ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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現時点での原作とのCP比較。
(多少のズレはあるかも)

【原作】
A:1124
B:803
C:492
D:312

【邪室】
A:1004
B:897
C:512
D:306


死の組

こんにちは、割と優秀な人間が集められた高校で、その中でも代表的なリーダー格ばかりが集められた魔のグループに紛れ込んでしまった可哀想な一般人の俺は浅井虎徹です。

 

『寅』グループ……じゃなくて『辰』グループの代表的な生徒は、以下の通り。

 

Aクラスから葛城、

Bクラスから一之瀬、神崎

Cクラスから龍園

Dクラスから櫛田、平田、ついでに堀北

 

なにこのメンバー、おかしいでしょ……。サッカーとかで言う『死の組』みたいな状況になってる、ワールドカップだったら『ドイツ、フランス、ブラジル、スペイン』って感じかも。アホすぎるだろ。

 

バランスを考えろバランスを!

 

 

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「それじゃあ、自己紹介も終わって……何か話したいことがある人は居るかな?」

 

自然と司会みたいな回し役になってる一之瀬が優しく語りかける。このメンツの中で、緊張感のある空気でも笑顔で仲良くやろうとしてるのマジですげーな。天使だ。

 

「では俺から話させてもらおう。良いな?一之瀬」

 

ハゲが緊張してない堂々とした様子で立ち上がった、誰も立ってくれなんて言ってないのにね。しっかり自己主張も忘れずに、ってことなのかもしれない。

 

「うんっ!もちろんだよ葛城くん」

 

「そうか。……まず、俺達Aクラスは、今回の試験で『結果2』を目指そうと思っている。報酬としては『優待者のみが50万ppを受け取る』というものだ。ゆえに、全グループのAクラス生徒は、初日の自己紹介を除き、すべての話し合いに参加しない」

 

結果2、なんだっけ……。結果1では『全員が優待者を正しく指名する』だったから、確か『誰かが優待者の指名を間違える』だったかな。

 

それにしてもいきなり『参加しない!』宣言かよ。Cクラスが無人島試験でやった『試験潰し』っぽいことしたくなったのかね?

 

「それは認められないわ。理由は2つ、言わせてもらうわよ?」

 

お、なんか堀北が元気に声を上げ始めた。意外にもムカつかない、他人を見下しまくるゴミカスな感じが無いからかも。性格が治ったのか?そんな訳ないか。

 

「是非言ってくれ、堀北」

 

「ではまず、『優待者』の存在が全クラスに等しく3人ずつという保証は無いでしょう。もし1つのクラスばかりに『優待者』になった生徒が集中していた場合、受け取れる報酬が大きく偏ることになるわ」

 

そういえば優待者の数って言われてなかったか……。なんか勝手に1クラス3人ずつだと思ってた。

 

「ふむ。その点に関しては、学校側から行われた試験の説明で『学校側が厳正に選出した』と言っていた事実や、注意点でも『優待者の辞退や交代は認められない』としてあった。さらに公平性を嫌というほど強調していたことからも、優待者の数は偏りが無いと考えて良いと思うが」

 

「……今回の試験でも、クラス間では平等であるはずだと言いたいのね?」

 

「現に、無人島試験でもスタート時点での差は無かった。平等な試験だっただろう。生徒1人が参加出来ずに、その分が最初に減点されたように」

 

んー、確かに4月の『良い子ちゃんクラス競争』みたいな減点祭りでも、無人島試験でも、公平な試験だったと言えるかもしれない。

 

……だからといって今回もそうなる保証があるのかは知らんけど。

 

「まぁ、とりあえず『優待者』の数が全クラス等しく、3人ずつである可能性が高いというのは認めるわ」

 

「そうか」

 

「けれど私は受け入れられない。……その結果2で得をするのは、上位クラスだけよ」

 

得するのは上位だけ?あれ?等しくppもらえるでしょ?

 

「……。」

 

なぜか黙り込むハゲ、いやいやどういうことだ?分からん。

 

ついでに堀北の中で上位クラスってどういう区分なんだろうか……。CPは上から1000,900,500,300くらいだったし、AとBのこと言ってんのかね?

 

 

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「あなた達Aクラスと、Bクラス。この2つのクラスは現状のCPで優位を確保してるからプライベートポイントだけを得るという結果も許せるんでしょうけど、それ以外の……少なくともDクラスはそれを許容できないわ」

 

あー、なるほど、そりゃまぁそうか。忘れかけてたけどCPを増やすチャンスでもある訳だし。

 

途中で堀北が龍園のことをチラッと見たのは、同じく弱者側に近いはずのCクラスの本心が分からないからってことだろう。俺も分からん。何を考えてるんだろうね。

 

「ふむ……。ちなみに一之瀬はBクラスを代表してどう思っている?」

 

あ、ハゲこれ逃げた?

 

「そうだね……。私達も確かにCPが多くて、結果2だったとしても困らないけれど、それでも、やっぱりAクラスの『優待者』を指名出来る機会があるなら逃したくないとも思うよ。みんなでAクラスになりたいし、こうやって大きく挽回出来る可能性がある試験がいくつあるのか分からないもの」

 

へぇ~、意外と好戦的というか、勝つぞ精神みたいなのあるのか一之瀬。予想外の顔を見た気分だ。

 

「そうか。……では堀北、仮にAクラス以外と手を組み、俺達の中に『優待者』が居ると判明した所で、その後に残るのはAクラスとなったBクラスだが……その時お前はどうするつもりだ?」

 

なんかややこしいなぁ、もう。仮にAクラスに優待者が居て、誰かが指名したらCP50の変動、Aクラスは確かにBクラス落ちするのかもね。

 

CP順位でクラスが決まるってのは良いけど、それはそれとしてABCD以外の呼称を用意しておくべきだろうに。真嶋クラス、星乃宮クラス、坂上クラス、茶柱クラスみたいな担任の名前でもいいからさ。

 

もしかしたらレイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリン、アズカバンの呼称が広まるかもしれないね。分かりやすいし。

 

「……。」

 

堀北は複雑な心境なんだろうか、黙り込んでしまった。Aクラスを倒したいし、そのためにはBクラスと手を組んでもいい。けどBクラスがCPを伸ばしたら、それまた困る。今のAクラスより遠い存在になってしまうかもしれない……って所なのかね。

 

 

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なんとなく沈黙が続いた所で、一之瀬が龍園に話を振った。

 

「龍園くんはどう思ってるのかな?聞かせてもらえる?」

 

「クク……ザコ共がギャーギャー楽しそうにしてるみたいだが、なんもねぇよ。勝手にしな」

 

は?なんもないんかい。だったらザコはてめぇだろアホ。

 

「それじゃあ……浅井くんは何かある?」

 

「え?俺?」

 

まさかの俺かよ。当然だけど全員から視線が集まり……ちょっと恥ずかしいな。何も用意してないよ。

 

「オイ、余計なこと言うなよ浅井」

 

龍園から注意されるけど、別に『優待者が誰か』みたいなの知らないんだから言いようが無くないか……?

 

「えーっと、俺達Cクラスは全部この龍園が決めてるから、俺が何か言っても意味無いけど……」

 

「それでも、何か意見あったら聞かせて欲しいな」

 

うーん、抜群の美少女にそう言われちゃったら、言うしかないね。

 

ただ、言っちゃダメな事は……龍園がもう既にクラス全員のスマホを確認済みで、『優待者』が誰かを既に確認しているってことかね。それは流石に言わないよう気をつけておこう。

 

「とりえあず、俺個人としては全グループで結果1になって欲しいよ」

 

「えっと、それはポイントを沢山欲しいから……っていうこと?」

 

あ、なんか金欲だけの男みたいに思われたか?割と真面目な考えなのに……。一之瀬に失望されるのは少し心苦しいし、ちゃんと説明しておこうか。

 

 

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「とりあえず、クラス競争のことは置いといて、『学校側』と『生徒側』っていう視点で考えてみようよ。そうなるとさ、全グループで結果2,結果3,結果4のどれだったとしても、『優待者』もしくは『優待者を見抜いて指摘した人』だけに50万ppだけじゃん?これはしょぼい。だったら圧倒的に稼げる結果1がベストでしょ。作戦名は『所得倍増計画』にしよう」

 

結果2,3,4で学校側が生徒に払う総額は、50万ppを12人分で総額600万ppだけだ。

 

それに対して、結果1では全生徒に50万ppを払い、さらに優待者に50万ppずつ払う。

 

50万pp × 160人 + 50万pp × 12人 = 8600万pp

 

差額が8000万ppだよ。4クラスで平等に2000万ずつ入るんだし、協力するに値する金額でしょうに。

 

……あ、いや、坂柳は居ないんだっけ。それだったら総額7950万の差になるのかな?

 

「それは……例えそうだったとしても、裏切りの可能性がある以上は無理だ」

 

ハゲがなぜか嫌そうに言う。

 

「めんどくさい試験やってるんだし、それくらいの報酬あっても良いんじゃないかと思うけどね。1人50万、流石に嬉しいでしょ。そのためなら信頼し合って協力して良いと思うけどね」

 

もしかしたらCクラスでは龍園がすべて徴収するかもしれないけど。俺は絶対に渡さないけど。

 

「私達も、ちょっと……うん。試験の最終回までに『優待者』が誰かを共有しなくちゃいけなくて、そこで裏切り者が出ないと信じるのは、ちょっと難しいかな……」

 

一之瀬ですら否定的なんかい。んも~。

 

「Dクラスも拒否させてもらうわ。……ちなみに、Cクラスが一番裏切りそうに思えるわ」

 

は?このアマ……。そもそもテメェがDクラスの代表みたいな顔してんじゃねーよボケ。

 

……そういえば平田も櫛田もそんなに発言しようとしないのね。目立たないようにしてんのかな?

 

優秀な人間が多いし、堀北も前に出ようとしまくってるから意味無いとか思ったのかも。あんまり競い合おうとするようなタイプじゃないのかもしれない。もしくは人間観察しておけばいいや的に思ってる龍園や俺みたいなタイプなのかもしれないね。

 

「クク……そんな夢物語が実現するわけねぇだろ。バカか?」

 

「は!?この野郎……」

 

超絶ムカつくな。大金のために協力を呼びかけてる平和の使者である俺になんてことを言うんだ……。このカスボケェ……。

 

なんか、何が何でも結果1にしたくなってきたぞ……。

 

割と真剣に考え始めた俺をよそに、話し合いは『結果2にしたい消極的なAクラス』と『Aクラスの優待者指名を諦められないBクラス』と『何も言わないCクラス』と『協力してでも他クラスを叩きたいけど、Bクラスが上にいってしまうのを受け入れにくいDクラス』みたいな色分けがされ、あまり話が前に進まないまま1回目は終了となった。

 

どうしてみんな仲良くなれないんだ……。


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