ウッハwww貴族に生まれたwwwマジ勝ち組www   作:頭に油をさしたいマン

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ウッハwww貴族に生まれたwwwマジ勝ち組www

▲月□日

 

 誕生日プレゼントとして、父上からは日記を、母上からはペンをもらった。せっかくなので今日から日記をつけようと思う。

 今日あったことといえば、叔父上がチェルノボーグを去ったことぐらいだろう。まるで夜逃げでもするかの様な行動の早さだった。絶対になにか裏がある。

 ほかの貴族達もずいぶんと忙しなく動いている。また、次の戦争が始まるのだろうか?それにしては父上はいつもどうり呑気に、なんとかなるさと言っている。そろそろ本気で当主の座をお譲りしていただこう。

 私の字が小さいのもあるのだろうが、日記が大きくて半分も埋まっていない、これを使いきれるのだろうか。

 

 

 @月▲日

 

 *ウルサススラング* 感染者達がチェルノボーグへと襲撃を仕掛けてきた。あちらこちらから今も悲鳴が聞こえている。襲撃を仕掛けてきた感染者達の組織名はレユニオンというらしい。ただの感染者達の組織がここまでの戦力を有しているとは。

 彼らの士気は高く指示を受けてからの行動が早い。軍人上がりも混ざっているのだろうが、それにしても練度が高い。なるほど、これほどの組織であればチェルノボーグを鎮圧することは出来るだろう。

 だが、それを加味しても動きが早すぎる。間違いなく逃げた貴族達のなかに、彼らを手引きしたものがいるのだろう。相変わらず綺麗なのは外側だけで、中身は腐りきりがらんどうだ。

 どうやら、彼らに自分達を殺すつもりはないらしく、別の学校へと連れていかれた。そこはかの有名な冬将軍が居るところだ。そこにはほかの学校の人達もたくさん居た。チェルノボーグの歴史のなかでもこれほどの学生が一同に会したことなどないはずだ。それを為したのがテロリストというのが皮肉だな。

 最初は人質にでもするのだと思っていたが、恐らくは違うのだろう。それなら、平民達は殺されているはず、この腐りきった国では国民など資源の一種にすぎない。そんな国が平民達のために動くことはないだろう。

 だけど、それは私たちも同じで、ここにいる貴族は逃げ遅れた奴や、そもそも襲撃に気づいていなかった奴等だ。そんな間抜けを国が助けるために動くわけがない。生徒会長ぐらい有能な人間ならば話は別なのだろうが。

 

 その生徒会長が貴族達を束ねて平民狩りや食糧の強奪を行っているらしい。こっそり抜け出して、自分の分の食糧や武器の確保を行っているうちにそんなことになっているとは。あの場で貴族達での殺し合いや、平民から殺されると思い、抜け出してきたが、まぁいい。

 第三、第四食料庫には大量の食糧がありはしたが、この人数だ、そう長くは持つまい。だが、レユニオンがここに学生を閉じ込めた理由がなにかあるはず、ならば、レユニオン側からなにかしら動きがあるはずだ。今は体力を温存しなければ。

 それにしても、連行されているさなか、見かけたあの白髪の少年。あの少年の目はよく知っている、平民をおもちゃのように扱う貴族達と同じような目だった。ひどく嫌な予感がする。気のせいならばよいのだが。

 

 

 @月#日

 

 目覚ましの音ではなく、扉の開く音で目を覚ました。そこにいたのは先日、貴族達から襲撃を受けたらしい平民達だった。人数は三人、身体中、あざや傷だらけだった。そんな彼らからすれば憎い貴族が一人だけ、自分で言うのも悲しいが、どうみたって強そうではない奴がいる。それにあの様子では昨日からなにも食べておらず、ストレスが貯まっていたのだろう。

 部屋に入り、こちらを視認し、彼らの顔が憤怒の色に染まり、こちらに襲いかかってくるのにそれほど時間はかからなかった。

 

 私は彼のこめかみを殴りつけた。初めてだったのだがうまくいき、ぐしゃりと、こめかみに金槌がめりこみ、目玉が押し出され、それがひものようなもので頭蓋骨から垂れ下がっている。

 それを見て残りは怖じ気づいたのか、彼らは逃げようとしたが、扉に近い方に草刈り用の鎌をなげつけると、足にささり倒れ、もう一人もそいつに引っ掛かり、重なるように倒れた。

 私はそいつら二人のうえに跨がり、二人とも頭蓋骨が砕けて中身が見えるまで交互に彼らの頭部を殴った。初めてなので砕けるまで殴ったが、両方とも一回殴ったあたりから動かなくなったので、今後は二三回程度で問題はないだろう。

 

 安全を確保したのち、彼らの制服のできる限り綺麗なところで、服や顔、手についた体液を拭き取った。意外とねばねばしていて、気持ち悪い。彼らの持ち物で使えそうなものはハンカチぐらいだったので、それを拝借した。

 改めて廊下の物音を聞いたが、近くから足音は聞こえなかった。せっかくなので、腹拵えにコンビーフ缶を食べた。手掴みでは食べづらい、あとで、スプーンとフォークも取ってこよう。

 

 

 外から響く叫喚はその冷たい熱量で床を溶かしたかのように私の足に絡み付いてきた。それを振り払うように、廊下に出ると、眼前に広がるのは昨日までとは全く異なる世界だった。出てすぐの廊下には後頭部が沈没した女性の死体が転がっていた。足の先に当たっても、コツンという音だけで転がらない野球のバット、後ろから不意打ちで殴られたのだろう、真ん丸に見開かれた目玉は、血にまみれた壁を反射する、それだけだった。

 

 ふと、目線を上げ、窓の方をみると、上から逆さに昇っていく女子と一瞬目があった。彼女の目線がなにかを伝えようとして、そのまま過ぎ去った。ぐしゃりという音が今も耳に残っている。

 

 

 そこからの記憶は曖昧で、轟く喚声の熱量が夢現の狭間で私を動かし、屋上まで引きずって行った。 その道中で、階段から突き落とされたのだろう、踊り場にたおれている男が一人いた。彼の左足は脛の部分で曲がっており、早急な治療が必要なことは見てとれた。話を聞くには、彼の持っていたパンを二人で分けるときに、揉めて、突き落とされたらしい。二人で分けたパンももう食べてしまって、飲み物はなにも飲んでおらず喉が渇いているらしい。 

 そこまで聞いて彼はもう助けられないと、私はそう判断した。物資に限りがあり、いつ助けがくるかも分からない状況で、彼を治療する余裕はない。

 

 下からのフルスイングで殴りつけた。馴れない体勢からの一撃では威力が足りず、彼はまだ生きていた、死にたくないと、這ってでも逃げようとしたので、続けて彼の後頭部を全力で踏みつけた、一度目は抵抗されたが二度目には腕がたらーんと垂れ下がった。

 まるで、糸の切れた操り人形、血と肉でできた、趣味の悪い人形のようだった。

 

 目的を果たすために、改めて屋上へと向かい、たどり着いた屋上で、手すりを握り、辺りを見渡した。ここからなら、校内だけではなく、学校の外も見えた。学内も大変なことになっていたのだが、外はもっと酷そうだ。あちらこちらから火の手が上がり、炎に燃える建物から飛び降りる奴、自分を守ってくれない警察を集団でリンチしているやつら。

 

 最近では珍しい、雲ひとつない快晴の空は、まるで太陽が、私たちの醜さを暗闇のベールから引きずり出しているようだ。

 

 学内は、両方の食料庫を貴族が確保したのだろう、見覚えのある制服の奴が働き蟻のようにうろちょろしている。

 

 中身の腐った大木である貴族が独占し溜め込む様子が目に浮かぶ。食糧庫を奪うために平民側が結束してくれたら、うれしいのだが。

 

 

 □月!日

 

 平民を殺し、奪うのが当たり前、そんな貴族のなかで、どこにも属していない私は、彼らからすれば格好の的だ。今日も何度も繰り返し襲撃を受けた。 しかも、貴族達からは誰が最初に殺せるか、という遊びの的として狙われているらしい、さすが貴族様、頭にウジでも沸いてるらしい。それでも、彼らの懐を漁ればすこしの食糧と水が出てくるのだけはありがたい。ほかのやつらはナイフや、鉄パイプ、角材などの武器ぐらいしかもっていなかった。

 

 それと、太陽が雲で隠れてもなお真っ赤な部屋で、久しぶりにクラスメイトと会った。彼らは食糧庫を確保しているらしく、うちの傘下に加わらないかと誘いを受けた。彼らのトップが生徒会長ではなかった、ということは覚えている。名前なども聞いたはずだが、どうも思い出せない。聴こうにも誘ってきた奴は今、床に目玉やら脳漿やら血液を撒き散らして倒れている。もうどれが彼のものか分からないほど、この赤黒い部屋に溶け込んでいた。

 

 改めて現状の状況を以下にまとめる。

 チェルノボーグから脱出を行いたいが、どこににげればいいのかもわかっていない。

 レユニオンの目的も不明。なぜ襲撃を仕掛けてきたのか?なぜ私たちを閉じ込めたままにしているのか?レユニオン側からこちらへの接触の痕跡はない。

 

 一番の問題は学内の食糧庫の量にたいして学生が多すぎることだ。多いのなら減らさなければならない。今日までに2、30人は殺したが、それでもまだまだ多い。最低でも、倍は殺さなければ。

 

 

 

 

 ○月◎日

 

 久しぶりに日記を開いた。前に書いたのは一週間近くまえだろう。その一週間と少し前に、食料庫が一つ燃えた。しかも、その原因は私ということになっている。ある意味では当然の結果であった。何処かに所属せず手当たり次第に人を殺すクソ野郎。それが今の私の評価だからだな。スケープゴートにちょうどよかったのだろう。

 

 食料庫を占拠していた奴らからは復讐のためにと襲われた。もう一つの食料庫を占拠している奴等からは、正義のために、と襲われた。ほかの奴等からも、敵討ち、飢え、ほかにも様々な理由で襲われた。

 

 皆、殺した。声を張り上げ最後まで戦おうとした奴、仲間の死体を見て逃げ出そうとした奴、勇気を振り絞りへっぴり腰でガラス片に布を巻き付け両手で握る奴、仲間の死体に躓き倒れ私に許しを乞う奴、最後まで己を正当化した奴、呪詛を残した奴。

 最近まで、普通に学生として生活を送っていた奴等を、昨日と同じような今日、今日と同じような明日がくることを信じていた奴等を殺した。金づちで、鎌で、鉄パイプで、ナイフで。

最初の三日は寝る暇もなく、常に誰かが私を殺そうとしていた。それからも、食料を探したりで、とても日記を書くような余裕がなかった。

 缶詰や水にはまだ余裕はあるが、脱出する際の分として残しておく必要がある。

 

 床を生温くあたためる死体のなかから一番でかい奴を選んだ。くびを切り落し、内臓を抜き取り、天井から吊るしている。彼の頭は部屋の隅に転がした。

 

 彼とは同じ学校の生徒だった。その大柄の見た目に反して、優しい性格で常に誰かに頼りにされていたのを見たことがあった。優しい彼でもじわじわと自身を蝕む飢えにはかてなかったのだろう。死ぬ寸前まで食い物を寄越せと言っていた。彼の懐を漁れば真っ赤な肉が入っていた、今もなお血の滴る肉が。

 

 まだ血抜きは終わりそうにない。

 

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 羽虫のブーンという羽ばたきの音。ぽちゃんぽちゃという、水滴の落ちる音、そして、むせかえるような血の匂い。勢いよく体を起こす。

 日記を書き終えたところで、机に突っ伏して寝てしまっていたのだろう。まるで不真面目な学生のようだ。と自嘲する。

 教室の窓に視線を向ける。外の闇が深くなるほど、ヒビだらけの窓に写る、私の顔が濃くなっていく。

 顔中に黒く乾いた血がこびりついており、目元にはくまが浮かんでいる。

 随分と人殺しらしい顔になってきた。今までだってそうだ、たくさんの人を見殺しにしてきた。今回は直接人を殺すことになっただけだ。命に貴賤はない。そして、手段によらず、人を殺したならば人殺しだ。

「殺してるんだ、殺されもするさ。」

 なんともなしに窓へと近づいていく。下から見上げる目玉が、俺への憎しみを雄弁に語り。彼らの冷たくなった唇が、俺への呪いを乗せて睨みつけている。肌に腐敗した肉の匂いを、鼻に彼らの悲鳴が突き刺さる。

 

 窓の向こうの俺が言う。

「殺したくなどなかった。仕方がなかったんだ、許してくれ。」

 私が笑う。嗤う。俺の顔に手を添える。

「違う。殺したいから、殺した。こうなるまでも、沢山の人を見殺しにしてきた。ただ、直接殺すようになっただけだ。」

 すこし手のひらに力をいれると、ばらばらに崩れ、光を反射しながら、暗闇のなかに消えていく。

 

 目に写るのは死体の山、耳には遠くで響く声。体に体液のせいで張り付く服は不快で、そのかわりこの匂いにはもう馴れた。

 机の上に開かれた日記を閉じた。

 持ち主の名前には血がこびりついて、もう読めない。

 

「どうでもいい。」

 

 私は血のこびりついたナイフを握る、暗くなるまでには終わらせなければ。

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