ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

58 / 139
原作文ちょっと借りるの久しぶり……。


無人島試験、結果発表

DAY 7

LAST DAY

 

「龍園!どこっ!?」

 

キャー!不法侵入よー!!

 

なぜかいきなりテントを開けてきた伊吹の大声で叩き起こされた俺は浅井虎徹です。なんだなんだ、覗きか?このエッチ!

 

ちなみに今日は試験最終日、時間は……朝の5時。早すぎない?まぁ昨日寝たの早かったからいいけどさ……。

 

「なんだ、うるせぇぞ伊吹」

 

「龍園!その、堀北が……居なくなってたんだ。ずっと体調が悪いってテントの中に居たはずなんだけど、今朝確認したら居なかった。探し回っても見つかんなかったし……。多分、リタイアされたんだと思う」

 

マジかよ。じゃあもうDクラスのリーダー分からず、CP50も無理ってことか。あーあ。ちょっと残念。

 

「クク……。次のリーダーは分かったのか?」

 

「……分からない」

 

うーむ、申し訳無さそうな伊吹、真面目だねぇ……。っていうか伊吹を昼間見るのがすっげぇ久しぶりだから少し感慨深い。見た感じは元気そうだ。

 

「伊吹おはよう。男子に襲われたりしなかった?大丈夫?」

 

「別に、無いけど」

 

「着替え覗かれたり、服を盗まれたりとかは?」

 

「……アンタ何言ってんの?」

 

えぇ、なんで引かれるんだよ……。心配しただけじゃい!でも、こういう反応ってことは大丈夫そうだな。

 

「伊吹、お前はもう船に戻っとけ。リタイアしていい」

 

「……チッ」

 

うーむ、悔しそうだね。そりゃまぁ7日間もスパイやって収穫無しだと思えば悲しくもなるか。

 

「これ別に伊吹のせいじゃないでしょ。Dクラスが意外としっかり対策してきてるから、こっち側でどうしようもなかったってだけだよ。気にすんなって」

 

「ふん……」

 

「あと別に、最後の発表の時にCクラスの所に居たら『アイツはスパイだった』ってバレるから、今もう先に帰っちゃった方が良いってだけでしょ。失敗とかじゃないから気にしなくていいよ」

 

「……あっそう」

 

あれぇ?……普通に慰めたつもりなんだけど全然効果が無いぞ。

 

「伊吹、浅井の言う通り、別にお前の失態じゃねぇ。さっさと帰れ」

 

なんだこのロン毛、励ましてるのか冷たくしてるのか分からんやっちゃな。

 

「そうだ、伊吹も黙って消えないで、Dクラスのメンバー、櫛田とかに『保護してくれてありがとう』って言っとけば?そんな感じで出ていったら『龍園と仲が悪い』っていう対立構造も一応残るだろうし」

 

いや分かんないけどさ。色々やりすぎて誰にどれだけバレてそうなのか分からん。

 

「フン、悪くねぇ案だ。そうしとけ伊吹」

 

「……分かったよ」

 

不承不承、嫌々だけどという感じではあるけど、なんか負い目があるのか素直に引き下がって、さっさと歩き去ってしまった伊吹。

 

いやしかし、意外にも今回一番手こずらされた相手はダントツでDクラスだったな……。

 

……まぁいいや、二度寝しよう。

 

 

---------------------------------------

 

 

「オイ、起きろ浅井」

 

「ん……」

 

眠い……。雨にめちゃくちゃ濡れたからちょっと体が冷えたのかもしれない。船に戻ったらめちゃくちゃメシ食って寝ておこう。

 

「そろそろ他クラスのリーダー指名の時間だ。Dクラスへの指名、どうする?」

 

「どうするって……」

 

別に指名してもしなくても、どうせ俺達がSPゼロ終わりなの変わらんでしょうに……。

 

「……まだ寝ぼけてんのか」

 

「あ~……」

 

まだも何も寝起きだぞ。当たり前だろ。

 

「チッ、鈴音がリタイアせず隠れてるだけの可能性もあるだろうが」

 

「はい?……そういやそうだ」

 

なんとなく目が覚めてきた。

 

「まぁいい。確認のためにも、予定通り3クラスのリーダー指名しておくぞ。これでDクラスが徹底して可能な限り動いたかどうか分かるはずだ」

 

「ん、そうだね。よろしく」

 

あと数時間で高級レストランのステーキ食えるっていうのに、パサパサの食料なんて食う気にならん。メシ食わずもうちょい寝ておこう。

 

「フン……」

 

龍園は鼻を鳴らして出て行った。

 

……考えてみると、別に俺に言わなくても良かった話な気もする。けど、なんか気を使ってくれたのかね。そんな訳無いか?

 

 

---------------------------------------

 

 

時刻は正午、二度寝……じゃなくて三度寝して、もったいないから残っていた未開封のペットボトル水を無駄に飲みまくって、尿意を近くの森で発散して環境破壊してきた俺は、みんなと一緒に浜辺の集合場所に居た。

 

『ただいま試験結果の集計をしております。暫くお待ち下さい。既に試験は終了しているため、各自飲み物やお手洗いを希望する場合は休憩所をご利用下さい』

 

わーい、知らん間に用意されてた休憩所。見てみると……スポーツドリンクとか、ジュース系もいくつかあるじゃん。軽食まである、良いねぇ。SP交換対象の在庫処分か?

 

「うぉー!メシだ!」

 

石崎が突っ込むように仮設テントに向かっていく。んはは、馬鹿め。あと30分も我慢したら肉が食い放題だぞ。バーカ。後でからかってやろう。でも、あっ……そのサンドイッチ結構うまそう……。なんだよ、保存が効くものだけじゃないのか。ぐぬぬ、悩むなぁ。

 

しかし、こうやって集合した生徒達を見てみると、初日の試験説明と比べて半分くらい減ってて『めちゃくちゃ過酷なサバイバルだった』感があっていいね……。これを見ると最終日まで頑張って残ってて良かったと思える。

 

まぁ、考えてみると、居ないのは1学年160人中でAクラス全員40人と、Cクラスの30人?いや、伊吹と金田も居ないから32人か。それとB,Cからリタイア居るなら居るで数人か。

 

ちょっと話聞いてみたいけど、俺が顔を知ってるBクラス一之瀬は当然のように生徒たちに囲まれてるし、神崎もその中の1人だ。Dクラスも平田も櫛田もクラスメイトと仲良さそうに話している……。綾小路まで誰かと話してる、友達居たのか。

 

ま、いいや。後で覚えてたら聞いてみよう。

 

あと他クラス、っていうかB,Dを見てた感じ、Cクラスの少人数を見て話題にしてるのもあるけど、「Aクラスなんで居ないの?」みたいな話題が多いっぽい。

 

なんでだろう……。よく分かりませんね。不思議ですねぇ。

 

 

---------------------------------------

 

 

それにしても……、8時くらいにリーダー指名した後、その結果と残りSPを加算するだけでしょうに。運営は何を手こずってんだ?早くしろよなぁ。

 

あと、なぜか他クラスからの視線を感じるような……。龍園の近くに居るからかな?

 

一緒にされるの嫌だし、離れるためにも、俺もちょっとだけ腹に溜まらないような軽いもの食べちゃおう。

 

「……鈴音は居ねぇな」

 

なんだよ評判最悪の不良生徒、離れようと思ったのに……。

 

「まぁ仕方ないんじゃないの」

 

「テメェは……気にならねぇのかよ。あのカス共の、誰に邪魔されたのか」

 

はぁ?

 

「そんなの、最後にSP50残っても残らなくても、Aクラスとの契約があるから収入変わらないじゃん。お前こそ気にしすぎでしょ」

 

「チッ……」

 

「今考えるべきは、船でまず何を食うかだよ。ある意味で出所後の初めてのメシ、どんなものでも食えるんだぞ。それこそ考えるべきだよ」

 

「……。」

 

脳みそを有効活用しろや。俺はこの7日間ずっとポイントゲームについて考えてたから飽きたよ。とにかく帰りたい。

 

 

---------------------------------------

 

 

キィン、と拡声器のスイッチが入る音が聞こえた。そちらを見るとAクラス担任の真嶋が来ていた。ここ数日なんかやることあったのかね?俺のおかげで暇になってバカンス楽しめてたなら感謝して欲しいもんだ。

 

慌てて1年の、当然Cクラスを除いて、ついでに居ないAクラスも除いて、B,Dクラスが慌てて整列しようとしたが、真嶋はそれを手で制止させた。

 

「そのままリラックスしていて構わない。既に試験は終了している。今は夏休みの一部のようなものだ、つかの間ではあるが自由にしていて構わない」

 

うるせぇ、どうでもいいから早く終わらせろや。

 

「この1週間、我々教員はじっくりと君たちの特別試験への取り組みを見させてもらった。真正面から試験に挑んだ者。工夫し試験に挑んだ者。……ルールを最大限利用した者。様々だったが、総じて素晴らしい試験結果だったと思っている。ご苦労だった」

 

男に褒められても嬉しくない。早く結果発表しろよ。俺はステーキかハンバーグかを脳内で10回戦わせた果てに、今回はステーキにすると決めたんだ。良く分からん高そうなソースで半分、ワサビ醤油で半分食うんだ。テメェのどうでもいい演説なんかに時間取られてたまるかアホ。

 

「ではこれより、端的にではあるが特別試験の結果を発表したいと思う」

 

よしよし。まだ何かどうでもいい事言うなら無断で船に帰ろうかとも思い始めてたぞ。

 

「なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し、次の試験へと活かしてもらいたい」

 

なんていうか、メシの前にまず風呂だな……。みんな超汗臭いし、服も生乾きだし、もうこれイジメだよやっぱり。

 

「ではこれより特別試験の順位を発表する。最下位は……同率でAクラスとCクラス、0ポイント」

 

はいはい。分かってたよ。オーケーオーケー。

 

「続いて2位はDクラスの219ポイント、そして1位は……Bクラスの234ポイントだ」

 

ほーん、お見事なんじゃないの?

 

B,Dクラスは歓声を上げて大喜びしてる。……めっちゃ笑顔で俺も喜びながら混じったら一之瀬や櫛田と抱き合ったり出来るかな?しまった、あらかじめ近付いておくべきだった。

 

それにしても、BもDも俺が持っていったAクラスのリーダー情報を信じて指名してくれたって訳か。これで少しは信頼を稼げたかな。

 

「フン……。仕方ねぇな……」

 

面白くなさそうな龍園、割と予想通りでしょうが。

 

いやもう、結果すら俺にはどうでもいいんだよ。

 

そんなことより、風呂だ!メシだ!肉だ肉だ肉だ!!!!!

 

「うぉおおおお!!!!!!」

 

喜び合ってるBクラスとDクラスの歓声に負けないくらいの大声を出しながら、俺は船に突撃していった。

 

俺、良く頑張った!無人島生活、お疲れ様でした!!




31日の更新はお休みです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。