アーマードコア4 一羽の鴉   作:メビウス1

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出会い

出会い

何もない荒野の中、トレーラと数台の車が走っている。

トレーラの運転席には2人の男女がいる。男の方は、クルト・イェルネフェルト。コロニーアナトリアの教授である。女のほうはフィオナ・イェルネフェルト。クルトの娘である。

「ねえ、お父さん、本当に近くに戦闘があったの」

「ああ、ネクストとノーマルの戦闘だ」

ネクスト。それは企業の最新兵器。7年前に発見されたコジマ粒子を動力にしている新型ACである。

ネクストの戦闘力は平均的なACはるかに凌ぐ。旧世代の戦闘機で表すならF-4ファントムでF-22ラプターに挑むものと一緒である。だが、ネクストの動力、コジマ粒子は深刻な環境汚染を引き起こす有害な粒子であり、人体にも悪影響を及ばす。また、除染方法もいまだ見つかっていない。

クルト・イェルネフェルト教授はそのコジマ粒子の環境汚染、除染方法、人体の悪影響を調査している。クルト達は今、自分たちが住んでいるコロニーアナトリアの近くに戦闘があったと報告を受け、コジマ汚染度と生存者がいないか調査を行う為に戦闘があった場所へ向かっていた。

「お父さん、あれがそうじゃないの」

フィオナが指をさした方向には1機のACが倒れているのを見つけた。それと同時に大気中のコジマ粒子を測定する機材を見ると高い濃度のコジマ粒子を確認した。

「コジマ粒子の濃度が高い。間違いない、ここだ。フィオナ防護服を着なさい」

「はい」

クルトとフィオナは防護服を身に着け始める。このトレーラはコジマ粒子は入ってこないようになっているためコジマ粒子がある所にも防護服を着なくても大丈夫になっている。

「よし、行くぞ」

クルトとフィオナは防護服を身に着けてトレーラから降りた。

「すごい、普通のACでここまでネクストを追い詰めるなんて」

フィオナは驚いた。いや、ここに来た全員が驚いた。

トレーラから降りたクルトとフィオナ達の目に入ってのは大破した1機のACとレイレネナード社が開発したネクスト、アリーナの右腕だった。フィオナはアリーナの右腕に近づいて見ると、アリーナの右腕にはレーザブレードが装備されていた。

ふっと、フィオナはこのレーザーブレードはレイレナード社のあるリンクスの専用レーザブレードだと思い出した。

「お父さん、このレーザブレード見て」

「なんだ、フィオナ?これは!」

クルトは03-AALIYAHの右腕に装備されたレーザブレードを見て驚いた。

「これはレイレナードのネクストオルレアのムーンライト(月光)!」

ネクストオルレア。リンクスはアンジェ。レイレナード社の戦力である。

その実力は専用パーツを与えられるほどであり、現在の国家と企業との戦争でもっとも多くレイヴンたちを撃破している。そ

んなアンジェを普通のACでここまで追い詰めるパイロットがいるとは思わなかった。

「すごいパイロットだったのねこのACに乗っていたパイロット」

そう言って、フィオナは大破したACを見る。ACのコアは文字通り蜂の巣になっている。パイロットの生存は絶望的だった。

「そうだな。さて、我々の本来ここに来た理由を忘れないうちに作業するぞ」

フィオナは、はっと思った。ここに来た理由はコジマ汚染度と生存者がいないか調査をすることをすっかりと忘れていた。

「A班とB班はアリーナの右腕をトレーラに乗せる作業を。俺とフィオナそれとE班はACのパイロットが生存しているか確認する。他の班はコジマ汚染度の調査だ。以上だ」

クルトがそう言うと、各班は自分たちの作業へと取り掛かる。

「さて、フィオナ、俺たちも行くぞ」

「はい」

クルトたちはACのコアに近づいてコクピット部分を見るとそこには弾着の跡が残っていた。

「残念だが、パイロットの生存はないな」

ネクストの火力はACの倍以上ある。そんな攻撃をコクピットに受けたならパイロットの生存は限りなく0に近い。だが、フィオナはもしかしてパイロットがまだ生きているかもしれないと思い、ACのコアによじ昇りコアの上に立つ

「おい、フィオナ!パイロットは多分死んでいる。いやな物を見るぞ!」

フィオナがコアに昇ったことに気付きクルトが叫ぶが、フィオナはそれを気にせずにコクピット部分の弾着の跡を覗き込むとあることがわかった。

確かにコクピット部分に弾丸は命中していた。だが、その弾丸はコクピットを守る最終装甲板で止まっていることに。これならパイロットはまだ生きているかもしれない。

フィオナはそう思い。急いでコクピットにハッチの強制パージのレバーを探し、それを見つけて力いっぱいレバーを引く。コクピットのハッチの強制パージ用の爆破ボルトが起爆しハッチが吹き飛ぶ。

「生きて・・・いますか?」

フィオナは恐る恐るコクピットの中を覗き込んだ。フィオナの顔から血の気が引いた。

コクピット内は血の海だった。いくら最終装甲板がコクピットとパイロットを守ったとはいえ弾丸が命中したのは変わりなくコクピットのパネルなどが爆発してその破片がパイロットの体を引き裂いたり、刺さったりしていた。

だが、僅かだが息はしている。

「お父さんこのACのパイロットまだ息しているわ!」

「な、本当かフィオナ!」

「ええ、でも出血が酷いわ。すぐに手当てしないと」

「わかったフィオナ。E班一刻も早くパイロットを救出しろ。早く!」

「わかりました、直ちに救出に取り掛かります!」

E班はACのコアに昇りパイロットをコクピットから引きずり出しタンカーえと乗せて急いで車に向かう。ここはコジマ粒子の濃度がかなり高い。一刻も早くパイロットを車に乗せなければ防護服を身に着けていないこのパイロットはコジマ汚染されるからだ。

「しっかりしてください。あなたの名前は!」

フィオナはパイロットの手を握りながら必死に問い掛ける。するとパイロットの目がうっすらと開いた。

「アレッ…クス…オルフェ…ウス」

                                                                                                                                                       

                                                                これがフィオナ・イフェネルトとアレックス・オルフェウスの出会いだった

 

 

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