こんにちは。なんとなくやってみたタロットカード占いが、妙に的中率が高い気がしてる俺は浅井虎徹です。なんか、70%くらいは正解してそうだよね。
そんなヤバいタロットカードをいじりながら、引き続き伊吹と寮のロビーでのんびりしていると、
「あら?浅井くんと伊吹さん、何をしてるのですか?」
「おっす椎名。久しぶり」
いやぁ、なんか苦労せず知り合いに会えていいね。ありがたい。
「それは……トランプ、じゃなさそうですね」
「タロットカードだよ。占いのやつだけど……」
伊吹の方を見て、『椎名にもやってもらう?』というのを視線で確認してみると、
「1枚、引いてみて」
へぇ、椎名のことそんな嫌ってもないのか。女子の関係はまぁ分からんからね、確認するに越したことはない。
ちなみに俺も椎名のことは嫌いじゃないんだけど、ちょっと話が合わないから……。名前も聞いたことない作者の小説とかばっかり出された時に『あぁ住む世界が違うっぽいな』とか思った。
「あら?私も占ってくれるのですか?……それでは、お言葉に甘えまして。では、これでお願いします」
そう言って引いたカードには、『WHEEL of FORTUNE』と書かれてた。
「『運命』だ。……意味は、正位置だと『一時的な幸運、変化、運命、出会い』で、逆位置だと『事故、急激な悪化、すれ違い』とか」
おぉ、伊吹が解説してくれたよ。女子同士だから緊張しないのかな?
「うーん……。あまり、心当たりみたいなものはありませんね。せっかく占って頂いたのに申し訳ありません」
「……いいよ、別に」
確かに、そんなこと言われても何やねんって感じだ。人の性質みたいな記述が無いし、どう考えればいいのか全く分からん結果だ。ついにハズレかな?もしくは『運命』のカード自体がハズレなのかも?
「もしかしたら、私のことではなく、これからの事を示唆してるのかもしれませんね。現在ではなく、未来を」
「あっ……そういうのもありえるのか」
今までずっと、そのカードを引いた人を表すっぽいアルカナが出てたけど、特に自分のこと考えてなかったら普通の占いみたいになるのかも。だから『自分のことを考えて』とかいう導入させてたのかもしれんね。やっぱアレやった方が良かったのかも。
「または、2人に何か変化が訪れるのかもしれませんね。何か『運命』と感じられるような……。そういう意味だと良いですね」
ん?……どゆこと?
「別に、コイツとはそういう関係じゃない」
「そうでしたか」
関係?俺と伊吹が?……あっ!
「2人に『運命』って、なるほどね。はいはいはい。うん、そうだね。あるかも。いや、あるね!」
「無い」
「……からの~?」
「無いもんは無い」
「では、私はこの辺で失礼しますね」
俺と伊吹のやり取りを完全無視して、あっさり去っていく椎名。やっぱり、少し浮世離れしてるヤツだよね……。
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待ち時間とか入れたら、人探し?と占いを始めてから、もう2時間以上経ってるな。借りた本と説明書を交換して読んだりしてたから、別にそれほど暇だった訳じゃないけどさ。
「伊吹、タロット占いもう割と楽しかったし、マジで当たってること多そうだけど……誰か見たい相手は居ないの?」
「居ない」
うわ即答。ホントかよ、考えてないんじゃないの?
「龍園だったらどうなるか知りたくない?」
「………別に」
あっ、多分これ嘘だな。知りたそう。
「まぁ、会ったらなんか面倒くさそうってのは分かるよ。じゃあ龍園には俺1人でやるから、その時はカード貸してよ。後で結果の報告するから。……乱暴に扱われそうだけど『そのカード10万もしたから、破ったら倍額で弁償しろよ』とか嘘ついておけば。流石に大丈夫でしょ」
ホントは1万だけど。
「……好きにしたら」
「オッケー。後は……やっぱ俺達世代のリーダー格は見たくない?坂柳、一之瀬、あとは櫛田」
平田はさっきやってもらったね。あと、ハゲにも機会あったらやりたいかな。
「……。」
「ここで張り込みして待ち伏せ続けても会えるか分からないし、時間もったいないし、今言った名前にちょっと連絡して、会えるか聞いてみて、会いに行っていい?」
「まぁ……別にいいよ」
「よし」
坂柳、一之瀬、櫛田。みんな忙しそうだけど会えるかな。
占い自体、出来たら今日明日くらいで片付けたいかも。あんまり日が空くと俺が飽きちゃいそうだし、借りた本も返さなきゃだし。
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「こんにちは、虎徹くん!」
送ったメッセージに即返信があり、すぐに『今から会いに行くね』と来てくれたのはコミュニケーション能力ヤバヤバ2大巨頭のうち1人、櫛田桔梗だ。
「おっす櫛田。わざわざ来てくれてありがとね」
「ううん、大丈夫だよ」
無人島で俺を振りやがった女ではあるけど、その後の気まずさも割と慣れたかも。
「なんか、来てもらって言うの失礼かもだけど、櫛田は常に誰かと遊んでるようなイメージあったよ」
「あはは……。今日は部屋で色んな人とチャットや電話してたかな。外に遊びに行くと、やっぱりどうしてもお金かかっちゃうからね……」
苦笑する櫛田。あー、そっか、
「Dクラスだとまだ金欠?」
「まぁ……うん、そうだね。でも、外は暑いし、出れなくてちょうどいいかもしれないけどね。だから寮内で占いやってくれるっていうのは、かなり本気で嬉しいよ。ありがとね!」
いやぁ、この笑顔。気を使って見せてくれてる笑顔だとは思うけど、やっぱめちゃくちゃ可愛いな。思わず俺もちょっと笑顔になっちゃう。
「そりゃ良かった。んじゃ、ここ座ってみて」
「分かった。よろしくね」
「そしたらカードを引く前に、ゆっくり深呼吸して、心を落ち着かせて、自分の良いとこ悪いとこを考えてみて」
「うん……」
目をつぶって集中する櫛田。こうやって真剣にやってくれると嬉しいね。
伊吹はずっといじってたカードをしっかりシャッフルし直して、いつも通りに並べてくれた。めっちゃ慣れてきてんな。
「それじゃあ、目を開けて、好きなものを1枚選んでみて」
「じゃあ……これでお願いします」
「あ、表にしていいよ」
「そうなの?じゃあ、これ。……ジ・エンプレス?」
カードには『THE EMPRESS』と書かれていた。えーっとこれは、
「『女帝』だ」
伊吹もう完璧に覚えてるっぽいな。
「意味は、えーっと……『豊穣、満足、包容力、魅力、愛情』とか。悪いのは『嫉妬、我儘、感情的』だって。ものすごい女性的なアルカナだね。どう櫛田?当たってる?」
絵柄も『女王様!』って感じだ。強い女性。
「それ……うん。かなり当たってる、かも」
ちょっと素が出てるように見えるほど驚いてる、櫛田にしては珍しい。ここまで表情が出るってことは、やっぱ女子って占い大好きなのかもね。
「そう?まぁ、本人が言うならそうなのか」
「うん……」
俺から見ると『豊穣』は訳分からんから除外するとして、『包容力、魅力』あたりは抜群に合ってるように思えるかな。でも『我儘、感情的』はまるで合ってないと思うんだけどね、ワガママだったら、周りに気を使いまくって、頑張って人と交流したりしないでしょっていう。……まぁいいや。
「ちょっと話が変わるけど、他にもあと何人かにやってもらおうとは思ってんだけど、櫛田は誰をやったら面白いと思う?」
人付き合いがめちゃくちゃ上手くて、交友関係が広い櫛田ならではの、面白い人物の名前が出てきたりしそう。
「どうかなぁ……。悩むけれど、私は堀北さんならどうなるかっていうのは見てみたいかな」
「えー!?堀北ぁ?……えぇもう、ええー?」
ぜんっぜん面白くない名前が出てきたな……。
「ほら、堀北さんほど特徴がある人ってなかなか居ないんじゃないかな?」
「いや、まぁ……それは確かに」
能力としては文武両道らしいけど、その良さを完全に潰すほどの人付き合いの悪さというかコミュ障っぷり。会話してる時の妙なウザさというか、高飛車?なんか偉そうな性格っぷり。確かに特徴はあるけどさ……。
「本当に当たりそうな占いだし、私も協力するから……ね?」
「……はぁ。しゃーない」
こんな美少女が「ね?」っておねだりしてきたら、そりゃもう男は無力だよ。
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「……いきなり何かしら、櫛田さん」
軽く櫛田と作戦会議をした所、『あらかじめチャットを送っても拒否されるだけになりそう』という結論に至り、だったら突撃訪問してしまえという事でやってきた堀北の部屋。インターホンを押したら、割とすぐ出てきた不機嫌顔。見た目だけは良い性格ブス。
「こんにちは、堀北さん。あのね、伊吹さんが無人島でお世話になったお礼に、タロットカードで占いをやってあげたいって言うんだ」
「まぁ……素人の占いだけど」
「別にいらないわ」
「そう言わずに。ねっ?堀北さん。5分くらいで終わるから、やってもらおう?」
「……はぁ、仕方ないわね。ところで、なぜ浅井くんも居るのかしら?」
「気にすんなって!」
「私の部屋に男子は入れないわよ」
なんだと……。まぁいいか、コイツの部屋なら。
「分かったよ。消えますぅ~」
その間に他の相手とチャットしておくか。
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寮のロビーに戻り、チャットで坂柳と一之瀬の2人とやり取りをしていると、10分ほどして伊吹と櫛田が戻ってきた。
「ただいま虎徹くん。堀北さんは『女教皇』だったよ」
どういうのだっけ。意味は、えーっと……『知性、聡明、神秘、英知、判断』で、逆位置だと『批判、悲観、冷徹、無視、無神経』だとさ。
「ほーん。すっげぇ合ってんじゃん、特に悪いやつ」
「あはは……そうかもしれないね。すっごく勉強が出来る人だから『知性』っていうのも頷けるね」
そういえば勉強出来るらしいな。
「いやぁ、やっぱ合ってるよ。あの性格も言われてみれば、まさに『無神経』って感じだし、『冷徹』とかドンピシャじゃん。あの調子に乗ってる、社会に出て来ないで欲しいようなウザい感じを良くまぁこれだけ上手く表現してくれてるよ」
無人島と干支試験でちょっとは性格まともになったかもしれないけど、それでもまだまだ偉そうでウザいもんなぁ。
「……。」
櫛田、何か言いそうだったけど結局何も言わなかった。悪口をなるべく言わないように、ってことかも。沈黙は金ってやつか、流石だ。
「ちなみに『女教皇』って、そもそも何?……伊吹は知ってる?」
「キリスト教の、偉い人とかじゃないの」
「あー、なるほどそういうやつか。教皇って、はいはい」
ファンタジー世界の何かだと思っちゃってた。現実に居るっぽい、そういうやつか。
「修道士、シスターとか言われる人なのかな?日本人だから、あんまり馴染みが無いね……」
「確かに」
なんとなく、そういう修道院とかで引きこもってそう。だから常識とか知らないで、なんか偉そうになるのかもね。まさに堀北っぽい。
いやぁ、しっかし良く当たるタロットカードだねぇ……。
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櫛田と別れた後、俺と伊吹は学年で1番頭が良いであろう生徒の部屋の前に来ていた。
一之瀬は今日ちょっと用事があって会えないとのことで、ここが本日最後の訪問先ってことになる。
「……アンタだったんだ」
は?なんで?なぜか扉から出てきたのは、坂柳の従者とも呼べる存在、神室真澄だった。意外と久しぶりかも。あぁ、坂柳の手伝いしてるのかな。
「おいっす」
「入って良いってさ」
わーい、女の部屋じゃ~!……初めてかも。
「お邪魔しま~す」
「……お邪魔します」
伊吹もつられて挨拶した。こういうとこ可愛いよな。
物があまり置かれてないシンプルな部屋に入ると、テーブルと椅子が2脚ほど置かれていた。大体の部屋で使われてるのはちゃぶ台に座布団で、床に座る形が多いだろうけど、そうか坂柳の足が悪いからテーブルあるっぽいかな。これだけで全然違う部屋になるね。
「こんにちは、虎徹くん。『意外と当たる』という言葉が気になりましたので、是非やって頂きたいなと。わざわざ来て下さってありがとうございます」
「よっす!坂柳。大丈夫だよ。今日も白いね~!」
「……そうですか」
「えっと、……どうも」
「はい。伊吹さんもこんにちは。お話しするのは初めてになりますね」
「まぁ、そうだな。うん」
あぁ、これが伊吹の言ってた『緊張して会話しにくくなる』ってやつか。確かに会話ヘタクソだ。……まぁいいや、今日は伊吹の会話練習に来たんじゃないし。
「じゃあ早速だけど、用意してもいい?」
「ええ、構いません。この机をお使い下さい」
何度もやりまくってるから、シャラララという音もめちゃくちゃ綺麗になってる伊吹シャッフルが終わり、いつものように並べられる。
「それじゃ、深呼吸して、落ち着いて、自分の事を考えながら引いてみて」
「はい。では……これで」
引いたカードは、『JUDGEMENT』だった。ジュ……ジャッジメントか。
「『審判』だね。意味は……」
「確か正位置では『復活、祝福、再生』で、逆位置では『警告、罰、暗闇、償い』というものですね」
「坂柳、意味まで知ってんのかい。すげーな……」
なんでも知ってんなぁマジで……。ハリポタすら読んでない無知な奴らも居るってのに、人としてのスペック差がすごいな。
「ただ、あまり人の性質と呼べるものではないかもしれませんね……。過去の復活、何か関係が復活するというのはあるかもしれませんが」
個人じゃなくて、誰かと関係がありそうなカード。言われてみればそうとも思えるかも。
「ふーん……。俺はなんか、『何してもバレるよ』みたいな気がして、正直ちょっと引きたくないカードだったよ。んはは!」
「あら、面白い解釈ですね。……伊吹さんはどう思われますか?」
なんとなく気を使って場を回す坂柳。流石、クラスのリーダーっぽい。
「私は……『見抜く力がある』っていう意味かもって思った。坂柳、頭良いらしいし」
「はー、なるほどね。それもありそう」
「ふふふ、面白いですね。審判を下す側かもしれない、ですか」
うわ怖いな。坂柳だったら何でも見抜いちゃいそうだし。
「そう考えると、なんか合ってそうだね坂柳」
「えぇ、そうだと面白いですね。……真澄さんもやってみて良いですか?」
1人だけ仲間はずれっぽいから気を使ったのかな。
「俺達は別に良いけど」
「アタシは……」
「良かったです。真澄さん、やってみてもらって下さい」
「……分かったよ」
なんか乗り気じゃないのに、坂柳が横から……。いや、良いけどさ。
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同じようにシャッフルして、同じように引いてもらったカードは……
「えっと、これ」
見せてきたカードには『DEATH』
「うわっ!『死神』じゃねーか!!!」
思わず大声出ちゃった。絵柄は、ちょっとカッコイイ白馬と騎士だけど、意味としては最悪に近いものだ。うわ~~~、マジかよ。すげぇな。
「うるさい。どんな意味なの、悪そうっていうのは分かるけど」
「多分、……死ぬよ!」
「は!?」
「嘘つくなバカ。……正位置だと『強制的な終了、中止、破局、終焉、停止』とか。逆位置になると、反対に『再生、再スタート』って感じ」
伊吹が解説してくれちゃった。
「……興味深いですね、えぇ。本当に」
あれ?なぜか坂柳は真面目に考え始めちゃった。まさか心当たりあんの?
「神室はなんか心当たりあんの?……なんていうか、この学校に来て辞めるしかなかったものとか。スポーツとか武道とか、趣味もありえるか。なんかある?」
「別に……無い」
じゃあ外れてるじゃねーか……。もしくは、これから何かが終わるのかもしれない?
「やっぱ、死ぬかもね」
「は?ふざけないで」
神室、伊吹と似てるトゲトゲクールなキャラではあるけど、やっぱ伊吹の方がちょっと反応が良くて楽しいかな。
「虎徹くん、良かったら他の占い結果、誰に何が出たかを教えて頂けませんか?」
めっちゃ興味持つじゃん。意外だ。
「別に良いけど、全部覚えてないよ?」
「構いません」
「えーっと……」
誰にやったっけ?
「ちょ、ちょっと!……待って、もしかしたら本当に合ってるんだから、あんまり言うの良くないでしょ。悪いけど、ダメ。言えない。あと……もしかしたらプライバシーの侵害になるかもしれないし」
えぇ……。当たってるっぽいけど、そんなに警戒する事かね?伊吹ちょっと信じすぎじゃね?
「………そうですか」
あらら、ガッカリさせちゃった。
「あー、じゃあ言っても問題なさそうなヤツだけ教えてあげるよ。俺は『星』だったよ、イマイチ当たってない気もするけど。伊吹は……」
「……まぁ、私は言ってもいいけど。『戦車』だよ。他の人は許可取ってないからダメだと思う」
「そうですか。……2人のアルカナも、かなり合ってそうですね」
「ん、まぁね」
「……じゃ、私達はこの辺で。居たら、コイツがすぐ何か言っちゃいそうだし」
失礼な。我ながら言いそうではあるけど。
「それじゃ、坂柳ありがとね。神室も。死ぬなよ!」
「えぇ、こちらこそありがとうございました虎徹くん、伊吹さん」
「さよなら」
「……アンタも早く消えなよ」
は?もうちょい優しく送り出せよ。
「じゃあね~。……ああっ!神室の後ろに、うわぁあああああ!!!!!!」
ヤバいものを見た顔を作り、本気で怯えるように言いながら、慌てたフリをしてドアを思い切り閉めた。めちゃくちゃビビりやがれ!
「……何してんの?馬鹿?」
不審者を見るような目をした伊吹の質問に、俺は返す言葉を持たなかった。
愚者 :石崎大地
魔術師:
女教皇:堀北鈴音
女帝 :櫛田桔梗
皇帝 :平田洋介
法王 :
恋愛 :軽井沢恵
戦車 :伊吹澪
剛毅 :
隠者 :
運命 :椎名ひより
正義 :
刑死者:
死神 :神室真澄
節制 :山田アルベルト
悪魔 :
塔 :
星 :浅井虎徹
月 :綾小路清隆
太陽 :高円寺六助
審判 :坂柳有栖
世界 :
まったく関係無いんですけど、『YouJizz』っていう名前のアダルトサイトを見つけて爆笑しました。『よう実』っぽすぎる。