ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

61 / 139
試験前のルール説明で干支グループのメンバー顔合わせしてると思っていたんですが、間違ってました。対面は部屋に入る前にしていて、呼び出された時はそれぞれの部屋でクラスごとでした。

勘違いしてました、すみません。なぜか20:40の竜グループがラストだと思っちゃってたんですよね……。

つまり、1つの時間帯で4クラスそれぞれに説明されてることになりそうです。

18時スタートで20:40の回もあるということは、次のタイムスケジュールっぽいです。

18:00,18:20,18:40
19:00,19:20,19:40
20:00,20:20,20:40
21:00,21:20,21:40

以上の12回とします。

そのため、前話の終盤を少し修正しました。


干支試験

こんばんは……。期待を大きく裏切られた可哀想な男子生徒の俺は浅井虎徹です……。

 

女の子と仲良くなる大チャンスだったのに、次の特別試験でチームになったのは俺、龍園、そして無人島で一緒だった鈴木、さらに園田とかいう男子の4人メンバー。

 

Cクラス生徒は全員が男、ふざけんな……。

 

なんで無人島で男だけの生活だったのに、男だけの4人部屋で生活させられ、そしてなんで次の試験でも男子だけなんだよ。ぶち殺すぞ坂上。あのヒョロヒョロメガネ野郎……。

 

「ふーっ……」

 

落ち着こう、深呼吸だ。まだ他クラスが居る。諦めちゃダメだ。

 

でもせめて伊吹は居て欲しかったなぁ……。

 

 

---------------------------------------

 

 

龍園に呼び出されたクラスメイト達、試験の説明として何を聞かされたのかを言わされているクラスメイト達を眺めていたけど……いやはや、なんかめんどくさい試験っぽいね。

 

時刻は現在、20時過ぎ。先に説明を受けた奴らが続々と説明しに来てたけど、何度も何度も聞いてたら飽きてきちゃったよ。なんとなくメモした後はスマホいじってた。

 

Cクラスのルールがまだ不安なヤツは違うヤツに補足してもらったり、残って次に来たヤツの説明を聞いてたり、自信があるヤツは残って説明の補足してたり……。助け合ってるから良いことだとは思うんだけど、この部屋でやると人が多すぎるんだよ。10人くらい居て暑苦しい。

 

とりあえず、試験はめっちゃ簡単に言うと『人狼ゲーム簡易版』らしい。

 

ただ人狼ゲームほど役割は無く、ただ1人だけが『優待者』になって、他クラスはその『優待者』を見つけ出そう、っていう試験とのこと。

 

うーん、人狼ゲームの方が面白そうかな……。人狼はどういう役割の時でも「アイツが狼だ!」とか適当に言いまくることで、相手がどういう反応をするか見れたり、場を掻き回せる楽しいゲームだ。ただし、そういう余計なことを言いまくってると、ホントに村人だった時でもすぐ吊るされちゃうし、迷ったらとりあえず吊るされちゃう存在にもなっちゃう。

 

なんにせよ、『狼』のような『優待者』という存在を探し当てようとするのには変わりないっぽい。

 

他クラスの優待者を見抜いて指摘するか、自クラスの優待者を隠し通すか。

 

ただ、それだけでは純粋なクラス対抗戦になるけど、試験としては『全員勝ち』も用意されていているらしい。その場合は他クラスと協力が必須の仕組み、そしてこのパターンの報酬が意外とめちゃ美味しい。なんと1人あたり50万の支給!うぉー!!

 

まとめると、結果は次の4パターン。

 

【結果1】

試験終了後の指名時間に、『優待生』所属クラス以外の全員が『優待生』の指名に成功

(報酬)全員に50万pp、『優待生』にはさらに50万pp

 

【結果2】

試験終了後の指名時間に、『優待生』所属クラス以外の誰かが『優待生』の指名に失敗

(報酬)『優待生』にだけ50万pp

 

【結果3】

試験終了前に『優待生』以外が『優待生』の指名に成功

(CP)指名された『優待生』の所属クラスはCP50マイナス

(CP)指名した生徒の所属クラスはCP50プラス

(報酬)指名に成功した生徒個人に50万pp

 

【結果4】

試験終了前に『優待生』以外が『優待生』の指名に失敗

(CP)指名された『優待生』の所属クラスはCP50プラス

(CP)指名した生徒の所属クラスはCP50マイナス

(報酬)『優待生』個人に50万pp

 

試験は4日間で、終了後の21:30~22:00という30分間だけが正式な指名時間。

 

その指名時間になる前、試験終了前にも『優待生』の指名メールを送ることが出来て、その場合は結果3か4になる。そしてその場合は、結果が出た時点でそのグループの試験は終了。

 

一応、ルールとして『優待生』と同クラスが指名メールを送った場合も想定してて、その時は正解しても間違ってても答えを無効……らしい。けどまぁ忘れてもいいでしょ、誰がやるんだよそれ。何の意味もない……。

 

うーん、俺もこの後で説明受けるんだけど、なんか行くのサボりたくなってきちゃったな。

 

個人的には、ダントツで結果1がいいかな。

 

仮に結果3と結果4で全勝したとしても、12グループで最大CP600増加。

 

それと比べて全グループで結果1なら、40人それぞれに50万ppなので合計2000万pp。そして優待生は恐らく3人なので追加で150万で、合計2150万pp。

 

CP600は1人あたり月々6万ppになり、つまりは1クラス40人で全体で240万pp。1年間で2880万ppか。

 

……こうやって見ると、確かにCP600の方が欲しいかもしれんね。

 

でも、学校側から見たら『全生徒に50万pp&優待生12人に50万ppずつ(合計8600万pp)』もしくは『優待生もしくは指名成功者の合計12人に50万ppずつ(合計600万pp)』なんだよね。

 

これまた『みんなで幸せになろうよPart.2』ってことで成功しないかな。面倒な試験やらせてくる恨みで学校側から8000万貪り取ってやりたいね……。

 

学校側からしたらCP変動なんてどうでもいいだろうし、毎月の支払いもCP変わってもに『プラマイゼロ』って感じだろうからね。無人島での俺達CクラスみたいにCPゼロでもいいってDクラスが言い出したら、そりゃ全体的にはプラスのほうが大きくなるだろうけど。

 

なんか話し合いしろとか言ってたし、そういうのちゃんと説得しろ的な試験なのかもね。

 

 

---------------------------------------

 

 

やっと時刻は20時半前、20:40の指定時刻までもう少しだ。

 

「龍園、はよ行こうよ」

 

あんまり遅刻したくないからつい声をかけたけれど、部屋に残っていた他の奴らに変な目で見られてしまう。いやまぁ、そうか呼び捨てしてるの俺と伊吹くらいだもんな……。説明めんどくせぇな。

 

「フン、数分遅れた所で何のペナルティも無いだろが」

 

そうかもしれないけどさぁ……。

 

「じゃあ俺だけ先に行ってるよ」

 

「……勝手にしろ」

 

考えてみたら一緒に行って仲良しだと思われるのも嬉しくないな。良い判断かもしれない。

 

さーって、どんな子が来るかな~!

 

1クラス3,4人ずつ選ばれるから、1グループは13人前後になる。A,B,Dの3クラスから女子9人来るといいな。頼むぞ真嶋!ビッチ疑惑のある星乃宮!そしてポンコツ茶柱!

 

 

---------------------------------------

 

 

指定された部屋の近くに来たけれど、偵察部隊がすげぇ居る。廊下のそこら中に居るやんけ。あんまり見分けが出来るわけじゃないけど全クラスから来そう。まぁメンバー把握は重要だよね。

 

龍園に指示されて待機してるCクラスのヤツには軽く「おっす」なんて声をかけながら部屋の近くに来ると、なんかもう議論?言い合い?口喧嘩?をしてる奴らが居た。元気だねぇ……まだ試験が始まる前の説明会の前だぞ。気が早すぎるだろ。

 

そのメンバーは、あぁ……遠くからそんな気はしてたけど、Aクラスのハゲ。そしてもう1人はDクラスの誇るクズ、堀北じゃんか。ハズレすぎるだろ、唯一いらない女子だぞ。なんで女子80人の中から1を引き当てたんだ俺は、1.25%だぞ……。嫌な強運すぎる。

 

なんとなく、見つかったら声かけられちゃいそうだし、人影に隠れながら盗み聞きしてみよう。Cクラスのあんまり話してないやつの後ろに隠れて、一緒にちょっとだけ近付いてもらう。

 

「別にアナタに褒められる事ではないわ。……それより、どうしてAクラスは失格になっているのかしら?」

 

えーっと、櫛田から堀北にはボイスレコーダーの録音を聞かせてないっぽいかな。確かにまぁ、櫛田が説得すればリーダー指名の1人くらい簡単に決めさせてそうなもんだ。

 

「……黙秘させてもらおう」

 

おぉ、苦々しい顔をする葛城。まだ弥彦を擁護してるのかな?優しいねぇ。

 

「きっとCクラスが関わってるんでしょうけどね」

 

は?決めつけんなよ。失礼なやつめ。

 

「……そんなことより堀北、無人島試験での最終結果にはDクラスの影響が少なからず入っているだろう。お前の発案なのか?」

 

「答える義務は無いわ」

 

「そうか……まぁいい。正直Dクラスのことを舐めていたのだが、結果を見て少し見直した。これから対決することになれば、容赦なくAクラスは君たちを叩くことにしよう」

 

「私達を気にするのも良いけれど、AクラスはBクラスのことを気にするべきなんじゃなないかしら?Dクラスなんかを気にしてると、Aクラスじゃなくなるわよ。あまり上から目線で余裕そうにしてる場合じゃないんじゃないの?」

 

そりゃまぁそうかもね。ただ、具体的にCP差ってどれくらいだっけ……?

 

学生証端末で確認してみると、

 

Aクラス:CP1004

Bクラス:CP897

Cクラス:CP512

Dクラス:CP306

 

おぉ、AとBの差は107だけ、すごい接戦だなこれ。今回の試験で簡単にひっくり返りそうだ。

 

「……浅井か」

 

ん!?スマホから顔を上げるとハゲが俺に気付いてしまっていた。うーん、もうちょっと盗み聞きしてたかったんだけどな。まぁいいか。

 

「おいっす、おハゲ~」

 

「……。」

 

なぜか堀北は黙り込んでしまった。おいおい俺にも挑発しろや。お前が相手だったら心優しい俺だけど喧嘩買ってやってもいいぞ。

 

「お前も20時40分に呼び出されたのか?」

 

「そうだよー。あれ?なんでそんなに嫌そうなのさ」

 

「お前は……俺達に何をしたのか忘れたとでも?」

 

はい?忘れてはいないけど、まだ恨みに思ってんの?器の小さい男だ。

 

「覚えてるけど、龍園の指示なんだから俺じゃなくて龍園を恨めっての」

 

「ふん……。疑わしいものだ」

 

すぐ信じ込まないのは偉いけど、めんどくっさ。

 

そんなことより、こんなハゲより、後ろの女子2人だ。堀北は1人ぼっちだから、多分Aクラスだ。片方は坂柳との勉強会で見たことある気がする。2人とも静かにこちらの様子を見ていたが、なんとなく目に力がある賢そうな雰囲気だ。オマケに居る男子もバカではなさそうな雰囲気。

 

「浅井、お前もこの時間なのか?」

 

ん?神崎がやって来た。Bクラスの誇るイケメンを見たら、その横には……

 

「こんばんは、浅井くん。同じグループだね!」

 

よっしゃー!!!そこに居たのは大天使一之瀬だ。最高のアタリ!大吉!

 

「おっす!神崎と一之瀬、ともう1人!よろしく!」

 

見逃しかけたけど、2人の少し後ろには大人しそうな女子が1人居た。

 

やっぱBクラス大好き。男子ゼロってのは無理だと俺でも分かってるけど、数少ない友人であり、唯一居たら嬉しいかもしれない男子でもある神崎を呼んでくれて、文句が出るはずもない俺達の誇るカリスマ大天使の一之瀬だぞ。そしてもう1人も女の子。Bクラスに入れてくれ、頼む。

 

初対面のBクラスの子になんて声をかけようかな……と考えていたら、やけに大きな足音を鳴らす迷惑生徒。Cクラスの誇る暴君がやってきた。遅刻するなら遅刻しろよアホ、タイミング悪いなぁ。

 

「クク。随分とザコが群れてるじゃねぇか。俺も見学させてくれよ」

 

ちょっと久しぶりだけど、本当に挑発してる時の龍園って本当に楽しそうだ。迷惑なやつ。

 

考えてみると俺に対してはだいたい不機嫌そうだから、他クラスとか関わってる時の方が楽しいのかもしれない。だったら仲良くしろよと思わなくもないけど。

 

「……龍園か」

 

俺に向けたのと同じような顔を龍園に向ける葛城。いやいやいや、俺に見せた顔よりもっと憎しみに溢れた顔になれよハゲ。

 

「龍園くんもこの時間に招集されたの?それとも、偶然?」

 

あーあー、基本的に常に笑顔の一之瀬からも笑顔が消えちゃったじゃないか。有害物質みたいな存在だな。

 

「残念なことに、お前らと同じ時間のようだな」

 

「……そうだね」

 

この一之瀬の「そうだね」は、『残念』に対してなのか『同じ時間』に対してなのか。……前者だろうなぁ。

 

「これから見世物でもしてくれんのか?美女と野獣ってタイトルでどうだよ」

 

堀北と葛城に対して挑発するように言って、ケラケラと小さく笑う龍園。そんなに面白くねーぞ。俺がタイトルを付けるとしたら『クズとハゲ』かな。

 

「ひとつだけ分かったことがある。この組は学力の高い生徒が集められていると思っていたが、お前を見る限りそうではないのかもしれないな」

 

学力選抜だったら、ウチのクラスなら金田と、あと椎名も居ないとおかしいもんね。ついでに俺が選ばれてるのもおかしい。俺を見た時点で気付けよハゲ。馬鹿なのか?

 

「学力だ?くだらねーな。そんなものには何の価値もない」

 

俺らのリーダーの方が馬鹿だったよ、ごめんねハゲ。なんだよその馬鹿の極みとしか思えない答え。頭いかれてんな。高校で勉強しなかったら運動部と恋愛しか残らんでしょ、俺でもそこまで極端なこと考えてねぇぞ。どれだけバカなんだよ龍園。

 

「それこそ残念な発言だ。学業の出来不出来は将来を左右する最も大切な要素だ。日本が学歴社会と言われていることは知っているはずだが?」

 

まぁそうね、ちゃんと大学行くなら学力ゼロって訳にはいかないでしょ。高卒で働くならともかく。

 

「クク……良い子ちゃんは死ぬまでお勉強でもしてな」

 

楽しそうに挑発しまくる龍園。お前はもうちょい勉強しろよ。

 

「……俺はお前らの非道さを許すつもりはない」

 

そう言いながら俺の方もチラ見してくるハゲ、失礼なヤツだぜ。龍園発案だって言ってんだろうが。

 

「あ?非道さ?一体なんのことだよ。身に覚えがねーな、具体的に教えてくれよ」

 

「……まあいい。今回同じグループになったようだから、ゆっくり話す時間もあるだろう」

 

それにしても、なんでこんなにバチバチにやりあってんだよ。アホくさ。

 

俺はもうちょい仲良く、のんびりしたグループが良かったな……。

 

そんな事を思っていたら、うわっ、いつの間にか櫛田まで来ていた。嬉しいけど嬉しくないな……。

 

ついでに平田も居る。あと、あれ?綾小路も?……あ、いや、様子を見に来てただけっぽいな。客室の方に戻っていった。

 

しかしマジでどうなってんだよ、このグループ……。葛城、一之瀬、神崎、櫛田、平田、堀北、龍園。なんか知ってる顔が多すぎるのはクソつまんねぇな……。

 

もしかして、各クラスの優秀っぽいヤツばっかり集めたのか?

 

だとしたら俺が選ばれたのちょっと複雑だよ。感情としては『困惑5、嬉しさ1、面倒くささ4』くらいかな。無人島試験でちょっと目立ちすぎたのかもしれない、本来だったらまず選ばれてないでしょ。

 

まぁ、選ばれちゃったからには仕方ないのか……。なんかルールで『メンバー変更は一切受け付けない』とかなんとか言ってたらしいし、これから4日間やるしかないな。

 

さて、時間だ。試験の説明会が始まる。

 

もう既に何度も何度も説明を聞いてる変な状況だけど、直接聞くのは1度だけだし、流石にちゃんと集中しておこう。

 

……ってかまだ説明会も始まってないのかよ!




SF人狼系シュミレーションアドベンチャーゲーム、GNOSIA(グノーシア)をやろう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。