感情欠落者は本物を知る   作:ちゃむこ

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テンコウ

「こんにちはー、転校生が来ましたー」

「雪様、とりあえず私たちがこれからお世話になる、1年C組の先生のところに行きましょう」

「りょーかーい」

 

あの後なんとか帰宅し、準備を整えて雪と黒は凡矢理高校の職員室を訪れていた。雪は凡矢理高校の制服、黒は雪を迎えに行った時と同様のスーツをピシッと着ていた。

 

「お、来たかー!こっちだこっちー」

 

職員室の中をキョロキョロ見ていた2人にむかって、大きく手を振る女性がいた。2人は、すぐにその人が1年C組の担任だと気付き、真っ直ぐその女性へと向かった。

 

「どーも、今日からお世話になります如月(セツ)で〜す」

「今日から副担任としてサポートさせていただきます、黒木心です」

「私が担任の日原教子だ。生徒からは主にキョーコ先生って呼ばれてるからよろしくなー。それにしても2人とも凄いイケメンだなー、これは女子どもが騒ぎそうだ」

 

キョーコ先生はフランクに2人と接していた。

眼鏡の似合うキョーコ先生は、雪と黒の容姿を見るなりきらりと眼鏡を光らせていた。

 

「おー!黒、俺自分の担任の先生がこんなに綺麗な人なら、毎日遅刻せずに学校行ける気がするよ」

 

「それは良かったですが、どなたが担任でも私が無理矢理にでも引っ張って行ってたので変わりませんよ。でも確かに、お綺麗ですね。見惚れて仕事に支障が出ないか今から不安になってきました」

 

「あははは!こんなイケメン達に上げられたら調子に乗ってしまいそうだな。

あ〜2人の関係はわかってるんだが、雪は普通にそう呼ぶとして、黒木先生はなんて呼んだら良いですか?」

 

「そうですね…下の名前はあまり好きでは無いので、出来ることなら雪様と同じ様にフランクに黒と。それと私には自然体に話してくれて構いませんよ。その方が貴方は魅力的ですから」

 

黒は胸に手を当て綺麗に一礼する。そのブレのない綺麗な一礼に、その場にいた教員達は思わず目を奪われていた。

しばらく教室がシーンとするとキョーコ先生はクスクス笑っていた。

 

「それじゃお言葉に甘えて、私も“黒”と呼ばせてもらうよ。それじゃ2人ともこれからよろしく!まぁ雪はそんな気にしてないが、黒はもう少しリラックスして良いからな。君たちのことは先に貰った資料で大体わかってるから、まぁ楽しめよー。

…あ、それと君たちの他にもう1人転校生がいるんだよ。もうそろそろ来ると思うんだがな……っと噂をすれば来たかな」

 

キョーコ先生は職員室の出入り口の方を見て、雪達の時と同じように手を振り、1人の生徒を呼び込んだ。

モデルの様に整った顔で綺麗な金色の長髪。頭にはこれでもかと存在を主張している赤いリボン。誰が見ても美少女と答えるだろう見た目をした少女が小走りで雪達の隣に並んだ。

 

「すいません、遅れました!」

 

肩で息をする美少女。ここまで走ってきたのだろう、額には汗が滲んでいた。

それに気付いた雪はポケットからハンカチを取り出し、渡した。

 

「はいこれどーぞ」

 

「え、あ、ありがとう」

 

「別に遅れてないから安心していいぞ。桐崎さんでいいね?」

 

「はい!()()千棘です!これからよろしくお願いします」

 

()()の名が出てきた瞬間、雪と黒はピクッと身体が反応し、お互いに目線だけを動かして千棘をじっと見た。

 

(()()…確かビーなんとかってギャングの…あとは…なんだっけ)

 

(雪様のこの顔…おそらくビーハイブの御令嬢ってことは思い出したけど、華さんの娘さんというのは思い出していなさそうですね…前にお世話になったでしょうに…本当に興味のない事にはとことんないんですから)

 

うーんと唸る雪に、冷たい眼差しを送る黒。すると、キョーコ先生が気を利かせてくれたのか、お互い自己紹介をする事になった。

 

「それじゃ、俺は如月雪、雪でいいよ。これから()()()よろしくね、桐崎さん」

 

「私は今日から1年C組の副担任になります黒木心です。黒でも黒先生でもお好きに呼んでください」

 

「雪に、黒先生ですね!私は桐崎千棘です。アメリカから来たんですけど日本語平気なので気軽に話しかけて下さい!よろしくお願いします」

 

にこっと微笑む千棘。元々の容姿がモデル級なために、その微笑みは大抵の男は落ちるだろう。

だが、雪は良くも悪くも女慣れしているため、特に効果はなく逆に爽やかな笑顔を返す。黒も大人の落ち着いた雰囲気に包まれた笑顔で一礼する。

雪も黒も身長が180を越えるモデル体型で、容姿も超美形。そんな2人の笑顔に、逆に千棘はドキッとしていた。

 

(こんな綺麗な男の人たち見た事ないんですけど!?え、日本って皆こんな感じなのかしら!?あ、でもさっきぶつかっちゃった人は違ったわね。

…というかこの2人の声どこかで聞いたことがあるのよね)

 

千棘も先程の雪の様に唸っていた。だが、こんな美形な人たちと会ったら忘れる筈がないと判断して考えるのをやめた。

 

「よーし、それじゃ教室に向かうか。あーあいつら騒がしくなるだろうな」

 

小声でぼやくキョーコ先生は雪達を連れて教室へと向かった。

 

 

 

 

ここが1年C組の教室か。1年半とちょっとぶりかーどんな反応するかなみんな。

 

「雪様、緊張なされてるんですか?」

 

あはは!緊張ねーどうなんだろうね。してるのかな?

 

「黒の目から見て、どう見える?緊張してる様に見える?」

 

ずっと俺の隣にいた黒なら、俺よりも俺を知ってるだろうからね。ほら聞かせてよ、俺は今どんな顔をしてるのか

 

「とても期待に満ち溢れた顔をしてますよ。これからどんな日々を送れるのか楽しみにしてる、そんな顔です」

 

「あはは!そうだね、たしかに楽しみだ。先ずは久し振りに再開する皆の反応が楽しみだよ」

 

「私も皆様に会えるのが楽しみです」

 

フッ、と口角を上げる黒を、バッチリと見ていた俺。こいつほんといつの間にか仲良くなってるから不思議なんだよね。黒みたいなタイプってどちらかというと人見知りとか素っ気ない筈なんだけど。

 

「よーし、今日は転校生2人に新しい副担任を紹介するぞー。先に言っとくけど男女どちらも喜べー、けど騒がしくするなよー。それじゃ3人とも入ってきて」

 

まぁいいや。それよりもこれからの高校生活を楽しんで行こうかな!

 

 

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