感情欠落者は本物を知る   作:ちゃむこ

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サイカイ

「それじゃ3人とも入ってきて」

 

キョーコ先生に呼ばれた三人は、千棘、黒、雪の順番に教室に入っていく。

美男美女の三人を見た生徒たちはというと

 

「うおー!美少女きたぁぁ!」

「キャー!すっごいイケメンが二人よ!」

「美男美女かよ!?なんだあれ芸能人か!?」

「脚長!背たか!モデルかよ!」

「リアルマネキン体型か!?」

 

めちゃくちゃ騒いでいた。主に男子は千棘を、女子は黒と雪を見て騒がしくなっている。そんな騒ぎの元になっている三人は、千棘はニッコリと笑顔のままピシッと綺麗に立っている。黒は少し口角を上げる程度、雪はニコニコしながらみんなに軽く手を振っている。

しばらくしてなんとかキョーコ先生がみんなを落ち着かせ千棘から自己紹介が始まった。

 

 

(あはは、流石にここまで騒がれるのはびっくりだなぁ…。それよりみんなはどこかな〜っと…あ、楽君意外に目の前にいた。って、お〜?めっちゃ桐崎さん見てるけど、もしかして一目惚れ?あれ?あなた小咲ちゃんは?っと騒いでる男子の中には集君もいるし…あはは!みんな変わってないな)

 

 

雪が周りを見ている時に千棘の自己紹介が終わった。すると先ほどまで千棘をジッと見ていた楽は、あー!っと勢いよく立ち上がり千棘に指を刺していた。

一方の千棘もまた、楽に対して指を刺し驚いていた。

どうやらお互いは知り合いらしかった。

 

(学校の塀を飛び越えた桐崎さんの膝が、丁度通りかかった楽君の顔面に当たったと…あははは!なにそれすっごい面白いじゃん!それで暴力女認定ね。楽君は運がないねぇ、と言うより女の子に猿女なんて言ったら…あ、殴られた)

 

楽が言い合いの途中で千棘に向かって猿女と言った瞬間、千棘の見事な一撃が楽の顔面に吸い込まれていった。その一撃を持ってみんな静かになり、喧嘩は終わった。

 

「おーい一条、教室で寝っ転がるのは汚いから座っとけー。それとお前らも、まだ自己紹介は終わってないんだからな。それじゃ次、()()()お願い」

 

「わかりました」

 

((((ん?黒?))))

 

キョーコ先生が黒の名前を出すと、その名前を聞いたことのある4名は、ん?と

頭に?を浮かべた。

 

「本日からC組の副担任を務める黒木心と言います。

気軽に黒先生と呼んでもらえれば幸いです。それと、隣にいるこの子とは従兄弟関係なので2人揃ってよろしくお願いします」

 

黒はクールに微笑みながら、まるで執事のように美しく一礼する。

その姿に女子は目をハートにして黄色い歓声を上げる。

その中で黒の名前を聞いて先程の疑問がハッキリしたらしい4名、楽、集、小咲、るりは黒とその隣に立つ雪を順番に見る。

 

「黒ってことはまさかお前は!?」

 

楽がまたも勢いよく立ち上がり、雪を指さしていた。

その楽の驚いている間抜けな顔にクスクスと笑う雪は口を開いた

 

「初めまして、そして何人かは久しぶりかね。

名前は如月(セツ)っていいます。どーぞ気軽に話しかけてね〜!」

 

黒とは逆に明るい笑顔で一礼する雪。その雪の姿にまた女子は騒ぎ、黒同じく目がハートになっている。その女子の明るさに雪は、特に気にすることなく楽しそうに手を振る。

途中途中で集や小咲、るりと目が合うも今は特にアクションを起こしていない。

一通り振り終えると、雪はまっすぐ楽の目を見る

先に口を開いたのは楽だった。

 

「本当に雪なのか?」

 

「結構背が伸びたからね、わかりづらいかもだけど俺は本当に雪だよ。久しぶり、()()

 

「マジか!めっちゃ久しぶりじゃねえか!雪!…って、ん?()()?」

 

(あれ?あいつ俺のこと呼び捨てじゃなかったっけ?久しぶりだから緊張してんのか?)

 

雪の自分の呼び方に違和感を覚えた楽。だが、それは久しぶりだからかなと事故解決して、昔からの親友に再会できたことに喜ぶ楽

 

「でもほんと久しぶりだな!また同じ学校、しかも同じクラスになれるなんてマジで嬉しいよ!そうだ!集や小野寺達も同じクラスなんだ!」

 

「よーお雪!久しぶり〜!またよろしく⭐︎」

 

「あはは!()()も相変わらずだね。でも2人とも一旦落ち着いて?みんな固まっちゃってるからさ。

同じクラスなのはさっき気付いて、僕も嬉しいよ。()()()()()()()()()()もまたよろしくね?」

 

((((!!!))))

 

「う、うん!またよろしくね如月君!」

「…ええ。こちらこそよろしくね」

 

雪の呼び方に違和感を感じる4人。それもそのはず、楽と集とは小学校からの付き合いで、小咲とるりとは中学から。しかも雪は最初からみんなのことを呼び捨てにしていたため、雪の今の呼び方は違和感を感じるのだ。

だがそれでも楽同様に、久しぶりだからかなと結論づける小咲とるり。

集だけは、普段のふざけた感じではなく、少し真剣な顔になっていたが。

 

これで自己紹介が終わり、席へと着こうとなったが、千棘と雪は自分たちの席が分からず、キョーコ先生に尋ねた。

 

「あーそっか席な。んー雪は舞子や小野寺と知り合いで、桐崎さんは一条と知り合いね…よし、んじゃこうしようか」

 

と言って、結果決まった席は千棘は楽の隣、そして雪は

 

「それじゃ改めて、これからよろしく小咲ちゃん」

 

「うん!またよろしくね、如月君!」

 

小咲の隣となった。

そして、朝のHRが終わり、楽は一旦千棘と共に、席の抗議をしに行き、雪は久しぶりに友人達と話していた。

 

「それにしてもほんと久しぶりだなー雪。中二の秋以来か、いつ日本戻ってきたんだ?」

 

「そんぐらいかな?日本へ帰って来たのもつい最近だよ。それにしてもみんな大人になったね!集君はかっこよくなったし、小咲ちゃんもるりちゃんも一段と綺麗になった。これじゃ緊張して昔みたいに上手く話せるか心配だね」

 

雪はニコニコな笑顔で歯が浮くようなセリフを簡単に言った。昔からそう言うことをさらりと言う性格をしていた雪に、もう長い付き合いの集は相変わらずだなぁと受け流していた。

一方で中学から出会った小咲とるりも、雪の性格は知っているし、出会った時からそう言うことをさらりと言ってしまう事は分かっていたのだが、中学の頃から美少年だったのに高校生となり、背が伸びて少し色っぽい大人の雰囲気を纏う美青年へと成長した雪を見て、思わず心臓が高鳴った。

 

(ど、どうしよう…!如月君がキラキラしすぎて顔見れないよ…///)

 

(小咲程ではないにしても、私までドキドキしちゃったわ…)

 

(あはは…相変わらずだな雪は。なんか今からでも分かる、これからの高校生活…絶対面白い!)

 

集は今だに恥ずかしそうにしている小咲とるりを見て、何やら確信したのかもの凄いニヤニヤしている。

 

まだ教室にいた黒は雪達4人を見る。それから廊下で今だにキョーコ先生に抗議をしている楽と千棘にも視線を移した。

 

(楽様に小咲様はともかく、千棘様まで揃うとは…もしかしたら残りの3()()もここに来るかも知れませんね。そうなることが皆様の運命なのですかね。皆様が揃った時は、協力してもらわなければいけませんね。勿論、雪様の数少ないご友人である集様とるり様にも。

どうか私の主人の…雪様の()()()()()()()ことを…)

 

黒は集たちと楽しそうに笑顔で話す雪を見て、自分の心に誓った

 

 

 




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