こんにちは、ここ数日は高級店での暴飲暴食を繰り返し、そしてジム施設でのアルベルトとの筋トレをしまくっていた俺は浅井虎徹です。
アルベルトにサポートされての筋トレ、ベンチプレスとかは安心感が半端じゃなかったね……。限界重量プラス20kgくらいでも確実に助けてもらえる感。限界のその向こう側まで鍛え抜ける充実感。楽しかった。
なぜか運動部みたいな生活をしているけど、『すべてが無料』のサービス期間では最善策と言えるでしょ。学校に帰ったらメシ食うのにも金がかかるからね、今のうちにタンパク質を大量摂取するのだ。
アルベルトも7日間サバイバルで減った筋肉を取り戻すべく、死ぬほど食って死ぬほどトレーニングしてるし、それを見た石崎とかも参加するようになった。龍園も一緒になったりするし、なんかめちゃくちゃ体育会系だな俺達。
もし特別試験が『大食い勝負』とかになったら、割とマジで俺達かなり勝てると思う。アルベルトは下手したら5人前以上食ってる。
ちなみに筋トレ仲間達で筋肉パワーランキングを作るとしたら、
1位 アルベルト
2位 龍園
3位 近藤
4位 石崎
5位 小宮
6位 俺
7位 伊吹
こんな感じかな。
アルベルトに関して言うと、ベンチプレスMAXで110kgとか、フルスクワットで150kgとか、絶対に高校1年生レベルじゃないだろっていう……。これでも本人いわく無人島生活でちょっと落ちてるとかなんとか。訳分からん。絶対に喧嘩したくない相手だ。
他のメンバーにしても、運動部だからか誰も彼もが俺より筋肉あった。いや別に俺も運動能力に自信ある方じゃなかったけど、流石にここまで負けるとは思わなかったね……。
俺も握力だけは家で言われてた通りチマチマ鍛えてたけど、せっかくだし全身筋肉もつけていこう。半裸になったアルベルトの上半身、筋肉を見て、触らせてもらってたらちょっと憧れちゃったよ。あれはヤバい。
そういや1回だけ来た伊吹にまで負けそうになった時は本当に焦った……。女に負けるのは流石に嫌だな、しっかり鍛えよう……。
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メシ屋とトレーニングルームばっかり行ってる俺達だけど、他に使った施設は屋内にある50Mプールくらいだ。なんでカジノが無いんですかねぇ!?
明らかにカジノルームと思わしき大部屋はあったけれど、立ち入り禁止になっていた。ふざけるな。豪華客船でカジノをやらずに何をしろっていうんだよ?もう筋トレするしかないじゃん……。
ちょっとだけ屋外プールでキャッキャ楽しむ女子を眺めにも行ったんだけど、いや悪くなかったけど、海風がありすぎてボール遊びとか出来そうになかったし、泳ぎまくるような環境でもなかった。
プールサイドでセレブっぽく日光浴をしてるやつらも居たけど、俺はそういう気分にもなれなかったな。無人島で死ぬほど紫外線は浴びたし、もう既にめちゃくちゃ日焼けしてるから絶対いらないでしょ。まだ日焼けしたがってるやつ頭おかしいと思う。何になるつもりなんだよ?
なんにせよ、まだ船旅は続くっぽいし、しばらくはジムというかトレーニングルームにばっか行く日々が続きそうかな。
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「そうだ虎徹、忘れてた。これお前のやつだろ?」
客室でのんびりしていると、同部屋の石崎が荷物袋を渡してきた。うん、確かに俺のだ。回収してくれてたのか。
「ん、ありがと」
中身を恐る恐る見てみたら……洗濯してくれたっぽい。マジかよ、ありがてぇ。
「タオルとかは洗濯した後、男子にはそれぞれの枚数を返したんだけど、女子には新しいやつを買えるようにppで返すってさ」
「ふーん。……え、もしかして龍園の指示?」
「あぁ。龍園さんがそう言ってた」
女子に配慮する龍園、意外だ。でもまぁ小銭をケチって無駄な反感を買うよりは、ってことかね。
「……あっ!!」
荷物袋の中を確認していたら入っていた貝殻を見て、やっと思い出した。あれだけ集めた貝殻を完璧に忘れてた……。追加でもっと取りに行くのも忘れてたし、持って帰ってくるのも忘れてた。くぁー、泣きそうだよ。
「どした?」
「……貝殻、忘れてた」
「あー、そういや集めてたな……。元気出せよ」
「ちくしょ~~~」
せっかく綺麗なやつ見つけまくったのに……。無駄にしちゃったよ。無人島試験のSPゼロより悲しい。俺の小銭稼ぎプランが……。
「そういや龍園さんはデジカメ回収してたぞ」
だからなんやねん。関係ないっての。
無人島試験、あまりにも帰りたさすぎて持ち帰る荷物のチェックを忘れてたのは反省点だ……。
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他にも何か忘れてないか考えてたけど、櫛田に渡したボイスレコーダーを返してもらってなかったことも思い出した。
ちなみに帽子とサングラスはちゃんと荷物袋に入れてあった、これを回収してくれたのも石崎かな?助かった。俺にとっての『夏の思い出』だし、気に入ってるし。
ボイスレコーダーに関しては、櫛田に何という文面のチャットを送ろうか悩ましい。
しっかりフラれてる相手だから、モーションかけてると思われたくはない。実際にもう無理、何を言っても無駄な気もするし。
かといって大人数の中で出す話題でもないから、出来たら2人きりで話し合いたい。でもそうやって『2人きりで会いたい』って言って「無理だって言ってるじゃん」と無意味に再度フラれることになるのも嫌だ。心が折れてしまう。
でも船に居る間に伝えて返してもらいたい。けど、そもそも今ちゃんと持ってるのかな?島に残してきちゃってる可能性もあるなぁ……。
なんて悩んでいたら、いきなりスマホが「キーン!」と大音量で鳴った。は?なに?地震?聞き覚えのない音にちょっとビビったぞ。
見てみると、なんか学校側からの緊急メールのようだ。普段から予定とか月1で送られてきたりはするアドレスっぽいけど、なんか特別なメールっぽい。それにしても緊急アラートを鳴らすほどか?最悪のスパムメールっぽいぞ。
意味の分からんメールに戸惑っていると、船内アナウンスが鳴った。
『生徒の皆さんにご連絡いたします。先ほどすべての生徒宛に学校からの連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自携帯を確認し、その指示に従ってください。また、メールが届いていない場合には、お手数ですがお近くの教員まで申し出てください。非常に重要な内容となっておりますので、確認漏れのないようお願い致します。繰り返します、』
あー、これもうアレだ……特別試験だろうな。龍園があるって言うてたし。
夕方過ぎてる時間だし、流石に今から新しい無人島って事はないでしょ。船の中でやるっぽいな。試験は面倒だけど、それは良かった。
メールの文面を確認してみると、次のことが書かれていた。
『間もなく特別試験を開始致します。』
やっぱりね、と。逆に試験でもないのに緊急性あるメッセージなら、さっさと船内アナウンスで避難させろって話になるもんな。
『各自指定された部屋に、指定された時間に集合して下さい。10分以上の遅刻をした者にはペナルティを科す場合があります。』
遅刻でペナルティか、まぁ流石の俺でも特別試験にサボるってことはないよ。多分。
『本日20時40分までに2階201号室に集合して下さい。所要時間は20分ほどですので、お手洗いなど済ませた上、携帯をマナーモードか電源をオフにしてお越し下さい』
うわ、あと3時間以上あるじゃん……。めんどくっさ。
あと、こんな時間に始めるのには何か理由あるのかね。あえて夜の脳みそ動いてない時間帯に、とか?
おっと、龍園からチャットが来た。なになに……『俺に個別チャットで自分の集合場所と集合時間を送れ。グループには投稿するな』とのこと。あー、グループチャットで言わせないのは秘密保持のためだろうな。
こういう行動の早さは流石だし、俺も別に文句無いから素直に送っておこう。
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客室に帰ってきた龍園がスマホをいじりまくってるのを横目に、俺は櫛田にチャットを送っていた。『ボイスレコーダー持ってたら返して~』っと……。
「おい浅井、分かってんだろうな」
は?
「何を?」
「……次の試験に決まってんだろ」
「あー、はいはい」
分かってるも何も、まだ何も聞いてないのに分かるわけねーじゃん。
「チッ……」
不満そうな龍園はまたスマホをいじりだし、……あ、グループに新規メッセージ。龍園から『18時組は終わったら俺の部屋に直接報告しに来い』だとさ。
「そういや龍園は何時だった?」
「20時40分、そして201号室。お前と同じだ」
「えぇ~……」
もうこの夏の龍園成分はこれ以上いらない、過剰摂取だよ……。
「報告を見てるが、18時から20分刻みで21時40分まで3,4人ずつ呼び出されてる」
「ふーん……」
いやはや、俺達の20:40でもめっちゃ遅いのに22時近くまでやるのかよ。運営側もすげぇ大変だな……。
「初日で何か決まるとは思えねぇが、手を抜くつもりはねぇ」
なんかすげぇやる気っすね。少しは聞いておくか。
「時間と部屋って何パターンくらいあったの?」
「12パターンだ。……メンバーは今の所、男女混合で規則性は無いように見える。恐らく、それぞれのグループで他クラスと混ざったメンバーになるってことだろうな」
なぬ?男女混合で、他クラスと混ざる??
まさか、それはもう、いわゆる『合コン』ってやつじゃんか!マジかよ!
他クラス女子と仲良くなる機会なんて滅多に無いし、クラスメイトの女子と仲良くなる機会も意外と少ない。無人島試験ではCクラスの女子みんなすぐ消えちゃったしね。
櫛田とは仲良くなれたけど、あれは相手側の社交性が半端じゃないだけであって俺から頑張った感は無い。ついでにめっちゃ良い雰囲気でフラれてるから望み薄いし、ここらで普通の子とも仲良くなっておきたい。
学校の上層部は変態オヤジだらけと思われるだけあって、この学校の女子はレベルの高い可愛い子ばっかりだ。最高すぎる。
うぉぉ……、超やる気出てきた。めちゃくちゃ元気出てきた。
「龍園!がんばるぞ!!」
「は?……なんだいきなり。テメェ、また何か余計なこと考えてるだろ」
可愛い子と仲良くなったるでぇ!