ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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残業ディスカッション

こんばんは、浅井虎徹です。時刻は21時40分、話し合いの時間が残り少ないな……ちょっと急ごう。

 

いやまぁ、これだけ大きな話だったらこの後も居残りして話し合える気もするけど、消灯時刻も一応あるからね。時間内に終わった方がいいでしょ。

 

「学生証端末をそれぞれのリーダーが管理する、という方法で裏切り指名を封じるというのは賛成よ。けれど、その場合だと『優待生が誰か』という情報の共有はどうするつもりなの?」

 

話を切り出したのは堀北、こいつ良くも悪くも空気を読まないから、話を進めやすくしてくれてるのはある。

 

それで、優待生が誰かをどうやって確認するか、ね……。

 

完全に忘れてたよ!!!

 

優待生が誰か分からないと指名タイムにメールで名前を送れないだろうし、そうなると結果1じゃなく『優待生が隠し通せた』ってことで結果2になっちゃう。ダメじゃねーか……。

 

「フン。端末を集める前に、それぞれの優待生がメール画面を見せてる所を録画しておけばいい。映像の加工が怖いってんなら教師立ち会いの場でも作れ」

 

「おっ」

 

なんと龍園がアドバイスしてくれた。そもそも話聞いてたのかよ。

 

流石に失敗したらヤバすぎる、CP500くらい減らす可能性のある裏切り指名より、全員に50万ppずつもらえる方が利益があると判断したのかもしれない。良かった良かった。

 

「……それぞれのクラスで優待生が誰かを映像で記録に残し、その上でスマホをすべてリーダーに集め、指名タイムになったらその情報を共有するということか」

 

相変わらずまとめてくれるハゲ、分かりやすい。便利。

 

「確かに、その方法だと裏切り指名をさせることなく、全員で優待生が誰かを共有することが出来る、かも……?」

 

一之瀬も同意してくれたが、龍園の発言だから微妙に拒否感があるのか複雑そうな顔だ。なんか申し訳ないね、夏休み前にBクラスに嫌がらせしまくったのが原因だろうし。

 

「クラスのリーダーが全ての端末を保管した上で、指名タイムになったら情報を共有する……。やることは多くなるけど、情報を管理する人間は少ないに越したことはないわね」

 

そういやDクラスのリーダーは堀北で良いのかな?

 

平田も櫛田もあまり発言せず、堀北ばかりが発言してたけど……2人は日頃からしっかりクラスをまとめてるからこそ、疲れて堀北に任せちゃってるのかもしれない。別に異論がありそうな顔でも無いし、要所要所で頷いたりしてたからDクラスの総意として見て良さそうかな。

 

 

---------------------------------------

 

 

大まかな方向が決まった後、それぞれから細かい部分への指摘、対策などが飛び交い、かなり白熱した議論となっていたが、

 

『終了時刻になりました。これ以降は自由時間となります』

 

もう時間か……。やっぱまだ時間足りないよな。

 

「残れる人は残ってルール作りを詰めておきましょう」

 

「そうだね堀北さん。今もう決めちゃって、それでクラスに持ち帰ってまた考え直した方が良いもんね!……なんだか、結構明日も忙しくなりそうだね」

 

困り笑顔の一之瀬、かわいい。

 

「……そうね」

 

堀北も闇属性っぽいし、一之瀬にはなんかちょっと強く出れないのかもしれんね。

 

「では具体的に何をするかの予定を立てて、抜けているものがあったら埋めていく方式でやってみるか」

 

ハゲはそう言うとスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた。何やってんだ?

 

みんな戸惑ってちょっと変な空気になったが、それぞれのクラスが小声で相談し合う感じになった。確かに今までずっとクラスの代表同士が話し合ってて、クラス内での相談ってのは出来てなかったもんね。

 

もちろんCクラスを除いて。相談相手の居ない俺ちょっと可哀想じゃないか?

 

……Bクラスの話し合いに混じっちゃおうかな。

 

そんなことを思いながら羨ましそうに見ていたら、話し合いの部屋をノックする音が聞こえた。教師かな?もう時間過ぎてますよ~的な。

 

「葛城さん、持ってきました」

 

ん?……Aクラスの誰かか。見た覚えのない生徒だな。

 

「ありがとう。……5分も経ってないな、急いで来てくれたのか。助かる」

 

そう言いながら葛城が受け取った、というか部屋に入れたのは、かなり大きなホワイトボードだった。なんだそれ……そんなものあったんかい。

 

「おぉっ、すごいね葛城くん。ホワイトボードなんてあったんだね~」

 

「あぁ。もしかしたら必要になるかもしれないと、貸し出しさせてもらえるかの確認を取っておいたのでな」

 

へ~、まぁ教師なら持っててもおかしくないか。

 

「葛城、自分が書記をやろうか?」

 

「ありがとう的場、任せよう」

 

Aクラスの全然発言してなかった男子生徒が立候補した。うーん、こういう所からもクラスの真面目さが分かるね。

 

そしてホワイトボードにスケジュールを書き始めてくれたど、いや~分かりやすい……。

 

 

---------------------------------------

 

 

気付けば21時半過ぎ、議論も白熱してあっという間に30分も経ってしまった。

 

話し合いでかなりの事が決まったけれど、明日の干支試験の合間休憩日でそれぞれのクラスで検討して、ルールに穴が無いか話し合うことになった。

 

タイムスケジュールとしては以下の通り。

 

 

~~~~~~~~~~

 

【干支試験2日目(今日)】

・クラスメイトに伝達、説明する

 

 

【干支試験3日目(明日、休憩日)】

・ルールに穴が無いかどうか確認する

 

<12時まで>

・ルールの穴が見つかったらチャットグループにて報告

 

<13時>

・自主的な話し合いの場を作って集まり、場合によってはルールを修正する

 

<18時まで>

・それぞれのクラスの総意をまとめて、賛成か反対かを決めて報告する

 

<19時>

・全クラスが協力して結果1狙いをするかの最終決定

 

 

【干支試験4日目(最終日)】

 

<13時まで>

・各クラス、学生証端末をすべて回収してリーダー及びそのサポートする生徒の2人くらいで管理する

(※回収する際は教師立ち会いの場で、録画しながらそれぞれの生徒に「預かってもらうけど指名タイムまでメール操作を許可しません」と宣言させる)

 

<13時、5回目GD>

・『辰』グループの部屋に全生徒の学生証端末が揃ってる状態にする

・この後も各クラスの人員を交代制で配置して、お互いの端末を持ち出されないよう監視し合う

 

<20時、6回目GD>

・端末回収時の証拠動画をそれぞれのクラスが見せて、確認する

・それぞれのリーダーが優待生が誰かの情報を公開する

・21時、試験終了後。それぞれのクラスに別れて、優待生情報を共有して、端末を返す

・全生徒が正しい優待生をメールで指名する

 

~~~~~~~~~~

 

 

うーん、色々決まったねぇ。やっぱり優秀な生徒の集まるグループという感じで、話もかなり順調に進んだ。結構大きいはずのホワイトボードもびっしり文字で埋まってる。

 

ちなみにGDはグループディスカッション。

 

まとめると、全生徒に動画で記録が残るように端末を差し出させて、集めた端末を1つの場所で管理して、お互いに監視し合って……。

 

これでもう裏切り指名は不可能なはずだ。流石に無理でしょ、多分。

 

ただまぁ1晩くらい寝て何か思いつくかもしれないし、クラスの他のヤツがなにか気付くかもしれない。もう後はお任せ、なるようになれって感じかな。

 

なんか……仕事した感がすごい。充実感もある。無人島に引き続き、なんか俺がやけに活躍しちゃった感あるね。照れちゃう。

 

これちゃんと成功したら、それなりに俺のお陰でしょ。うん。

 

龍園はどうせクラス内からppの没収、徴収?をするだろうし、その収益の一部を堂々ともらえるだけの働きはしたよ。

 

50万の40人分……いや、1グループ消えちゃったから、36人分ってとこかな?それでも50万×36人で、1800万pp!

 

うぉーーー!!!すげーー!!!!!

 

龍園はどれくらい徴収するんだろうか……。流石に全部ってことないだろうけど、いや、まさか……龍園だし……。

 

てか1800万も徴収したら2000万でのクラス移動出来ちゃいそうだもんな。流石にCクラスの奴隷達でもそんなに差し出さないでしょ。

 

半分だとしても900万か、うーん良いねぇ……。

 

俺の貢献が50%だとしたら450万くらい要求しても全然おかしくはないな。最低でも200万くらいは絶対に出させよう。

 

テンション上がってきた。良いね、後もう少しだ。

 

 

---------------------------------------

 

 

「それじゃあ……今日はこれくらいにしておこっか?」

 

ほぼ全員がスマホでホワイトボードの写真を撮り、話し合いも落ち着いてきた頃、一之瀬がそう問いかけた。

 

まぁ十分でしょ。もう22時近いし、2時間近く議論してたことになる。疲れた。

 

「えぇ。そうしましょう、それぞれのクラスに持ち帰った方が良いでしょうね」

 

堀北はそんなこと言ってるけど相談する相手居るんか……?

 

「Aクラスも異論は無い。また明日の昼に会おう」

 

葛城はまったく疲れた様子が見えない。こうして見るとAクラス担任の真嶋っぽさあるな。似てる。

 

「えーっと……龍園くんは?」

 

Cクラスは?と聞かなかったのは、俺がアクビしまくって眠そうな顔をしていたからだろう。

 

「構わねぇ。ただし一之瀬、葛城、そしてDは……3人全員残れ。話すことがある」

 

は??まだ残業させる気か?イカれてるのか?

 

「……今この場では言えないのかしら?」

 

「フン。鈴音、後悔したくなかったら言う通りにしろ」

 

なぜか不機嫌そうに言う龍園。

 

「俺も残らせてもらおう。龍園、お前が居る場で一之瀬を1人にはしておけない」

 

おっと今回ほぼ発言が無かったBクラスのイケメン神崎がしっかり主張してきた。かっこいい。姫を守る騎士みたいな感じだ。

 

「仕方ねぇ。各クラス2人までだ、Dのザコだけは3人許す」

 

別に今の状態だってそれぞれのクラスに3,4人しか居ないんだから大して変わらんやろ、とか思うけど、何を考えてるんですかねぇ。

 

うーん……なんかちょっと不安だぞ。何する気なんだ。せっかく話もまとまったのに……。

 

周りを見てみると、全員同じように不安そうな顔……というより『まだなんかあんの?』という感じの嫌そうな顔をしてる、気がする。

 

これからクラスメイトに色々説明しないといけないっていってのもあるのに、まぁ面倒だよね。

 

しっかし龍園は何を考えてるんだか……。




出来たら週1くらいの更新したいですけど、あんまり期待しないで下さい。
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