは……ストレート、フラッシュまであと1枚とかかな。俺はそういう時そこまでレイズしないけど、まぁ4分の1で揃う場合からそこまで絶望的ではないけど……。

 

一之瀬、3枚交換の時って大抵1ペアだけで、もう1枚来てスリーカード来てくれ!の時だよね。んでまず来ないやつ。

 

そして龍園の2枚交換、これ謎。あれだけ自信満々だったなら既にスリーカード出来てるとか……?ストレート、フラッシュ狙いもなくもないだろうけど。

 

交換したカードを見ても顔がまったく変わらず微笑んでる坂柳。そして一瞬嫌そうな顔になってしまった一之瀬。そしてずっとニヤニヤ顔だったのをさらにニヤけさせた龍園、ホントかそれ?嘘くさいなぁ。堀北は来てからずっと無表情に近く、手札を見ても表情変わらず。見事なポーカーフェイス。

 

「では、ベットで」

 

「……降ります」

 

一之瀬悲しそう。まぁ手札が悪いならせめて降りといた方がいいね、レイズで脅して降りそうな相手は居ないし。坂柳も龍園も堀北も、全員チキンレース強そうだな……。

 

「レイズ」

 

「…………私も降りるわ」

 

あらら、あっちゅーまに坂柳と龍園だけど……、

 

「ではコールで」

 

もう終わってしまった。場のベット額は200。

 

「それではオープンして下さい」

 

ディーラーに徹してくれている神室からの宣言を受けて全員が手札を見せる。意味ないけど俺もちゃんと見せる。いやそれにしても神室は本気でタキシード着て欲しかったな……。

 

そして見せられた手札は……、

 

坂柳 :AA633

一之瀬:77J25

龍園 :KK5とJoker2枚

堀北 :QQA84

 

「うっわ!ジョーカー2枚!?……ホントかよ?」

 

思わず声が出た。嘘だろコイツ怪しすぎる。他全員も思わず龍園に疑惑の目を向けてしまっているが……、マジでインチキしたんちゃうの?

 

「……強運ですね、龍園くん」

 

「ククク……。てめぇらがザコなんだよ」

 

いやその理屈はおかしい。

 

それにしても、坂柳も初回これ多分交換する前からツーペアだったっぽいかな。かなり良い役だし、交換したら2/12の確率でフルハウスに出来てたから……そりゃレイズするか。

 

一之瀬はまぁ降りそこねたね、龍園への敵対心が悪く働いちゃったかな。……でもまぁ手札交換して3カードとか狙えたなら別に降りるほどじゃないのも確かだ。

 

そう考えると「こいつブラフ、嘘付いてんじゃないの?」って思われてるのを利用して最初から巻き上げた龍園の完全勝利、いきなり4300$をGETしたロン毛の回になった。

 

 

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1ゲーム目はその後も、ちょくちょく無駄にレイズしまくる龍園と、意外にもあっさりフォールドしたりしつつ妙な強運で勝つ坂柳が抜けてる感じがした。

 

一之瀬、神崎、伊吹、櫛田あたりは素直に良い手札だと思ったらコールしてたし、あまり冒険せずにフォールドしてる感じがあった。まぁ最初は慣れた方が良いからね。

 

細かい部分で言うと、『トランプを配られてから自分の手札を並べ替える』という行為自体が『相手に情報を与えてしまう』というのを結構早く全員が把握していたっぽい。5ラウンド目くらいで全員把握してたかな……?坂柳と龍園がカードちらっと見てすぐ伏せるようにしていたのを見て、他の人間も真似してた。

 

ちなみに俺はババ抜きみたいに普通に持ってる。しかも手札の並べ替えもやるよ、だって俺から見て分かりやすいし考えやすいもん。騙したい時にはその動きも騙せばいいだけだし。……そんな器用なこと出来ないけど。

 

横の人がまぁまぁ近いけど、言うほど見えないでしょ……多分。

 

勝負的な部分では、俺としては初手にJokerが1枚来た時に上手く勝てた。良い感じに乗ってもらえてスリーカードで競り勝ち、結構儲かった。けどその時は999で555のスリーカードにギリギリの勝ちだったので冷や汗かいたね……。人数多いと相手が良い役の確率も上がるのかこれ?試行回数自体が増えるようなもんだからやっぱそうなのか?

 

まぁ何にせよJokerが来るか来ないかで全然違うな。1枚でも来たら相手が良い可能性が大きく下がるの分かるし、相手がブラフでレイズしてそうってのもなんとなく分かる。

 

全体的には、1ゲーム目はラウンド1での龍園圧勝が尾を引き、なんとなくみんなフォールドしやすくなってしまったのもあり、最初の差からあまり変わらずそのまま龍園が9000点ほど、持ち点を倍近くにする見事な勝利で1位となった。

 

まぁ……ちょっと嬉しい。坂柳による『虎徹くん』呼びリーチだ。

 


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