ウッハwww貴族に生まれたwwwマジ勝ち組www 作:頭に油をさしたいマン
……なんだ、あいつかよ。
……あぁ、ケルシー先生への連絡、いらないよ。
……患者達を死ぬまで鉱山で働かせるあんなウルサスの貴族なんかの為に、ケルシー先生の時間を割いていただくのはもったいない。
それにここに勤務して仕事にも馴れてきた。
……
………
……彼の様子かい?いつも通りの仏頂面で人の命をなんとも思わない目をしていたよ。
頬はこけ、目が落ち窪んだ母親が必死に叫んでいる。
「お願いします、この子だけは!」
枯れ木のような手に抱えられる子供は、さらに痩せこけている。もうほとんど息をしていない。だけど、今からでも治療すれば間に合うかもしれない。
それでも俺は両親の信頼を裏切らないために……
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………いつもどうりの最悪な目覚めだ。
吐き気がないだけマシなのだろうが、それでも寝汗がひどい。とりあえず、シャワーを浴びにいく。いつもの服を着て、トイレに行って、電子音を鳴らす端末からの連絡に答える。
「どうしました、ケルシー医師?」
「急で悪いが仕事だ。」
「了解。」
飯を食ったあとは仕事の時間だ。
今回もレユニオンが暴れているのを止めにいくらしい。
運送用の車両に乗り込む。
回りから突き刺さる視線を気になどしない。所詮、人殺しは人殺しだ。
「今回の任務はこの近くにレユニオンのキャンプがあることを確認した。それの鎮圧だ。」
今回のリーダーがこちらを睨みながらそう言う。
「わかってるよ、無益な殺生はご法度だろ?」
まぁ、必要だったら躊躇無く殺すが。そのための私だ。汚れ仕事を実行でき、いざというときに切り捨てられる。それが私なのだから。
私は責任を持たないといけないのだから。
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細い木々が天を貫く杭のように乱立し、お蔭で視界の通りはあまり良くない。こういった場所は隠れ潜むには最適だ。
歩きなれた巡回ルートを二人で回る。設置した罠に動物が掛かっていてくれると、肉が増えるから嬉しいのだが……
「(*ウルサススラング*)、餌だけ持ち逃げされてる!」
藪を掻き分けて俺の相棒、ジョンが罵声と共に戻ってきた。獲物がいないのがわかり、もう足音を隠すのをやめてズカズカと歩いてこちらに向かってくる。
「ってことは今日もオートミールに決定だな。」
量も十分あるし、まずいって訳ではないんだが、それでも毎日同じものなのはな……
「保存食に手をつける日が待ち遠しいよ。」
ジョンも同じ気持ちらしい、言ってることは質が悪すぎて笑えないが。
「……俺たちは間違ってなかったんだよな?」
腰にぶら下げた警棒を意識する。食料が必要だった、辺りに保存食がころころ落ちている訳もなく、どこからか手に入れる必要があった。
「当然だ!あいつらは俺たちが感染者だからとなにかと難癖をつけて、物資を売ろうとしなかったんだから!!」
だから、俺達は村を襲った。襲わないといけなかった。抵抗しなかった奴は捨て置いて、必要な分の物資だけを頂いた。そうしなければ、俺達は生き残れない。
悩んでいる俺の脇腹を肘でつついてきた。
「まあでも、あのオートミールもお前にとっては愛妻の手料理なんだからいいじゃないか。」
なんてニヤニヤと茶化しながら。
こいつはたまに無神経なことを言うが、それでも回りをよく見ていて、それに何度も助けられてきた。
「やめろ、俺と彼女はそんななかじゃないよ。」
そうだなそれでも、春になったら畑を耕して彼女と一緒に……
急に世界が回った。ゆっくりと時間が進む世界で見えたのは、倒れ伏したジョンと、首から上がない俺の体、そして、俺たちを襲ってきた……あぁ……くそっ!顔に鉱石が生えて、いくらか成長したらしいが、それでも忘れるわけがない、あの日、鉱山であの子を見捨てた奴だ。
自分がゆっくりと意識と共に地面に落ちていく
なぁ…くそったれな神様…俺は殺されても仕方がない悪人だったよ、でも彼女は違う。だからさ…頼むよ…一度くら…いはさ…彼女を助けて上げ…てくれ……
地面とぶつかっ
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あの二人組が話していたことと、そしておおよそ目星をつけた拠点の位置を連絡する。
どうして殺したのだ、と。
手に入れた警棒をもてあそびながら、黙秘を続ける。
それは、私にもわからなかった。彼らを懐柔することも出来ただろうし、彼らが去るまで隠れることも出来た。
それでも私は彼らを殺すことを選んだ。
わかっている、ただ幸■そうにし■いる彼らが憎■った■らだ。
…考えが上手くまとまらない。
…まぁ、いい恐らく帰れば営倉に放り込まれるだろうが、今は仕事だ。
結果から言えば、とても上手くいった。敵が拠点にしている洞穴、そこで待機している。
敵の規模は襲撃から生き延びた村人から聞いている。投降の呼び掛けに応じてくれたらしい奴等の数を数えている。
その中から出てきた一人の女、そいつと目があった。空気が冷えていく。
今日の悪夢に出てきた母親だ。列から離れて此方まで近寄ってくる。
「……お前はあの時のっ!それは彼の警棒!」
私の顔をそして私がもつ警棒を見て、憎悪に溢れる目線を向けてくる。
「返して、あの子を!あの人を!かえしてよ?!」
私を力一杯に叩いてくる、いくら私が弱いと言っても、女の非力な拳など痛くなどないはずだ。
「返せ!返せよぉ!」
心だってこの痛みにはもう馴れた。それでも、
全■■私■所為に■やが■て
彼女の顔を警棒で張り倒し、倒れた彼女の顔を叩く、何度も何度も、
「…おっ…おい…」
頭蓋が砕け、その中身が飛び散っている。まるで羽が生えたみたいだ。
「手ぇ空いてる奴、こっち来てくれ!!」
複数人のオペレーターに押さえつけられた、そこまでは覚えている。
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任務が終わって、帰投する。医務室でなにかを話したはず、覚えているのは今日の担当がケルシー医師ではなく別の人だったことぐらいか。
真っ直ぐ歩こうとしても、廊下が曲がりくねっているせいで、何度も壁にぶつかる。少しでも早く帰ろうにも、堅い床が足に絡み付いてきて、なかなか前に進めない。
私の方を向く靴先が私の視界に入ってくる。誰かが前に立っているらしい。
「随分と派手にやったそうじゃないか。」
……あぁ、この声はズィマーか。部屋に向かうためには避けて通らないと。
彼女が下から顔を覗き込んでくる。
「…大丈夫か?」
目が合う。彼女にしては珍しくこちらを心配しているのが分かる。
風景が一気に変わっていく。
………どうやら私は今、手を引っ張られているのだろう。ただ歩くだけなのに、何度も自分の足に躓きそうになる。
次に気がついたら、部屋のなかで椅子に座っていた。目の前には夕日が差し込んでいる透明な液体が置かれている。
それは手に持つと少し暖かい。
少し口に含んでからこくりこくりと飲む。
口から言葉が漏れてくる。駄目だと思うのに止めることが出来ない。
「オレは、私はどうすればよかったんだ?なにもせず、目を閉じて耳を塞いでいればよかったのか?」
私は何を言っているんだ?そんなことを彼女に言ったところでどうしようもないだろう。
「私だって、鉱山の管理なんか嫌だった。でも、やらないといけなくて、悲鳴が聞こえても何度も何度も無視をして、助けを求める手から目を反らして……」
目線を上げると、コップに写った彼女の顔はいつもより優しくて、本気で私を心配してるのがわかる。
それがなによりも気に入らない。
椅子から立ち上がると無造作に腕を振るい机を払い除ける。
机の上から落ちたカップは割れはしなかった。罅が入った空のコップは床をころころと転がる。いくら入れ物が頑丈でも、容易く中身は溢れ落ちた。
驚愕に染まっている彼女を地面に押し倒す。
「~ッ!つっぅ!なにすんだっ………よ………」
彼女には今いったい私はどの様に映っているのだろうか。
……どうやら相当酷いらしい。彼女の顔には悲壮や困惑、恐怖、ぐちゃぐちゃに混ざっている。
その首に両手を伸ばす。こちらに来てから只ひたすらに己を鍛え続け、薬や手術で体を弄くり回した。
痛かった、怖かった。それでも、戦い続けるために受け入れ続けた。
そして、今の私は彼女の首をへし折るには、十分すぎるほどの力を得た。私なんかとは違う、誰かを助けることの出来る、強くて優しい冬将軍でも無理矢理押さえつけることが出来る。
内側から暗い喜びがふつふつと立ち上る。
「~っ!んっ!!」
必死に酸素を取り込もうと真っ赤な顔の彼女が必死に自分の下から逃げようとしている。だけど、腹の上に私が座っているので、腕の力だけでは到底振りほどけない。
……生殺与奪の権利は私が握っている、なのになんで私を見上げるその目に宿るのは、憎しみでも恐怖でもなく、憐敏なんだよ。
それが私の中の罅を広げていく。
……駄目だ、それだけは駄目だ。
「殺したくなんてなかった。友達も仲間も、なんで私が殺さないといけなかった。」
罅が大きくなっていく。
駄目だ、それを言えば取り返しがつかない。
やめろ!
やめろ!!!
その時、確かに音が聞こえた。壊れる音が。
「……なんで…なんで………私が誰かの代わりに手を汚さなくちゃいけなかったんだよ!!」
もう駄目だ。溢れだしてくるのを止められない。止まらない。私を無視して喉を震わす音は大きくなっていく。
「見なかったことにするのは楽だっただろうな!!私が人を殺して傷つけて、それを私に押し付けて!!自分はしょうがなかったって顔してればいいだけだもんなぁ!!」
違う、違う、自分で選んだことだ!!私がやるときめたからやったんだ!!
ナニカが、微かに自身のなかに残っていた、なにかが、一つ言葉が口から漏れだすたびに灰になっていく。魂が燃えていく。
「なぁ、お前に解るか、子供の頭蓋を砕く感覚が解るか?赤子を妊娠している母親を殺すのは?皆を守ろうと前に出た父親を殺すのは?解らないよなぁ?全部オレがやった。やらないといけなかった。」
中身が灰になったところで炎は消えない。彼女の目から溢れてくる涙でも、彼女の頬に点々と落ちてくる夕立でも。
「なんであの時オレを殺してくれなかったんだよ、殺してくれよ、ヒーロー。オレなんかとは違う誰かを助けられる、本物のヒーロー。」
もう手に力は入っていなかった。
「どうせ悪いのは全部私だ、学内の人を殺し回ったが、そんなのなくても、お前がいたんならなんとか出来たんだろう、弱者の守護者。貴女は私なんかとは違う。」
彼女の私を見る潤んだその目には罪悪感や後悔が浮かんでいる。
首の上に置いていた手を離した。
立ち上がり、霞んで目の前も見えていないが、それでもなんとか部屋を出ていかないと。薬を打って寝ればまた戦える。戦うことが出来る。
袖を捕まれた。まるで力は入っておらずふりほどくのは容易い……はずなのに、今はなによりも重かった。
「………ごめん……なさい…」
下を向きながら、まるで蚊の鳴くような声で私に謝る彼女がいる。部屋の空気へと溶け込んでいく。
そういうことか、そういうことなのか。
がらんどうの中身から笑いが込み上げてくる。
彼女達を未だにあの地獄に繋ぎ止めているのは私なのか。
彼女達が本当に必要としていたのは、障害を切り払う武器であり、痛痒の感じない機械であり、決して私ではない。
私なんか不要だった。私がいなければ、皆が今もこれほどまで苦しむことはなかったんだ。
なのに、それでも私は人でしかなかった。
だから、すべての咎を背負うから、なんでもいい、今だけはこの痛みから逃れたい。
傷だらけの真っ赤に染まった両腕で、彼女の体を抱き締める。抵抗はなかった。私よりも高い体温と、柑橘系だろう香り。右頬に感じる誰のものかも分からない涙。
彼女の髪の中に隠れる耳へと囁きかける。
「……今だけでいいから、忘れたいんだ。」
……彼女がこくりと肩の上で頷いた。
最悪だ、彼女が罪悪感を感じていて、私が何をしたって断ることが出来ないことをわかっているくせに。
ゆっくりと夜の帳が下りてくる。光の差さない暗い部屋の中では、もうほとんどなにも見えない。
手に宿る凶器の冷たさを消すために、貴女の手のひらの温もりを。
未だ薫る皆の血の臭いを忘れるために、もっと貴女の香りを。
今も聞こえる彼らの悲鳴が分からなくないぐらい、喘ぐ貴女の声を。
彼らの血肉の味を上書きするために、唇を奪い貴女の口内を。
暗闇から今も私を呪う彼らが目に入らないぐらい、よがる貴女の姿を。
今だけはすべての苦しみから目をそらすために、貴女と私の影を重ねる。
私だってわかっている。
未来永劫、彼女が私の側に立ってくれることはない、私は彼女から様々なものを奪ってきたのだから。
これからも孤独に戦い続ける現実は、なにも変わりはしないことも。
それでも明日も戦う為に、感染者、非感染者関係なく、自分達の行い、その結果に耐えるために。
今だけは全身に感じるこの温もりに混ざった匂いに溺れていたい。
ズィマーの机、その奥深くにあるA4用紙その内の一枚。
皺だらけで所々掠れており読めなくなっている。
オペ■■■ー ■■ラッド
彼の鉱■■があれほ■まで悪化している原因は二つ■り、一つ目はチ■■■ボーグ事変の起■る前から感染し■い■こと。そして、二■■は感染者の肉体を食■ていた■■■。
彼の持つ障害について
脳に鉱石病が■■ことと、高スト■ス環境に■■間身を置い■いたため、味覚■害、記■■■、精■■■(■覚、幻聴■がある。