GA本社ビックボックス。その会議室の一つにGA社幹部たちが集まっていた。その中にはGA社、社長オーソン・ジュネット。そして、GA社会長の姿もあった。
「全員集まっているので、これより臨時会議を始めます」
全員集まっているのを確認した1人の幹部はそう言って会議が始めった。
「今日集まった理由は既に皆さんが思っている通り、GAEの脱退の件です」
今日、この場に集まった理由はただ一つ。今から1時間前に起きたGAEのGAグループを脱退したことである。
「では、現状を説明します。今から1時間前、GAEがGAグループの脱退を発表しました。脱退した理由は、先のハイダ工廠所属不明部隊による襲撃はGAEの兵器類データを奪うためGAが仕組んだと発表。それと同時に証拠写真などのデータを世界に送信されました」
GAEの重要生産工場一つであるハイダ工廠が先日所属不明部隊に襲撃された。幸い、事前に襲撃を察知したGAEはアナトリアの傭兵を雇い、所属不明部隊を撃破。ハイダ工廠も無傷であった。
問題は此処からだ。GAEは襲撃したACの残骸を調査した結果、GAの部隊だと判明。
GAEはそれに激怒し、GAが襲撃した証拠データ類を世界に送信し、GAグループから脱退した。しかし、それはGAE側からの話であった。
「ふむ。で、その証拠データにあった我が社の部隊は実在するのか?」
「はい。調べてみた結果、確かにその部隊はありました」
「…ありました…つまり、今は存在しないと言うことか」
「はい。この部隊は4ヶ月前にGAE領付近の任務中に消息を絶ち、MIAをなっています」
ハイダを襲撃したGA部隊は4ヶ月前にGAE領付近で消息を絶ってたのだ。
「…GAEは今どう動いている?」
「GAグループから脱退した後、アクアビットと接触しています。おそらくは、アクアビット経路でレイレナードグループに入るものかと」
「この対応の早やさ…匂うな」
GAE領付近で消息を絶った、GA部隊。そして、その消息を絶った部隊のACを使ったハイダ工廠襲撃。GAグループ脱退からすぐにレイレナードクループに加入する動き。この一連の流れの良さはもはや不自然を感じるレベルであった。
「とにかくGAEを今後どうするべきか」
「そうですね。それともう一つ気になる諜報部から情報があります」
「なんだ?」
「どうも、GAEはアクアビットの新型コジマ兵装を搭載する大型機動兵器を開発中みたいです」
その情報を聞いた会議室はざわめく。企業の中で一番コジマ技術力が高く、いろんな意味で変態企業で有名なアクアビット。企業中でもトップクラスの大型機動兵器の技術をもっており、こちらもいろんな意味で変態なGAE。間違いなく、とんでもない兵器を開発している。
「アクアビットが開発している兵器を搭載する大型機動兵器がGAEで開発中…これは計画的な裏切りか…」
GAグループライバル関係の企業の兵器を搭載する大型機動兵器の開発をGAEが開発。
おそらく、GAEは以前からGAを裏切るつもりで、この大型機動兵器を開発していたら間違いなく計画的な裏切りだっただろう。
「どのみち、GAEを黙ってレイレナードグループに渡すわけにもいかん」
「えぇ。我がGAを裏切ったのだ。粛清が一番だ」
「しかし、このタイミングで粛清を決行すれば、最悪企業間との戦争に至る可能性がある!」
作られた証拠とは言え、事情を知らない者たちはGAEを信じるだろう。たとえ、事情を知っていても、今回の件を使って、GAに戦争を仕掛けるだろう。
「だったら、このまま見逃すのか!」
「しかし、他企業との戦争よりはマシだ!」
「他企業に何を恐れる!粛清はやるべきだ!」
会議は粛清派、反粛清派に分かれ、激しく荒れる。両者は一歩も引かず討論を続け、終いには胸倉を掴む人も出て来た。このままいけば、間違いなく乱闘に入ろうとした時、会議室に大きな音がなり、一瞬で静かになる。
「…少し、静かにしよう。ここで争っても何も始まらない」
音の正体は会長が机を叩いた音だった。静かになった会議室で会長は話を続ける。
「私は粛清に賛成だ。黙って見逃す気はない」
「しかし、会長!他企業との戦争になる可能性が!」
「どのみち、いずれは企業間戦争は起きる。それが早くなっただけだ」
会長がそう言うと、反粛清派の全員が黙った。今、企業間との戦争が起きていないのは、国家解体戦争を起こす前に結成した同盟がまだ生きているからな。しかし、同盟は一時的な物であり、いずれは無くなる。そうなれば、各企業は一斉に軍事行動を起こし、経済戦争が始まる。
今、何もしなくても、何れは経済戦争が勃発する。それが早くなっただけ。会長はそう判断したのだ。
「とりあえず、新型の大型機動兵器を開発しているハイダは確実に潰さないとな。サンダース君!」
「ハァ!」
会長に名を呼ばれ1人の男が立ち上がる。サンダース・グリム。それが彼の名であり、GAの軍事行動を指揮する最高司令官である。
「君のことだ。既にハイダ工廠襲撃作戦はもうあるだろう?」
会長がそう言いうとサンダースは頷く。
「はい。GAEが裏で何かやっているのは以前から諜報部で察知していたので、万が一に備えて、作戦を立てていました。こちらを見てください」
サンダースは会議室に設置されているモニターを起動させ、GAE領を表示させる。
「GAEはハイダ工廠を以外にも二つの重要生産拠点が存在します。この二つの設備はハイダ工廠よりも小さいですが、大型機動兵器を同時に3つも生産可能なのでここで新型の大型機動兵器が生産されている可能性があるため、この2つにも攻撃を仕掛けます」
モニターに映されているGAE領にハイダ工廠と他二つの生産工場があるところに矢印が付き、その3つの内部構造も映しだされる。
「GAEにはオリジナルリンクステレジアやレイレナードグループからの支援の可能性もあるので、襲撃はネクストを使用します。ハイダ工廠は規模が大きいため、アナトリアの傭兵とメノを投入。他二つはローディーとユナイトを投入し、新型の大型機動兵器を破壊。その後、通常戦力で工廠を制圧します」
「ネクスト4機を同時投入か…まぁ、テレジアやレイレナードグループ支援を考えると仕方ないか」
GAEにはオリジナルリンクス、テレジアがおり、またレイレナードグループからの支援の可能性がある。もし、テレジアやレイレナードグループ所属のネクストが出て来た場合、通常戦力だと大きな損害を受ける。そのため、ネクス4機同時投入と言う大胆な作戦にでたのだ。
「よかろう。その作戦で行こう」
「ありがとうございます」
サンダースはそう言い、お辞儀する。
「あぁ、そうだ。ついでに、例の事をやろうと思うよFF案を」
FF案。会長が言ったその言葉で会議室はざわつく。
「会長…本当にやる気ですか、FF案を?」
「あぁ。結果がどう出ようと問題は無い」
FF案。それはある意味でGA社の戦力が消えることになるが、結果によっては強力な戦力を手に入れたことが『確定』となるものである。
「それに、ハイダの襲撃案もFF案の事を考えてこの作戦にしたんだろ?」
会長はサンダースの方を向き、サンダースは素直に頷いた
「会長ならFF案をやることはわかっていたので、このような作戦を立てていました」
「流石だ、サンダース。では、GAE粛清とFF案は実行する。いいかね?」
会長がそう言うと会議室にいる全員が頷く。
「それでは本日の緊急会議は此処までにします。各自行動を開始してください」
会議は終わり会長や、幹部たちは会議室から出て行く。しかし、ただ一人、オーソンだけは会議室に残り、何かを考えていたのであった。
アナトリアAMS研究所の一角にある会議室にフィオナ、エミールそしてアレックスの3人の姿があった。
そして、フィオナが会議室にあるモニターを起動させ、いつも通りの依頼の内容を説明する。
「以来の内容を説明します。依頼主はGA。内容はGAE重要生産拠点の一つである、ハイダ工廠で奇襲し、建造中の新型巨大兵器を、すべて破壊してください。GAEはGAグループからの脱退を宣言しており、本作戦はグループの内部粛清の一つです。作戦エリアとなるハイダ工廠は2つのエリアに分かれており、私たちはその片方であるBエリアに攻撃を仕掛け、新型巨大兵器を破壊します。もう片方のであるAエリアはGAの部隊が担当します。施設内には元GAEの正規防衛部隊が配備されていますが、作戦の障害となるようなら、排除して構わないことです。なお、GAEはレイレナードグループに加入する動きがあります。そのため、レイレナードグループからの何らかの支援をしている可能性もあります。留注してください。以上、依頼内容の確認を終了します」
フィオナの説明を聞いたアレックスはため息を吐く。
「護った次は破壊か…まぁ、こうなるのはわかっていたことだが」
アレックスがハイダ工廠関係の依頼を受けるのはこれが始めてではない。
所属不明部隊によるハイダ工廠襲撃時、アレックスはGAEから依頼を受け、ハイダ工廠を防衛したことがある。
だが、今回の依頼は立場が逆になり、ハイダ工廠を襲撃しないといけない。
「いずれ、こうなるのは事前に分かっていたが、前回の襲撃を利用するとはな…」
GAEがGAグループを脱退した理由はハイダ工廠の襲撃はGAが仕組んだからである。
もちろん、GAは否定しているが、GAEから証拠も出されており、GAグループとはライバル関係である企業はGAを批判。また、レイレナードグループはGAEの全面支援することを決定している。
「だが、やることは変わらない。エミール、フィオナいつも通りサポートを頼む」
「任せろ」
「はい、アレックスさん」
2人は出撃に準備を始めるため、部屋から出て行き、自分たちの持場に向かう。
アレックスも、自分の機体である、レイヴンに向かうために格納庫の行こうとした時、自分の携帯が鳴っていることに気付き、電話に出る。
《アレックス。私だ》
電話の主はオーソンであった。
「社長ですか。電話を掛けて来たと言うことはやはり…」
《あぁ。会長がFF案を決行した。こちららも、例の依頼を決行してくれ》
「わかりました。報酬はきっちりと頼みます」
《わかっている。ちゃんと上乗せする。頼むぞアレックス》
「了解です」
アレックスはそう言い、電話を切ったのであった。