ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

77 / 139
困惑の石崎

「お前、どうせ暇だろ。話を聞かせろ」

 

「はー?……俺だって忙しいんですけど!ジムに行って筋トレしたり、プールで水着女子を眺めたり、豪華メシを食いまくったりしなきゃいけないんですけど!」

 

「……クソ暇じゃねぇか」

 

「まぁね。……うるせぇ!」

 

あ~……これは喧嘩じゃないはずだ。龍園さんと虎徹のやり取りを同室で眺めてる、ちょっと気まずい思いをしている俺は石崎大地だ。相変わらず仲悪いように見えて仲良いみたいだし、かといってマジで仲が悪い時もありそうな2人の不思議なやり取りだ。

 

今日は干支試験3日目で、昼の11時くらい。合間の休憩日で、グループディスカッションの無い日……のはずだったけど、俺のグループも昨日の深夜にいつの間にか終わっちゃったし、ある意味でもう普通の夏休みになっちまった。

 

色々と考えたり情報を見せないようにしないといけない試験が終わって、ラクになってのは間違いないけれど……試験結果がどうなったかまだ分からないから素直に喜べない。みんなの感覚もそんな感じのはずだ。

 

俺はさっき龍園さんと虎徹のやり取りを聞いて、全部が龍園さんの想定通りっぽいと知ったけど……それでも少しだけ心配だ。優待生が誰か、ホントにちゃんと見抜けてたのかな……?って。もちろん龍園さんを信じてるけど。

 

結果発表は明後日だったと思う。それまで不安な生徒ばっかだろうな、事情を聞いた俺だって不安なんだし。

 

「他クラスの指名を妨害する案、何かあれば言ってみろ」

 

「いきなり何を聞いてんの……。善良な市民である俺がそんなもん思いつく訳ねぇだろ」

 

「フン。ほざけ」

 

「なにー!?」

 

なんか不機嫌そうな虎徹。それにしても、なんで指名させたくないんだろか?……そういえばまだ終わってないグループもあったんだっけ。

 

「ハァ……。お前、このまま他クラスに指名されなかったら俺達がAクラスだぞ」

 

「そうだっけ?」

 

「ま、マジっすか!?」

 

あっ、思わず俺も声を出しちまった。いやけど、Aクラスって。マジで?

 

「……おい石崎、俺が言う通りメモに書いて、計算してみろ」

 

「う、ウッス!」

 

慌てて紙とペンを探して準備する。

 

「まず……現状のCPだ。Aから順に、1004、897、512、306」

 

えーっと、

 

A:1004

B:897

C:512

D:306

 

「次に、Dクラスのボケが指名してきた分だ。Cからマイナス50、そしてDにプラス50だ」

 

言われた通りに書いていく。

 

A:1004

B:897

C:512 - 50

D:306 + 50

 

「最後に、俺が昨日やらせた裏切り指名の分だな。俺らCクラス以外の3クラスからそれぞれ150引け。そして俺らにプラス450しろ」

 

A:1004 - 150

B:897 -150

C:512 - 50 + 450

D:306 + 50 - 150

 

スマホの電卓で計算してみると……、

 

A:854

B:747

C:912

D:206

 

「お……おぉー!?すげー!ホントに俺らが1番多いっすよ!Aクラスです!」

 

すげぇ……すげぇ!マジですげぇ!いやもう、本気の本気で、ガチで龍園さんの居るクラスで良かった。心の底からそう思う。

 

「石崎ちょっと見せてよ。……あ~、ホントだ」

 

横から見てきた虎徹、けど、あれ?そんなに喜んでない。なんでだ?

 

「ちょ、虎徹。一気に大逆転だぞ、俺らが1位でAクラスだぞ。嬉しくないのか?」

 

Aクラスにあんまり興味無いって言ってたから、そのせいなのか?

 

「ん~?……うーん。2グループはまだ終わってないし、龍園が見つけ出した法則とか、指名が本当に正解だったか分からんからね」

 

「……合ってる、つってんだろが」

 

静かに怒ってそうな龍園さん。俺は関係ないっすよね……?

 

「まぁ、俺も半分くらいは信じてるけど……。もしも全部、何もかもが失敗してたら、CPが全部吹き飛んで大差でDクラスになっちゃうからね。……その時は龍園、pp契約して巻き上げてる分から俺の生活費出せよな」

 

「……フン」

 

え、えぇ……。いやまぁ、そりゃ可能性あるのかもしれないけど、全部失敗してるなんて考えたくねぇなぁ……。

 

「石崎ちょっとその紙貸してよ」

 

「あ、あぁ」

 

紙を受け取った虎徹が何かを書き足してる。

 

「全失敗したら~……こうだ!」

 

そう言いながら見せてきたやつには、こう書いてあった。

 

~~~~~~~~~~

 

最悪パターン

 

A:1004 + 150

B:897 + 150

C:512 - 50 - 450 - 100

D:306 + 50 + 150 + 100

 

A:1154

B:1047

C:0

D:606

 

~~~~~~~~~~

 

「いや、そんな……」

 

「んはははは!こうなったら笑うしかねーな!ゼロだよゼロ!」

 

めちゃくちゃ楽しそうな虎徹、なんで笑ってんだ……。こうなっちゃったら、俺たちの学校生活もうほぼ終わりってことになると思うんだけど。やっぱ、虎徹ちょっとだけ頭おかしいのかもしれない。龍園さんですら少し気を使ってるだけある。

 

「……。」

 

そんな大爆笑してる虎徹を、龍園さんは完全に無視してスマホをいじっていた。

 

 

---------------------------------------

 

 

「それで、話を戻して『裏切り指名させない方法』だけど……思いつくのは2つ、3つくらいかな」

 

他の紙にも色々と書いてた虎徹は、思い出したかのようにそう言い出した。そんなにあんのか、さすが虎徹。

 

「言ってみろ」

 

「えーっと、また無人島の時みたいに『優待生が誰かの情報を渡して、見返りにpp契約』……ってのは、流石にいくらなんでも無理だろな!んははは!」

 

俺らCクラスの優待生の名前を出して、その見返りにプライベートポイントもらおう……ってことかな?

 

「フン……。いくら間抜けなアイツらだろうと、それは無理だろ」

 

俺も無理だと思うけど、そもそも『指名させない方法』とは違うような……。

 

「あ、またナチュラルに見下しまくってんな……。A,B,Dのみんなに全グループで完全勝利の勝ち筋を潰された癖に。この傲慢ロン毛野郎!」

 

「……うるせぇ。お前どっちの味方だ」

 

確かに。

 

「あっ!石崎なんでちょっと頷いてんだよ!こら!」

 

「いや、その……。すまん」

 

「ん~、まぁいいや。後は……なんかメールサーバ的なのを落とすなり、船の電気を全部カットして停電起こしたり、かな。これだったら間違いなく裏切り指名も何も出来ないでしょ。メールを送っても届かない、送れない状況にするって感じ」

 

「……。」

 

少し考え込んでいる様子の龍園さん。かなり真剣な様子だ。

 

「まぁ言っておいてなんだけど、絶対やめておいた方が良いだろうね。……そこまでやるとクラス対抗戦じゃなくて『龍園vs学校運営側』になるし、試験を成り立たすためにめちゃくちゃ苦労してる運営側からしたら、そんなこと万が一にもされたらブチギレちゃうでしょ。ルールに表記が無いペナルティとか食らいまくってもおかしくないし、恨みに思われて誰かを退学にされても別におかしくないかな」

 

サーバーって良く知らないけど、先公のパソコンとかを直接ぶっ壊す、みたいな感じかな?そりゃ普通に退学になったりしそうかも。

 

「……フン」

 

「んで3つ目、一番リアリティのある案だけど、『嘘の優待生法則を漏らす』とかかな。相手にわざと間違えさせる、っていう」

 

「あぁ。俺もその方向で考えてる」

 

「そりゃ龍園なら思いつくか。……なんか、1クラスあたり3人ずつしかいないし、『それぞれのクラスだけなら成り立つ法則』みたいなのあるかもね。3人だけなら成り立つ法則。身長の順番とか?成績順とか?……いやまぁ、そもそも龍園が信じた法則がどういうのかもしらないし、法則探しにも参加してないから知らんけどさ」

 

「……。」

 

「でもまぁ、そういう思考力というか、謎解き能力?みたいなのは金田と椎名がめっちゃありそうだし、相談してみたら良いじゃん。他にも勉強好きなタイプ呼んだら?」

 

「まぁ、そうだな。……参考になった」

 

「あ、……そう」

 

ちょっと驚いた様子の虎徹。確かに龍園さんが素直に感謝してるっぽいのは珍しいかも。

 

 

---------------------------------------

 

 

時刻は夕方。プールサイドで軽く日光浴をした後、なぜか虎徹に連れて行かれたのは船内のバーだった。酒の瓶がめっちゃ置いてあるけど、こんな所に入っていいのか……?他に誰も居ねーぞ。

 

「ダメだな……石崎」

 

めちゃくちゃ深刻そうな顔で話しかけてきた虎徹。

 

「やっぱ生徒が入っちゃダメなのか?じゃあもう、出ようぜ」

 

「はぁ?いやそんなことどうでもいいよ。それより……プールで女子と一緒に遊べなかったよ、俺はこの4ヶ月何をしてたんだ……。無人島では男しか居なかったし。これはやべぇよ、絶対になんとかしなきゃダメだ」

 

「……そうか」

 

俺はのんびり寝てたけど、そんなこと考えてたのか……。

 

「いらっしゃいませ」

 

「は~……。まぁいいや。マスター!緑とか青とかで、体に悪そうな色の甘いカクテルください!……ちょっとだけ間違えて酒入れちゃってもいいすよ!」

 

「かしこまりました。……お酒は入れられませんけどね」

 

「ちぇ~。……石崎もなんか頼みなよ。ジュースとかでも出してくれるはずだよ」

 

なぜか慣れた様子の虎徹。俺もちょっと酒っぽいもの飲んでみたいな……そう思いながら、俺らのために用意されたっぽい生徒用ドリンクの一覧を見てみると、お、ちょっと挑戦してみよう。

 

「あ、じゃあ俺は、ノンアルコールビールで」

 

「かしこまりました」

 

「ビールぅ?おいおい石崎、ビールなんてアホの飲むものだよ。全然美味しくないぞ。ジンジャエールを混ぜてシャンディガフにしたらそこそこ美味しいけど」

 

「えっ……虎徹、飲んだことあんのか?」

 

「あ~~~、ノーコメント。……無いよ」

 

絶対あるだろこれ。間違いない。俺らまだ高1なんだけどな……。

 

 

---------------------------------------

 

 

BARはスペインではバルと呼んで親しまれてたりするらしい、なんていう雑談とかを聞きながら虎徹と色々なノンアルコールカクテルを楽しんでいた。

 

「石崎は日焼けで痛くなったりしねーの?俺もう無人島からずっと焼けまくってたから全身かなり痛いんだけど。顔面には日焼け止め塗ってなかったし……」

 

「俺は平気かな、帽子あったから。……日焼け止めは結局ほぼ塗ってないかも。けど痛くないぜ」

 

「は?マジで?どうなってんだお前の体。……最初から黒かったっけ?」

 

引いた目で見られて、なんとなく困っていると……バーに1人の女子が入ってきた。

 

「あ、見つけた!……こんにちは、虎徹くん」

 

「よ……よっす櫛田」

 

ん?なんか虎徹の様子が変だな。かなり可愛いヤツだと思うけど、緊張してんのか?

 

「そして、石崎大地くん、だよね?」

 

「おう。……お前はDクラスだっけ?」

 

フルネームで呼ばれるなんて思わなかったから少し驚いた。

 

「うん、そうだよ。Dクラスの櫛田桔梗です、よろしくね!」

 

「よろしくな」

 

そう言いながら虎徹の方を見てみると、なんか少し居心地が悪そうにしている。嫌いっていう訳じゃないんだろうけど、苦手な相手ってことなのか?見た目とかめっちゃ良い女子なのに、意外だ。

 

「もー、虎徹くん。……これからも仲良くしようよ」

 

「ん……オッケー。えーっと、それで……どしたの?なんか用?」

 

なんかあったっぽいけど、切り替えた様子の虎徹。

 

「うん。今回の干支試験について、ちょっと聞きたくて」

 

「あ~……。良いけど、俺も全部は言えないと思うよ?龍園に聞いちゃった方が早いと思うよ」

 

「龍園くんは素直に教えてくれないかもしれないなぁ……って」

 

ちょっと困った笑顔の櫛田。うーん、可愛いな。めっちゃ美人だ。

 

「まぁそっか。……それで、何が聞きたいの?」

 

「その……試験で、みんなで『結果1狙い』っていうの、龍園くんは最初からやる気が無かったのかな?」

 

「ムカつくけど、多分そうだね。裏切り指名するつもりで、それをなんとなく隠してたみたい。当然俺にも。……龍園は『俺らが指名しなくても、他のクラスが法則を見つけて指名するかもしれない』とかいう言い訳っぽいこと言ってたけどね」

 

「そっか……。帰り際に『話が決まった時点で全員の端末を回収するべきだった』って言ってたのも、本心じゃなかったと思う?」

 

俺は居なかったリーダーが集められたグループでそういう話があったのか。……竜グループだっけ?

 

「うーん、どうかなぁ……。龍園も流石に法則が分からず、みんなで協力したら大金が入るっていう状況だったら流石に協力したと思うけど……いや分からん。なんだかんだ言って龍園めっちゃずる賢いし、なんか変なこと思いついてても不思議じゃないし」

 

虎徹も結構そういう所あると思うけど、自分では気付いてないのかな。

 

「でも……龍園くんも、虎徹くんには優しいんじゃないの?なんか、虎徹くんには相談してそうだなって思ったんだけれど……」

 

俺も正直そう思う。けど、関係性をどこまで言って良いのか全く分からないから黙っておく。

 

「えぇ~?……うーん、確かに他のヤツより許されてる部分はあるけど、それでも反逆とかしたら俺だって制裁されると思うよ。そこそこ役に立ってたから見逃してもらえてる、くらいのもんじゃないかな……」

 

そう言われると、まぁそうかもしれないけど……。でも、少し嘘が入ってる気もする。あれ?チラッと櫛田がこっちを見てた?気のせいか?

 

「そっか……。じゃあ、昨日の夜、なんで龍園くんが早めに優待生を指名するように指示を出してなかったのかって分かる?もしグループディスカッションの前から気付いてたなら、あんなに長い間ずっと相談してたけど、その前に指示出しちゃっても良かったんじゃないかな、って」

 

なんか虎徹も同じようなことを最初に聞いてたな。

 

「あ~、それはみんなを疲れさせて、その後に交渉を持ちかけて、抜け穴を見逃す確率を上げたってことでしょ。……結局、一応は龍園の企みを潰せてたから、意味無かったけどさ。俺達がめっちゃ疲れただけ!」

 

俺のグループなんかでは、20時から1時間やるだけでも特に話し合うこと無いから静かだったけど、話し合いをしまくって1時間以上オーバーしたって良く分からないんだよな。そんなに話すこと無いんじゃねーの?と思っちゃうけど、リーダー集団はまた違うんだろな。

 

「ふふ、結構疲れたもんね。ただ、その……、もしかしたら、私が気付いてない所で優待生を見抜く何かがあったのかな……って思うんだけども。何か知ってたら教えてくれないかな……?」

 

ちょっとだけ上目使いで虎徹にねだる櫛田。保護欲?を誘う?って感じだ。

 

「ん~、それは言えない……っていうか知らないってことにしといてよ。流石に俺でも言っちゃったら龍園にボコされるレベルの情報だと思うし」

 

ほっ、虎徹でも流石に我慢してくれた。ノリで言っちゃいそうで怖いんだよな。

 

「それは……後からじっくり考えて、私が『自分で気付けた』って言い訳してもダメかな?」

 

「ん~~~」

 

「お願い、虎徹くん。教えて欲しいなぁ……」

 

「……オッケー!」

 

えっ!?言うのかよ!?

 

「ちょ、虎徹!ダメなんじゃないのか!?」

 

「おいおい石崎、BARでは静かにしたまえ。俺は何も言わないし、櫛田が試験の復習をしてて、何かに気付いた場面に立ち会うだけだぞ」

 

いや、えぇ~?

 

「……俺、怒られても知らないぞ」

 

「黙りんしゃい。……ぶっちゃけ言うほど機密情報って訳でもないから良いでしょ」

 

うーん、後から言うの止めなかったって怒られたら嫌だな……。バレないといいけど。

 

「それで、虎徹くん。龍園くんはどうやって優待生の法則に気付いたの?」

 

「いや、それはもう試験の前だし、俺は詳しく知らねーや。……試験中にやってたのは『情報の可能性を上げる』みたいに言ってたよ」

 

「……どういうこと、かな?」

 

「ハゲは怪しいけど、一之瀬と櫛田平田の3人は間違いなく優待生が誰かっていう情報を握ってるだろうなって」

 

「だから、リストを見せた時の反応を見たっていうこと?……表情には出してなかったと思うんだけれど」

 

「うん。その時は分からなかったけど、なんとなく『やっぱりこいつらは情報を知ってる』っていうのは思ったってさ。……大事なのはその後の動きが重要だったって」

 

「……その後の、発言とか?」

 

「そう。もしも見せたリストが間違ってたら、そのまま指名してもらって間違えてもらった方がCP増えるし良いはずだけど、みんな裏切り指名をさせないように発言したりしてたからって。『指名させたほうが良い』的に他生徒に伝えようと相談したりもしてなさそうだから、とかも言ってたかな」

 

「な、なるほど……。全然気付かなかった、うん……」

 

「……石崎、やっぱ言わない方が良かったかな?」

 

今更になって不安そうになる虎徹。じゃあ最初から言わないでくれよ……。

 

「俺は分かんねーよ……」

 

「まぁ、うん……。櫛田、頼むから俺から聞いたって言わないで、『もしかしたら、こうなのかも』って感じで自分で気付いた事にしてよ?」

 

「うん。それはちゃんとするね。……ありがとう虎徹くん、教えてくれなかったら、試験で何が悪かったかの反省も出来ずに終わっちゃってたと思う。本当にありがとね」

 

「ん、……なら良かったかな。どういたしまして」

 

頼むから龍園さんに怒られることになりませんように……。

 

 

---------------------------------------

 

 

夜、バーでたらふくツマミを食った俺達は、晩飯を食わずに客室に戻っていた。

 

のんびりウトウトしてると、船内アナウンスがいきなり鳴り響いた。

 

『蛇グループの試験が終了いたしました。蛇グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

「フン……」

 

同室に居た龍園さんが不満そうに鼻を鳴らしてる。

 

「なぁ龍園、指名してきたクラスどこだと思ってんの?」

 

虎徹が不機嫌そうな龍園さんにビビることなく質問し始めた。

 

「…………さぁな。結果を見りゃ分かることだ」

 

「そりゃまぁそうだけどさ。……Aクラスだったら坂柳派も素直に全面協力して、その上で頭良さそうなヤツが多そうだし、頑張って巻き返したとかあるかもね」

 

「フン」

 

「なんだその相槌。Aクラスのハゲ見習えよロン毛、アホ」

 

「……うるせぇ」

 

「ん~、Bクラスはもう全員協力して考えても、指名を受けちゃう事はないし……。Dクラスはそもそも高円寺も気付いてるんだから、ボロ負けしてるのを見て答え教えてるって可能性が、うーん……いや、無いかな……」

 

「……他人と関わる気がほぼ無いからってことか」

 

「そうだろうし、そもそも……価値観が違いすぎて、CP150削られたことへの恨みとか、挽回しようと頑張る気持ち、とか無いと思うよ。いや、あるかもしれないけど……」

 

「……。」

 

「なんか、『どうでもいいねぇ』って言ってる気がするね」

 

よく知らないけど、Dクラスにそんなヤツ居るんだな……。

 

『羊グループの試験が終了いたしました。羊グループの方は以降試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

それほど合間を空けず、またアナウンスが鳴った。

 

「これで全グループ終わりか、お疲れちゃーん。……結局最終日まで残ったグループすら無いんかい!んはは!」

 

「……あぁ。後は結果の発表だ」

 

龍園さん、ちょっとだけやり切った感じ?があるみたいだ。そりゃめちゃくちゃ色々考えてただろうからなぁ……。

 

「そういやさ、龍園の想定通り『裏切りしません、させません』の契約が成り立ってたら、試験最終日まで監禁されてたんでしょ?」

 

「……まぁ、そうかもな」

 

監禁?どういうことだ?

 

「そしたら他クラスのヤツ、持ってくるメシに毒とか入ってたかもね。『契約したのに、抜け道作って裏切り指名して、CP減らしやがって!死ね!』みたいな。メシに洗剤とか入れられそう」

 

えぇ……。まぁ、他クラスはめちゃくちゃCP減らされて、恨みに思ってるかもしれないけどさ……。そこまでやるやつ流石に居ないでしょ。

 

「誰もがお前みたいな思考だと思うな」

 

「は~?……俺だってやるとは言ってないじゃん」

 

「フン……。」

 

「あ、仮にさ、目隠し手錠をされたままで2日間くらい客室に監禁されるのと、あの無人島生活をお助けアイテム無しで1人で1週間送るのって、どっちの方がキツいのかね?」

 

「……知るか」

 

どんな質問してんだ虎徹……。

 

でも、そうだなぁ……。流石に無人島の方がキツそうかな?でもスマホ取り上げられて監禁されてるだけってのも、めっちゃ暇そうだ。難しいな。

 




前話、アンケート消したつもりだったのに消えず残ってました(泣)
せっかく龍園の見せ所って感じの回だったので、ちょっと内容がブレちゃうからと最後の部分を次話に回して、それと同時にアンケート消したつもりだったんですけど……。完全にミスです。

なんか、アンケートが用意してあると、答えて満足して感想を書いてくれる人が減るっぽいかも?ですw

龍の策謀、ちょっと反応が欲しい回だったんですけどね……。
二度とアンケート設置しません……(決意)

どっちの方がツラいか

  • 2日間、目隠しされ監禁
  • 7日間、1人で無人島生活

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。