どうも~、DIYにハマってる、浅井虎徹で~す!本日はホームセンターからお送りしまーす!!
嘘だ。
俺はDIYなんてやらないし、謎の覆面だし、ここは厳密にはホームセンターではない。
いくら高度育成高等学校(←覚えた)が広くたって、国からの支援があったって、オッサンのテーマパークであるホームセンターを用意するのは流石に無理だったみたいだ。木材だの鉄パイプだの工具だの、めちゃくちゃ広いストアを用意するには敷地がいくらあっても足りないだろう……。それに職業大工が居ない環境であんな施設を作ってもムダすぎる。
まぁ、かといって雑貨屋にそれっぽい場所があり、工具でも大抵のものは揃うし、軽く日曜大工をするくらいのことは出来そうだ。
流石に刃物系は少なめのようだが、包丁が買える時点でそういう危険性の心配をしても仕方ねぇだろ……という気もする。電動チェーンソーを売ってる地域の方が犯罪率が高い、みたいな話あるんだろうか?
未成年が使うには危なっかしいものはあまり置いてないな。ハンマーですら硬いゴム製のよく分からん安物が置いてある。ついでに監視カメラがアホほど設置してある、多すぎるだろ。常に5カメくらいまで撮られてる気分。
さて、なぜこんな所に居るかと言うと……、武器のためだ!
龍園ボコボコ計画、作戦方針は以下の通り、
1.目潰し
2.拘束
3.殺さない
目潰しはあらかじめ用意していいなら割と簡単、唐辛子と霧吹き、これだけ。
あんまりにも成分を強くすると失明しかねない、かもしれないので、調味料のあの小瓶1つを適当にお湯に溶かして熱するくらいで良いでしょ。無駄遣いしすぎるのも勿体無いし、他の相手に使う予定も無いし。そんな量あってもテロ疑われるだけだ。……と思ったけど100均コーナーで売ってるのかこれ、やっす。5本買っちゃお。
あまり関係ないが、この学校内で消費税は無いので100、50区切りの分かりやすい値段が多かったりする。ラクで良い、助かる。
実際の催涙スプレーは小さい缶ばかりだけれど、今回は携帯性はどうでもいいのでサイズはなんでもいい。100均コーナーで適当な霧吹きを買う。ついでに見かけたプロレスマスクも買う。他に誰が買うねんこんなの、何に使うんだよ。
あぁ、あとで一応水泳ゴーグルとマスクも買っておこう。攻撃してる側が自分の武器でやられてちゃ話にならないし。
そして次に拘束、これは結束バンドを使おう。大きめの50cmくらいのサイズで輪っかを作っておいて、引っ張ればすぐに締め付けられるようなもの。耐久性に不安があるけれど、まず殺さない程度に首引っ掛けて締めることが出来たら、酸欠でそのうちぶっ倒れるでしょう。一瞬の酸欠だったら、最悪でも人工呼吸でなんとかなる……はず。なんとかならなかったら、ごめんな、龍園。
結束バンド、2,3本束ねて一気に締め付ける。首にそれをやったあと、殴り蹴りまくりつつ腕と足も結束バンドで締め上げれば……勝利。
一応、他の普通の縄紐とかも買っておこう。使いやすそう、結びやすそうな細めのやつでいいか。
うーーーん、なんか勝てるか怪しいなぁ。もう1つくらい武器欲しい。何が楽しくてわざわざ素手で殴ったり蹴るなんていう暴力的な行為をしなくちゃいけないんだ、暴力反対!
かといって龍園のためだけにバット買うのも金がもったいないし、かといって部活やってる所からパクるのも……借りるのも……ちょっとなぁ。木製バットだったら折れるかもしれないし、金属でも曲がったり血がついたら申し訳ないし。あと力の加減が普通に分からないな、人が死なずに無力化出来る程度に凶器で殴りつけるって、そんなん職人技ですやん。分かるかよ。
あー、菅原レッスンでなんかあったな……。ちょっとかっこいいカタカナの名前の武器、カトラスでもなく、ちょっと長い名前の、うーーーーん…………、あ、ブラックジャックだ。布に砂を包むだけで完成する、打撃武器。外傷より内傷になる上に、証拠隠滅もかなり簡単というやつだ。それでいこう。薄いハンカチ3枚くらい買っておこう。汚れなかったら後で日常的に使えるし天才的な発想だな。
ブラックジャック、殺傷力を上げるなら砂だけじゃなくて小石やガラス片も入れるといいと言われたが……、俺は良い子だからそんな悪いことしないぜ。
さてさて、なんとかなりそうな気がしてきたかな。
スタンガンとかあれば10万ポイントでも買ったんだけど、無いなら仕方ない。いや10万でも買うは盛った、5万くらいならまぁギリギリ。10万出せるとしたら、バレずに買える拳銃とかかな。
あとは……、一応、失敗した時のために顔を隠しておこう。リスクマネジメントやね。逃走経路も考えておこう……。
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おはようございます、男の戦いの日を迎えた、ウォーリアー浅井虎徹です。
今日は学校生活10日目くらい、よい天気。
1日目に大はしゃぎだったロン毛チンピラ龍園くん、あれだけ偉そうに「俺に従え」とか言ってた癖に、意外と次の日からは穏やかだった。放課後なんかガラの悪いヤツらを連れてどこかに行ってたけれど、まぁなんか悪いことしてるんでしょう。不健全な高校生活ですねぇ……恐ろしいわぁ……。
授業風景は、なんとなくクラス自体が暗いかな。
当たり前かもしれないけど、目の前で他人をボコボコにした暴力野郎が居るのでクラスの大半の生徒には恐怖感と緊張感がある。そのお陰か、そのせいか、授業中の私語はかなり少ない。みんな目をつけられるのを怖がっているような感じだ。
授業初日はカリキュラムの説明ばかりで実際の授業は無かったが、それでも私語ほぼ無しっていうのは、良くも悪くも統制されたクラスだ。龍園の大暴れから結構な日が経ってるけど、今でもみんな静かにしている。
そんな、いまいち仲良く出来ないCクラス、俺は目立たないよう昼休みはすぐ教室の外に行き、授業中も真面目な生徒で居る。これは本当だ。せっかく高校受験抜きで半年も勉強したんだから、成績せめて上半分に入りたい。そのためにも授業中でそこそこ勉強しておきたいという訳だ。あとついでに龍園に目をつけられたくない。怖い~
右隣、一番後ろの一番右という悪いことするためのような席に座ってる龍園は、だいたい学生証端末をいじってる。チャラ男全開やね。
そんなこんなで、一応静かなCクラスでしたとさ。
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場所は変わりまして、放課後の特別棟。
龍園の机の中に『俺とタイマンしろ。4月12日、午後5時、特別棟の3階にて待つ』という手紙を入れておいた。手紙に気付いた姿も横目で確認している。
なぜか知らないが、特別棟には監視カメラが無い区画がある。どうせそういう悪巧みもしてみろよとか、他の監視カメラと違うタイプがある……とかだろうけど、別に良い。殺したり後遺症を残さなければ自クラス内の喧嘩に過ぎないから平気だろう。
指定場所へ行くのに通り過ぎるであろう、隣の教室にて息を潜めて待っている私は……謎の覆面、デッドブレスだ!
霧吹きを手に、今か今かとチンピラが来るのを待っているという訳だ。
ちなみにこの手作り催涙スプレー、自室の台所で今と同じように水泳ゴーグルとマスクをしながら作ったのに鼻水がダラダラ出て呼吸も苦しかった程だ。
その作業中、換気扇を回したら外に空気が流れてバレてしまうんじゃないか……と心配して使わなかったけれど、作業途中でこれはもう駄目だと諦めて換気扇を回した。もう部屋が殺虫のための煙で蒸してるような気分になったので、俺このまま虫のように死ぬんじゃないかと思ってしまうほどだった。実際に寝る時ちょっと唐辛子のニオイが強くて眠りにくかった。
……と、足音が聞こえる。来たみたいだ。こっちの教室は覗くなよ……。
………………良し。隣の教室に入ったみたいだ。
では、行くぞ。男としての存在を確立させる戦いだ。
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「は?なんだテメ……」
先制攻撃!2メートルほど離れていたが、気にせずシュバシュバと霧吹きをかける。
「チッ!」
おっと反応早いし対応も早い、すぐさま目を閉じて片手で鼻と口を自分の腕で抑えた。こちらは霧吹きを連射しながら、一瞬止まった龍園の体に前蹴りを入れる。
「ふざけ……ゴホッ!」
ノドにも効くぜコイツは。もう一度前蹴りを入れよう……とするフリをして、片手に持っててポケットに入れていたブラックジャックで頭を殴る。あまり遠心力は加えられなかったが、布製で曲がるため反射的に出した手を超えて側頭部を打つ。
「……!」
なりふり構わず、しゃべる余裕も無いと判断した龍園が体ごと突進してくる……だが目をほとんど閉じてるやつの動きなんて簡単に対処出来る。片手で霧吹きを続けながら、龍園の体を横から蹴り飛ばす。
龍園は転びながらも、すぐに立ち上がり……俺の後ろにあった扉から逃げようとする!この野郎!
「おらッ!」
飛び蹴り、廊下まで吹っ飛ばしたが、それでも立ち上がり逃げようとする龍園の首を握りつぶすような全力で掴み、手前に引き寄せる。
元居た教室に引きずり込みつつ、抵抗しまくり蹴りつけてくる龍園の目玉に軽く指を突っ込む。
「ああああああ!!!」
目玉をえぐり取るほどの力は入れてないから大丈夫……なはずだ。
流石にちょっと抵抗が弱まり、目を押さえているが、スプレーの成分がなおさら目に入って痛むようだ。転げ回ろうとする。
めちゃくちゃに暴れる龍園の顔をビシャビシャになるよう霧吹きで濡らしつつ、顔面を素手で何度も殴りつけ、……やっと大人しくなり、ただ顔を押さえてうずくまる姿勢になった。馬乗りになった状態で体勢での優位はしっかり確保した。
まぁ、動かなくなったのは嘘だろう。気を抜く訳もなく夢中で殴り続け……その最中にさりげなく用意しておいた輪っかの形の結束バンドを首にひっかけ、すぐさま締め付ける。すぐに龍園の顔が赤くなり、弱ったふりを辞めて必死にバンドを取ろうとしてくる。
顔から手が外れたので、そこを狙って、噴射口を鼻の穴に直接触れさせ、連続プッシュ!……だがそれにはまったく反応しない龍園。ただひたすら首のバンドを外そうと……
やべぇ、龍園の顔が紫っぽい変な色になってきた。やばいやばいやばい。
けれどまだ腕も足も縛り上げてないので、慌てて足を結束バンド4本でしっかり縛り、腕も……やろうとしたけれど首のやつを必死に取ろうとしてるので止められないなこれ。
「負けを認めるなら首のやつを取ってやる。分かったら首を縦に振れ」
そう言うと龍園は必死に首を振ってきた。流石に殺したくはないからさっさとやろう。慌ててリュックからハサミを取り出す。
「ちょい待って、……動くな!…………、よし取れた」
動くせいで首の血管を切りそうになり冷や汗かいたし、思ったより締め付けすぎたせいでハサミの刃が全然隙間に入らなかったけれど、なんとかバンドを切って外せた。
龍園の方は、涙と鼻水と鼻血だらけの顔で、めちゃくちゃ必死に呼吸をしてる。こんなに息が荒い人、マラソンしてる人以外で初めて見たよ。
泣きながら素手で顔を拭いてるけど……無理だろそれ。
さてどうするか。腕も拘束して完全勝利としたい気もするけど、もういいかなという気もする。でもまぁ一応、馬乗り状態は維持しておこう。
「あー、これ使っていいよ」
なんとなく持ってた半分くらい残ってる飲料水と、キレイなタオルを渡す。
……黙々と顔を拭いてるのを見て気付いたが、こいつ泣いてんのか?スプレー効果で涙が出てるだけじゃなくて、なんか普通に泣いてるように見えるぞ。
「泣いてんの?」
「…………。」
答えないし!ムカつくやつだ。
「大丈夫そうだな。腕も出せ」
あれ?意外にも黙って腕を差し出してくる。何を考えてるのか分からないが、完全に動けない状態にしたいので手首、上腕の付け根、その中間の3箇所をしっかり結束バンドで止める。ここまでやったら刃物を使わないとどうしたって逃げられないだろう。
「よしよし。やっと終わった~」
疲れた……。本気の運動だったし、汗でぐっしょり服が濡れてるし、普通にヘトヘトだ。
「……。」
「さて、龍園くん。正体を明かしてやろう!」
そう言ってプロレスマスクごとゴーグルとマスクを外すと……、
「じゃーん俺、ゴホッ、ゴホッ!……ゔぉえええ」
空気中に残った唐辛子成分がめちゃくちゃ目と鼻に効いた。こりゃ駄目だ。キツい。慌ててマスクと水中ゴーグルを装着する。
ついでに馬乗りだった姿勢をやめて、近くの椅子に座ってイモムシ状態の龍園を眺める。
「お前、確か浅井だったか……」
「あ~、ゔぉえ。あー、そうだよ」
もうちょっとドラマティックに正体を明かしたかった。
「……俺が上に立つのが気に食わなかったってことか?」
なんでこいつ普通にしゃべれてるんだよ。催涙スプレーって慣れるもんなのか?
「いや、そういう感情は無いよ」
「は?……じゃあ、なんでだ」
「まず、お前に暴力で支配される立場で居るのが嫌だった、というのが1つ」
「それで俺を倒したって訳か。……それで、他は?」
倒したってなんだよ、RPGゲームじゃないんだから倒したとか言うか?ゲーム脳か?
「あー、他には……、あのアルベルトにやってたやつだな。金的、あれは駄目だ。あの強さで軽々しくやりまくってたら、普通に誰かの金玉潰れるって。そういう後遺症残すのは軽々しくやるべきじゃないよ。やったが最後、傷害事件でお縄だし。ガキンチョ同士での喧嘩でやっていい範囲を超えてるわな」
「……人を殺しかけたお前に言われても、いやまぁ、理解した」
は?
「殺しかけた?……お前の首のやつ?」
「あぁ。……完全に死んだと思った、息が出来ず、血も止まった……気がした。このヒモみたいなやつ、まったく外れなかったからな……」
数秒くらいなら息止まっても、人工呼吸で割と高確率で蘇生出来そうだけど……なんて思っていたが、やべぇ、血も止まるか。そりゃそうだ……。でもまぁ、結果オーライ!死ななかったので良し!
「あと喧嘩を売った理由は……、調子に乗ってたお前を叩いてやりたくなったのもある」
調子に乗り続けた龍園くんがどうなるかって想像したら……、あぁ見えるわぁ、悪徳スカウトになって女を騙して、勝手にハメ撮りやって、それを材料に脅して、ウリをやらせて、クスリ漬けにして……。全然ありうる。というか天職に見える。他に適性職業が無いだろうというほどしっくりくる。いけ好かないニヤニヤ顔で、四つん這いにさせた裸の女の上に座って、札束を数える龍園の顔が目に浮かぶよ。
「お前が調子に乗り続けたら、裏社会でアホほど成功して、その挙げ句にヤクザにも喧嘩売って大抗争になってぶっ殺される……みたいな気もするしね」
めちゃくちゃにありうる。これ以外の龍園未来予想は何も思いつかないぞ……。
「それで、痛い目にあわせてやったってことか」
正直言って動機には無かったけど、今回やった意味としては大いにある1つだね。
「そうそう。やっぱ暴力はダメだな、って思わせたいという気持ちはあった。別に殺す訳でも、腕を切り落とす訳でも、片目を潰す訳でもない。ちょっと痛い目を見てもらい、『暴力は良くない』という当然の常識を身を持って伝えたっちゅー訳だね」
自分で言いながらしっくりくる。うんうん、そういう名目だったことにもしよう。そう考えるとベストに近いじゃないか、催涙ガスの効果も顔を洗いまくればなんとかなるだろうし、大した怪我もしてない。締め付けた痕跡なんかも、SMプレイしてたとか言えば誤魔化せるでしょ。数日で消えるはずだ。
「……そうか」
「あとはまぁ、カタギは守るべき……みたいな義侠心があったのかもしれないかな」
今の今まで忘れちゃってたけど、そういうヤクザの良い精神もあったのかもしれない。……大半のヤクザは暴力装置でしかないし、反社会勢力、社会のクズだけど。
「……それで、俺をどうするつもりだ」
はぁ?どうする?どうもしねーよ。なんのことやねん
「いや別にどうもしねーよ」
「……。俺は、手段を選ばずのし上がりたいと思ってる」
ええやん。
「卑怯な手を使おうとも、どれだけ汚いと思われようが、勝てばいいんだと思ってる」
「そりゃそうだろ」
「だから、今回は俺の完全に負けだと認める。だが、俺の生き方を変えろと言うつもりなら、俺はお前に勝つまでやる。ションベンをしてる時だろうが、メシ食ってる時だろうが、寝てる時だろうが、女を抱いてる時だろうが安心できない生活にしてやる」
死ぬほどヤクザ向きやねんなこいつ……、ホント他に適職あんのかな……。マジでめっちゃ心配になってきた。まだ高1なのに、まだ高1だからこそ、もうここまで未来が決まっちゃってそうなのはどうなんだ……。
「いや別に、卑怯な手はやめろ~なんて言ってないじゃん」
「……。」
「ただ単に、暴力の無意味な使いすぎは良くないよ、みたいな感じかな。軽々しく使いすぎたり、やりすぎたり『俺だけは大丈夫だからいくらやってもいい』みたいな調子乗りはやめろよカス、みたいな感じ」
「……カタギがどうこうってのは?」
「やりすぎんなよ、ってことよ」
「その辺のザコが相手だろうと、暴力のレベルを気をつければやってもいいと?」
「まぁ……、暴力の怖さを知るくらいなら全然良いと思うし、逆に今の保護されまくってる日本で平和ボケするのもちょっと、どうかと思うから……、そういう意味でちょっと脅すくらいならいい気もする。かわいそうではあるけどね。怖さを何も知らないで社会に出て、軽々しく暴力団や頭おかしいやつに喧嘩売ってレイプされたり殴り殺される……みたいなのよりマシでしょ。今ここで、この学校で色々と体験しておいた方が将来マシなんじゃないのっていう気はするかな」
うーん、そう考えると、この学校で3年間色々な体験をさせたい……ということで龍園みたいな暴力マシーンを入れるのはすごく理に叶ってるなぁ。だからってやっちゃうこの学校は頭はおかしいと思うけど。
「もしかしたら、龍園がここに入れられた理由も、そういうのを生徒に体験させたいからかもしれないね。じゃなきゃ暴力系不良を軽々しく学校に入れたくないでしょ」
ふとした思いつきだが、かなり説得力のある説なんじゃないかこれ。手段を選ばない、法やルールを無視して突き進む存在がどういう存在なのか、どんな脅威になりうるのか。それを実地体験のように教え込む場として用意されたのかもしれない。
「……これからどうするんだ。お前がCクラスをシメるのか?」
はぁ?
「なんでそんな、めんどくさいことしなきゃいけないの」
リーダー?やだやだ。ガラじゃないっての。
「そこは普通に龍園の方が遥かに向いてるでしょ。リーダーに一番必要なのは、覚悟だよ。俺がナンバーワンであり、俺が率いていくという覚悟。能力なんてみんなに手伝ってもらえばいいだけなんだから、その決意と覚悟だけが唯一にして絶対必要なものだよ」
「……。」
「だから、初日から手を上げて、力を見せつけたお前が最適なのさ、龍園。めちゃくちゃリーダー向きだと思うよ。マジで」
まぁ、だからこそ悪徳スカウトを束ねて女をかき集めて売りまくる姿が想像できすぎてしまう訳だけれども。それにしても初日から行動しまくれるのはヤバヤバすぎるだろ、どういう精神なんだ。イカれてんな。
「じゃあ、俺が続けさせてもらう。だが、」
「なにさ」
「お前は、どうするんだ。俺の邪魔をするのか?」
「しねぇよ!」
話聞いてなかったんか?
「お前は必要悪かもしれない言うたじゃねーか」
「じゃあどういう立ち位置で居るつもりだ」
立ち位置だぁ?訳が分からん。
「何の心配してんの?」
「……、敵になるのか、味方になるのか聞いてんだ」
「そら味方でしょ。同じクラスなんだし。ただ、またなんかやりすぎだと思ったら文句は言うよ」
暴行制裁まではするつもり無い。今回は上手くいったけど、同じ相手に何度もやりたいものでもない、対応されちゃう気もするし。何より疲れる。少しくらいは俺の言うこと聞くだろうから、たまに文句言うだけで大丈夫だろう。……多分。
「……。あぁ、分かった」
さっきまで謎の液体まみれでぐじゃぐじゃに泣いてた顔で、今でも少し泣いた跡もあるのに、今はもう凛々しい顔に見える。手足が縛られてイモムシ状態なのに……。これだからイケメンはムカつくぜ。
こうして俺は、龍園をボコボコにして対等の関係を勝ち取った。
「龍園翔」
【学 力 】:D
【知 性 】:B
【判断力 】:A
【身体能力】:B
【協調性 】:E-