ようこそ邪悪な教室へ   作:マトナカ

82 / 139
タイトルめっちゃお気に入り


アリス・イン・ワンダーアイランド

「坂柳がもし無人島試験に参加してたら、どうしてた?……どんな指示を出してた?」

 

こんにちは、夕方の教室で2人きりで、いい感じの雰囲気で坂柳と見つめ合っている、キスする寸前の俺は浅井虎徹です。嘘です。

 

どちらかと言うと『にらみ合ってる』って表現の方がまだ近いかもしれんね。お互いに笑顔だけど、探り合ってるみたいな所あるし。

 

「虎徹くん、私からは色々と聞いておいて申し訳ないのですが……私達、敵同士ですよ?」

 

ちょっと困った様子の坂柳。

 

「まぁそうだけど、敵の前に同級生で、ちょっと仲良い友人、でしょ!?」

 

「………そうですね」

 

なぜか普通に悩まれちゃったのが少し悲しいけど、普通に友人レベルではあるはずだ。知人よりは仲良い。多分。でしょ?友達だよね!?

 

「あー……別に考えてることの全部は言わなくていいし、後々のために隠す所は全然隠していいから、頼むよ~。教えてよ~」

 

無人島、アホほど色々と考えて飽きるほどだったけど、だからこそ違うアイデアがあるなら聞いてみたい。

 

「……分かりました。すべては話せませんが、それでよろしければ」

 

「やったぜ。ありがと」

 

これは嬉しい。

 

ちなみに、無人島試験じゃなくて干支試験の方だったら、坂柳はどうせすぐに優待生の選抜法則とかに気付いてそうな気がする。んで、すぐに指名してただろ感がある。……だからそっちは聞かなくていいや。

 

 

---------------------------------------

 

 

「では……まず、『物資とppの交換』ですが、ルール違反によるクラス脱落のリスクがあるため、龍園くんからの提案は受け入れられませんね。私だったら拒否していたと思います」

 

「まぁ、リスク大きいもんね」

 

いくら『物資をもらってSPを多く残せそう』って言っても、失格しちゃったら意味が無い。そんでもって『絶対に失格しない』っていうの地味に難しいルールだったもんね。『暴行禁止』なんかは規律性でなんとか出来るかもしれないけど、『盗難禁止』っていうのはハメられて違反させられちゃうとかありそうだったし。

 

「……葛城くんが提案を受け入れてしまったのは、恐らく、私に勝ちたいという欲があったからでしょう」

 

「うん。ハゲはリーダーシップを見せつけたがってるとか、龍園も言ってた気がする」

 

派閥戦争中だったってことで。

 

「その『自分がリーダーのうちに結果を出して支持を集めたい』という心境が、きっと判断を曇らせたのでしょう」

 

そもそもハゲは、坂柳という存在が無かったら焦ることもなく、龍園の提案も蹴ってたかもしれないってか。

 

「なるほどね。……少し擁護すると、無人島で色々考えるのには不向きな状況だったし、1日目すぐだったとかも原因にあるかも」

 

「はい。……本来であれば、葛城くんは出来る限りのリスクを回避する傾向にありますから」

 

なんかつまんなそうに言う坂柳。ボロ負けして欲しかったはずなのに、ライバルのミスを残念に思ってるってこと?敵も万全の状態でしっかり戦って欲しかったとか?……お前は戦闘民族か?

 

「あ~、じゃあ、ある意味で色々と成功したのは坂柳のおかげだね」

 

坂柳の脅威があったからこそ、ハゲが物資交換を飲んでくれた。それが無かったら、俺達も他クラスと同じように、チマチマと節約無人島生活しなくちゃいけなかったという事になる。ヤダー!ただでさえクソだったのに、あれに加えてポイント制限あったら冗談じゃないよ。

 

当然だけど、SPゼロ前提の作戦のすべてが消えちゃって、他クラスと契約しまくった月々CP350相当のpp契約も無くなってしまう。えーっと……月々140万pp?すごいな。それだけの利益を捨てるって考えるとやっぱ嫌だし、そう考えるとハゲには感謝していいのかもしれない。

 

まぁ普通に無人島試験をやっても、40人全員が残ってサバイバルってことだから、それはそれで仲良くなれたりしたかもしれないけど。

 

「……いえ、それはどうでしょう」

 

「えっ?」

 

なんで否定的?

 

「葛城くんが提案を受け入れなかった場合でも、恐らく、龍園くんは一之瀬さんのクラス、そしてDクラスにも提案しに行ったと思われます」

 

「まぁ……そうかも」

 

言われてみりゃそうだ。

 

「別に、Aクラスに限定する必要は無かったはずです。その時のBクラス、一之瀬さん達もCPに余裕はありましたから、ppの支払い能力がありました。Dクラスも無人島試験の結果次第でCPが増加するので、結果的に支払い能力を持てるはず、という考えもできます」

 

「確かに」

 

別にAクラスにこだわる必要は無かったのか。……ただ、坂柳はなんで当然のように俺らの視点でも色々考えられるんだよ。やっぱ頭の回転めちゃ早いのかな?

 

「他の2クラスも『ppは犠牲になるけれどCPを安定して増やせる』という魅力に抗えるとは考えにくいですね。学校に入ってから、初めての特別試験でもありましたから」

 

「……そうかも?」

 

俺達が『Aクラスにならないと何の意味も無いよ』的なことを聞いてから初めての試験。CPを増やしたくて仕方ない、けど、試験の頻度がどれくらいで、1回の試験でCPをどれくらい増やせるのかも分からない。とにかく少しでも積み上げたい。そういうことを考えてたら、つい飲んじゃう提案だったのかも。

 

「ふむ……。龍園くんが他クラスと契約してしまい、結果、順当にその契約したクラスがCPを大きく伸ばすという可能性を考えると、私達Aクラスが契約してしまった方が良いかもしれません」

 

ハゲと同じようにするってこと?

 

「なんで?同じだったら、また負けちゃうんじゃないの?」

 

「Aクラスが敗退した原因、それは……戸塚くんですから。契約が原因ではありません」

 

「まぁ……うん」

 

少し緊張した。『それは……お前のせいだ!!!』って言われるかもしれないって思っちゃった。2%くらい。

 

「なので、龍園くんと共闘することにしましょう」

 

「……どゆこと?」

 

あんな信頼できないヤツと何をするって?耳が壊れたかな?

 

 

---------------------------------------

 

 

「龍園くんとの共闘。そのために、最初の契約、物資との交換契約を工夫しましょう。『Aクラスが試験終了時にCPを100以上増やせた場合、その値から100引いたCP値に相当するppを毎月Cクラスに振り込む』という契約でしたら、いかがでしょうか?」

 

「ん~?」

 

イマイチ分からん。

 

「Aクラスが増加させることの出来た値がCP100だったら何も変わりませんが、CP200ならCP100相当のpp。CP300だったらCP200相当のpp。そして理論上の最高値であるCP450の増加を達成できたら、CP350に相当するppを、AクラスからCクラスに毎月支払う、というものです」

 

A:CP100増加

C:無し

 

A:CP300増加

C:CP200相当のppを毎月もらう

 

A:CP450増加

C:CP350相当のppを毎月もらう

 

「あー、出来高制ってことか」

 

営業職がやってるらしい、ボーナス的に給料が伸びるやつっぽいな。……ウチの組でやってるかは聞いてないけど、布団とか浄水器の売りつけの詐欺電話とかやってる所では出来高の割合がめっちゃ大きいとか聞いてる。

 

「これでしたら、龍園くんがAクラスを脱落させようとする可能性が大きく減りますし、一緒に他クラスのサマーリーダーを見抜こうと協力することも出来ますね」

 

「うん。確かに」

 

ホントに共闘できそうだな。すげぇ。

 

「龍園くんとしても、確実な成果を欲したのではないかと考えています。規律性の高いクラスとして存在していますが、暴力などによる圧政は反感を買いやすいはずです。だからこそ、確実な成果を求めていた部分もあったのではないかと。……そう考えると、この共闘案に同意してくれる可能性は、それほど低くないと思います」

 

「うーむ、確かに。言われてみればそうかも」

 

龍園がクラス内の分裂を恐れてた、とは思わないけど、それでも内心では結果を出したいという焦りあったかもしれない。……無いかもしれないけど。

 

「さらに言えば、龍園くんが裏切ってサマーリーダーを交代させて、Aクラスへのクラス指名を成功させたとしても、まぁ私達Aクラスとしても支払う額がその分減るだけです」

 

「えーっと……うん」

 

C→Aで指名成功したら、AクラスからはCP50引かれ、CクラスはCP50ゲット。けれど最終スコアがAクラスから引かれる分、Aクラスから振り込まれるppも同額減ると。なーるほど。

 

「当時のB,Dクラスのサマーリーダーを見抜けば、自分たちで指名してCPを得られる上に、私達からその分に相当するppが増えることになります。きっと全力で見つけ出して、情報を共有してくれることでしょう」

 

「うん。それはそうかも?」

 

龍園がいくら頭おかしくても、そこまでやったら流石に協力するだろうな。……多分。90%くらい。

 

「ただ、龍園くんのことですから……この契約を結び、SP200相当の物資を引き渡した上で、それでも私達を裏切り、Aクラスを脱落させる可能性も考えておかなければいけませんね」

 

「いや、流石に無いでしょ……。やる意味が無いじゃん」

 

そんなことされたらドン引きだよマジで。金を捨てるってレベルじゃないだろ。

 

「いいえ、虎徹くん。『AクラスのCPを増やさせない』という成果だけでも、大きな収穫と言えますよ」

 

「………なんで?」

 

「虎徹くん、噂通り本当にAクラスに興味が無いんですね」

 

なんだよ噂って。そこまで?

 

「あっ、Aクラスにならなきゃ意味が無いから、Aをちょっとでも引きずり下ろせたらオッケーってことか」

 

「その通りです」

 

「……うーむ、なんにせよ、良いアイデアというか、良い視点を教えてくれてありがとね」

 

「いえ。私も結果論として言ってみただけですから。……その場で、無人島という環境で、即座にここまで考えが至っていたかどうかは分かりませんよ?」

 

「……そう?」

 

「ええ、そうです」

 

十中八九、自分をあまり過剰評価しないで欲しいという感じの、わざとらしい謙遜に見えるけど……まぁいいか。

 

 

---------------------------------------

 

 

「えーっと、龍園がやってた他の作戦についても聞いといていい?どう対応したかな、みたいな」

 

まぁ今言ってた『坂柳&龍園の共闘案』がもし通ったら、他に何も考えなくて良さそうだけど。けど、せっかくだし他のやつへの感想も聞いておきたい。

 

「では……2つ目の『サマーリーダー情報の売買契約』に関しては、私個人としては拒否してもいいと思いますが、クラス全体の意見としてやはり受け入れる方向になってしまうと思います」

 

「……どゆこと?」

 

てか坂柳個人としては無視してもいいと思うんかい。

 

「問題はやはり、『島中の食料を燃やす』という脅迫ですね。節約してSPを多く残そうとしてる中で、食料を消されてしまうという不快感。それに対する拒絶感はやはり大きいでしょう」

 

「うん。多分」

 

「ですから、クラス全体としては『受け入れるしかない』という方向に進むでしょうね。……選択肢があるようで、相手に1つの選択を強要していく。チェスや将棋で追い詰めていくような、上手い戦略だったと思います」

 

めっちゃ褒めてくれんじゃん。

 

「ありがと。……坂柳が個人的には拒否してもいいと思うってのはどゆこと?」

 

島を燃やしてもらいたいってことなの?破滅主義なの?

 

「そもそもの話ですが、Aクラスが1番CPが多いので、それほど苦労してCPを増やす必要も無い訳です。『CPを少しでも多く増やさなきゃいけない』という感情を持つ必要が無く、ABCD全クラスでのCP増加量が減った所で、何も困らない訳ですね」

 

「……まぁ、うん」

 

「むしろ考え方によっては、他クラスのCP増加を抑えることで、格差を維持出来るとも言えます」

 

既にある差は変わらないってことか。

 

「そうだね」

 

「特に、Dクラスは夏休み開始時点でCP87だけでしたから、そんな状況でも『CPを全然増やせなかった』という結果になったら、クラス内で個人プレーに走る生徒などが増え、崩壊してしまうかもしれませんね。……こんなすぐに消えてもらってはつまらないので、私もやるつもりはありませんが」

 

「はー、なるほど……」

 

結構ありえそうだな。あのクソ面倒な5日間を頑張って耐えきっても、全然CPが増えなかったりしたら『頑張ってもムダ』的な雰囲気になって、マジメに試験に取り組めない奴とか普通に出てきそう。

 

そして、まだ入学して半年も経ってないのにクラスが1つ崩壊しちゃうのはつまらない、っていうのも割と賛成かな。流石に早すぎる。

 

 

---------------------------------------

 

 

「最後、3つ目の『Aクラス敗退』ですが、挑発に乗ってルール違反をしてしまうことを防止するというのは……絶対に独断専行を許さない環境じゃないと難しいという事ですね」

 

「そうかも」

 

「対策としては、……3人組くらいのグループを組んでもらい、相互監視をさせるなどでしょうか」

 

「なるほどね~」

 

1人にさせちゃったら止める人も居ないから、ってことだな。効果ありそう。ヤヒコも1人になってくれたから潰せたってのあるし。

 

「そもそも、そこまで愚かな人が私のクラスにも居るとは思っていませんでした。……ええ、良い教訓になりました」

 

うわ、……こわっ。

 

「そんなに怒らんでも……」

 

ついつい人を殴っちゃうくらいの短絡的なバカなんて、世の中そこそこ居るでしょうよ。バカはちゃんと調教した方が良いとは思うけど、そんなブチ切れるほどじゃないよなぁ。

 

……俺もか?短絡的なバカ。いやいやそんな。

 

坂柳もちょっと潔癖っぽい所あるのかね。高校1年生の女の子だし、まぁ、仕方ないか。

 

けど、なんか『坂柳もちゃんと人間だったんだ』みたいな変な安心しちゃった。どこまでも自分の感情を殺して偽れる人、みたいな先入観あったし。

 

 

---------------------------------------

 

 

「……虎徹くんは無人島試験を振り返って、何か思うことはありますか?」

 

思うことぉ?なんか逆に聞かれちゃったよ。俺から聞いて面白い情報なんてもう残ってないと思うけど。

 

「うーん……とりあえず、二度と行きたくはないね」

 

環境が悪すぎだよアレ。高円寺のちょっと遊んで即リタイアが完璧な解答かもしれない。海で泳いで解散とかするくらいの感じで。

 

「ふふ、生活するだけでも大変だったみたいですね。……試験についてはどう思いますか?他クラスや、ルールに関してなど」

 

試験なぁ、なんとなく勝ったっぽいけどCP増えなかったし、ppはどうせ龍園行きだし、それほど勝利感は無い。……そう考えるとアイツからカツアゲしてもいいなマジで。しなきゃ。

 

「ん~~~、あんまり思い浮かばないけど、とりあえず、島には監視カメラ少なすぎたと思うね。人件費とかただでさえ超かかってただろうけど、それでもやっぱ監視員も少なすぎたと思うかな。カメラも監視員も5倍10倍あって良かったと思う」

 

「それは、監視が出来ていないであろう部分が多かった、という意味ですか?」

 

「そうそう。別に隠れてオナニーとかするくらいなら良いけど、……あっ、ごめん女の子の前で」

 

なんか普通に言っちゃったよ。やべぇ。

 

「いえ。続けてもらって構いません」

 

いいの!?

 

「そ、そう?……えーっと、あ~、オナニーくらいなら全然良いけど、あれほどのジャングルというか森だったら、隠れて女子を襲ってレイプして、それを撮影して脅迫するぜ~とか普通に出来ちゃったとは思うね」

 

「……。」

 

軽く引かれてる気がするけど、しゃーない。他に言いようがないし。

 

「いくら腕時計に脈拍計測があったって、さらに緊急時の連絡手段があったとしても、腕を抑えられちゃえばそれだけで終わりじゃん。GPSだって一瞬外して友人に着けといてもらったり、襲う時にまっさきに目を塞いだりすればいいだけだし。どうかと思うよ」

 

学校側、なにを『完全管理下で安心です~』みたいな顔してんだよとは思う。真嶋のアホとか。偉そうに真面目な顔したバカじゃん。

 

腕時計によるGPSで位置把握だって、点呼に参加しなかったら誤魔化せちゃうでしょ多分。

 

「……では、学校側、試験運営側は他に何をするべきだったと考えますか?」

 

改善案かぁ。そもそも無理がある試験だったという気もするけど、

 

「まず監視カメラを死ぬほど増やさなきゃダメだと思うけど、他に必要だと思ったのは『腕時計にスタンガン』かな。遠隔操作で即座にショック与えて、即座に気絶させられるようなやつ。……もしかしたら、生徒に言ってないだけで入ってたのかもしれないけどさ」

 

まぁ、危険性もあるから入ってなさそうだけどね。誤作動とかしたらヤバそうだし、悪用されたら超ヤバいし。

 

「それは……監視カメラ外で、他クラスの女生徒1人に対して怪しい接触をしてるのが確認されたら、問答無用で気絶させてしまえ、みたいな事ですか?」

 

「うん。他クラスだけじゃなくてクラス内でも同じようにしていいと思うよ。最初に『不純異性交遊をしたら気絶させて強制的にリタイアさせまーす』とか明言しておいて。……もちろん人員を増やして、その場をすぐ確認させに行くとかいう段階も踏んでいいけど」

 

せめて5分以内に確認出来るようじゃなきゃダメなんじゃないかな。

 

「……そうですか」

 

あら、ちょっと暗い顔だ。そりゃまぁ想像したいシチュエーションではないか。

 

「なんちゅーか……学校側ちょっと抜けた所あるよ。『全員が絶対に退学になりたくないと思ってるはずだ』みたいな、甘えた楽観視。……世の中さ、すげぇバカは意外とめっちゃ多いよ。後先考えず犯罪行為に走っちゃう人間は普通に居るよ?っていう」

 

ヤクザはやっぱりそういうタイプの人が多いし。つい衝動的に、つい暴力を、みたいな過去がある人がやっぱ多い。そういう人の行き着く先、受け皿ってのはある。

 

「学校側の認識が甘いと?」

 

「うん、甘い。かなり本気で『退学前提で行動されたらどうすんの?アホ?』みたいなのは、ちらほら思うよ。他にもバレないように他人を傷つける方法いくらでもあったと思うし。破傷風にさせようとするとか。……まぁ、平和ボケした、日本の高校生が相手だったら平気なのかもしれないけどね!んははは!」

 

「……。」

 

笑ってはみたけど、まるで効果が無いな。暗い。気まずい。

 

「あ~……坂柳も、ここが教室で監視カメラある所だからって言って、あんまり油断しちゃダメだよ?今も俺と2人だけで、それが信頼の証なら嬉しいっちゃ嬉しいけど、それでも警戒しなくちゃ。神室と鬼頭を待機させといて良いくらいだと思う。もちろん俺にとっては邪魔だけどね。せめて1人で会う時は、その白い杖にナイフや隠し銃を仕込んでおくべき」

 

リスクを分かった上で、情報を取るために会話しやすさを優先して、あえて2人きりになったという気もするけど。

 

そして、もう既に杖には暗器が仕込まれてるかもしれないけどね。……もしそうならめっちゃ見たい。

 

「警戒、そうするべきだったかもしれませんね……。ふふ、虎徹くんは、ちょっと怖い人のようですから」

 

「なっ、なんでー!?」

 

善意100%で言ったのに、なんで俺が警戒されるの!?……悲しいわぁ。そんなこと言うなら本当に襲っちゃうぞ!?

 

……嘘だ。襲っていいなら襲うけど。

 

そんな感じで、デートとギリギリ呼べない坂柳との反省会?みたいなものは終わった。ふーむ、意外とかなり話してたな。1時間以上経って、18時過ぎだ。

 

時間も時間だし、夕飯は食堂で一緒に食べようって誘ってみよう。

 




この作品なんか無人島の話ばっかりですね。
『ようこそ無人島へ』にタイトル変更しろ!(1人ノリツッコミ)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。