なんか他に入れて欲しいものがあったらSPと合わせて感想に書いて下さい。しれっと追加するかもしれません。
こんばんは直前のこんにちは、浅井虎徹です。もう日が少し暗くなってきてる……。ヤバイ。急がないと。無人島に街灯なんかがある訳ないので、完璧に暗くなったらマジで身動きが取れなくなってしまう。
島に居残りメンバーは、いつものメンバーに2人追加した8人にするようだ。いつもの舎弟3兄弟、アルベルト、俺、そして龍園。この6人に加えて、鈴木と山脇が残るらしい。
鈴木は頭良い側の人間でありながら運動もそこそこ出来るし、人当たりの良さも結構ある人間だ。見た目も整ってる。もし龍園が居なかったらCのリーダーやってたかも?……いや、こいつがアルベルトや石崎とかを従えられるとは残念ながら思えないな。考えれば考えるほど、Cクラスは龍園ありきで生徒集めたみたいな気がしてくる。
山脇は頭ちょっと悪い側で、体育の授業でもそんな良くなかった気がするけど、キャンプ経験がちょっとあるらしい。それでクラスの役に立ちたいとかなんとか。
思い返せば山脇は図書館でDクラス須藤に絡まれてた人間だ。今もう懐かしくもあるな。
あの時もし「お前らテスト範囲外やってんじゃねーよ!」って山脇が言わなかったらDクラスはマジで退学者が続出してたのかな……。流石にそうなると担任の責任問題になってるだろうから、騒動が無くてもギリギリでテスト範囲を言ってた気もする。もしギリギリで言うとしたら、理由は『過去問を入手出来るか見てた』とか?坂柳の『Dクラスは叩き育てられる説』が本当だったとしたら、そういうつもりだったのかもしれない。流石にテスト範囲の変更を最後まで伝えず退学者続出って事態は考えにくすぎる。
何にせよ、山脇は例の件で評価を下げてしまって、その挽回をしたいということで残ったのかもしれない。龍園からカス扱いされたままじゃなく、もうちょっと信頼されたいということだろう。いつ捨て駒にされるか分かったもんじゃないだろうし。けど動機がなんであれアウトドア経験があるなら非常に助かる。
もしかしたらだけど、1クラスに1人ずつキャンプ経験ある人間が配置されてるのかもしれない。大抵の学校では1クラスに1人ずつピアノを弾ける人間が居るというが、そういう感じで組分けされてそう。
……って、こんなこと考えてる場合じゃねぇ!
島に残る人間が決まり、次にやらなきゃいけないのはSPの全消費だ。誰かがリタイアする前にポイントを使い切らないといけない。やべぇよ早く決めなきゃ……。
曲がりなりにも『食料破壊で他クラス減点作戦』の言い出しっぺは俺なので、そのために必要な物を俺が選ぶ事になったのだ。
『リーダー情報でポイント詐欺ろう作戦』をやるなら他クラスのSP破壊とかどうでもよくない?と思わなくもないが、まぁ7日間テントでのんびりしてるだけなのも人生の無駄だし、せっかくなら少しは頑張ろう。
そういう訳で今はマニュアルをめちゃくちゃ読みまくり、交換する物資を選んでいるという訳だが……項目が多すぎるし写真がほとんど無いから全然決めらんねぇぞー!!!
リーダーも決めなきゃいけないだろうけど、それはどうせ龍園が決めるから考えなくていいや。
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「男子で船に戻るやつは、学校指定の袋とタオルをすべて残していけ」
龍園がなんか変なこと言ってるけど、あー、なるほど。確かにタオルが多めにあったら助かるかもしれん。けどなんて人権の無いクラスなんだ……。後で弁償すんのかな。
そんなことを考えていると山脇が声をかけてきた。
「浅井、その、何を交換するか選ぶの手伝ってもいいか……?」
「もちろん」
そう言ってきた山脇と2人肩を並べてマニュアルをペラペラめくる。1クラスに1冊だけってクソだよな……。せめて2冊配れ。真嶋のアホめ。
「食料は2食分でいいと思う?」
せっかくなので山脇にも色々聞いておこう。
「えっと……必要なのは8人分だよな?」
「そのはず。1クラス40人分の2食分だから、8人なら10食分だね」
なんとなく単位が分かりにくいなこれ。
「1日2食だったとしても、5日分……。出来たらもう1つ欲しい、かな……」
あれ?40人じゃなくて8人だけなんだなら余裕だろと思ってたけど、食料が手に入る保証も無いからか?最初に使い切らないといけない以上、後からSP交換が一切出来ないから多めにしておく位の方が良いかも知れない。
「確かに余裕あった方がいいね」
「俺はそう思う。現地調達って言ったって、山とかに慣れてない人間だと腹を壊すかもしれない。果物とかあるみたいだけど、出来ることなら配布食料だけでも最後まで生活出来た方が良い。火を通してから食うとかもいいけど8人だけならポイント交換の食料だけっていうのも全然アリだと思う」
軽々しく須藤に喧嘩売ってたアホだと思ってたのに、サバイバルに関してはめちゃくちゃシビアだな……。
「驚いた。かなり厳しく考えるね」
「いや、その、ポイントをなるべく多く残すっていう話なら現地調達でしっかりやっていかないといけないだろうけど、8人だけで、ポイント全部使っていいんだろ?だったら食料はしっかり多めに交換してもいいと思う。1日2食じゃなく3食で計算しても良いくらいだし。水は川から汲んできたら良いとは思うけど」
食料争奪戦だと考えてたけど、俺達めっちゃ少人数だからその手もありだなぁ……。ただ、SPの使い道はちょっと説明しておこう。
「今回さ、他クラスのリーダーを見抜くための行動が大事になってくるから、そういうのにもSP使うんだよね」
っていうか使った後ではあるけど、なんか他にも使いそう。
「あ、そうだったのか」
「加えて、他クラスがもっとSP使わないといけないように、島にある食料を先に回収したり処分しようと思ってんだよね。だからリュックとかあったら良いかなーって」
「なるほど……けど、うーん……」
「どしたの」
何が気になってんだ?
「やっぱり少人数でそういうことするのは、ちょっと難しいかも……って。採集とかするの、どうしても人数が多いほど多く集められるだろうし、他クラスと奪い合うってなると、リュックとかがあっても……キツそう」
なるほどね。単純に人数差による労働力の差ってことか。他クラス合わせたら敵が120人居るんだもんな。
「それはまぁそうなんだけど、俺達は食料をわざわざベースキャンプにまで持ってこなくていいからね。採集して、その場ですぐ焼き払っちゃえばいいでしょ。環境破壊でSP減点されても痛くないんだし」
これはマニュアル読んで気付けた。『環境汚染でマイナスSP20』って俺らには痛くもなんともないから、やりたい放題だ。
「え、えぇ……。だったらまぁ、大丈夫かな……」
なんで引いてんだよ。もったいないからか?
「そのために調理油とかいうのも交換しようかと思うんだけど、どう思う?」
調理油としか書いてないけど、サラダ油とかだろう。
「油を使ったキャンプファイヤーなんかしたことはないけど……植物はそれだけでも割とすぐ燃えると思うぞ。枯れ木とか集めれば火もつくだろうし。いや油があってもいいとは思うけど……油よりは、マッチを多めに用意した方が良いと思う」
「なるほど」
そもそもの火種が多めにあった方が良いってことか、そりゃそうだ。無かったら木の摩擦で火をおこすやつをやらなくちゃいけなくなるな……。絶対に無理だ。
こうやって相談しながらヨレヨレになるほど見まくってるカタログ、もといマニュアルに掲載されている代表的なものは以下の通りだ。
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1,2ページは『サバイバルでの重要アイテム』のようだ。『1食分』というのは『1クラス40人の1食分』という意味だ。
SP01:マニュアル再発行
SP02:寝袋
SP04:4人テント
SP06:水(1食分)
SP06:食料(1食分)
SP10:水&食料(1食分)
SP02:簡易トイレ
SP20:仮設トイレ
SP05:ウォーターシャワー
SP20:シャワー室
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3,4ページ目は『あったら良いアイテム』『調理関係』という感じだ。
SP01:ビニールシート
SP02:フロアマット
SP02:マクラ(4個セット)
SP02:小型扇風機
SP01:釣り竿
SP02:釣り竿(ルアー付き)
SP03:魚捕り網
SP01:ウロコ取り
SP01:マッチ1箱
SP02:懐中電灯
SP01:まな板
SP03:果物ナイフ
SP04:サバイバルナイフ
SP01:小鍋
SP02:大鍋
SP03:ガスコンロ
SP01:カセットガス(交換用1本)
SP03:カセットガス(交換用4本)
SP01:各種調味料(1つ、自由選択)
SP02:調理油(1000g)
SP03:調味料セット(5種セット)
SP04:スナック菓子セット(1箱)
SP04:ジュースセット(1箱)
SP01:氷1kg
SP05:クーラーボックス
SP10:バーベキュー食材(1食分)
SP10:バーベキューコンロ
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5,6ページ目は『無くても困らないもの』かな。重要度はかなり下がってくるだろうけど、暗躍前提の俺達Cクラスにとっては魅力的なものが豊富だ。悪用前提なんじゃないの?
SP01:メモ帳
SP01:ボールペン(2本)
SP05:双眼鏡
SP05:ボイスレコーダー
SP05:デジタルカメラ
SP02:リュック
SP03:登山用リュック
SP05:無線機(1つ)
SP10:無線機(3つ)
SP10:暗視ゴーグル
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7,8ページ目は『遊ぶためのもの』や『衣服』だ。まともにサバイバルをやる人間にはほぼいらないやつだな。あえて微妙に安くして、ポイントの無駄遣いを誘惑してるように見える……。
ちなみに水着とかはすべて交換する時にデザインを選ばせてくれるらしい。
SP01:水着(1人分)
SP01:水中ゴーグル(1人分)
SP01:アロハシャツ(1人分)
SP01:帽子(1人分)
SP02:サングラス(3個セット)
SP01:レインコート(1人分)
SP01:ビーチボール
SP01:浮き輪
SP02:ビーチベッド
SP02:ビーチパラソル
SP03:水上バイク(1日レンタル)
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こうして見ると、凶器になりそうなものがほぼ排除されてるっぽいな。ノコギリ、ナタ、カマとかは自然破壊させないために無いのもまぁ仕方ないけど……。SPゼロ戦略だから環境破壊しまくってもノーリスクだってのに、自然相手に使えそうなものはサバイバルナイフくらいか……。スコップですら無いんかい。
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山脇に色々聞きながら必須アイテムを決めていった。
トイレは男8人だけなら配布されたダンボールトイレ1つでいいだろうけど、流石に見られないようにビニールシート1つは交換して、森の中に設置しようという話。
寝床は、テント2つで4人ずつ8人使えるはずだけど、残ったメンバーが体の大きい男子ばかりだから余裕があったらもう1つ用意した方がいいかも、と。あとテントにそのまま寝ると硬い地面そのままに近いから、恐らく快眠できない、マットレスを交換する余裕があればした方が良いと思うなど、参考になる話ばかりだった。
アルベルトは体積だけで言ったら2人分くらいあるし、石崎もかなり体格は良い。龍園もそこそこ大きい方だし、小宮近藤もバスケ部だけあってかなり大きめ。俺は身長170cmジャストだけどこの中だと小さい方になるのか……。鈴木と山脇はごく一般的な身長だろうけど、この中だと見劣りするな。言われてみればマジでテント2つじゃ足りなさそうっていう。
そんな感じで決めた欲しい物資は以下の通りだ。
SP10:水&食料(1食分)
SP06:食料(1食分)
SP04:追加テント
SP06:フロアマット(3つ)
SP01:ビニールシート
SP05:マッチ(5箱)
SP04:懐中電灯(2つ)
SP06:登山用リュック(2つ)
SP08:帽子(8人分)
SP02:サングラス(3個セット)
合計でSP52。
昼に使った水食料のSP10、スパイ活動のための無線機SP10とデジカメ2つのSP10も差し引いたら、使用分はSP82。
ちょっといらないものもあるかもしれないけど、食料調達のためや調理器具のすべてを削減出来てるから良いでしょ。少人数ならではの強み、ゼロ戦略あってこそだな。食料は昼に交換した分と合わせて3食分、8人ならこれだけで15食分。余裕で1週間いける。しっかり動けるカロリー量だろう。
残りのSP18は龍園に言って好きに使ってもらおう。
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「龍園、交換したいもの決めたよ。食料はもう交換分だけでしっかり確保して、他はコンディション維持とか、食料破壊作戦に特化って感じ」
Cクラス生徒達に配布されたテント2つを設置させていた龍園に、マニュアルに書き出した交換候補を見せる。
「あとのSP18は龍園が好きに使っていいよ。余るならボールペンとメモ用紙が欲しい、マニュアルの白ページはもうほぼ無いし、他に書いておくもの無いし」
そう言いながらマニュアルを渡すと、
「……サングラスはいらねぇだろが」
「絶対にいるよ」
譲らないよ。てかなんで最初にそれを言うんだ。
「チッ、バカが……。他クラスを挑発しに行く時にでも使うか」
「なんじゃそりゃ」
南国サングラスが一番欲しいだろ普通。何が何でもアルベルトにピンク星型サングラスをかけさせなきゃいけない。
「テントを追加する理由はなんだ?」
「アルベルト含め、みんな体デカイからね。別に我慢しまくるほど切羽詰まってないし、マットレス含めSP6だから良いでしょ?」
テントの数を考えると、マジで少人数だと強いなと思った。40人居たらあと8個必要ってことでしょ、それだけでSP32だ。
「……まぁいい。だが、水は川があるってお前が言ってただろが。昼の1食分、40本ペットボトルがあるなら平気だろ」
「お、良い質問だねぇ~」
そこは大事なことに気付いたから、あえて多めにしたのだ!
「うるせぇ。理由を言え」
「さっき気付いたんだけどさ、雨降ったら川ってめっちゃ濁るはずじゃん?そうなったら水飲めないでしょ多分」
濾過すれば飲めるのかもだけど、素人がやって大丈夫なのかは心配だし。
「……あぁ」
「だから多めに確保して保存出来た方が良いって感じ。暑さで予想以上に水分補給が必要になるかもしれないし、余裕をもって1人10本分ずつのペットボトルを確保しておこうってこと。1人5本、2.5リットルだとちょっと不安でしょ。雨が止んでも数日間は川が濁るかもしれないし」
他クラスだったら追加で水を交換したり出来るけど、ウチは最初に全部準備しておかなきゃいけないから余裕を多めに取っておかないといけない……。道具が限られてるから効率よく雨水を集められる保証もないし、雨がやんでも川が濁り続けるという可能性もある。
「なるほどな。後はこのリストでいいが……他に使えそうなのは何がある」
「双眼鏡だね。1つはあった方が良いかもしれないと思った。けど、無くても困る訳じゃないから入れなかった」
最後まで悩んだのですぐ答えられた。Bクラスのスポット更新なら双眼鏡で遠くから見れそうな気もしたし。
「5ポイントか」
「残りSP18だから双眼鏡あっても良さそうやね」
「……暗視ゴーグル」
あ、やっぱりそれ気になるか。
「俺もめっちゃ欲しかったけど、バッテリーが保つのか大丈夫かとか気になるんだよなぁ……。あと他クラスが夜中に動くことあるか?っていう疑問もあるし。だったら懐中電灯増やして活動した方が良くない?みたいな」
暗視ゴーグルを使った経験は無いや。興味もあるけど、めっちゃ電池使いそうでもあるからなぁ。
「いや、懐中電灯のバッテリーは手回しで充電出来るやつだ」
「は?マジかよ」
じゃあ追加分はいらないのか。SP4の削減だな、残りSP18だったのがSP22か。
「……決めたぞ。双眼鏡、ボイスレコーダー、暗視ゴーグルだ。懐中電灯はいらねぇ、配布された2つだけでいい」
ボイスレコーダー?何を録音すんの?……まぁいいけど。そうなるとSP5,5,10の追加消費で、
「残りのSP2は?」
「あ~……メモ用紙と、ボールペンでいい」
「了解!」
メモとペンは正直ちょっと要らない気もしたけど、無線機使わずにメッセージやり取りとかで使えそうでもあるから、悪い使い方ではない……と思いたい。
アロハシャツ2着追加でも全然良いけど。
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そうして、山脇と相談して決めた物資と、龍園の言う追加分を全て交換した。これでめでたくSPゼロです!自由だ~!
いやはや、これで一息つけるな。
島に残るのはスパイの2人を入れて10人だけ。その他の30人は龍園に指示されてから、日が本格的に落ちてきたので慌てて豪華客船へと帰って行った。
それにしても、女子でも結構な人数がタオル残していってくれたのはかなり意外だ。『何か役に立っておきたい』って事だったのかも?男子と合わせて20人分くらいのタオルと荷物袋が残された。何かに使えそう。
後やらなくちゃいけないのは……リーダー決めか。誰にするんだろう?