ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

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龍園封じ

こんばんは、現在時刻は23時近く。残業に次ぐ残業、割と疲れてきてる俺は浅井虎徹です。

 

20時からのミーティングは22時くらいまで続き、その後また龍園による代表者会議が始まってしまい……今に至る。意味のある話し合いをしてるとはいえ、流石にもう嫌になってきちゃったね……。

 

「おい、Dクラス。さっさと1グループで指名失敗しろ、話はそれからだ」

 

電話してるハゲを横目に、なんか勝手に要求し始めた龍園。

 

「いいえ、出来ないわね。龍園くんが『裏切り指名をせさない』と契約で約束してからでも遅くはないはずでしょう?」

 

そうか?……まぁ、そうかも。

 

「あ?うるせぇよ。そもそも喧嘩売ってきたのはお前らだろうが。なんだったら、今すぐ全グループで指名して試験を終わらせてやろうか?……あ?オイ。俺の善意でまだ終わってないだけなんだと理解しろ」

 

いや喧嘩を売ってきた訳じゃないだろうけど、勝手に指名してきた分のマイナスを相殺して、プラマイゼロにしてからだろってのは同感だな。

 

「……別に、急がなきゃいけない理由なんて無いはずでしょう」

 

「指名させないための契約は結んでやるって言っただろうが。……俺が気に食わねぇのは、現状でお前らの方がCPを稼いで、何食わぬ顔して偉そうに要求してる事だ。舐めんなよ鈴音」

 

まぁ、同意かな。何か要求できる立場か?というのはある。

 

「けれど……、そう、まだ猿グループの指名が成功したとも限らないはずよ。高円寺くんの指名した生徒が間違っていたという可能性もあるわ」

 

なんか、妙に堀北も粘るね。そんなにわざと指名失敗するの嫌なのか?どうせやることになるんだし先にやっても良いじゃんか。

 

「高円寺には浅井が話を聞きに行ってる。そうだろ浅井」

 

ん?なんか巻き込まれてしまった。

 

「そうだけど、それがどしたん?」

 

「アイツが誰を指名したかも言ってただろ」

 

「うーん……?」

 

言われてないはずだけど……龍園が何考えてるか知らんし、テキトーに合わせておいた方が良さそうかな。

 

「テメェが言ってたんだろうがよ」

 

「あ~……多分聞いたと思うし、お前に報告したかもしれないけど、詳しく覚えてないよ。高円寺がマジで財閥の御曹司なのかも?良い筋肉してたな~、とか考えてたし。……あ、でも『魚の釣り方を探してる者に魚を与えるほど愚かではない』みたいなこと言ってたのは覚えてるね。人の上に立つべくして育てられてる人っぽい、本当に上流階級の育ちっぽいな~って」

 

「ハァ……。今日の話だぞ、アホが」

 

これ、龍園も演技のはずだよね?それにしては本気っぽすぎる呆れ顔だぞ。微妙にムカつく。

 

「高円寺くんなら言うかもしれないけれど……。ちなみに、誰の名前を言っていたの?」

 

誰って、何のこと?Cクラス生徒の誰を指名したかってこと?いや知らんわ。そもそも聞いてないんだし。

 

「名前を言う必要はねーぞ浅井。……お前らにヒントをやる義理も意味もねぇよ」

 

なんか龍園が擁護してくれた。誤魔化しただけとも言う。

 

「……いえ、やっぱりまだ指名が成功したか分からない以上、こちらが譲歩することも出来ないわ。結果が発表されるのは試験終了後なんだし、アナタ達2人が嘘をついてるだけかもしれない。せめてCクラスが『試験終了まで指名をしない』というのが確約されないと、こちらも動けないわ」

 

うーん、頑固だ。まぁ分からないでもないんだけど……ここまで譲歩する気配を見せないのは悪手だと思う。猿グループで指名した分の相殺をした後、龍園が見返りをよこせって言ってた分も『Dクラスがもう1回指名失敗しろ』ってなりそうじゃん。Cクラス的にはそりゃAクラスかBクラスのCPが減った方が良いんだけど、別にDクラスからCP奪い取っても構わないんだし。

 

堀北は嫌われる事による害を恐れてないのか、人付き合いの経験が弱すぎて考えが至らないのか。どうせ後でやることになるんだし、俺だったら早めに「ごめんね」言いながら指示出して、好感度を上げて、被害を減らそうとするけどね。

 

「チッ……」

 

そして龍園はすげぇ不機嫌そうだ。なんで?

 

 

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「口出しすることはないが、見届けさせてもらう。学校側の証人として職務を果たそう」

 

「わざわざ来て頂きありがとうございます。真嶋先生」

 

ハゲの電話が終わって少し経つと、なぜかAクラス担任の真嶋が来た。まぁ話は早くなるかもだけど、妙に邪魔くさい。なんで大人が出てくるんじゃい!

 

それにしても、ここまでクラス代表が集まって、学年主任まで来たってなると……なんか、あの監視カメラで他クラス担任も見てそうだな。手を振っておこう、坂上先生~、学校側から大金を巻き上げるけどごめんね~っと。

 

「まぁいい……。それで、俺が『裏切り指名をさせない』ってのは認めてやるが……そのために何をしろってんだ?」

 

意外にも前向きな龍園。話し合いが長いから、さっさと終わらせたくなったのかもしれない。サンキュー不良。ただ……お前は最初の2時間、ルール作りの議論には参加せず、スマホいじりまくってた気がするけどな。絶対に俺の方が疲れてるわ。

 

「まずは……チャットかメールでクラスに指示を出して欲しいわね。『裏切り指名を絶対にするな』と」

 

「最初から既に言ってあるが、また言えってのも別に構わねぇよ」

 

へぇ~、そんな指示出してたのか。石崎がなんかそんなこと言ってたっけ。

 

「本来なら、Cクラスからの裏切り指名が発覚した時点で、その結果を無効化して欲しいものだが……。難しいですか?真嶋先生」

 

「ふむ。……君達がクラスの代表者だとしても、勝手に他グループの他生徒の行動を決め、制限することは認められないな。……仮に、どうしても取引上の契約として『干支試験において指名をしない』としたいなら、生徒それぞれ1人ずつと契約する必要があるだろう」

 

なるほど……めんどくっさ!全員1人ずつ呼び出して約束させるて、不可能じゃないだろうけど手間かかり過ぎる。ついでに、それもう試験の放棄っぽいよね、指名しないって約束させられたら優待生探しも終わるだろうし。真嶋もよく許可するわな。

 

「そうですか……」

 

「しかしながら、今回の試験は生徒それぞれの『シンキング能力』を測るものだ。そのため12グループに分かれ、クラス混合でやってもらっている。1グループで出た結論を強制的に他グループにも派生させるというのは、学校側としては認めがたいな」

 

やっぱダメなのかい!

 

まぁ……これが通っちゃえば、この辰グループで勝手に『現時点から、指名無しにしよう!もしも誰かが指名しても、それは無効で!』って全グループの結果を強制出来ちゃうことになるのか。というか、それをしようとした訳だけど。

 

でも、じゃあどうすればいいんだよこれ……。龍園を個人契約でしっかり縛ればいいのかな?

 

 

---------------------------------------

 

 

「話を進めるが……つまり結局は『どうやって指名させないか』の具体的な方法を詰めていけば良いはずだろ。優待生が誰かを把握してるのは現状では俺だけだ、それを誰にも伝えられなければいい。そして『裏切り指名をするな』という命令も再び出して、撤回しない……というより命令できない状況にすりゃいいはずだ」

 

あー、なるほど。龍園が誰にも情報を伝えられないようにしたら、とりえあずセーフっぽいかな。可能性だけ言ったら他の生徒も勝手に気付く可能性が無くもないけど、他に情報全部集められるヤツも居ないし流石に無いかな。あと、龍園が『指名するな』って命令してたら、まぁ指名するヤツは居なさそうだし。完璧ではないんだけど、かなり最善に近い気がする。

 

「それは……試験終了まで他者との接触を断つという事?どうやって?」

 

「俺の学生証端末をロックかけてお前らに渡す。そして、生活に関しては空き部屋の1つを俺だけで使えばいい。……いくつか部屋が空いてるはずだ、そうだろ?真嶋」

 

うわ出たタメ口。珍しく真面目な表情なのに、そういう所はやっぱ不真面目。

 

「敬語を使いなさい龍園……。体調不良者などのために空き部屋は確保してある。私用で使うのは認められないが、試験の一環として1部屋くらいなら利用許可を出しても良いだろう」

 

4人部屋で誰かが風邪とかインフルエンザになったら、そのまま拡散しまくって大変だもんね。道理で空き部屋ばっかりのフロアがあった訳だ。探索した時に不思議に思ってたけど、そう言われて納得。

 

「だ、そうだ。監視カメラの範囲外に出ないことも約束していい。メシは他クラス生徒……なんだったらお前が持って来いよ、鈴音」

 

なに言ってんだコイツ……。どさくさに紛れて堀北を自分専属メイドにしようとしやがって、悔しいけどやっぱ天才だ。俺も一緒に監禁されたくなってきたぞ。

 

「そうね。客室にシャワーもトイレもある以上、外部との接触がどうしても必要になるのは飲食の用意くらいでしょう。それを他クラスの生徒が担当するっていうのは悪くないわね」

 

あれ、まさかの乗り気じゃん。マジかよ。本気で俺も入れてもらうか考えたけど……いや、龍園の2人だけの生活とか無人島のテント暮らしと同じだ、嫌だわ。なんだかんだ言って堀北が来るのもメシ運ぶ時だけだろうし……やっぱいいや。エロいことにはなりそうにないし。

 

「ちょっと待て堀北、外部と接触するタイミングは飲食だけではないはずだ」

 

「……どういうこと?葛城くん」

 

「干支試験は今日が2日目で、明日は合間の休息日だが……明後日の試験3日目、最終日には2回のグループミーティングがある。それには参加しなければならないだろう。そのため、部屋の外に出る必要がある」

 

あ~、そういやそうだった。明日の休息日を挟んで、またグループディスカッションしなきゃいけないんだ。『今日中に話をまとめておこう』気分が強すぎて忘れてた。堀北も話し合いにめっちゃ参加してた人間だし、長時間の議論で疲れてるのかもね。普段のコイツなら普通に気付いてそう、神経質っぽいし。

 

「そういえばそうだったわね……。では、グループディスカッションの前後は、ここに居る辰グループの他クラス生徒が一緒になって行き帰りを見届けることにしましょう。私語は一切無しで、誰とも接触出来ないように。……なんだったら目隠しをして、手錠をかけても良いかもしれないわね。言葉以外での意思疎通を防止するために」

 

それもう完璧に逮捕者の姿じゃねぇか!絶対にやって欲しい。何が何でもやって欲しい。

 

「チッ……まぁ、ムカつくが、仕方ねぇ」

 

嘘だろ!?受け入れるのかよ……。絶対に見たい。絶対に写真撮る。

 

「あっ、でもグループディスカッションに参加しなきゃいけないってことは、この場で龍園くんとCクラスの他の3人も出会うってことになるよね……」

 

ここまで話し合いにそれほど参加してなかった一之瀬からの疑問。そりゃそうなるけど、まさか……

 

「そうね。……龍園くん以外の3人も含め、全員を同じように監禁するしかないかもしれないわね」

 

ヤダヤダヤダー!!!龍園だけにしてくれよ!

 

「え~!?……それだったら龍園だけはグループディスカッションが始まっても、ずっと目隠し、手錠、ついでに猿ぐつわして何も話せないようにしておけばいいでしょ。なんだったら……言葉以外の、体の動きとかでも何も伝えられないように毛布で巻いておいてもいいじゃん。外から何も分からないように。それなら龍園1人の隔離ってことで済むでしょ」

 

「ふざけんなボケ」

 

不良が殺意満々の顔で見てきてるけど、無視だ無視。関係ない俺まで豪遊生活を禁じられてたまるか。

 

「それは……。そうなった場合、『グループディスカッションに参加してる』ことにはなるのかしら?どうなるでしょうか?真嶋先生」

 

心配するのそこ?堀北もちょっとぶっ飛んでるね……。

 

「いや、そうだな……。本人同意の下でなら、その時間に、その場に居て、退出してないということで……参加扱いになる。……はずだ」

 

流石の真嶋も少し困ってる。仏頂面のマジメ教師の珍しい顔だ。

 

龍園ぐるぐる巻きにして物理的に何も出来なくする、良いじゃないの。めっちゃ有効な対策だし、何より見た目が面白くなるはずだ。超賛成だよ。

 

そんな状態だったら軽く蹴ったり、上に座ったりしても、誰がやったかバレないでしょ。絶対にやる。他クラスの女子に頼んで『あっごめん!間違えた!』っていう音声を録音しておいて、それを再生すれば流石の龍園も犯人探し出来ないでしょ。絶対に、絶対に龍園の毛布巻きやってくれ。頼む。

 

 

---------------------------------------

 

 

話がなんとなく進んできたけど、そこで今までずっと黙っていた平田が声を上げた。

 

「待ってくれるかな、堀北さん、葛城くん、そして龍園くん。……櫛田さんに聞いたんだけれど、龍園くんが浅井くんの学生証端末を持ってるっていうのは本当なのかな?」

 

「……チッ!」

 

んん?なんかすっげぇ不満そうだ。龍園ロールより嫌そうな反応してるけどなんで?

 

「そういえばそうだったわね……。龍園くん、アナタの提出すべきは、アナタ自身の端末だけじゃなくすべてよ。誰の学生証端末であってもダメ」

 

「フン……。分かったよ」

 

あっ、もしかして自分の学生証端末だけ提出して、俺の端末で指示出したりしようとしてたのかコイツ?

 

「他にも、ありとあらゆる情報端末の持ち込み禁止にさせてもらうわ。学生証端末だけではなく、トランシーバーなどの機械類もダメ。……機械すべての禁止にしましょう」

 

「……。」

 

やる気がかなり失せてるっぽい、無言の龍園。いやまぁ、ここまで約束させて裏切り指名するつもりだったっぽいな。

 

「危なかったわね……」

 

いや、ほんまに。堀北の言う通り、危なかった。

 

俺もCクラスとして、大量にCPが増加したら喜んでいいのかもしれないけど……ここまで話まとめてるんだし、やっぱ結果1がいいよ。個人的に大量の金が欲しいってのもあるけど、『敵対してるクラス同士でも、協力した方が利益が大きい時は協力しておく』っていう経験はあった方が良いだろうし。

 

「龍園、確か石崎の端末も預かってなかったっけ?」

 

「チッ……。カスが」

 

は?俺にまでキレるのかよ。てめぇがカスじゃボケ。

 

龍園はそう言いながら、まったく同じ見た目のスマホを3台も取り出した。……あれ?それ俺の?……なんでケース勝手に変えてんの。

 

「あ~……もう返してもらっていいの?」

 

優待生うんぬんは話が終わりかけてる気もするけど、俺個人が知った上でどういう態度を取っちゃうかは別だし、なんだったら他クラスが優待生指名しちゃうかもしれないんだもんね。

 

「勝手にしろ。……そもそも、お前が自分で見なけりゃいい話だろうが」

 

「は~?持ってたら見ちゃうでしょ、だから預けたんだよ。……バカ?」

 

「あ?」

 

にらみ付けられてるけど、お前程度の脅しが怖いわけないじゃん。

 

 

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龍園とじゃれていたら、今度は一之瀬が声を上げた。平田もだけど、なんか終わりに入ってるから言いたいこと言っておかなきゃ的なやつかもしれない。

 

「あの、私も気になった事があって……。龍園くん、本当に優待生を知ってるのはアナタだけなの?さっきは『俺しか知らない』って言ってたけど……」

 

ん?そもそも、他にも知ってる人居たら……って話か。前提条件が変わり過ぎちゃうよって。

 

「……。」

 

あ、図星っぽいな。龍園以外にもう既に知ってるのかも。

 

「龍園くん、試験開始からアナタと接触した人すべてに疑いがあるってことになるよ?」

 

「フン……仕方ねぇ。お前の言う通りだ一之瀬、『俺だけが知ってる』というのは、嘘だ」

 

やっぱ嘘かーい!

 

「それじゃあ、他に誰が知ってるの?」

 

「ハァ……。まぁここまでバレたなら言ってやるよ、俺の他に知ってるのは金田と椎名の2人だけだ。これは別に学校側が確認を取ってくれていい、チャットやメールの履歴も、監視カメラの履歴とかでも確実だ。なんだったら、これが嘘だったら俺の保持する150万ppをすべて捨ててもいい」

 

やけくそ感ある龍園。それにしても、150万って、そんなに貯めてたのか。Cクラスから徴収して、ほとんど使ってないっぽいな。金額を聞いてみんなも軽く驚いてる。

 

「真嶋先生、龍園くんに関わる映像と音声データをすべて頂くことは出来ますか?」

 

「……同意があっても、生徒にそれらのデータを渡すことは出来ないな」

 

え~、ダメなのかよ……。詰みじゃん。

 

「そうなると、仮に龍園の言う通り、優待生情報を知る者が現時点で3人だけだったとしても……。その3人全員の接触を確認出来ず、情報を渡していないことの証明が出来ない。ここで龍園1人、もしくは3人を確保して、客室に閉じ込めて監視した所で、他の生徒が指名してしまうかもしれない……」

 

ハゲまとめ、助かる。けれど、内容を聞いた所でどうしようもないね……。

 

「……。」

 

龍園含め、ここまで話が進んだけど、結局ダメっぽいということで沈黙が降りる。うーん、なんか無いかな……。ここで終わるのはなんかヤダ。

 

「あー……誰か対策思いつかない?」

 

なんとなく聞いてみたけど、みんな悩んだままの顔だ。うーむ、リーダー達が集まってもこうなっちゃうか……。

 

「フン。そもそもの話、Cクラス以外も指名出来ないようにしておかないと成り立たない取引ってことだ」

 

「は?……どゆこと?」

 

結論を言い出したのかと思ったら、なんか関係ないことを言い出したロン毛。

 

「今回の試験、全員で『結果1狙い』を実現させるなら、話が決まった時点で全員の端末を回収するべきだったんだよ。……裏切り指名をする欲望を捨てきれず、時間的猶予を取ろうとしたから、実際に今現在、裏切り指名を出来る状態が続いちまってるって訳だ」

 

「……まさか」

 

「これで終わりだ。じゃあな」

 

そう言うと、いじっていたスマホをポケットに入れ、さっさと部屋を出ていってしまう龍園。なんとも言えない不安を感じていると、船内アナウンスが鳴り響いた。

 

『辰グループの試験が終了いたしました。辰グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

あーあ……。やりやがったなアイツ。

 

「龍園くん、やってくれたわね……」

 

「……くっ」

 

そして数秒経ち、さらに鳴り始める船内アナウンス。

 

『犬グループの試験が終了いたしました。犬グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『馬グループの試験が終了いたしました。馬グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『兎グループの試験が終了いたしました。兎グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

おいおいおい……どんだけ続くんだ。

 

この場に居るクラスのリーダー達、苦虫を噛み潰したような表情というのがしっくりくる、苦々しい表情。そして、なおも続く船内アナウンス。

 

『鼠グループの試験が終了いたしました。鼠グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『鳥グループの試験が終了いたしました。鳥グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『虎グループの試験が終了いたしました。虎グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『猪グループの試験が終了いたしました。猪グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『牛グループの試験が終了いたしました。牛グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

そんな、淡々と鳴り響き続けるアナウンスの下で、俺はかなりの虚脱感を感じていた。2時間頑張ってルール決めして、その後も龍園の要求を叶えつつ結果1狙いを破綻させないよう、こんなに夜遅くまで頑張ってたのに、その結果がこれかよ……。

 

「俺の200万……」

 

アナウンスが終わり、沈黙に包まれた部屋で、俺の声がやけに大きく響いた。……ちょっと恥ずかしい。




今回の他タイトル案

『多重契約』
『軟禁事件』
『ドラゴンハント』
『ドラゴン捕獲』
『ドラゴン族・封印の壺』
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