これで原作で見せ所が無かったションボリハゲも、きっと天国で喜んでいる事でしょう……(感涙)
一応リーダー情報を売り付けることに成功したけれど、ハゲに『リーダー交代の可能性』に気付かれたせいで微妙に喜びきれない俺は浅井虎徹です。うーん、敵ながらアッパレ。
葛城との交渉が終わった後、Aクラスもまた担任の真嶋先生を呼び出してから契約を結んだ。
担任教師2人が立ち会いの元でされるのが恒例になりつつあるね。別に教師1人でも良いとは思うんだけど、もしかしたら担任としても自クラスの契約には立ち会いたいっていう心境があるのかも?あとやっぱ生徒側としても自クラスの教師が居た方が安心感はあるのかもね。
ちなみに坂上先生は微妙に真嶋先生と距離を置いていたっぽい。妙に居心地が悪そうに見えたけど……ガチガチの理系と、文武両道タイプの体育会系エリートで相性が悪いのかもしれない。
Bクラスの大半はなぜかAクラスとの契約締結終了まで見学してたな。暇だったのか?そんなこと無いはずだよね?……ちゃんと食料収集しろよ!無くなっちゃうぞ!
そしてCクラスの環境破壊チームが帰ってきたが、残っていたAクラスとBクラスのメンバー大半がなんとも苦々しい表情で見ていた。おいおい、命令されてやってただけのメンツを恨んでも仕方ないだろ。龍園を恨め龍園を。あと何その大量のバナナ。
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1日中しっかり食料を燃やしてきてくれたCクラスの選ばれし6人。その姿は見るからに汗だくで、草や泥で汚れていた。めちゃくちゃ働いてきたっぽい姿に感心しながら、せっかくなので一緒に水浴びしに行くことにした。俺も暑さで汗かきまくったし。
川へ行く途中、石崎に話しかけてみた。
「石崎、お疲れ様。なんでそんな汚れてんの?」
「よう虎徹、めっちゃ動いたからな!木に登ったり、物を運んだりな!」
めっちゃ動いて、なんでまだそんな大声が出るほど元気なんだよ。お前は放課後の小学生か?
「ふーん。何してたん?」
「それがさ、バナナの木が結構あったんだよ。それをもう全部取っていく勢いで回収していったから……いやもう疲れた疲れた。後で食ってみろよ、1つが小さいけど意外と結構ウマいバナナだったぞ。デカいリュック2つにパンパンに詰めて、他も手で持てるだけ持って来たから、俺達であと1週間くらい食べ放題だな!」
「なんじゃそら」
1日でも早く船に戻りたいのに、あと1週間もここに残ってたまるか。なんかエンジョイしてない?ちょっとだけ羨ましくなってきた。
「そんで、めっちゃ動いたからもう全身が汗まみれだ。パンツまで服全部が汗で濡れてる感じするぜ……」
気持ち悪いアピールすんなアホ。クソどうでもええわ。
「あっそ。……暑さの中で作業してて大丈夫だったん?」
「めっちゃ暑かったけど、水を多めにしっかり持っていって飲んでたし、交換してくれた帽子もあったから意外と気にならなかったぞ。山脇が何度か『休憩時間にしよう』とか言ってて、それで日陰で休まされたのもあるかも」
山脇は流石キャンプ経験者ってやつか、熱中症対策はしっかりしてたのね。
「んで、燃やしたりの破壊活動の方はどうだったのさ?」
「あぁ、うーん……。やっぱちょっと、悪いかもな~、って気はしたな。バナナの木がある所で他クラスのやつにめっちゃ怒られたりもしたし。……龍園さんに言われてた通り、無視して作業してたけど」
罪悪感か。まぁ純粋に食べ物もったいないもんな。
「まぁ、しゃーない。Aクラスになるために必要な事だよ」
「あぁ……そうだな。燃やすのは、バナナの持ちきれない分と、他クラスとの奪い合ったものは全部燃やしまくったな。他にもなんかトウモロコシとか変な果物とか、それも近くに火を用意して放り込みまくって燃やしまくった。……そういえば、燃やすと意外と甘い匂いがすんのな」
匂いは知らん。火を採集出来る所の近くに用意して、色々ぶち込みまくるってのはやっぱ効率が良さそう。キャンプ地に持ち帰るより遥かに多く処分できそうだもんな。意外と1日だけでもかなりの量を処分出来た?
「ん、グッジョブ。何人分くらいの食料を処分できたと思う?」
「あー、どうかな……俺は運んでばっかりだったから、全部がどれくらいか分かんねぇや。火の世話をしてた山脇の方が分かるかも」
「なるほど。聞いてみるよ」
なんか良い感じで役割分担してたっぽいな。山脇に聞いてみよう、一緒に居たはずだけど……
「あ、ちょっと待ってくれ虎徹」
「なに?」
なぜか真剣な顔しとるな石崎。そしてなぜかちょっと小声になった。
「これ、今は大丈夫だと思うんだけど……午前中のアルベルトはなんとなく具合が悪そうだったんだよ」
「は?マジで?」
リタイアしていいのに無理してマジで体調崩したらアホみたいだぞ。てか普通に心配だ。
「アイツ、何も言わないし、なんとなく誰も聞けない感じだったんだけど……」
「いや聞けよ」
アホかよ。
「まぁ、そうだな……、すまん。それで、気になって見てたんだけど、『みんなでバナナ食ってみようぜ!』ってなった時、アルベルトがめっちゃ食ってたっぽいんだよ」
「あ~、どゆこと?」
「多分だけど、メシが足りなかったんだと思う」
「あっ、なるほどね……」
いやまぁ、言われてみれば当然だ。あの巨体、あの筋肉で美味くもないカロリーメイトのパチモンみたいな食料だけだと、そりゃあ足りねぇだろうな……。気付けなかった。反省。
あれ1食分ってちょっと体格の良い男子生徒には足りないくらいだろうし、アルベルトにはとてもじゃないけど足りないだろう。1回2,3食分くらい食ってちょうどいいくらいかも。それに加えて、昨日は試験初日でバタバタしてて昼メシ抜きだったもんな……。
「完全に気付かなかった……」
割と後悔してる。気付いてしかるべきだった。
「あぁ、俺もだ。食ってからは大丈夫そうだったけど、一応、虎徹から大丈夫か聞いといてくれるか?」
「分かった。……いやけどお前が聞いても良いだろって」
なんでそんなにアルベルトから距離を取るんだよ。仲間ハズレにすんなアホ。
「いや、まぁ、そうだけど……。俺が聞いても、英語でなんて言われたのか分かんねぇかもしれないから……」
「……分かったよ」
まぁ、それなら仕方ないか……?
でも、こうやって石崎がちゃんと周りの人間を見れてるってのは、割とリーダーの才能っぽいな。アホだけど、ガキ大将みたいな感じで慕われる素質があるのかもしれない。アホだけど。
とりあえずアルベルトに話を聞いてみるか。
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水浴びの最中、脱いだアルベルトの上半身、半端ない筋肉をガン見しまくりながら聞いてみたら、やっぱりハングリーだったとかなんとか。なので「You can eat メシ、2人分。Because, maybe, before last day, someone back to the ship」とか言って説得しておいた。『そのうち誰か船に戻るだろうから2人分食っていいよ』と。
こんなにテキトーな日本語混じりの英語でも分かってくれるんだから、みんなも怖がらず話せば良いのに。マジで。
そしてみんなでパンツだけの姿になり、バシャバシャ川で水の掛け合いをしまくっていたら……気付いたら日が落ちてきて、ほぼ夜になってしまっていた。
全員が懐中電灯を忘れていたので、完全に暗くなる前にと慌てて小走りでCクラスのキャンプ地に帰ってきた。着替えちゃんと洗えなかったな、明日の朝やろう。
なんか、帰り道でまたちょっと汗かいた気がするぞ……。不毛だ。
テント近くまで戻ってきて落ち着けたので、山脇に食料処分の成果について聞いてみる。
「そうだ山脇、食料の処分だけど何人分くらいやれたと思う?」
「え?いや、どうかな……。俺も火の面倒見てたけど、かなりの量ってのは間違いないと思う。何人分って言われると難しいけど……100人分とかは超えてそうかも?」
「すげぇな」
40人分の食料が1食SP06だったから、1日で他クラスにSP06×2.5でSP15のダメージって感じかな。6人部隊としては超良い成績だろこれ。
「具体的には、もし全部を積み上げてたら……この4人テントと同じくらいの山は出来たと思う」
マジですげぇな!どんだけ集めたんだよ。つい笑っちゃう量だぞ。
「やるねぇ!今日のMVPは間違いなく山脇だな、下手に火の処理ミスって山火事にもなってない。しっかり燃やして、しっかり処分した。最高の成果だと思う」
なんとなくめっちゃ褒めとこ。龍園だと褒めるのクソほど下手そうだしな。
「そ、そうか?」
「うんうん。せっかくだし呼び出される前に龍園に報告しておいた方が良いと思うよ。今言ってくれた報告をそのまま言ってもちゃんと評価上がると思う」
「……分かった。報告してくる」
なんだその顔、張り詰めた表情しやがって。ビビリすぎだっつうの。
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時刻は18時過ぎ、周囲はもう何も見えないほどに暗い。2日目だけど全然慣れないな……。昨日と同じように、Cクラスの面々は運営テントの明かりの周辺に集まっていた。せっかくこうやって集まるなら20時の点呼受けた方が良い気もするけど……まぁ意味無いからサボっても仕方ないか。
暗い所で確認した時は見間違いかと思ったけど、このバナナ茶色いよね?腐ってんちゃう?……なんて思いながら恐る恐る剥いてみたけど、中身の色は白く、普通のバナナだ。味も……悪くないじゃん……。ちょっと味が違う気もするけど、普通に美味しい。何これ?ダミーバナナ?それとも新種?
おっと、龍園の登場だ。緑のバナナも試すのは後にしよう。茶色バナナは今食うけど。
「よぉ、山脇から聞いたぞ。お前らなかなか良い働きだったみたいだな」
「ウス!」
返事したの石崎だけじゃん。かといって恥ずかしそうにもしてないし、相変わらずの舎弟っぽさだ。俺もふざけて「あざーっす!」とか言おうかとも思ったけど、バナナがウマいからやめておこう。
「今日、ABの2クラスとは契約を結んだ」
「はぁ……」
石崎の気の抜けた返事。あれ?まだ説明してなかったっけ?俺と龍園が話してた時に聞いてなかったっけ?
「俺らCクラスは、他クラスに『リーダーが誰か』の情報を売る。指名成功時のCP50に相当するppを振り込むことを条件にな」
聞いてるメンバーの顔を見てみると、割と驚いてるのが多いかな。
「あれ?でも、龍園さん、伊吹と金田は……」
「フッ、それは後だ。お前らはただ、『Cクラスのリーダー情報を売るらしい』という事だけ知っておけ。伊吹と金田については『もう船に戻ったと思ってた』と認識しておけ。分かったな?」
まぁ、それが自然か。伊吹金田にたまたま会ったタイミングで「よぉ!調子はどうだ?リーダー分かりそうか?」とか話しかけちゃったらアホすぎるもんな。
「そして、破壊活動だが恐らく今日で終わりだ。Dクラスとも契約を結んだら辞めることになってる」
「あっ、そうなんすか……」
みんなちょっとだけ安心してる感じあるかな?
「Dクラスのアホ共が条件飲まねぇってんなら、引き続き食料処分をやることになるが……恐らく無いな」
Dクラスは取引拒否してもCP50が手に入らないだけだし、それに加えて食料をひたすら減らされちゃう状況なんだから……そりゃまぁ考える脳みそちゃんとあるなら契約するでしょ。明日の朝イチですぐ契約しに来て当然って言えるくらいだ。
まさかリーダー交代について気付くなり、もしかしたらAクラスとの取引を見てたBクラスの誰かが漏らして気付かれてAクラスと同じ取引になっちゃうかもだけど……。
まぁ、何にせよ契約自体はするだろ。
「今日は以上だ。ご苦労だった、良く休め」
おっ、龍園にしては優しい言葉だな。めっちゃ役に立ってくれてたもんね。
こうして、無人島試験の2日目は終わったのだった。
……ってか、まだ2日目かよ!